「ではこれで放課後のHRを終了する。各自テストに向けて準備を怠らないように」
英雄王から任命された後、サボりたい気持ちを抑えつつ授業を受ける。という苦行からようやく解放された。案の定、葛城君とか坂柳さんから「何をした?」と聞かれたが盛大にボカした。だって説明のしようがないんだもの。
「藤丸君?この後、良ければお茶でも…」
「申し訳ないけど用事が…」
「…そうですか。ちなみにどのような用事が?」
「んー内緒(◠‿・)—☆」
「…」
今確実にイラッてしたな。…まあ自分もやられたら多分イラッてくると思う。
「そうですか…あ、そうだ藤丸君」
「ん?」
「実はですね、私の友人からこのような画像もとい、写真が送られてきたのですが…」
坂柳さんがその写真を俺に突きつける。
「ありゃ、撮られちゃってたか」
「……随分反応が薄いですね。もっと慌てふためくものと思っていたのですが」
「そりゃあね、たかがツーショットだし」
「そうですけど、お相手はこの間赴任したばっかりの人ですよ?しかも、男子生徒に大人気の」
その写真は、俺とキアラさんが一緒にご飯を食べている写真だった。
「まあ、自分は兎も角。キアラさんが迷惑じゃ無ければいいかなって」
「……キアラさん?」
「うん。殺生院だと呼びづらいだろうからって」
この辺りに嘘は無い。実際、召喚されて幾日か経ったある日「殺生院ではなく【キアラ】とお呼びください。ええ、それは長年共にいるような甘い感じで。もしくは、下心満載でお呼びいただいても構いません」って感じで。
…最後の方は聞かなかったことに。
「……へー。そうですか。」
「そうなの…どうしたのさ?何か不機嫌に見えるんだけど?」
「ええ。ええ。そりゃ不機嫌になりますとも。こうして私からお誘いしてもピクリともしないなんて、あなた本当に男なんですか?自分で言うのもなんですが、私はスタイルは兎も角として顔は良い方と自負しております。確かに人には好みは多々あります、貴方からすれば私はそこらの石と同程度かもしれませんが、しかしですね、せめてもの紳士として対応することは出来るのでは無いでしょうか?」
凄い勢いだった。
此方が口を挟む余地などほぼほぼ無かった。
しかし、言っていることから察するに、かまって欲しかっただけなのだろうか?
何だろう、見た目も相まってカーマに見える
『ちょっとマスターさん!?それは私に失礼過ぎませんか!?』
変な電波を拾った
「えーっとですね。坂柳さん?」
「……なんですか」
「こうして1ヶ月半位かな?しか関わっていないから、お互いの内面とかは、まだ良く知らないよね?」
「…それはまあ」
「だからさ、俺は焦らないでゆっくりと距離を詰めて行きたいんだ。」
「…私としては今が良いのですが」
「うん。確かに早ければ早いほど良いのかもしれないけど、坂柳さんが空いてても、俺はちょっと立て込んでいるんだ。だからさ、それが落ち着いたらお茶をしないかい?」
「…いつぐらいになりそうですか」
それはちょっとわからない。なにせ今日、英雄王に「働け」言われたのだ。今日からと言われて、一月で落ち着けるとは思えない。まあ、長めに見て三ヶ月といったところだろうか。
「長く見積もって三ヶ月後かな?」
「長すぎます一ヶ月で」
「ん。わかった、一ヶ月後で良いんだね?」
「……出来ればテスト明けの方が」
「うーん。その辺はわからないかな。余裕があればこっちから誘うから。取りあえず一ヶ月後にはお茶をしよう」
申し訳ないが皆には、沢山手を借りよう。あのオカンは特に手助けしてくれるに違いない。必ず「任せ給え」と言うだろう。というか言わせてみせる。
荷物の入った鞄を持ち、足早に教室を出ようとする。
その時、言い忘れたことを思い出した。
「坂柳さん」
「なんですか」
「さっき、自分は貴方にとって興味の対象じゃないとか言ってたけど」
「俺からしても坂柳さんは充分興味の対象だし、恋愛対象とも見れるよ!綺麗だし、可愛いとも思えるからね!」
言い残した事は無い。流石に坂柳さんのような人から話し掛けられれば嬉しいし、舞い上がりもする。
ただまあ
「あとが怖いな」
他の女性サバに、この事がバレませんようにと、神に祈る。
ああ、駄目だ。皆面白がって広めるタイプのような人しか思いつかない。
仕方ない、この際オカンを盾にしよう。ついでに槍ニキも。
『何故私も!?』『俺もかよ!?』
また変な電波を拾った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……………………」
「……………………良かったわね」
「…………うるさいですよ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「えっと……ケヤキモールの食品モールの…階段付近」
英雄王に渡された場所を確認しつつ、指定された場所に足を運ぶと…
「何か…どっかで見たことあるような…」
具体的には、カルデアに勝手に作られた木造の建築というかなんというか。
……まあ、そこには二頭身のナマモノが働いてたけど
てか、扉にopenの立て札あるしもう開いてるのかな?
