休日、昼下がり。
特に予定もなく外をふらっとして、目についた公園のベンチで座って、少し目を閉じた。
と、足に微かな重み。
目を開けると猫が2匹、俺の上にいた。
野良の子を撫でるのはあまり良くないので見るだけに留めておく。
「にゃ~♪」
「...え?」
撫でてるわけがないのだが、俺の右手には毛を撫でている感触がある。
そちらに視線をやると。
「んふふ...♪」
「
RiNGの野良猫。
超絶ギターテク持ちの中学三年生、要
楽奈が近づいてくるのを察知した野良猫たちは、逃げるように俺の足から飛び降りた。
代わりに楽奈が俺の足に乗る。
おまけになんか食いだした。
「なぁ」
「んむんむ...ん?」
「降りろよ」
「...やだ」
こいつ、ちゃんと自分の意思はあるんだよな。
今は抹茶喰ってるから抹茶では釣れないし、かといってこの状況は割とちょっといいかな案件だし。
「ん」
「...なんだよ」
楽奈が俺の手を取って頭にのせる。
「撫でて」
「...はいはい」
楽奈を右手で撫でながら、左手で震えるスマホを取り出す。
『楽奈ちゃん見てない!?』
千早からだった。
メッセージ10件、電話も3件。
ちょうどよく4回目の電話がかかってきたのでそれに応じる。
『もしもし!やっと出た~!』
「要なら俺と一緒だよ、公園いるから引き取りに来るなら早くしな」
『うわぁやっぱり!ありがとうすぐ行く!』
騒がしいやつだな。
そう思いながら電話を切ると、上半身に重みが加わる。
「...すぅ」
「おいおい嘘だろ...」
人を枕と布団にして寝るなよ。
千早が来るまでの時間稼ぎ問題はこれで解決したが、次の問題が生まれてしまった。
「...ぁ」
やばい、要の寝顔に当てられて眠くなった。
要は千早が持ち帰ってくれるだろうし、俺も寝ようかな。
「...ふふ」
千早愛音は、バンドメンバーである要楽奈がクラスメイトのもとにいると聞き、近くの公園を探し回っていた。
「楽奈ちゃーん?抹茶あるよー?」
彼女の大好物である抹茶飴をひらひらさせながら、愛音は探し回る。
「...?あれって...」
ベンチに座り、自分の右腕を枕にして眠る男性と、それに抱き着く形で眠る探し人。
「見つけたけど...起きるの待ってようかなぁ。私一人じゃ担げないし...」
現にグループチャットに「楽奈ちゃん見つけた!」と送っても、誰一人救援に来てくれる人はいなそうだ。
「...寝てたのか...」
「あ、おはよう!寝起きで悪いけど楽奈ちゃん運んでもらえる?」
「...まぁいいけど。あとでその飴くれ」
「今でもいいよ。はい」
「さんきゅ。さて、と...飼い猫ちゃん運びしますよー」
「おー!」