冥王来訪(ハーメルン投稿版)   作:雄渾

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 ソ連政府は、テロリストとの交渉の姿勢を検討していた。
だが、インド洋派遣艦隊の独断によって、その方針を転換する。
 一方、日本政府は、ソ連の外交上の失点を利用することにした。
マサキの対応は、如何に……

この話は構成を変更していますので文字数が8000字超えになります。
長く読みづらいとは思いますが、ご容赦ください。



奇貨(きか)()くべし 前編(旧題:匪賊狩り)

 さて、場面は変わって、インド洋に浮かぶセイロン島。

この地にあるスリランカは、南アジア最大の仏教国である。

 伝承によれば、紀元前4世紀にヴィジャヤ王子がインドから来訪し、その子孫がアヌラーダプラに都を構え、シンハラ王朝を建国したとされる。

また、ヴィジャヤ王子の子孫から、シンハラ人がはじまったとも伝わっている。

 史実でも、インドとも非常に近い距離にあるため、紀元前250年にはすでに仏教が伝来した。

その後、上座部(じょうざぶ)仏教*1の拠点となり、ここから12世紀ごろにかけて東南アジア諸国に伝播していった。

 しかし、17世紀以降の列強侵略により、一時的に仏教は衰えた。

だが、18世紀半ばには、再びビルマやシャム*2から、伝来した。

 19世紀にはいると、英国統治下という背景の中で、事情は変化する。

仏教は、シンハラ民族主義という形で、その隆盛を取り戻したのだ。

 インド亜大陸に支配権を持っていたイギリスは、抵抗を続けるシンハラ人を差別した。

インド系移民である、ヒンズー教徒であるタミル人を重用した。

 英国の支配下で、茶畑農場の労働者として、インド南部から大量入植したタミル人。

彼らは少数者でありながら、セイロン島支配の植民地協力者として、権勢をふるった。

このことは、今日まで続くシンハラ人とタミル人との間に軋轢(あつれき)を生じさせることとなった。

 

 その頃、マサキたち一行といえば、モルディブを抜け出してスリランカに向かった。

スリランカの北部を根城にするタミル・イーラム解放の虎を壊滅するためである。

 BETAに侵略された世界の並行世界である出身のマサキにとって、タミル・イーラム解放の虎は危険な存在であった。

このテロリスト集団の為に、スリランカは30年近い血みどろの内戦を繰り広げた。

 では、テロ集団、タミル・イーラム解放の虎とは、何者か。

この組織は、1976年に、スリランカ北部にタミル人国家建国を目標として作られた武装集団。

 スリランカの少数民族で、ヒンズー教徒のタミル人。

彼らは、スリランカの多数を占める仏教徒のシンハラ人との融和を拒否した。

そして、排他的で民族主義的なテロ集団を作り上げた。

 無論、インド洋に浮かぶ島で他国の援助なくして存続できない。

内戦中に北部に駐留したインド軍によって支援を受けた彼らは、勢力を拡大し、航空戦力と水上戦力を持つほどとなった。

 タミル・イーラム解放の虎は、一時期、国軍をも(しの)ぐ武力を手に入れた。

それ故に、スリランカの国情は混乱し、相次ぐ首脳暗殺や無差別テロを繰り返すほどであった。

 

 マサキはスリランカにとって思うところはない。

思い出されるのは、上座部仏教の一大拠点ということである。

信心深い人々が、シャムやビルマに通って、受具(じゅぐ)式を行い、古代からの仏教信仰を復興させた土地ということぐらい。

 付け加えれば、1952年のサンフランシスコ講和条約の際に、時の首相*3が、仏教の精神をもって、敗戦国日本への追訴を止めるように訴えかけたことぐらいだろうか。

これによって、日本の国際社会復帰は、多少早まった。

 それとは別に、マサキには、ある考えがあった。

セイロン島を含む、インド洋からイランにかけて、数珠の様に対ソ・対中の防衛拠点を作ることを夢想していた。

 このような防衛構想は、後の時代に真珠の首飾りと呼ばれることとなる。

だが、その話は、別な機会に改めてしたい。

 

 

 

 マサキがスリランカ政府との交渉をしている頃、ソ連のインド洋派遣艦隊は別な策を取った。

 モルディブに、日ソ会談の名目で来ていた赤軍参謀総長。

彼は、テロリスト、タミル・イーラムの虎の手によって拉致されてしまった。

 誘拐の報告を受けたソ連外交団長は、事態を重視し、単独行動に出る。

それは、大艦隊による艦砲射撃と、それと並行した戦術機によるセイロン島北部の空爆である。

 その際、密使として、日本外交団に二人の人物を送った。

グルジア人の赤軍大尉とラトロワである。

彼等にゼオライマーの事を任せて、ソ連派遣艦隊でセイロン島へ急行した。

 

