〜〜〜tips〜〜〜
清姫
クラス:バーサーカー
安珍・清姫伝説という物語に出てくる人物で、ざっくり言うと好きな人に嘘をつかれ裏切られたので龍蛇に変身し梵鐘に逃げ込んだ彼を焼き殺した…という伝説である。
尚一連の物語は道成寺…和歌山県の手毬歌として今でも残っており、かつそれに関連するお菓子が売られているとのこと。
そんな彼女は、サーヴァントとして一緒に行動するにあたり絶対にやっちゃ駄目なことの一つが嘘をつくことである。彼女の前で嘘をついた暁には自分諸共焼き殺される覚悟で付かなければならない。
そんな彼女が霊体化しているとはいえ、一緒に学校に行くとか…只の自殺行為である。これが普通の学校なら少しは…大丈夫かもしれないが、今通っている学校は高度育成高等学校だ。嘘・ハッタリ・ネゴシエーションが当たり前の様に蔓延っている学校だ。
こんな所に清姫を連れて行った暁には、1日も保たず校舎が火の海になってしまう。
まあ拒否したところでスーパーポジティブストーキングとかいうスキルになった時点でこうなるかなと思ってはいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……それではこれで終了する。何かあったら聞きに来るように」
先生の一言により肩の力を抜く。今朝の一件から清姫の姿は登校と同時に姿を見なくなった。しかし、アサシンの気配遮断と同格のストーキングスキルをお持ちなので何処に目と耳があるのか不明なので朝から緊張しっぱなしだ。
「…どうしたのよ?朝から随分張り詰めてるじゃない。」
「真澄さん…やっぱりそう見える?」
比較的近くにいる真澄さんから心配の声を貰った。そりゃあね…カムチャッカファイア(意訳)する人物が何処にいるかわからないからそれはそれは気を使うのなんの。
「あ…そうだ。真澄さん、はいこれ」
鞄の中に入れておいたクーポンを三枚ほど渡す。
「なにこれ?半額クーポン?聞いた覚えのない店名だけど。」
そこには【アーネンエルベ】という店名と今月まで使用可能と表記されていた。
「うん。実は知り合いがケヤキモールに店を出すことになってね自分が店長としてだけどんでその宣伝て事でクーポンを渡したって感じだね。」
「……本当にさ、あんたの人間関係どうなってんのよ。取り敢えず有り難く貰っておくわ。」
「うん。味は…時と場合によって保証するよ」
「ちょっと待ちなさい。その【時と場合】って何よ。」
それはもう時と場合だ。エミヤ・紅閻魔・キャット・ブーディカ・ビーマが表に出てれば基本当たりだ。ただ、二頭身のナマモノが表にいたり、神父やカレーダイスキがいた日にはもう、胃袋の崩壊待ったナシである。
因みに夜にはバーテンになりますのでぜひご利用ください。(アルコールは人を選んでお出しします)
「ふむふむ。藤丸立香の知り合いがお店を出したと。これは同じクラスである私にも何か恩恵があって然るべきと思うのですが?具体的には私にも半額クーポン下さい10枚ぐらい」
「……10枚は渡さないけど2枚ぐらいだったら良いよ森下さん。」
しれっと要求してきたのは森下藍さん。このクラスで大分…かなり…クラス1?の変わった人だ。特徴として人の名を告げる際フルネームで呼ぶ癖がある。
「あとこのクーポン1枚で最大5人適用されるから友人と行ってね?」
「…ふっ。愚問ですね。私にそんな人がいるとでも?1人で行かせていただきます。美味しくなかったらレビューは最低にしときますね。」
「美味しかったら?」
「………それなりの評価をしておきます。」
「それは楽しみ。」
着々と準備しておいたクーポンが少なくなり、次は誰に渡そうか考える。坂柳さん御一行、葛城君御一行、あとは…清隆と…2年3年に適当に渡そう、いい宣伝になりそうだ。
「hey!葛城君!今良いかい!?」
「…………何だそのテンションは、まあ大丈夫だが…何か用事か?」
ガッツリ滑った。学校初日の自己紹介を思い出す。
「はいコレ。」
「ん?クーポン券?半額…これは?」
「カクカクシカジカで」
「マルマルウマウマ…と。まあ先程の会話が聞こえてたから特に説明はいらないんだがな。有り難くもらうとしよう。」
隣りにいる戸塚君に「あんなやつからの施し何て……」と色々聞こえたが、対象人数と半額という値から反対の声は聞こえなくなった。やはり、人は欲には逆らえない…ということか。
……そういえば、欲とは違うけど本能に忠実な清姫は本当に何処行ったのだろうか。学校に来てから姿が見えないのは仕方ないとして、本音を言えば姿が見える所にいて欲しかったのは事実だ。
