ある日の事。
人理焼却と人理漂白が無かった事により時代とか諸々おかしくなったものの、皆との縁は全く途切れることなく各々は現代を楽しみながら過ごす中、唐突に王様に呼ばれた。
「ゲーム?作ったの?王様が?」
「おうとも。この王の中の王。英雄王ギルガメッシュ+ɑが暇つぶしかつ、貴様の為に特別に作ってやったのだ。咽び泣き感謝せよ」
「いえーい!ヤッター王様の太っ腹!太ってないけど!」
「フフフハハハ!この身体が受肉してから若干!本当に若干、腹回りが気になっているのを貴様!!」
気にしてらっしゃったのね。この間シドゥリさんとかエルキドゥに「どうにかなりませんか」と言われたのを思い出した。
それでも身体は黄金比を見事に体現しているのは本当に凄いと思う。
「ええい!話が脱線したではないか!ほれ!受け取れ!これが貴様の第一の試練よ!」
「おっと!いやパッケージだからといってぶん投げないでくださいよ。てか第一の試練って?」
「うむ。人理のあれこれが終わった後、貴様は成長する機会がトンと減ったのを見兼ねてな。この3本のVRゲームで己を鍛えよ。それが終わり次第、貴様に本当の褒美をくれてやろう」
いや…VRゲームで鍛錬ってあなた…。
「一応進めて、この【龍宮院富嶽全面協力! VR剣道教室・極】なら裏ボスっぽいおじいちゃん倒したよ」
柳生但馬守宗矩から教わった『無刀取り』が奇跡的に成功して勝ちました。リセット回数は300を超えた辺りから数えてないです。
「それは知っている。あの人斬りサークル+ɑと農民は初見クリアしたのもな」
「……あれはクリアしたというより処理落ちしたのでは?」
多重次元屈折現象とか一の突き二の突き三の突きが合わさって飽和現象起こすとか、ただのバグです。なので素の技術でクリアしたみたい。
「そんな事はどうでもいい。ほれさっさとプレイしてクリアせよ。期限は1週間とする」
「1週間って…まあクリアできる範囲ではあるか。分かりました」
「ちなみにそこらのプレイヤーがまともにやったら1日は愚か、半日でパッケージを地面に叩きつけるだろうよ」
「うおい!?」
それクソゲーじゃん!
「このゲームの監督は我。プロデューサーは言峰だ。あやつはレビューを見るたび『酒が美味い』としこたま呑んでおる。我も酒が美味くてマジヤバイ」
愉悦してんじゃん!
「ええい!さっさとやれぃ!そして我らに愉悦をもたらせ!」
「わかりましたよ!やれば良いんでしょ!王様のバーカ!」
「なんだと!?貴様!目覚めたら覚えておけよ!!」そういう王様の言葉を尻目にVR機器を装着し横になる。
愉悦王と愉悦部員が作ったゲームのタイトルは『フェアリア・クロニクル・オンライン ~妖精姫の祈り~』というゲームです。
◆◇◆◇◆◇3日後◇◆◇◆◇◆
「クリアしました」
「……ほう」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……なんか俺がやったゲームと全然違う内容なんだけど…」
愉悦部員が作成したゲームのレビューを見たら罵詈雑言しか書かれていない件について。
これは…うん。あの人達が愉悦って言うわけだ。
因みに、テストプレイヤーとしてムニエルがやったみたいなんだけど1日でやめたみたい。本人曰く『あれをやるぐらいだったら、黒髭と一緒に折檻されたほうがまだマシ』とのコメントが。
「おはよ~す、藤丸」
「あ、店長。おはよう御座います」
彼女の名前は岩巻真奈。ゲームSHOP『ロックンロール』の店長で俺のバイト先の店長だ。
「ん?あんたがゲームのレビュー見るなんて珍しいね。どうしたのさ、いつもならクリアしたーさて次行こうかって感じなのに」
