冥王来訪(ハーメルン投稿版)   作:雄渾

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 テロリストの襲撃に混乱するモルディブ。
予想外の事件を受けた、マサキの運命は如何に……


奸黠(かんかつ)() 後編(旧題: 姿を現す闇の主)

 マレ島の近海に、謎の貨物船が現れたのは、誘拐事件の直後だった。

貨物船は、モルディブの治安を害する存在かもしれない。 

大統領府は直ちに、調査を命じるも、すでに遅かった。

 不審船の調査にモルディブ政府が全力を注いでいる内に、事件が起きた。

同時多発的に事件を起こした集団は、速やかに首都を支配下に収めた。

 首都を占拠した集団の手際は、実に鮮やかだった。 

既に前日から、外人旅行者を装った工作員200名が入り込んでいた。

彼らは、傭兵たちと合流する前に、主だった政府庁舎や、空港、港湾、放送局を占拠した。

 謎の貨物船は、偽装された戦術機母艦であった。

 スリランカ船籍に偽装した同船には、50名の傭兵が乗り込んでいた。

そこから飛び出した20機の戦術機が、空港や湾港に乗り込んでいたのだ。

 500名しかいない国家保安隊は、そのすべてが即座に降伏してしまった。

戦術機はおろか、対空砲を持たない彼らは、F‐5系統の戦術機の前には無力だった。

 その為に、昼前には、大統領と閣僚全員が、敵に捕縛された。

モルディブの政府機能は停止し、マレ市街から火の手が上がる有様だった。 

 

 首都のあるマレ島で、騒擾(そうじょう)事件が発生した。

隣の島にあるクルンバ・モルディブに、その知らせが届いたのは昼過ぎだった。

 事件の一報を聞いた警備大隊長のラダビノット*1少佐は、即座にインド本国に連絡を入れた。

インド軍司令部に、精鋭の第50独立空挺旅団の派遣要請を行った。

 だが、インド軍は即座に動かなかった。

同日、西ベンガル州で毛沢東主義者(マオイスト)の反乱があったためである。

持てる空挺戦力のほとんどをカルカッタに投入し、予備の部隊をパキスタン方面に温存していた。

 またモルディブまでは、インドのアグラ空軍基地から、2000キロメートル以上離れていたことも大きい。

航空機を使っても、高速の駆逐艦を使っても12時間以上かかってしまう。

 これがモルディブ大統領府からであったのならば、違ったであろう。

ラダビノット少佐の電報は、インド軍司令部で放置されることとなってしまった。

 

 

 さて、その頃マサキたちの関心は、難航する日ソ会談に向けられていた。

マサキは、会場となったクルンバ・モルディブの外で起きた誘拐事件を知らなかった。 

 会議の最中、外交団長の御剣(みつるぎ)雷電(らいでん)は、ソ連の軍拡競争を盛んに非難した。

のみならず、マサキは、東ドイツへの軍事介入を例に挙げ、散々に悪罵の限りを尽くした。

 ところが、御剣の副官を務める紅蓮(ぐれん)醍三郎(だいざぶろう)は、後方の鎧衣(よろい)から急報を受けた。

「報告によれば、武装した集団が、ソ連赤軍参謀総長を誘拐した。

犯人グループの要求は、いまだ不明」

襲撃事件の報告は、マサキを激昂させるに十分だった。

「何!モルディブでテロ事件だと……ふざけおって!」

 

 マサキと日本側スタッフが襲撃事件に大童になる一方、ソ連側は冷静沈着だった。

すでにソ連は、逃げてきたラトロワたちから、誘拐事件の報告を受けていた。

 一方を聞いたブドミール・ロゴフスキー中尉の動きは、早かった。

そこで彼は、万事は休すと思ったか、方針一転をソ連側の外交団長に献言した。

「今回のクーデター騒ぎの裏には、MI6が絡んでいるとみるべきでしょう」

外交団長は戦機を観ること、さすが慧眼(けいがん)だった。

「同志ロゴフスキー、撤退だ!