いや本当に怖いし。何するか分からないし。目を離した瞬間、きよひーファイアーした暁には……自然発火で処理される…といいなぁ。正直、そこは教会の采配次第だから何とも。
それでも、言峰神父にぶん投げれば何とかしてくれる筈だ。学校全員が衰弱より遥かにマシだろう。
『マスター今良い?』
今回の護衛者であるアサシンから連絡が入る。
本来であれば、セミラミスやコヤンスカヤといったアサシンクラスのサーヴァントも護衛者として組み込まれていたが
「そんな事我がやると思うか?」
「流石にそこまで私が付き添う義理は…あるけど無いと言うべきか…そんな事よりやりたいことがあるので少々お暇をば」
ってな感じで、帝とか皇帝とか位の高い人。又はあんまり乗り気では無い人達を除き、一部のサーヴァントでローテーションする事に決まった。
酒呑童子は危ないので金時に丸投げです。(無許可)
『どうしたの、何かあった?』
『いや〜何かあったと言えばあった…というか今現在直面してるっていうか…
霊体化してるきよひーの姿。
ガッツリ見える人、今目の前にいてさ
どうしようかマスター
今念の為ふん縛ってるけど
おーい?マスター?指示ちょうだーい。』
ぐはっ
「藤丸が吐血した!?」
「突然どうした!?」
一体何があったの……ガクリ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
どうしてこんな事に……。
「もう〜きよひー。目の前で堂々と嘘をつかれたからって即燃やそうとしないの。それに、目の前で「見えていますよね?」って聞く?それ、殆ど答え一択じゃん。」
「……仕方ないじゃないですか。この方のいた【クラス】に物凄い嘘つきの気配がしたので吸い寄せられるように近づいた時、たまたまこの方の目の前を通りかかったら私に視線を合わせてきたんですもの。それは当然旦那様に報告すべき案件と思いましたので問い詰めたのです。まあ嘘を疲れたのでふぁいあーしようと思いましたが…。」
私は最近本当に運が悪い。
折角この学校に入学して、ストーカーから離れられると思ったらケヤキモールにそれっぽい人もいるし…。
今日に至っては、授業が終わった後、息抜きで廊下から外の景色を眺めていたらこの状況…。
この状況と言っても口を塞がれたり、両手両足を縛られているわけじゃない。
いや…どちらかといえばそっちの方がわかりやすくて逆に良いのかもしれない。
何故なら、口は塞がれていないが声が出ず、両手両足は何か輪のような物で固定されているから。
挙句の果てに、そろそろ授業が始まるのに私じゃない私が席に着いて普通に授業を受けようとしている。
これは何だ?テレビのドッキリか何かか?もしそうであるなら早く例の【ドッキリ大成功】のプラカードを持ってきてほしい。いや本当に成功しているから。何なら今スッゴク怖いから。泣く3秒前です。
―それにしてもこの人達…すっごい美人…。
仮にもグラビアで芸能界入りしてる私でも、普通に美人だと素直に思う。…何というか現実離れした美しさ…なのかな?事務所の先輩や同期の人を見てもここまでのは見た覚えがない。絶世…では無いけど人間味のある美しさというか…同じ次元内での最上級の美しさというか…。
―きよひー…?と呼ばれた方は和服美人で、もう一人は…えと…コスプレ?でも普通に似合ってる。
和服を着ているきよひーって呼ばれてる方はともかく、もう一人の金髪で頭をお団子で固めている方は、黒の服で…なんだろうミリタリー…かな?なんかそれっぽい服装で、違和感なく着こなしている。
―オーダーメイドかな?ちょっと着てみたいかも…。ってそうじゃなくて、さっきから現実逃避ばっかりしてる。でもこの状況どうにも出来無いし…。
「取り敢えずマスター呼んだから、きよひー一端動かないでね。動いたらマスターに明日1日部屋に閉じ込めるよう進言しておくからね。」
「そんなっ!良かれと思って行動したのに…。せめて!この部屋にいる嘘つきを成敗してからでは駄目ですか!?」
「駄目」
…先程から聞こえる嘘つきと言うのは誰?。その人のせいで私がこんな目に遭っているのだとしたら、私としては成敗して欲しい…。
いや、待て1人心当たりがある。何かいつの間にか私がその人に告白して振っただか何だかと。
特に気にもしていなかったが、こんな状況になるなら話は別だ。テレビの企画で八極拳を学んだ私の拳を5発ぐらい叩き込んでやろうか。
「おーーい!」
いかに奴さんを殴ろうか考えていると、廊下の先から呼ぶ声がする。黒髪で人当たりが良さそうな男の子だ。…この人がこの2人の関係者?