「あ…実はですね。知り合いにゲームを貰いまして、そのクリアしたゲーム評価があまりにもあんまりだったのでちょっとドン引きしてました」
「ふーん。因みになんてタイトル?」
「『フェアリア・クロニクル・オンライン ~妖精姫の祈り~』ってタイトルです」
「っ!ごほっ!」
店長が口に含んだ飲み物を吹き出しそうになった。やっぱりそうなるよね。
「あん…たそれ!糞の中の糞って言われてるゲームじゃん!良くクリアしたね!」
「それが何ですが…」
店長にプレイした感じの内容を伝える。途中、頭を捻りレビューや攻略を確認し、目を擦る等するが何にも変わらない。そして最終的には「あんた別のゲームやったんじゃないの?」と言い出す始末。
「…まあゲームにもそういうクリアの仕方がある。攻略だけが正解じゃないって事だね。んじゃ、そろそろ開店準備だよ!準備に入った入った!」
「は~い」
とはいつつも、開店準備にはそう時間は掛からない。表に出てるゲームの確認や、見出しの準備、後は時間になったら扉の自動ドアのスイッチを入れるぐらいだ。
因みに昼の12時半上がりです。そして、バイトは俺1人です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時計の短針が12時を示そうとする頃、後30分で上がれると思いながら働いていると聞き慣れた声が聞こえる。
そちらの方向に目をやると同級生の【陽務楽郎】君が新しいゲームを求めてやってきた。
カウンターにいる店長にようやくクリアしたゲームを熱く語ってるのを横目で見つつ仕事をしていると、その2人から視線を感じた。
「店長、やるべき事終わりましたよ」
「うん、お疲れ様」
「………………」
「お疲れさまです。んで、楽君?何でそんな目で俺を見るの?」
「…………………フェア糞クリアしたって?」
「えっ?あ…うん。クリアしたよ?だいたい3日かな?でクリアしたよ」
「因みに陽務君は10日掛かったってさ」
「「………………………」」
俺と彼に沈黙が流れる。彼の顔には「…マジかこいつ」と出てる。店長は「すごいよね〜」と気楽だ。
「マジかおまえ」
口にも出ましたね。
「…あの糞女の所業はどうした?」
嫌なことを思い出すかのように、スッゴイ顰めっ面で俺のプレイ内容を聞く楽君。所業っていうと、あのヒロインが起こすであろう展開かな。
「全部先んじて潰した。途中人を轢きそうになったけど俺が馬車の綱引いてたから起きなかったね」
「ボスの対処は?」
うん。一歩ずつ顔を近づけるのはやめてね。
「味方に指揮してたら俺が攻撃する間もなくボコボコに。」
「バグは?」
うん。ちょっと近いかな
「バグっていうと身体が貫通したりだっけ。特に思い当たることは無いかな。わざわざ壁際とか行く必要なかったし。」
「ヒロインの好感度は!?」
楽君楽君、ちょっと近いよ。あと店長ちょっと笑いすぎ。
「完ストしたよ?段々とビジュアル変化してったし最初とはだいぶ変化したね。あと、住民とかヒロイン以外の好感度も特に異常は無かったかな」
「…ぐっ……最後のラスボスはどうやって倒した!?」
楽君との距離はもう、鼻と鼻が接触する距離だ。うん分かったからそんな血走った目で問い詰めないの。
「何かヒロインが一撃で消し飛ばしたよ」
「何がどうしてそうなったんだよ!?」
ダァン!と楽君はカウンターの両手で叩いた。うん、何かごめん。
「……一応聞くけど最後の3分間は何をした?」
「え?最後の3分間何かあったの?」
「………………」
「因みに最後のヒロインの姿こんな感じ」
一応記念にスクショした画像を楽君に見せた。そうしたら彼は「誰だよ!こんなやつ知らねえよ!あの不細工面は何処行った!」スッゴイ嘆き。