 一方、ウラジオストックのソ連共産党本部。

そこでは、昨晩から緊急の最高幹部会議が招集されていた。

 KGBの諜報活動によって、入った情報によれば。

ソ連以外にも、日本、米国、英、仏、イタリアの五か国が脅迫されている事実が判明した。

 ソ連司法を一手に握る、最高検事総長の決意は固かった。

「断じて、相手の要求を拒否すべきです!」

テロリストとの一切の交渉を拒否する姿勢に、チェルネンコ議長は、

「しかし、同志参謀総長は……」

 報告だけでは、まだうかつに行動できない。

とするように、彼はその目で、議場を一眸(いちぼう)に見た。

「戦いにおいて、犠牲はつきものです。

時に指導者という物は、非情(ひじょう)な決断をしなくてはいけません!

そのことは、同志議長も承知のはずです」 

 参謀総長誘拐事件を受けて、ソ連最高会議の意見は割れていた。

テロリストとの交渉に応じる立場と、対決姿勢をとる立場に、国論は二分していた。

「ESPの秘密が敵の手に渡れば、ソ連はこの冷戦に敗れる」

ウスチノフ国防相が地団駄(じだんだ)を踏んでいうと、グロムイコはそれすら抑えて、

「そんなことはない!」

「どうしてそのような事が言えるのですか、同志グロムイコ。

外交の力とやらで、BETAに対抗できるというのですか!」

 ウスチノフ国防相は、憤然として、

「ESPの秘密が、米英の手に渡れば……」

 彼は、相手にするも馬鹿馬鹿しいと、いわんばかり横を向いてしまった。

その言葉をつなぐようにして、KGB長官が補足した。

「諜報戦での敗北は、ソ連2億の民の滅亡を意味する……」

 議長の胸には、その2億の民の処置が考えられていたに違いない。

彼は、一同を見渡しながら口を開いた。

「よろしい、まず五か国の首脳に伝えてくれ。

土匪(どひ)*4の要求を引き延ばすようにを促そう。

同志グロムイコ、彼等に対して、私名義の外交親書を発してくれたまえ」

「はいッ」

 ソ連外務省関係者が、タス通信*5で、政府見解の発表を準備している時である。 

間もなく、GRUの将校が血相を変えて、すっ飛んできた。

「何!インド派遣艦隊が戦艦を引き連れて、スリランカへ!」

「報告が遅れて、申し訳ありません」

「大変な事をしてくれた」

グロムイコ外相は、満腔(まんこう)の怒りを、心に抑えつけながら、叫んだ。

「度胸は認めるが、計算は甘い」

国防相は、悔いと怒りにふるえながら、GRUの将校につめ寄った。

「全く、無謀すぎるにもほどがある。

おまけに戦艦も連れていくなど、米海軍(ヤンキー)*6の原潜の餌食(えじき)になりに行くようなものだ」

 議長の肚は決まっていて、再考すべきという様子も見えなかった。

GRUの将校の報告は、むしろ彼の強固な意志を一層打ち固めてしまったような傾きさえあった。

()むをえまい。

ワシントンに連絡を入れた後、直ちに、重爆撃機隊を発進させるぞ!」

「はいッ!同志議長」

一瞬にして、ソ連最高指導部の姿勢は、交渉から反撃へと変わった。

 

