宙に刻む蹄跡は   作:戦艦トマト

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ライバル達

あくる日の午後、座学が終わると早速練習が始まった。

とは言えトンデモなく優秀で既にトレーナーに唾を付けられた優駿でもなければクラス毎に基礎トレーニングを見て貰える程度。

ここで最低限を鍛えながら選抜レースにてチームなり専属トレーナーの目に留まるように努力するか強豪チームの入団テスト合格を目指すかが普通のウマ娘の道となる。

今年は特に優秀と担任教諭が仰っていたが、実際ボクのクラスはミーティアさんやスターさんを筆頭に1/4程が既にそこには見当たらなかった。

そういう訳で基礎中の基礎として、10人少しの集団に分かれて一定の速度を保ってのランニングを行っていると隣の子が段々失速しているのに気が付いた。

少々走ったとは言えやはり少々低速、スプリンターですらバテるには少し早い距離。

デュライトオリオン……ボクより少し背が高く、ミーティアさんより栗色に近い鹿毛を短めのポニーテールにしたヒト。

馬の頃はあんまり対戦したことないけど掲示板に入ったり入らなかったりしていた筈。

ボクが死んだ後は分からないからそれから何かタイトルを獲ったりしたのかも知れない。

同じ最後尾のよしみとして速度を合わせて並ぶ。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あーうん、大丈夫大丈夫、大丈夫だから」

 

「ですが……」

 

「いいていいって、私はいいから走んなって」

 

体調不良かとも思ったが、多量の発汗や顔色の悪化、痙攣等の兆候は見られない。

ただ疲れているだけにも見えた。

……そこで何となく感付けた。

走る姿勢はかなりラフで余裕綽々の様子。

実際は疲れてすらいないのだろう。

要は初日からサボろうと言うのだ、この大胆不敵な同級生は。

基礎トレーニングなど自分には役不足だ、と。

それを察して溜息を吐いた。

基礎を笑う者は基礎に泣く。

基礎を抜いて大成出来るのは天才ではなく狂人だ。

彼女が天才かどうかは分からないが狂人でないことは分かる。

一事が万事、この「退屈なトレーニング」が出来ないのなら彼女がボクの敵になることは無いだろう。

 

「分かりました、失礼します」

 

「は!?」

 

速度を戻して集団へと復帰するボクの態度の何かが気に障ったらしいデュライトオリオンさん。

 

「おい、てめぇ!今私のこと見下しやがったな!?」

 

本性が出たのであろう、語気を荒くして隣に復帰して来た。

まさか、と肩を竦める。

 

「気にし過ぎですよ」

 

「いーや、私には分かる。見せてやるよ、実力の違いをよぉ!」

 

『デュライトオリオン!』

 

一気に加速して集団を追い抜きにかかるデュライトオリオンさん。

拡声器越しの監督トレーナーからの鋭い声。

しかし、それはがなり声がかき消した。

 

「あと6周走ればいいんだろ!?」

 

更に加速し集団を引き離そうとする。

結果的に煽った手前、1人だけスタンドプレーさせるのも忍びない。

その背中を追いかけピタリと張り付く。

 

「くそ…何で……ついて……来れんだよ……!」

 

「ボクだけじゃありませんよ」

 

「ハッ…ハッ…はぁ!?」

 

背後からドドドと地鳴りが響いて来る。

ウマ娘は一般人に比べて闘争心が強い。

競争バともなれば一般ウマ娘をも遥かに凌駕する。

最後尾から加速した自分達を見れば我こそはとなるのは当たり前と言えた。

何より、「自分こそ1番」で入って来たのにそれより上が居るという事実に皆鬱憤が溜まっていたのもある。

誰もかれもが自分こそ先頭だと気勢を上げる。

多少冷静さが残れば「1番早く6周終わらせる」ペースに加速する。

 

「ふっざけんじゃねぇ!一番速ぇのは私だぁぁぁあ!」

 

雄叫びを上げて加速していくデュライトオリオンさん。

監督トレーナーの静止など最早誰も耳に入らない。

全員が全員、コンマ1秒でも早くゴールしようと必死になっていた。

 

(ああ、これが)

 

ウマ娘のレースなのか。

 

 

 

 

 

「ぜえッ、ぜェ、ハァ……」

 

「おや?基礎トレサボろうとした割には体力無いみたいですね?」

 

「ふざけん……じゃねぇ……。私より先に行きやがって……」

 

