晴天を乞う者   作:LeaF_Esra

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ベタな話です。


八話・ボロスシリーズ

 ボルボロス狩猟から数日、足止めされていた商隊も無事クオル村に到着し、一段落着いた頃。ヒズミはボルボロスの狩猟で傷ついてしまったインゴット装備の補修を頼もうと、朝から村の鍛冶屋を訪れた。

 

「この部分をもうちょっと削って見るのはどうだい?」

「いや、そこを削ると防具の重量が全部肩に乗っちまって、かえって動きづらくなるだろうな」

 

 鍛冶屋では親方とキルリカが膝を突合せて話込んでいた。親方はこの村の鍛冶屋だ。鍋から防具までなんでもござれの

腕利きで、この村のあらゆる人がお世話になっていると言っても過言では無い。まだこの村に来て日が浅いヒズミも、親方には世話になっていた。

 

「お、ヒズミじゃねぇか。」

 

 近づいて行くと親方はヒズミの存在に気付いたようで、いつもの豪快な様子で声を掛けてくれる。

 

「おはようございます」

「あ、ヒズミ君か。おはよう!」

 

 ヒズミが挨拶するとキルリカも気付いたようで、手を挙げて応える。

 

「今日は……装備の補修か」

 

 親方はヒズミの装備を一瞥するだけで要件を見抜く。

 

「流石ですね。結構色んな所がヘコんじゃってるので、全身見て欲しいんですけど、どのくらいかかりそうですか?」

 

「そうさなぁ。こっち(・・・)の案件もあるから、全身だと二、三日掛かるな」

 

 親方はキルリカとの間に置いてあった紙を指さして見せる。覗き込んでみると、そこにはボロスシリーズの図と、いくつかのメモが書かれていた。

 

「お、キルリカはボロスシリーズを作るのか」

 

 ボロスシリーズはボルボロスの素材から作られる装備だ。その見た目はボルボロス同様堅牢な要塞のよう。見た目にたがわず強固な防御力を持ち、盾の扱いを補助するスキルを持つためランス使い等盾を持つハンターに重宝される。キルリカの扱うガンランスも盾を持つのでうってつけの防具だろう。

 

「しかもただ作るだけじゃねえ、男用の見た目で作れってんだから、全く手が焼けるぜ」

「迷惑かけるよ」

 

 親方とキルリカは笑い合うが、ヒズミは全く理解出来ずに困惑していた。

 

「男用の見た目で作れ……って、どこが手が焼けるんです……?」

「どこって、男と女じゃあ筋肉量だの体格だのが違うだろ。可動域も違ったりするからよ、デザイン面もそのままじゃいかんしな」

 

 その説明を受けて尚不思議そうな顔をしているヒズミに親方も首を傾げるが、キルリカは「ククク」と笑い口を開いた。

 

「まさかとは思うが……ヒズミ君、ボクの事を男だと思ってるんじゃないかい?」

「え……そうだろ……?」

 

 ヒズミが困惑したように返すとキルリカのみならず親方までもが笑い出す。

 

「ガッハッハ!なんだそういう事か!はー、なるほど。そりゃあ困惑するわな!」

 

 頭の上にたっぷり三つほど(クエスチョンマーク)を浮かべるヒズミにキルリカは親切にもギルドカードを提示して教えてくれる。

 

「残念ながら……かどうかは分からないが、ボクは女だよ」

 

 キルリカのギルドカードの性別欄には確かに「♀」のマークが刻まれていた。

 

「マジじゃん……」

 

 ボルボロス狩猟の前にもギルドカードを確認した筈だが、その時は狩猟履歴しか見ていなかったため全く目に入っていなかった。当時の自分の視野の狭さにも驚くが、それ以上に今まで男だと思っていたキルリカの本当の性別に驚愕する。

 

「え、じゃあなんで男用装備を着てるんだ?」

 

 ヒズミが最も不思議に思っていた事を問いかけるとキルリカは少し考えてから答えた。

 

「そっちの方が、カッコイイだろう?」




今話もお読みいただきありがとうございました。
私は防具の見た目はかなり気にするタイプなのですが、ライズ、サンブレイクでは防具の見た目が一種類しかなく里の隅で泣いておりました。ワールドの頃のように色んな見た目があって欲しい!色んな装備着れた方が楽しくない!?みたいな思いから生まれた話でもあったりします。
次話もよろしくお願い致します。
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