直ちに戦艦に乗り、同志参謀総長を奪還するッ」 

 赤軍参謀総長は、マッドマイクが指揮する傭兵の手で、国外に連れ去らわれていた。

ワイルドギースの一行は、スリランカに逃亡した後だった。

「一刻を争うぞッ!もたもたするな」

 ソ連外交団は、近海に停泊していた戦艦ソビエツキー・ソユーズを呼び寄せる。

彼らは、島の港から船に乗り込むと、大急ぎでクルンバ・モルディブを後にした。

 

 

 マサキの計算に、狂いが生じた。

まさか、このインド洋に浮かぶ常夏の島、モルディブ。

白昼堂々、インド軍の警備の裏をかいて、テロリスト集団が、誘拐事件を起こすなどとは……

大いなる誤算であった……

 マサキは、興奮のあまり、唇の色まで変えてしまった。

紅蓮のいう報告の半分も耳に入らないような目の動きである。

恟々(きょうきょう)と心臓を打つような胸の音に、じっと黙っていられないように、

「ええい!警備役のインド兵共はどうなっているのだ!」 

「まだ何も連絡を……」

「見損なったぞ、この役立たずどもめ!」

 マサキは(ののし)りつつ、不意に立ち上がった。

後ろにいる警備兵の手から、強引に彼が愛用するM16小銃を引ッたくった。

 そして、あたふたと、クルンバ・モルディブの外へ出て行くので、美久もあわてて後を追った。

後ろから追いかけながら、問いかける。

「どちらに行かれるのですか」

マサキは、振り向いて声をひそめ、

「こうなったら、グレートゼオライマーで出る!お前も準備しろ」

 突然、クルンバ・モルディブの上空に、ジェットエンジンの音が鳴り響いた。

外に飛び出していたマサキは、美久の方を向くなり、

「美久!機種は」

 美久は、人間の女性に擬態した高性能アンドロイドである。

ゼオライマーのメインエンジンである、次元連結システムを構成する重要な部品の一つ。

それと同時に、ゼオライマーの戦闘用のシステムを補助する機能を備えていた。

 彼女の眼の中にある光学レンズは、瞬間的に飛来する物体の分析を始めた。

視覚から入る映像を通して、搭載された推論型AIの中にあるデータベースとの照合を行った。

 電子頭脳の中にある膨大な記録の中から、該当する機種を即座に浮かび上がらせた。

A Tactical Surface Fighter,(Kingdom of Sweden.)SAAB 35 Draken.