「デュライトオリオンさんより早く終わったヒトの方が多いですよ?」

 

「うるせぇ……!息1つ切らさねぇのかよ、バケモンがよぉ……」

 

結局、長距離レース紛いになった基礎トレーニングはボクが鼻差トップだった。

他の子達は疲労困憊から息を整えたりと様々。

特にデュライトオリオンさんの消耗具合は酷かった。

 

「まあスタミナだけは少し自信ありますので」

 

「ちっくしょ……私が負けるなんて……!」

 

悔しそうに歯噛みするデュライトオリオンさん。

正直こちらとしては、トップ層に比べて何てことないのもあって全然勝ち誇れるものでもないけれど。

 

「おい!お前達!」

 

そこへ監督トレーナーが駆け寄って来た。

 

「初日から勝手なことをするんじゃない!いいか、これは遊びじゃないんだぞ!?」

 

全くもってその通り。

自分で基礎トレーニングは大事とか考えておいてこの体たらくは中々愚かしい話だ。

恥じ入って小さくなってしまう。

 

「……」

 

「すみません」

 

「大体基礎トレーニングを舐めているのだろう、そんな甘い考えではレースで勝つことなど出来んぞ!」

 

「はい、すみま……」

 

「違ぇですよ」

 

頭を下げようとしたその時、倒れ伏したままのデュライトオリオンさんが声を上げた。

 

「コイツは…ぜぇ…寧ろはぁ…真面目にトレーニング…しようとしてました。私が勝手に掛かっただけ……ス」

 

「いえ、結果的にボクが煽ってしまったので」

 

「いいから聞けよ。はぁ……私は確かにつまんねえトレーニング甘く見てた」

 

はぁふぅと息を整えるデュライトオリオンさん。

監督トレーナーも黙って見ていてくれている。

 

「だが、結局テメェに負けたし掛かった程度で追い抜かれる体力しかねぇ。まだまだつまんねえトレーニングを繰り返すしかない段階だ。だけどな、それに気付いた以上私は絶対お前より強く……速くなる。絶対にだ」

 

ニヤリと野性味溢れる笑みを浮かべる。

 

「後悔させてやるぜ、ここでサボらせといた方が良かった…ってな」

 

ボクも釣られて口角が上がる。

このヒトとはきっと仲良くなれそうだ。

 

「話は終わったか?なら、俺の番だ」

 

「……はい」

 

「……っス」

 

当然監督トレーナーに懇々と説教されるのは避けられなかったけれど。

 

 

 

──────

 

 

 

 

「昨日のアレ、良くなかったな」

 

チームスピカのトレーナールーム、2人のトレーナーがそこにいた。

パソコンを打ちながら静かに切り出した沖野氏の顔は穏やかと言ってもいいくらいだ。

とても咎めているようには見えない。

しかし、作業中のパソコンから顔を上げてそれを見た森下は若干頬を引き攣らせた。

 

「……そうでしょうか?」

 

「そりゃあそうだろう。オレ達は大人だ、いくらウマ娘の方が力が強かろうが足が速かろうが子供なんだ。頼られたなら導かなくてどうする」

 

「それは……そうなんですけど」

 

「そんなに怖かったか?あの子の走りは」

 

「……」

 

沈黙は肯定の証。

森下は目を泳がせた。

 

「別に責めてるわけじゃない、分からなくも無いしな。時々居るんだよああいう突然変異みたいな娘。早熟なのかダイヤの原石かは分からないが」

 

小さく溜息を吐く沖野氏。

 

「生かすも殺すもトレーナー次第……とまで言ったら傲慢だが、やっぱり成長するかしないかにトレーナーが関係しない訳じゃない」

 

「……はい」

 

「だからまあ、新人だから尻込みするってのは分からなくは無い。が、それこそお前を頼って来たのに無碍にするってのは……な」

 

「そこなんですよ沖野さん!」

 

「お……おぉ?」

 

突然立ち上がる森下。

両手が机に叩き付けられ大きな音を立てる。

 

「だってですよ!?いくら何でも都合良過ぎるじゃないですか!?」

 

「お、おう」

 

「普通に考えておかしいでしょう?即座にレースで通用しそうな才能の子が!会ったことも無いペーペーの自分を突然頼って来るなんて!」

 

「ま、まあまあ落ち着けって」

 

「落ち着いてられますか!?」

 

バンッ!と再び机を叩く森下。

いや本当に怖いんだが、と若干引き気味の沖野氏。

 