「そうだった…藤丸のやつギャルゲーと戦略的ゲームはめっぽう強いんだった。ある意味救済措置かもしれないけど条件厳し過ぎねぇか」
「ね。何だっけ?『ラブ・クロック』だっけ?あれとか初見でハーレムエンドまで行ったんだっけ?凄いよね。」
「それ聞いた時『俺の苦労は……?』ってなりましたよ!」
『ラブ・クロック』というのは、以前楽君にお勧めされたギャルゲーのタイトルで、様々なタイミングで返事をしないとろくに進まないし、好感度が一気に下がったりして最終的にはピザ留学するとか何とか。
攻略にはピザを食わせたら駄目とあるが、俺はヒロインが食いたい言うから食べさせたら、普通に好感度が爆上がりし、ヒロインを攻略するには他のヒロインをピザ留学させなければ行けなかったらしいが、誰も留学しなかった。逆に「貴方とずっといたい!」と言われる始末。
………逆にゲームでいい関係になるにつれ、リアルの方が大分キツかった。後ろの方で「…へー…そういう選択するんだ…貴方。(一部抜粋)」と延々と囁かれながらプレイを観られてました。
でもまあ、カルデアにいた時のバレンタインイベントと比べたらあれぐらい余裕余裕。……カイジ的な展開にならないし、身体が溶けたりしないし、3人の宇宙的な女神から折檻もらうわけじゃないしね。
BADエンドがピザ留学は軽い軽い!ハッハッハッハッハッハ。リアルの方が辛いってこういう時言うのかな!?
「楽君、ラスボスは…」
「……パンイチの覆面」
「確か効率が良いんだっけ」
「いや効率云々言うんだったらお前の方が遥かに効率良いだろうが。RTAで1番行けるんじゃね?」
うん、正直俺も測れば良かったかなって。
「にしても、フェア糞渡すって、いいセンスしてるな?その人」
「外道具合なら気が合うかもね」
「「ハッハッハッハッハッハ」」
彼の目は喧嘩売ってるなら買うぞこの野郎。とハッキリ言ってる。てか目が笑ってない。
「あ…そうだ。楽君にちょっと聞きたかったんだけど」
「何だよ、俺より1週間も早くクリアした女たらしさんは俺に何の相談をするんですか」
「突然皮肉マシマシにならないでよ。これなんだけどさ」
「ん?これ…はまさか!?『ベルセルク・オンライン・パッション』!?しかもパッケージ版!?」
王様にクリア報告した後渡されたゲームのタイトルだ。しかもダウンロード版ではなくまさかのパッケージ版。
「いや〜まさか『便秘』に新規が入るとは!しかも同級生!」
「藤丸君…まさかこれも?」
「はい。フェアリアを渡してきた人から貰いました。てかなに?便秘?」
「おう!ベルセルク・オンライン・パッション。略して便秘な!」
ああなるほど。そう言う略し方。
王様から出された次の試練は、「ストーリーをクリア且つ対人戦で10連勝するまでやれい!」と仰る。
……普通に無理では?
「楽君楽君。このベン…P?って10連勝って出来るものなの?」
その言葉に楽君は壊れた機械のように、ゆっくりと此方を向く。小さな声で「この御方はいったい何を仰ってるのかしら…?10連勝ってあなた……」はい、わかりました。初心者には無理ゲーと言うのがわかります。
「とりあえずログインしてやってみるよ、バグ技覚えといたほうがいい?」
「それは当然。特に『パイルバンカー』な、あのバグ技の発動条件は身体に馴染むまで繰り返したほうが良いぞ。」
「ん、わかった。早速やってみるよ。それでは店長上がりますね」
「んーお疲れ様。藤丸君明日から臨時休業だから来なくていいよ〜」
「いつものやつですね。わかりましたー」
しかし、バグ技か…大丈夫だろうか。
俺、フルダイブ不適合者なんだけどちゃんと動くかな?