Mach1.5  Aremd Assault Cannon×4

「機体はスエーデン王国製のサーブ35、ドラケンです。

速度はマッハ1.5、武装は突撃砲4門です」

 ドラケンは、スエーデンの兵器企業・サーブ*2で開発された機体である。

フランス企業のダッソーの技術支援の下、ミラージュⅢのコピー機としてライセンス生産された。

「機数は!」

「4機!」

 間を置いて方々に、叫びの声、騒擾(そうじょう)の音、砲撃の鈍いとどろきなどが、風のまにまに漠然(ばくぜん)と聞こえていた。

 対岸のマレ島の方面には市街から煙が見えていた。

銃火の騒然たる響きが遠くに響いていた。

「なに、ここを爆撃する気か……」

 マサキは、怒りと共に愕然とした。

 俺の計画のすべては破綻か、と思わぬわけにゆかなかった。

そして常々、心の深くに持っていた破滅の感情が、すぐ意識となって、肌の毛穴に、人知れず、覚悟をそそけ立たせてくる。

 一度は志半ばで死んだ身だ。

絶体絶命とみたら、いつでも乗騎のゼオライマーで、世界を灰にする決意を秘めていたのである。

「こうなったら、じたばたしても始まらん」

 マサキはポケットから小型の電子機器を取り出す。

 それは、グレートゼオライマーの護衛戦術機の誘導装置である。

その戦術機は、人工知能を搭載したA-10 サンダーボルトとF-4ファントムの二台である。

マサキは、それを遠隔操作しようとしたのだ。

 会場の外に佇んでいた2台の戦術機は、命令を受けると、即座に対空戦闘の構えを取る。

ファントムは両肩と両足の脹脛(ふくらはぎ)に付けた6連装の長方形型ロケットランチャを上空に向ける。

 搭載されているミサイルは、AIM-7Cスパロー3*3、合計24基。

――本来は、マサキが図面からコピーしたフェニックスミサイルを搭載している。

――だが、今回は実験の為、航空機で使われていたスパローミサイルに変更したのだ。 

 A-10 サンダーボルトも同様の改修を受けていた。

両足の脹脛に、AIM-9サイドワインダー*4を、正三角形の形をしたロケットランチャに計12基配備していた。

また両肩から吊ってある2門のガトリング砲も、仰角ギリギリに上空に向けた。

 まもなくすると、急いで操縦された2個の砲は、未確認の戦術機が飛んできた南西の方角に向かって火蓋(ひぶた)を切った。

2門の砲が未確認機に打ちかかったと同時に、ファントムが持つ2門の突撃砲は水上に据えられて、沖合に停泊する不審な船を攻撃したのである。

4個の砲門は互いに恐ろしく反響をかわした。

 長く沈黙を守っていた敵機は、突撃砲の火蓋を切った。

その上、7、8回の一斉射撃は、クルンバ・モルディブに向かって相次いで行なわれた。

 激烈な対空砲火をものともせずに、呪うべき存在は、マサキ達の上空で盛んに乱舞した。

それと呼応して殷々とした敵弾は、轟音となって、マサキたちの気を違わせずにはおかない。

そういった具合で、突撃砲は、凶暴の咆哮を続けていた。

 まもなく、ファントムに搭載されたスパローミサイル24基が、一斉に火を噴く。

ここを先途と砲弾が送られている。

 スパローミサイルから発信される電波を察知した4機の敵は、回避運動を取った。

結果として、ファントムからの地対空ミサイルは命中しなかった。

 敵機は去った。

命中しなかったとはいえ、中距離空対空ミサイルのスパローを恐れての事らしい。

 とにかく、マサキは迎撃に夢中だった。

早く敵機を撃墜して、安全を確保せねばならない、という考えの他はなかった。

指呼(しこ)()にあった、グレートゼオライマーとゼオライマーの2機の存在は忘れるほどであった。

 戦術機の襲撃は、台風のようだった。

たちまち、クルンバ・モルディブのロッジは、火焔に包まれ、煙に満たされた。

そして数分間の後、炎の線に貫かれた煙をとおして、避難をし始めた従業員の3分の2は瓦礫(がれき)の下に倒れてるのがかすかに見られた。

 

 

 

 

――同時刻。

モルディブの警備を任された駐留インド軍の隊長であるラダビノット少佐は、焦っていた。

 1時間以上たっても、インド本国から連絡がない。

しかし、依然としてマレ島の街からは、濃霧のような煙が立ち上り、市街の大半をおおい隠している。

モルディブ大統領府の相談はない。

 しかし待っている時間的猶予はない。

刻々と事態は動き、マレ国際空港のあたりまで、砲声も聞こえてくる。

 独断で動けば、軍紀違反で軍法会議に掛けられるだろう。

 いまやラダビノット少佐の心は、矢のように急がれていた。

1時間遅れれば、1時間味方の不利である。

それだけ敵軍は強化され、反乱軍の横奪(おうだつ)した政府を認めることにもなる

 事態を重く見た彼は、駐留インド軍の警備大隊を使って、モルディブの騒擾事件に介入することにした。

「精鋭を誇るシーク兵とグルカ兵を選抜した部隊を編成したい」

 