「何なら美人局って言われた方が納得行きますよ!」

 

「あー……ほら、ウマソウルの導きとか三女神のお告げとかそういうゲン担ぎする奴も居るだろうし……」

 

どこかでフンギャロというくしゃみが聞こえた気がした。

言いはしたが、沖野氏だって運命だとか奇跡という言葉がウマ娘の勝敗や怪我、ひいては行く末に対して使われるのは余りよく思わない。

あくまでも未来はウマ娘自身によって切り開かれるものなのだから。

 

「……まあ、確かに胡散臭いと言えば胡散臭いが」

 

「そうですよね!」

 

「でもなぁ……あんだけ出来るのに全く注目されてないみたいだぞあの子。というか、トレセンで走ったの初めてだったみたいだし」

 

「……」

 

「このままだと選抜レースで誰かに見付かるまでトレーナー無しってことになる。今からお前が付けば俺も補助してやれるし早めの専用トレーニングを始められる」

 

「沖野さんだって別に普段からキッチリ計画的にトレーニングするってタイプじゃないですよね」

 

「あはは!そーだっけ?」

 

誤魔化すように笑う沖野氏だが、ここぞという時に必要なトレーニングを準備出来るトレーナーだ。

自主性の高いウマ娘が師事すれば必ず伸びるという評価は過大などでは全く無い。

だけど……と森下は小さく肩を落とす。

 

「それこそ彼女はスピカに向いてませんよ。リギルとかアルデバランみたいなキッチリ指示だして作戦練るタイプじゃないと……」

 

「いや、そこまで分かるんだったらお前が面倒見ればいいだろって」

 

「いや、自分はスピカのサブトレですよ?」

 

「いや、だから何だよ。スピカに所属したら絶対に自主性だけに任せなきゃいけないなんてないだろ」

 

いやいや合戦は沖野氏の演説で遮られる。

 

「スピカのモットーは『自由に走る』だ。計画立てて走るのだって自由の内だぞ」

 

「じゃぁ沖野さんは求められればみっちりトレーニング計画立てられるんですか?」

 

「勿論!当然だろう」

 

ハッキリ言い切った沖野氏に対してポカンと間抜けな表情を浮かべる森下。

その反応を見て沖野氏は苦笑する。

 

「おいおい、オレを誰だと思ってんだよ。スピカのトレーナーだぜ?」

 

「……はは、そうですね。すみませんでした」

 

「謝罪は俺じゃなくてあの子にするんだな。よし、行くぞ」

 

「行くって……何処に?」

 

「決まってんだろ!ソラノヤマトをスカウトしに行くんだよ、お前が!」

 

 

 

──────

 

 

 

夕暮れに沈むグラウンド。

罰としてターフの整備をした帰り。

デュライトオリオンさんは「次はぶち抜く!」と宣言して……ヘロヘロと寮へと帰って行った。

ボクはと言うと、何ともなしに観客席からコースを眺めていた。

 

「…………」

 

「……!?」

 

飛び上がりそうな程驚いてしまった。

全く気付かない内に隣にヒトが立っていたのだ。

背はそこまで高くはないけれどまるで岩か大木と向き合ったような……そんな雰囲気のお爺さんだった。

顔はタップリとした真っ白な髭と船長帽のような帽子に挟まれてよく見えず、奥で鋭い目が光っている。

帽子の後ろから白髪も覗いていて……何と言うか「老将」という外見だった。

服装はどう見てもトレーナーって感じのものではない。

真黒な……やっぱり船長みたいな服。

腰に提げているのは拳銃じゃないよね……?

 

「君は、ここの生徒かね」

 

「はい……!」

 

低い……だけど優し気な声。

思わず背筋を正してしまった。

 

「どうだね?学生生活は。楽しいかね」

 

「えっと……楽しいです。多分」

 

まだ入って2日。

実質1日だけど中々濃いめの生活を送った気がする。

会うヒトは先輩同輩皆いいヒトばかりだし会いたいと思っていたヒトにも会うには会えた。

新しい目標もカタチになりそうで……あれ?もしかしてボクの学生生活最初の一歩かなり充実しているのでは?

