一方的に貰ってばっかだとあれなので。
「やーっとおわったかぁ...」
体を伸ばしながら呟いて、机の上の教材を机の中に突っ込んで、頭を授業モードから休みモードに切り替える。
そして、今の授業は4限だった。
「昼飯たーいむ...って、俺何持ってきたっけ...?」
カバンを漁って袋の感覚を掴むと、そのまま引っ張り上げる。
「...朝買ったな、そういえば」
買い食いはだめって言われてるけど、別に昼飯を買ってくることはだめじゃないからな。
「おー?おいしそうなものを食べようとしていますなー?」
「...何だよ。やらねえぞ」
俺が袋からパンを取り出した瞬間に瞬間移動してきやがった。
こいつのパンセンサーどうなってんだ。
「えー?ケチー」
「ケチで結構」
人生ケチな方が得することはあるんだよ、ソースは俺。
「で?パン乞食の青葉さんは俺になんか用?」
「ちょーだい?」
「...何が欲しい」
「全部」
「ダメに決まってんだろ」
このやり取りも10回以上した気がする。
「ちょっとぐらいくれてもよいではないかー」
「お前のちょっとで俺の昼飯壊滅すんだよ」
いつもはこの辺で引き下がるんだけどなぁ。
しかしな。
バグってるよ、こいつの腹。
あんな喰ってまだ食うのかよ。
「カロリーはひーちゃんに送ってるからねー」
「しれっとひまりが被害喰らってるのはスルーしとくけど。...昼飯忘れたのか?」
「おー。せいかーい」
なんて呑気な奴なんだろうか。
「なのでこのまま何も食べないと、モカちゃんは餓死してしまうのですよー...」
「ひまりからカロリー貰えよ。win-winじゃん」
「それはなんか嫌だ」
「ガチ拒否草」
...粘られたらしょうがないなぁって感じで一個やったけど、こんな調子じゃ仕方ない。
「あれ?どっか行くのー?」
「...足りなくなるだろうから購買行ってくる」
わざと机にパンを広げたまま。
「...行っちゃった」
「モカにこの状態、生殺しもいいところだよね...」
「...食べてもいいんじゃないの」
「ちょ、蘭!?ダメでしょ絶対!」
「だって、モカを目の前にパンを放置して行くってことは、そういうことでしょ?」
「蘭、頭いー。それじゃさっそく...いただきまーす」
「メロンパンぐらいしかなかったな...まぁいいか」
教室のドアを開けると、涙目のモカが。
...あ、こいつ食ったな。
「...騙された」
「これに懲りたら放っておいてあるパンを食わないことだな。ほれ」
ミルクティーを投げながら席に座って、モカが手を付けなかったパンを食う。
商品名にも、ちゃんと辛いよって書いてあるんだけどな。
「...モカ」
「...なに?モカちゃんは、今不機嫌だよ?」
「...悪かったよ、メロンパンで手を打ってくれ」
「...しょうがないなぁ」
...まぁどうせ、こんなことしてもモカはまた俺のパンを奪いに来るんだろうなって。
別にいいけどね、嫌だったらあげないし。
「ごちそーさまー。すごくおいしかったー」
「そりゃよかったな」
「恵みの神よー...ははー...」
「はいはい、崇め奉れ」
あいつらの言葉を借りるなら、これが「いつも通り」なんだろうさ。
モカちゃんわかんねー