 モルディブ駐留インド軍の部隊構成は、インドの国情をあらわすように複雑だった。

ラダビノット少佐が大隊長を兼務する、ヒンズー教徒を主体としたベンガル人の警備大隊。

その他に、シーク教徒部隊、グルカ人部隊などで編成されていた。

 シーク兵とは、インドの地域宗教、シーク教を信仰する人々から選抜された兵士である。

シーク教の教義により、軍帽に代わって、軍服と同色のターバンを巻いていた。

 また特例として、非武装の場合でもサーベルを履くことを許されていた。

シーク教徒にとって、サーベルは護符(ごふ)と同じだからである。

 グルカ兵は、ネパール出身のグルカ人傭兵を主体し、その精強さは全世界に知られていた。

 グルカ人の多くは、160センチにも満たない小柄であった。

だが、ネパールの山岳民族であるため、どんな地形でも俊敏に動けた。 

部隊の隊員は、深緑のスラウチハットを被り、腰にはククリナイフという蛮刀を漏れなく帯びていた。

 シーク兵とグルカ兵の装備は、一般のインド軍とは違った。

精鋭部隊ということで、インド軍で広く使われているリー・エンフィールド小銃ではなく、スターリング短機関銃(サブマシンガン)を装備。

一般兵にもかかわらず、将校と同じようにブローニング拳銃を帯びていた。

 

 しかし、時すでに遅く。

ヴィハマナフシ島の、御剣雷電以下日本外交団は、恐るべき毒牙に掛かろうとしていた。

「この期に及んで、どいつもこいつも……だれか頼りになるやつはいないのか!」

 滅多に感情の起伏を出さない、御剣雷電が取り乱しているのだ。

主従関係にある紅蓮は、御剣の心を愁眉(しゅうび)を開こうとした。

斯衛(このえ)第19警備小隊を信頼ください。

我らは、殿下に赤心の誠を捧げております」 

 御剣は、馬鹿なと、腹が立った。

所在なくて仕方がなかった程だ、と怒鳴りたかった。

けれど、いかに主人足れども、彼らの善意な考え方までいちいち是正することもできない。

「忠誠は、戦術にはならん!」

 周囲のものたちは、おろおろした。

いかに一外交使節団長でも、将軍の大叔父である。

もし御剣の激怒にふれてはと、細心の注意を払った。

「雷電様!木原が見えられました」

 そう報告してくる神野(かみの)の表情は、ぎょっとして、仮面のように強張っていた。

御剣のきらつく眼が、無遠慮に護衛の二人を撫でた。

彼奴(あやつ)もな……今の所、売込みほど力を出しておらん」

「左様、いまいち期待通りとは申せません」

雷電はさすがに今の言葉に、むッとしたらしい。

「このたわけが!偉そうな口を叩ける義理か」

「はっ、わたしは持てる力を最大限に……」

「それには及ばん」

 御剣はそう答えると、眉間の皴が立つようなするどい顔に変る。

そして、消え入るがごとく、マサキのいる外の方に向かった。

 

 外は、武装した警備兵で、ごッた返しの状態だった。

まして、攻撃が日ソ会談の会場の近くとあっては、混乱した第19小隊の兵が少なくなかったことであろう。

 御剣は警備兵をかき分けながら、マサキを探していた。

マサキはちょうど、グレートゼオライマーの出撃準備をしている最中であった。 

 御剣は、機体から降りてきたマサキの姿を、さも、意外そうにながめて、   

「こうして君が自由に動けるのは、殿下の特別な計らいによるものだ。

心してその責任のために働くべきではないか」

「……当然なんとかするさ」

 マサキは、おちついた声だった。

おそらく御剣は、俺の計画を分かっているのかもしれない。

だから、自由に動けるようにしているのではないか。

なにか、恐ろしいようにも感じた。

「この木原マサキの命を狙うとは、良い度胸だ……」

 マサキは、タバコに火をつけると、器用に煙の輪を吐いた。

うなずく顔もなくはなかった。

ところが、この険しさも、突然、調子外れの高笑いに、すぐはぐらかされてしまった。

「俺の計画をつぶした奴らは、全員生きて帰すつもりはない」 

 御剣も、同調するかのように哄笑する。

まもなく、二人はそれぞれの思惑に、笑い興じた。  

 

