食べることは好きだ。
肉に魚に野菜、どれもおいしい。
食事は人の心を癒すもの、とはよく言うけど、ほんとにその通りだと思う。
それと共に、体の健康に悪いものは、心の健康に良い、とも言う。
ジャンクフードなんか最高だよね、えぇ。
「やっぱラーメンはうまいなぁ!」
「そうだね、はしごできる腹は尊敬するよ」
俗にいう次郎系ラーメン、と言う奴で、俺は隣でラーメン啜ってる彼女を見ている。
彼女は宇田川巴、Afterglowのドラム。
姉御肌と言う奴で、バンドメンバーの面倒見がいい。
あとラーメンが好き。
「もっと食わないのか?美味いぞ?」
「あいにく腹いっぱいだよ。あと巴の食いっぷりで腹が埋まる」
だってさっき道端でバッタリ会って、「ラーメン食おうぜ」って誘ってきて、入った先がここで、彼女は2件目だと言う。
どこにその腹があるんだろう、スタイル変わらんのが謎過ぎる。
「ぷはー!ごちそうさま!!」
「あいよー!」
「ごちそうさまでした」
巴と席を立ち、店を出た。
「いやぁ、うまかったなぁ!」
「それは良かったな。満足した顔だけで付いてきたかいがあったよ」
「ははっ!うまかったろ?」
「まぁ、ちょいと重かったけどね...」
丁度良く見つけた自販機でウーロン茶を買って、それを飲む。
「巴はなんかいる?」
「いや、アタシはいいや。ありがとな」
「よくはしごして胃もたれしないわ...羨ましいよ」
言いながら、ウーロン茶を呷る。
喉に張り付いた油が流れてく感じが分かるのは、今ぐらいだろう。
「そう言えば、今日はどうしてアタシについてきてくれたんだ?」
「え?やっぱり一人で食いたかったか?悪いな」
「いやいや!いつも誘っても断られるから、今回もダメ元だったんだけどな...」
「...昼飯がまだだったから、声かけてくれてよかったよ」
なんか、ストレスのはけ口なさそうだよな、巴って。
アフターグロウのバランサーとして、尖ってるメンバーを丸めるのには、相当な気を遣うはずだ。
もしかして、ラーメン好きってそこから来てたりしないかな。
そう思って、聞いてみた。
「え、ストレスでやけ食い?ないない、モカじゃないんだから」
「...モカ、やけ食いするんだ」
「たまにな。必死な顔でパンを食べてるところは見たことある」
まぁでも、巴にストレスの心配はなさそうだ。
ちょっと安心した。
「あ、そうだ。これ」
「...チケット?」
渡されたのは今度のワンマンのチケット。
一体どうして?
「今日付き合ってくれたお礼だ、暇だったら来てくれな」
「この日は暇だ。行かせてもらうよ」
「おっ、言ったな?絶対だからな?」
「わかったよ」
今度、ずっと元気でいるコツ、教えてもらおう。