 ソ連赤軍の重爆撃機隊は、かつての消耗戦争やインドシナ紛争の(ひそみ)(なら)って、準備した。

衛士にインド空軍の強化装備と認識票を付けさせた。

国籍マークをインド空軍に塗りなおしたTU(ツポレフ)-95大型爆撃機を用意する。

通信傍受の前提で、無線封鎖し、MIG(ミグ)-21を引き連れ、タシケント*7空軍基地から出撃した。

 戦後におけるソ連の南アジア政策は、一貫して、この地域の安定化であった。

たしかにインド共産党は、コミンテルン*8、コミンフォルム*9の一地方組織であった。

だが、ソ連は、インド共産党の武装闘争の姿勢を、よしとしなかった。

また、ネルー*10らインド建国の父たちも、モスクワとインド共産党を別物と考えていた。

 ソ連の方針転換は、あの血塗られた支配者スターリンの死とともに始まった。

東西デタントの方針をいち早く模索していた、フルシチョフの考えによるところが大きい。

 非共産圏のインド地域に足場を築き、自国の影響力を南アジア全体に伸ばしていく。

その様な外交政策が、ソ連の狙いとするところであった。

 西側との融和や、非共産圏と脱イデオロギーでの融和関係。

無論、この事は、フルシチョフ自身の性格ばかりではなく、スターリン主義の否定の面もあった。

 ここで、スターリンとフルシチョフにある、個人的なわだかまりに関して話しておこう。

先の大戦の折、フルシチョフは、長男レオニードを空軍パイロットとして、出征させていた。

 ある時、ドイツ軍の捕虜になったレオニードを特殊部隊を使って、救出する作戦が練られた。

パルチザンに偽装した特殊部隊によって救出されたレオニードは、秘密裁判にかけられ、銃殺刑が宣告された。

 愛息(あいそく)を救うべくフルシチョフは、スターリンの足に泣きすがって助命嘆願(たんがん)をした。

だが、御大(おんたい)は、一顧(いっこ)だにしなかった。

翌日、レオニードは、NKVD*11によって刑場(けいじょう)(つゆ)と消えた。

 フルシチョフは、スターリンによって、家族を奪われたのはこれが初めてではない。

1937年の大粛清で、レオニードの最初の妻であるロザリア・ミハイロヴナ・トレイヴァスの大叔父(おおおじ)で、党の幹部であったボリス・トレイヴァスを銃殺刑にされた。

その際、自分に(るい)が及ぶことを恐れたフルシチョフは、レオニードとロザリアを離婚させた。

レオニードの二度目の妻も、スターリンによって、5年ほど収容所に送られた。

そういう経緯から、一連のスターリンの謎の死に関しても、フルシチョフ黒幕説がいまだにロシア国内で(ささや)かれているのだ。

 

 では、話を、異世界の南アジアに戻したい。

場所は、スリランカ北部にある都市、ジャフナ。

ここは、タミル・イーラム解放の虎、最大の秘密拠点だった。

 彼らは、捕虜たちを基地本部に集めていた。

その中には、ソ連軍の赤軍参謀総長たちも含まれていた。

 今まさに、特別軍事法廷が開かれようとしていた。

ソ連艦隊や爆撃隊が接近しているのも知らずに、軍事裁判にかけ、処刑しようと企んでいたのだ。

「当法廷は、一つの結論に達した。

お前たちは日本政府およびソ連政府の破壊工作員であると」

裁判官役のテロリストは、きっと、向きをかえて、

「お前に呼応する様に、政府軍がジャフナに近づいてきているとの情報が入った。

当法廷は、二つの罪状により銃殺刑に処すことにした。

一つは、残虐(ざんぎゃく)なるスリランカ政府に支援した事。

二つは、タミル人の人心を惑わしたことだ。

ゼオライマーが来るとな……」

と、答えた。

赤軍参謀総長は、ゆがめていた唇もとから一笑を放って、

「どうして日本野郎が来ないと言い切れるのだ!

空と陸から攻めるのが近代戦の定石。

戦闘教義も知らないとは、それでも君たちは軍人か」

 ハーグ条約において、戦闘員の定義に合致していれば、義勇軍や民兵でも保護の対象になった。

 第一章第二項の『遠方から識別可能な固著の徽章を着用していること

その様に記されているように、原色の階級章やワッペンでなくても、迷彩服を着ていれば、問題はなかった。

 赤軍参謀総長は、解放の虎の首領に激色も露わにして詰った。

「君のような指導者を頂いた、タミル人は不幸であると思う。

君の名は歴史に残されるであろう!

タミル人を、壊滅に追いやった指導者として」

 解放の虎の首領は、軍事法廷の壇上から、参謀総長に視線を送る。

そのまなざしには、もし何かの謀略でもありはしまいかと、なお充分警戒しているふうが見えた。

「では、ゼオライマーのパイロット木原が、何のためにスリランカ北部を攻撃するのだ。

ただタミル人がいる地域を……」

「実験だ!新型の装備の実験だ!