 

「そうか」

 

短く相槌を打つお爺さん。

鋭かった目が緩むように細められた。

何故か気恥ずかしくなってコースに視線を逸らした。

 

「お爺さんは何か学園に御用ですか?」

 

「儂は……大恩のあるヒトがこの学園に居ると聞いてな、せめて一目と思い来てみたのだよ」

 

「そうでしたか」

 

「顔も見れたことだし、儂はもう帰るとする。失礼する」

 

「あ……あの!」

 

このヒトを今帰らせたら駄目なような気がして声を上げる。

理由は分からないけど、とにかく今の自分…これからの自分を見て欲しくて。

 

「ボク!その…まだ何時になるかも分からないですけど……レース!出ます!だから、良かったらお爺さんも見て下さい!」

 

「分かった。ありがとう、ヤマト」

 

「はい!……え?」

 

余りにも自然に名を呼ばれて思わず普通に返事をしてしまった。

何故ボクの名を……そう聞こうとした時、突然右足の太腿に人の手の感触が出現した。

 

「お……おぉお、これは凄い。スカーレットよりも充実しているとは思っていたが良い筋肉だ……これがあの加速力と持久力の源か……!」

 

「…………」

 

「お……おおスマン、俺の悪い癖なんだ」

 

思わずジットリ睨んでいると、ウオッカ先輩の言っていたトモ触り痴漢トレーナーが慌てて立ち上がって謝罪してきた。

 

「しかし触られても蹴飛ばさないってのは本当に肝が据わってるんだな」

 

「ヒトに痴漢して出る感想がそれですか?沖野トレーナー」

 

「いや、本当にスマン!」

 

手を合わせて頭を下げる沖野氏。

まぁいいかとお爺さんの方を見る……が、そこに既に人影は無かった。

おや?と思って周囲を見渡すがヘロヘロと駆け寄って来る森下サブトレーナーの姿しか確認出来なかった。

何となくどこかで見たことあるようなお爺さんだったような気がしたのだけれど……。

 

「ぜひゅー……ぜひゅー……」

 

「その……大丈夫です、息整えてからで」

 

ボクの前まで来た森下サブトレーナーは膝に手を付いて荒い呼吸を繰り返していたのでそう声を掛けた。

その間に沖野氏にあのお爺さんの行方を聞いてみる。

 

「お爺さん?」

 

「はい。えーと船長帽のような帽子の白髪白髭のお爺さんと話してた筈なんですが」

 

「俺が来た時にはお前1人だったぞ?他に誰か居たのか?」

 

「えぇ?」

 

「……よし、俺はそのお爺さんとやらを探してみるからヤマト、お前は森下と少し話してやってくれるか?」

 

「はい、それは構いませんが……」

 

沖野氏が笑ってこの場から離れる。

ただ、少し早かったようで未だ呼吸の整わない森下サブトレーナーだけが残されてしまった。

 

「あの、座りましょうか」

 

「……こひゅー……こひゅー」

 

森下サブトレーナーはまだ顔を上げる余裕も無いようでボクは仕方なく観客席の1つを示す。

手だけで曖昧な返事をして覚束無い足取りで椅子に腰掛ける。

ボクはその隣に腰掛ける。

 

「……ぜぃ……は……はぁ~」

 

「……落ち着いたみたいですね」

 

「うん…悪かったね」

 

ようやく顔を上げられるようになったらしい森下さんは申し訳なさそうにペコっと頭を軽く下げてきた。

膝はまだ笑っているけれど。

 

「いえ、気にしないでください。それで……ボクに何かご用でしょうか?」

 

「うん、まず昨日はゴメン。態々自分に声を掛けてくれたのに不誠実な対応だった」

 

「いえ、そんな。断るのが普通です、あんな電波な出会い方なら」

 

「そう言ってくれると助かるよ」

 

苦笑いする森下さん。

もしかして?もしかして?と耳はピンと立ち尻尾が左右に揺れる。

この話の流れ……期待がムクムクと膨らんでしまう。

 

「実は……君をスカウトしに来たんだ」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「待って待って!早い早い!」

 

ボクの即答にギョッとして大きく手を振る森下さん。

何でですか!折角そちらからスカウトされたのに!?

 

「分かってます、森下さんのことですからまたぞろ本当に強く出来るか分からないとか出走計画も上手じゃないとか自信が無い的なことを言うに決まってるんです」

 

「ねぇ、本当に初対面?そこまで見透かされたらもう何も言えないんだけど?自分が覚えて無いだけで生き別れの兄妹とかだったりしない?」

 

「でも!そんな森下さんがいいんです!ボクは!」

 

ボクは貴方にあの時捧げられなかったダービーを……ダービーだけじゃない!栄冠を捧げさせて欲しい!

