「終わり、ましたね」
「そうですね...あぁ、腰痛ってぇ...」
背中をパキパキ言わせながら伸ばして、息を吐く。
「今日はありがとうございました。わざわざ、手伝ってくれて」
「いえいえ、俺も暇でしたし。あんな姿、見て見ぬふりなんてできないですよ」
と言えば、
「ふふっ、ありがとう」
と微笑まれた。
え、女神様?
女神様だよこの微笑みは。
人間に向けていいものではないよ絶対に。
確実に死人が出る、死因は尊死で。
「じゃあ、俺はこれで」
仕事も終わった。
推しと一緒の空間にいるのにこの体が耐えられない。
これ以上ここにいる意味はないと生徒会室を後にする寸前で声がかかる。
「良かったら、その、一緒にお昼ご飯、食べませんか?」
なんで俺となんだ、別に俺じゃなくたっていいじゃないか、と言いかけたが、寸前で押し込める。
悲しい顔はしてほしくない、しかし俺が先輩なんかとお昼を一緒にするわけには...。
「分かりました。お昼ご飯取ってくるので少し待っててください」
そう言って生徒会室を出る。
なんでOKって言ったこの馬鹿野郎!シンッ!!と心の上司が殴りかかってきますがそれはいったん無視、待たせる訳にはいかないですので。
燐子先輩様とお昼ごはん一緒に食べるなんてどんなイベントなんですか?
ここ10年分の運をすべて収束してやっと1%あるかのイベントが今ここで来ますか?
これで運使い切ったとか言って死んだら流石に神さま、バカって言いますよ。
「...と、いけね」
いくら昼休みが長いとはいえボーっとしてたら食べるどころか戻ってくるまでで終わる。
「弁当ゲット...よし戻ろう」
戻りたくないけどね!
いや決して白金様と飯を食いたくない訳ではなくむしろ食べたいんですが。
それをするには未来の俺に切腹を頼むほかなくて。
切腹なら別に怖くはないけど、今は生徒会室に戻るのが怖い。
「お待たせしました...?」
「早かった、ですね?」
「いや、待たせたら悪いなぁと...他の皆さんは?」
「2人きり、ですよ」
やめろその顔と声と仕草とその他諸々!!!
モブに向けるものじゃないよ!!
例えばほら!なんか色々...ほら、いるじゃん!!!
「...どうか、しましたか?」
「いえ、別に何も。2人きりはちょっと緊張するなと思っただけです」
燐子先輩と、机を挟んで対面に座る。
なんで対面で座ろうと思ったかって?
いや、距離離して座ったらなんか失礼かなって思ったから。
「いただきます...」
いつもありがとう母さん、きっと今日の弁当はおいしいはずだ。
味しないけど。
病気とかじゃなくて、緊張で。
「はむっ...ふふっ」
破壊力高いよ。
直視できないよ、死にそう。
飯食ってるだけでこの破壊力、どうなってんだよ。
「ご馳走様でした...」
「...早いね?」
「自分じゃ味わって食ってるつもりなんですけどね...」
味わって食ってたけど味分からなかったね。
女神様と2人きりで食卓なんて囲んだことねえからさ。
と、昼休み終了のチャイムが鳴る。
「やべ、終わりか」
「あ...急がないと。...またね」
「はい、また...また?」
またって何?
燐子先輩が困ってる、俺がそこに居る、生徒会室に2人きりなんてイベント、ほとんど起きないよ?
そんな事ポンポン起こってたまるか。
どこかのオリ君リスペクトです