そうだ、そうに違いない」

聞くと、解放の虎の首領は、大笑して、それに答えた。 

「ハハハハハハハ!それは悪魔の所業だ。

木原は悪魔かね!」

「奴は、最低の悪魔野郎だ!」

「そんな事をしたら、全世界を敵に回すようなものではないか。フハハハハ!」

 タミル・イーラム解放の虎の首領は、マサキの行ってきた事を、知らな過ぎた。

彼はソ連への復讐のためにハバロフスクを焼き、PLFP*12ごとレバノンを灰にしたのだ。

 

 

 再び視点を、マサキ達の方に戻してみよう。

 今回の作戦は、何時ものようにマサキが単騎で乗り込む方式ではなかった。

陽動として、南部から来る政府軍と同時に動かすことにした、

 作戦の計画を立てたのは御剣で、主力はグレートゼオライマーと戦術機2機。

F-4J2と、A-10サンダーボルトⅡB型である。

 まず機体に関して説明をしたい。

 F-4J2とは、ファントムの日本仕様の撃震(げきしん)の改良J2型。

管制ユニットそのものをマサキが再設計したものである。

 マッハ1以下の低速なら、航空機用のヘルメットとフライトスーツでも可能。

最悪、強化装備なしでも操縦できるようにされていた。

 操縦席は複座であった。

上空での脱出用として、座席自体にロケットモーターとパラシュートを装備していた。

 これは操縦席と装備ごと守る管制ユニットより退化したつくりである。

だが、価格面では優れていた。

 またゼオライマーなどの八卦ロボの思想も取り入れられた。

網膜投射が使えない場合は、予備のモニターで、外部が観察できるようになっていた。

 もう一機のA-10サンダーボルトの改良版であるB型。

これは、従来からの弱点であった滞空時間の短さが軽減されていた。

 専用の機関砲、アヴェンジャーの使用時は、連射すると失速するというのは無くなった。

だが、減速することには変わりなかった

このB型は、後日、河崎(かわざき)重工*13でのライセンス契約が結ばれることとなった。

後の話ではあるが、正式に国内生産が決定し、屠龍(とりゅう)と名付けられた。

 ただF‐5系統の戦術機と比べて鈍重なため、問題があった。

迅速な航空支援などといった体制が、取りづらい機種であることは変わりがなかった。

 BETA戦では、光線族種のいない戦場。

対人戦では、ソ連の防空コンプレックスが整備されていない戦場でしか活躍できない。

当初からの欠陥は、残したままだった。

 

 

 さて、マサキは、白銀と鎧衣から敵基地の襲撃に関して詳しい話を聞いていた。 

今回は、グレートゼオライマーに、白銀も乗り込むこととなった。

白銀は、敵地上空で落下傘降下し、赤軍参謀総長を救出する算段になっていたからである。

 マサキがソ連を憎むことは、ひと通りでなかった。

前々世では、ソ連と通じた防衛庁長官の仕向けた刺客によって、志半ばで落命したためである。

「なんで、俺が露助どもを助けに行かねばならんのだ」 

鎧衣は、さして苦にする様子もなく、かえって彼に反問した。

「詳しい話は、今から合う人物に聞くとよい」

「き、貴様……露助(ろすけ)二人(ふたり)を救うだけの為に貴重な戦力を()くのだぞ」

 奮然マサキは、反抗しかけた。

だが、美久になだめられて、不承不承(ふしょうぶしょう)