泣かせてしまった貴方を今度こそ笑顔にしたい!

絶望の馬じゃない!希望のウマになりたい!

立ち上がって叫ぶように訴える。

 

「お願いです!ボクのトレーナーになって下さい!」

 

「はは、困ったな。謝罪と口説きの文句色々考えてたんだけど全部無駄になっちゃったよ」

 

手を差し出しながら苦笑する森下さん。

 

「こちらこそ、お願いします」

 

「はい!」

 

その手を取って握手をする。

ボクの競争バとしての歩みが本当に始まったのはこの瞬間なんだと思う。

 

 

 

 

 

 

「~♪」

 

寮に戻ったボクはそれはもう完全に浮かれきっていた。

鼻歌なんか歌いながら洗濯物を畳んだりしてしまっている。

 

「~♪」

 

「お前……」

 

セイントスターさんが浮かれポンチなボクの姿を見て頭を抱える。

マズい、流石に煩かったか。

 

「そんな陽気な曲調の鼻歌なのに眉1つ動かさないとはどういう表情筋をしているのだ」

 

「あ、そっちですか?」

 

「不気味の谷が凄かったぞ」

 

不気味の谷って無表情なのに変な事してるって意味では無かったような。

引き締めようとしたら顔と動きは制御出来たけど鼻歌は出ちゃったという結果なのでロボットっぽいという意味では広義の不気味の谷?

 

「まぁ良い。察するに、意中の相手を射止めたという所か?」

 

「はい!」

 

「そうか。ならば、私とお前は既にライバルということか」

 

「お……おぉ……流石にそれは早計な判断では?」

 

獣が牙を剥く姿を思わせる不敵な笑み。

デュライトオリオンさんには悪いけど迫力はセイントスターさんのが100倍はある。

 

「そう言って私を油断させる気か?入学2日目にトレーナーが見付かるなど…それこそ付属や地方の実績無しなら早々あるものではない。どのような形だとしてもお前も一角の競争バだと言うことだ」

 

「そう……だといいのですが」

 

「……目標とするレースなどはあるのか?」

 

「まずはダービー、三冠です」

 

「なんだ、ハッキリ言えるのなら何も問題は無いな。そして、レースの勝利を目指すのであれば能力や才能など関係なく皆ライバルだ。違うか?」

 

「そうですね……全くその通りです。ボクはセイントスターさんのライバルです!」

 

「ならば結構。そして、私が勝つ。お前にも、ミーティアにもだ」

 

ガシリとお互い凶暴な笑みで握手を交わす。

ボクだって負けない。

負けてなるものか。

この日ボクはこの学園に来て初めて本当の意味での競争バになった気がした。




沖田十三

西暦2147年生
西暦2206年没

地球防衛軍宇宙艦隊歴戦の宇宙戦士にして宇宙物理学博士号を持つ物理学者。
ガミラス戦争末期である2199年、宇宙戦艦ヤマト初代艦長に就任。
外宇宙にあるイスカンダル王国へ放射線除去装置「コスモクリーナーD」を受け取る為に地球史上初の超光速航法を用いた往復29万6千光年の航海へと挑んだ。
約1年の航海の末地球帰還の直前、宇宙放射線病の悪化により一時脳死状態へ。
検死の際に仮死状態であることが判明し極秘に治療が行われる。
2206年のアクエリアス危機には完治し防衛軍、そして「ヤマト」艦長に復職し反撃作戦とアクエリアスワープ阻止作戦を指揮。
最期は水惑星アクエリアスから放たれる水柱の地球落着を阻止する為に乗艦「ヤマト」の波動砲を暴発させる形で自沈させ戦死した。
戦友である徳川彦左衛門氏曰く「万に一つの可能性を発見したらそれを信じ、沈着冷静に行動する人」。
冷静沈着にして勇猛果敢、不屈の精神を持つ歴戦の軍人ではあったが元来穏やかな性格で散っていった戦友達を終生想っていた人情家でもあった。






本作でのヤマトは原作を軸にリメイクやゲーム作品の流れを汲んでいる想定です。
恐らくですが島はディンギル帝国との戦いで戦死していないかもです。
土方艦長の乗艦は「アンドロメダ」、山南艦長の乗艦は「春藍」、「ヤマト」の2代目艦長は古代進、3代目が古代守、4代目に再び沖田艦長になると思われます。
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