「お!キタキタ!マスター!こっちこっち!」
「アサシン!ありがとね!清姫を抑えてくれて!」
「ん〜何もだよ。あ…もし気にしてくれるなら後でご褒美欲しいな…♪」
「う…周りが炎上しない程度のやつでお願いします」
「ああ。ますたぁ、お会いしたかったです。この時を一日千秋の思いで「清姫は後でお叱りします。独断専行の罰です」そんなあ…」
あっという間に2人を宥めるこの男性。先程までの緊張感が全く無くなった。
しかもこの人「本当にゴメンね?乱暴にされなかった?」と両手両足の拘束をあっさり解き、私を解放した。てっきり、口封じか何かされるのかと身構えていた私が馬鹿みたいだ。
―それにこの人、目が凄ーく澄んでいて…そして優しい目をしている。何というか、ありのままの私を映してくれている水面のような…。
今まで見てきた男性とはひと味もふた味も違うというのがこの場でわかった。この時程「目は口ほどに物を言う」という言葉を私は実感した。
「…それで申し訳ない限りなんですが、事情と釈明をしたいので場所を移してもよろしいです?」
「あっひゃい!大丈夫でしゅ!」
……噛んだ。盛大に噛んでしまった。どうしよう…顔に熱が…。今顔を手で覆ってるからいいけどこれを離したら顔真っ赤だ。恥ずか死ぬ!
「大丈夫そうだね。それじゃあ行こうか」
彼はそう言うと、私の背中と膝後ろに手を回し持ち上げた。…えっ!?まさかのお姫様抱っこ!?いやこれは周囲に見られたら自殺もんだよ!?何で恥ずかしげもなくこの人出来るの!?
「「…………………………」」
そして、後ろにいる2人からの殺意の波動が…。もしかして彼朴念仁?
「あ…あの!?授業とか大丈夫なんです?抜け出してしまって」
「ん?ああ大丈夫。ここに来る時保健室にいたから。抜け出してきたからさしたる問題はないよ。因みに君はあの通り。周囲からは普通に授業受けてるように見えてるから、欠席扱いにはならないさ」
あ…本当だ。口元の横に赤い液体が付いてる。そして、肝心の私も普通に授業受けてる!
「……今更なんだけど君の名前って?俺は藤丸立香。Aクラスです」
本当に今更だ。朴念仁の他にマイペース……自由人?気まま?も加えておこう。
「あ…えと。佐倉…愛理…です。見ての通りDクラスです」
「佐倉愛理さん…ね。これからよろしく」
これが彼。藤丸立香君とのファーストコンタクトだ。
この後、彼のゴタゴタに巻き込まれながらの学校生活が始まるのだがそれはまた別のお話。
……ねえちょっと待ってここ何階だと思ってるの?普通に玄関から出ようよ。窓から出ようとしないで…え…待ってまさか本当…にキャアアアアアアアアア!!?