「どういうことか、わかっているのか」

「君にも悪くない話が有ってね。

一人では余りにも、もった得なくてね。

私も日本の為に、たぎる愛国心に燃えて、相談に来たのだよ」

 鎧衣は、敢然(かんぜん)と答えた。

すこし小癪(こしゃく)にさわったような語気もまじっていた。

なぜならば、昨日、大統領官邸で面談したときの態度と、きょうの彼の様子とは、まるで違って見えたからである。

「僕も、とにかく何のことかわからないけど鎧衣の旦那が行うからついてきたわけで……」

 やり場のない心を抑えるために、左胸のポケットに入ったホープの箱を取り出す。

馬鹿を言えといわぬばかりに、マサキは鎧衣の顔をしり目に見ながら、タバコに火をつける。

「訳を利かせよ」

紫煙を燻らせながら、ふと(おもて)の怒気をひそめていた。

「我々が、ソ連の軍人たちを救出しようと計画していることをソ連が知ったらどうなるか……

ソ連の国家の威信(いしん)を傷つけることを、必死になって避けるはずだ。

KGBに命じて、彼らを救出することになるだろう」

 マサキは内心、どきとした。

だが、何時ものように不平顔を見せると、鎧衣は笑って、その肩を撫で、かつなだめて、

「特に、一緒にいる男は、ソ連赤軍の参謀総長だ。

ソ連共産党の幹部で、中央政界とのつながりも深い……

そんな人間が、他国の軍隊の手で、救出されてみたまえ。

そうしたら、KGBのスリランカ支部の人間は、全員これだろうね」

 鎧衣は、不敵の笑みを浮かべ、立てた親指で首のところに一筋の線を書いた。

斬首される……つまり処刑されるという暗示である。

「分かったかね。木原君……

つまり作戦が成功すれば、この地のKGB支部は壊滅して、ソ連の影響は()げるという事だよ」

 この計略は、白銀の物だろうか。

或いは、鎧衣であろうか。

恐らく、御剣が書いた脚本だろう。

あの老獪な男は、何か外交上のカラクリでも用意したのだろう。

 色々と勘案したマサキは、その提案を受け入れる振りをすることにした。

しかし、何の感情も彼の(おもて)には、まだ動き出さなかった。

「フハハハハ、……話は分かった」

本心にはない言葉を、肩をゆすぶって、哄笑しながら誓った。

 

 まもなく、マサキ達は、ある男に引き合わされた。

その人物とは、スリランカまで秘密裏に来た、CIA長官であった。

彼は背広姿のシークレットサービスに物々しく護衛させて、マサキの元に出向いた。

 白銀らはあわてて敬礼した。

返礼して、CIA長官は答える。

「CIA長官だ。まあ、楽にしなさい」

彼は、諸兵の顔を見渡しながら、ここでちょっと、言葉を休め、マサキの顔にその目を留めて言い足した。

「国務省のヴァンス*14長官、国防総省のブラウン*15長官とも相談したが……

君たちの作戦は、非常に役に立つ。

ソ連に大きな貸しを作ることによって、我が陣営の交渉が楽になる。

特に戦略兵器制限交渉(SALT)では、優位に立てるであろう。フハハハハ」

CIA長官は、大口あいて、不遠慮に笑いながら、

「ワハハハ、アハハハ。実に素晴らしいことだ。

合衆国政府はこの件に関して、CIAのみならず軍・国務省も協力しよう」

 あらましの指令は終った。

命をうけたマサキ達は、勇躍して立ち去った。

*1
大乗仏教の対義語。またの名を小乗(しょうじょう)仏教ともいう

*2
今日のタイ

*3
ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ、(1906年9月17日 - 1996年11月1日)

*4
その土地に住みついて、害をなす犯罪者や武装した集団。土着の匪賊、テロリスト

*5
ТАСС.ソ連およびロシアの国営通信社。1925年に帝政時代からあるロスタ通信社を引き継ぐ形で設立された。ソ連全盛期には100以上の国々に支局、特派員をもち、国内ニュースを海外に伝えると同時に、海外からソ連内に入る情報をコントロール、検閲する機関として機能した。1992年から2014年までイタルタス通信に社名を変更するも、再度タス通信に変更した

*6
янки,露語においても、ヤンキーという言葉は米国を指す卑語としてある

*7
今日のウズベキスタンの首都

*8
Коммунисти́ческий интернациона́л,正式名称:共産主義インターナショナル。1919年から1943年まで存在したソ連共産党組織。別名、国際共産党、又は第三インター

*9
Информацио́нное бюро́ коммунисти́ческих и рабо́чих па́ртий,正式名称:共産党・労働者党情報局。1947年から1956年まで存在した各国共産党の連携のための国際組織。コミンテルンの後継団体。フルシチョフ時代のスターリン批判で解散された

*10
ジャワハルラール・ネルー、(1889年11月14日 - 1964年5月27日)

*11
内務人民委員会。秘密警察で、KGBの前進機関

*12
パレスチナ解放人民戦線。パレスチナにおけるマルクス・レーニン主義国家の建設並びに、イスラエルの排除を目的として設立したテロ組織

*13
現実世界の川崎重工業

*14
サイラス・ロバーツ・ヴァンス(1917年3月27日 - 2002年1月12日)。史実ではカーター政権の国務長官を歴任するも、在イラン米国大使館人質事件での意見の不一致から任期途中で辞任した

*15
ハロルド・ブラウン(1927年9月19日 - 2019年1月4日)米国の政治家、核物理学者。史実では、1969年の第一次戦略兵器制限交渉で米国代表の1人として参加し、カーター政権の国防長官を歴任した




 WOOD12様、、ご評価有難うございました。
拙作を拝読して頂いたことには、感謝しか御座いません。


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