これ前に書いた奴なので、読まなくてもいいです
俺はモブだ。
そうでないと生きられない。
何故なら...。
「おや?今日も一人で黄昏てるのかい?」
「...うるせぇな、ほっとけよ。それかその辺にいる子猫ちゃんの相手でもしてろ」
「あいにく、今は誰もいないんだ。今は二人きり、という訳さ」
「...はぁ」
圧倒的王子様ムーブを噛ますこの紫髪の高身長女、瀬田薫が俺に気付いて近寄ってくるからだ。
こいつと並ぶと自分が惨めに感じてしょうがない。
実に20センチの差があるタッパ。
そして俺よりはるかに王子様力が高い。
むしろ俺の王子様力なんてマイナス一直線なんだから、天と地ほどの差とはこのことだろう。
そして言わずもがなだろうが、顔がいい。
ただ、なんか知らないけど惹かれない。
それもこれも「シェイクスピア曰く」だの、「つまり、そういうことさ」とか。
何と言うか、微妙に刺さらないのだ。
何と言うか、残念なイケメン感がすごいのだ。
そのくせ、寄ってくる人間一人一人に真摯な対応をしている。
今だってまさにそう。
何でそんな奴が。
「俺はモブだって...」
これは、もはや自己暗示の域であるが、そうでもしないと俺は無駄に顔のいいあの女にどうにかなりそうなのだ。
だってタイプじゃないし。
「なんでだよ...」
「まぁ、そんな悲観的になることもない。シェイクスピア曰くーー」
「あーいい、いい。そういうの」
「そうかい?まぁ、気楽に行こうじゃないか」
なんでこいつと課外授業の班が一緒なんだ?
いや、そもそもいつも群がってる子猫ちゃん共はどうした?
...あれか、推しには近づかないファンの思考か?
きっとそうだ。
いやだとしても変だろ。
そうだとしたらモブな俺には荷が重いぞ?
むしろこいつからの印象がないやつに押し付けるべきじゃなかったのか?
「私が君を選んだのさ」
「いやなんでだよ」
「キミとはもっと話してみたかったのさ」
俺はお前とは話したくないんだよ、という文句は飲み込んで。
「そんならその辺にいる子猫ちゃんと親睦でも深めたらどうなんだよ」
「...いつも思うのだが、君はどうしてそう悲観的なんだい?」
「はぁ?」
こいつ、残念なイケメンなうえに馬鹿なのか?
「俺はお前みたいな人種とは違うんだよ。だから関わりたくないって言ってんの」
「君には隠れた才能がある。それを生かさないのはもったいないじゃないか」
「なんだ才能って」
「暴力に訴えず、話し合いで解決まで持っていくのは、才能じゃないのかい?」
...なんだ、それ。
「そんなの、誰だって」
「いいや?幾たび口論になろうとも、君は一切手を出さなかった。十分じゃないか」
「...黙れ」
「黙らない。私は、君が自分の良さに気付くまで、君の良さを挙げ続けようじゃないか!」
早くすぎねえかな、この時間。
恥ずかしくてしょうがねえや。