「入っていいのこれ?」
「もちろん。君が今のオーナーだからね。そして私はバイトの1人だ」
「うおっ!?」
入るのを躊躇っていたら、内側から扉が開いた。
そこには「うん。ナイスリアクション」と笑顔の岸波白野先輩がいた。
「先輩!?てか何で!?」
「もちろん働く為にだよ。バイトといえば私、私と言えばバイトのお姉さんだからね。それに私だけじゃないんだなこれが」
白野先輩越しに中を覗くと
「よいしょっと。蒼崎次は何を運べばいい?」
「さっすが静希君。相変わらず頼んだことはちゃんとこなすのね。……そうね次は、うん。ソファをお願いするわ。やっぱり今の場所だと、客受けがちょっと良くないと思うのよ」
「わかった。…しかし、こうサーヴァント?の身になってもバイトをする機会があるとは思わなかったな。しかも気を抜くと、色んな物に穴を開けてしまいそうで、なんか怖いな」
「そう?私としてはこういうのも良いかなって思ったのだけど。だって藤丸の過去のアーカイブ見たけど、アイドルのプロデューサーとか同人誌作ったりとか、色んな事をやってるんだもの。ちょっと面白そうとかって思ってたわ。それに、自分好みにお店を装飾してどういう評価が現れるのかちょっと楽しみだし?」
「蒼崎のセンスなら万人受けすると思うな…うん。それなら俺は遠くから生暖かく見守るとしよう」
「ちょっと、そこは「俺も働いてみたいかな」とか言うところじゃない?」
「それは色んな事が起きそうだからやめとく」
「……………(#^ω^)」
店内には草十郎さんと青子さんが仲良く?作業していた。
「あの二人もバイト!?」
「うーん。ちょっと違うかな?臨時のお手伝いさん…作業員…タイミーみたいな1日限定のバイト?静希さんはウェイターとして働くみたいだけど」
「なんとなくわかった」
俺と先輩の視線を感じだったのか、作業をしていた二人が手を止める。ちょっと一触即発の雰囲気があったのは気のせいか?
「いらっしゃい藤丸。そして就任おめでとう。及ばずながら手伝いに来たよ」
「ヤッホー藤丸。店長就任おめでとう。早速だけど私の方で色々アレンジさせてもらったわ。もし気になる部分があったら言ってね。それも店長になった貴方の役目でしょうし」
草十郎さんはスゴイ笑顔だけど、青子さんが何か企んでいるような笑顔なんですが?
「青子さんの感性なら不安は無いですよ。その辺のセンスは信じてますし。……有珠さんはいないんです?」
草十郎さん、青子さん、そして有珠さんはセットのイメージが強い為、つい姿を探してしまった。動く人形とか置いてないよね?
「……しれっとそういう事言うのね貴方。有珠は今頃メディアさんとかと魔術談義してるでしょうし、滅多に来ないから安心しなさい。…魔術的な意味合いでは、私もそっちに参加したいけど
私の場合シエルさんとかの方と気が合うのよね。こう…物理というか、力押しというか」
でしょうね。
俺と草十郎さんは二人揃って首を上下に降る。有珠さんとメディアさんが一緒か〜。…怖いな。
「何はともあれ。折角バイトする機会が巡ってきたんだ。生前は……生前なのか?いやまあサーヴァントっていうのは英霊だし、死んでるってことだから生前でいいんだよな?うん。生前で行こう。ウェイターとしてのバイト経験があるから、力になれるだろう、あと暴力沙汰は任せろ。問答無用で叩き出す」
「ほどほどにお願いします」
大丈夫だよね?昔と今ってかなり違うから、暴力とかやりすぎたら営業停止もあり得るんだけど?
内臓の1つや2つ軽く破裂させないよね?
――――フォローお願いしますよ
と白野さんと青子さんに目配せするも、2人揃ってそっぽ向いた。…やばいかも知んない
「よしっ!それじゃあ藤丸の店長就任を祝って、今日は此処でパーティーでもしよっか!アーチャーとかキャスターとか呼んで料理を作ってもらおうよ」
「おっ!良いわね、それならお寿司とか食べたいかな!」
「寿司か…うん。良いな」
どうやら空気はお寿司一択のようだ。ポイント殆ど無いだけど…
その時、BBが気を使ってくれたのか携帯に『モルガンマネーイズパワーシステムを使用しますかYES・NO』と表記される。
YESをタップすると今までのQPをpptに変換する画面が現れる。
内訳は100,000QPで1pptだった。
「……………………えっ」
因みに今まで自身で貯めた分とサーヴァントの皆が貯めてくれたQP含めて約100億QP。
全部交換したら……100,000ppt?
その時王様の言葉がよぎった。
『あれか。一言でいうとイシュタルだぞ』
思った以上に思った以上何だけど?この額は。
…一応生存してまーす