 マレ国際空港内には、また元の小康状態に復活するかに見えた。

その後、国籍不明の戦術機がやって来なかったし、市街から聞こえる銃声も至極緩慢だった。

 ただ駐留インド軍にとって、困ることは、外部からの襲撃が刻一刻(こくいっこく)と緊張の度合いを増して来る事であった。

その為に部隊の3分の1は、塹壕(ざんごう)の構築という仕事に没頭せねばならぬことであった。

 空港の管制塔にある司令室では、インド本国からかかってきていた電話を副指令が受けていた。

司令官のラダビノッド少佐は、副指令の傍らに立って、静かに受け答えを聞いていた。

電話の内容が、非常に重大性を含んでいることに気が付いたからだ。

彼は、副官が受話器を置くのを待つことにした。

 シーク兵の副官は姿勢を正すと、その目に食い入るような視線を注ぎながら、答えた。

「少佐、先ごろの国籍不明機の機種が判明いたしました」

「どんな機種だね」

「スウェーデン製のドラケンとして知られる、サーブ35です」

「たしか、北欧以外には採用されていない機種のはずだ」

 ラダビノッド少佐は、不安に駆られた様子で室内を歩き回っている。

彼は増援が来なくて、何もかも心配でたまらぬという顔つきである。

「実は、次期戦術機の選定をしていた西ドイツ向けに少数の改良型が発注をされていたことが判明をしています」

司令官は、苦い顔をしてそれを聞いていた。

「つまり、木原博士をつぶしたい勢力による犯行という事か」

その調子はまるで、マサキに責任があるかのように叱責する調子だった。

「と言いますと……」

シーク兵の中尉が腑に落ちないような顔をしていると、少佐は決めつけるように言い放った。

「博士の親しい友人には、東ドイツのシュトラハヴィッツ少将が居られる。

彼は親ソ派の将軍として有名だったし、プラハの春の際に今のソ連赤軍の参謀総長と懇意になった。

今回の会談の真相は明らかになっていない……

だが、木原博士がシュトラハヴィッツ少将を通じて、ソ連側に提案したとなれば、話につじつまが合う」

そう答えた時には、ラダビノッド少佐もすでに観念の眼を心にとじていた。

「西ドイツは、ソ連との国交回復に際して、ドイツ国内の外交権を一手に担うことを前提としていた。

博士が善意でシュトラハヴィッツ少将を使ってソ連側にアプローチをしたとなる。

そうすると、西ドイツはどう思う」

「面目が丸つぶれですな……」

「そうだ。

西ドイツがソ連と近づいたとき、対立関係にあった中共が東ドイツに近づいたが失敗に終わった」

「木原博士は、支那の北京(ペキン)政権とも昵懇(じっこん)の間柄とも聞いております」

「これは博士が知らないところで、我々が知らないところで陰謀があったのかもしれん」

「どうしますか」

「誘拐されたソ連軍人の事は、日本政府に頼もうと思う」

「司令官、私もそれがよいとおもいます。

この会談自体、木原博士自身がまいた種ですから、彼らが片付けに来ますね。

テロリストどもを消すつもりで……」

 ふしぎな事に指令室の要員の顔には、誰の顔を見ても緊張感が欠けていた。

これから戦争が始まるのかもしれないのに。

 各自の顔を見ても、通常の軍事演習と変わらないような静かな気持ちで、驚くほどであった。

誰もことさらにこのことに関して、反省する者はいなかったらしい。

 これは一体どうしたものだろうと、反問する者がいたら違ったかもしれない。

だが、司令官の言葉で兵たちの不安は、消え去ってしまった。

「私がすることは許されないことだが、これでインド政府は無関係でいられる」

こうして話しているうちに、ラダビノッド少佐も心の内で、やや安堵を(いだ)いて来た。

*1
パウル・ラダビノット。マブラヴオルタネイティヴのキャラクター

*2
1937年設立。スウェーデンの航空機・軍需品メーカー。自動車部門は1947年に設立されるも経営破綻し、2016年には清算した

*3
1958年にレイセオンが開発した中射程空対空ミサイル。改良型として個艦防空ミサイルとしてしられるシースパローミサイルがある

*4
1956年に開発された空対空ミサイル。すでに開発から60年以上たつが、今日でも現役の兵器である




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