雄英の事件を別の学校から見るヒロアカ   作:御代川辰

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No.3 発表

 天哉の家に遊びに行った日から二日目の朝。研磨は萌絵画の騒がしい声とともに起床し、彼女が勝手に持って上がって来た合否通知の入った封筒を開く。

 

「ん?」

 

 が、封筒から出て来たのは合否通知書でこそあったのだが、所々が黒く塗り潰されていた。さすがに疑問を覚えた研磨は隣に座る萌絵画の合否通知書を見ると、彼女に届いたのも真っ黒な紙であり何が書かれているのかわからない状態である。

 

「何これ何これ!どういうことなの研き(・)ゅ(・)ん(・)!」

 

 萌絵画も混乱しているようで、合否通知書と思われる真っ黒な紙を振り回しながら取り乱している。

 

「どうしよ~!私もしかして落ちた!?ねえ絶対落ちたよね!」

「落ち着いて良く見なよ。簡単な謎解きじゃん」

 

 研磨は自分の合否通知書と萌絵画の合否通知書を見比べると、直ぐに絡繰(からくり)に気付いた。

 

「個性を使えば合格か不合格か分かるでしょ?」

 

 一言呟き、摩擦係数をゼロにした人指し指を合格通知書の黒く隠された部分に置いて擦り付けた。研磨に届いた合否通知書は摩擦係数を徐々に上げていけばインクが紙から剥離する数値と重なり、ちょうどスクラッチ籤の要領で黒い部分だけが綺麗に剥がれるという寸法だ。

 

「えっ……うわっ、すごい!」

 

 黒い線によって隠された部分からは、筆記試験の科目ごとの点数と合計点、実技試験と面接試験の評価判定が現れた。

 

「筆記合計470点、実技判定A、面接判定Bで合格……及第点ってとこか」

 

 しかし、個性を説明させる実技試験の内容から個性を使って確かめることを前提とした合否通知に至るまで、随分と遊び心に富んだ学校である。

 

「すごい!すごいよ研き(・)ゅ(・)ん(・)!私の個性使ったらカラフルな通知書になったよ!」

 

 萌絵画も無事に合否通知の確認ができたようだ。

 黒い紙は白色の紙に変わり、様々な色の文字が合格通知書として浮かびあがっている。

 

「けどさ……萌絵画はともかく俺は良くヒーロー科に受かったよな。戦闘向きでも救助向きでもない地味な個性でさ」

 

 研磨は疑問を口にしながら掌を後頭部に当て、そのまま仰向けに寝転がって膝を組んだ。

 

「そんなことないよ研き(・)ゅ(・)ん(・)!研き(・)ゅ(・)ん(・)の個性がすごいの私知ってるんだから!」

 

 一方彼の様子を見た萌絵画はすかさず褒め言葉を並べ立てようと口を開くが、その褒め言葉は他ならぬ自身が褒めようとした人物によって直ぐに否定された。

 

「お前の個性はチートの部類だろうが。色と画材さえあれば“何でも”できるんだからさ」

「確かに私の個性はインパクト強いけど~!」

 

 お互いの個性云々はともかく今は喜ぶべき運びであるがゆえ、研磨はぐずる萌絵画を窘(たしな)めながら大地輪(おおぢわ)での授業風景を想像しながらしばしの時間を過ごした。




NAME:色筆萌絵画(いろふで もえか)
QUIRK:絶筆描画(ノンフィクション)
WEIGHT:56.81kg
HEIGHT:155.03cm
PERSONALITY:強引な妹

本作品のヒロイン。砥石研磨とは幼馴染だが飯田天哉とは面識がない。
重要なことは研磨と一緒じゃなければ気が済まない強引で粘着質な性格で、時に度を過ぎた奇行によって研磨を振り回す。
個性は絶筆描画(ノンフィクション)と言い、絵の具と画材さえあればどんな物でも具現化できる極めて強力な物。
ただし当然ながら制約も大きく、「絵に描かれているものは絵が完成するまで具現化できない」という致命的な弱点が存在する。
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