雄英の事件を別の学校から見るヒロアカ   作:御代川辰

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No.7 挨拶

 異形型の個性を有する女性教諭、【鬼蜘蛛(おにぐも)羽蛾南(うがな)】の挨拶から始まった大地輪(おおぢわ)高校の学級別入学式。

 羽蛾南(うがな)は生徒たち全員の傾注を確認し、少し笑顔を見せる。生徒らにとってその様子は、“何か”に安心感を抱いているようにも見てとれる。

 

「自己紹介が遅れましたね。本日付で大地輪(おおぢわ)高校ヒーロー科一年一組の皆様の担任となります、鬼蜘蛛(おにぐも)羽蛾南(うがな)です」

 

 羽蛾南(うがな)は厳(おごそ)かな印象を抱かせる翅(はね)と下半身とは真逆の知的な真顔(まがお)を少し崩すと、その威厳に満ちた表情は聖母像を思わせる穏やかな微笑みに変貌(へんぼう)した。

 

「(なんて美しい笑顔だ……)」

 

 蚊の鳴くような小さな声で呟いたのは、滑らかな銀髪が目を惹く男子生徒である。片目から頬にかけて顔半分を隠しているのはカッコつけだろうが、それを差し引いても育ちがいいのが分かる。

 

「新入生の皆様、あなた方が三年間という決して長くない時間の中で学ばなけれはならないのは“人間個人としての心持ち”です」

 

 羽蛾南(うがな)の言葉は生徒各々(おのおの)の鼓膜に入り込み、脳を満たすかのごとき響きをもっていた。

 研磨も思わず感嘆の声を漏らしそうになり、口元を手で覆(おお)ってやり過ごす

 

「特にこのヒーロー科にあってヒーローを目指す皆様は殊更(ことさら)、“敵(ヴィラン)から人々を守る”ことの重みを理解し、そして“社会の安全を守る”ための力をこの三年間で養(やしな)わなければなりません」

 

 まさしく羽蛾南(うがな)の言葉通り、近年は敵(ヴィラン)犯罪が凶悪化していくに連れてヒーローの総数が増加し飽和状態となっており、今やヒーローと敵(ヴィラン)の戦いは半(なか)ばエンターテイメントとして扱われる事態となっている。

 そしてもちろんこの憂(うれ)うべき現状を最も身近に経験しているのは、今この教室にいるヒーロー候補生たち27名。

 

「我々ヒーローは決して、テレビの中の俳優ではないことを肝に銘じてください。ヒーローと敵(ヴィラン)がしていることは遊びではなく、あくまで命のやり取りであることを忘れないでください」

 

 ここで一度言葉を切り、深々(ふかぶか)と頭を下げて生徒たちに理解を促(うなが)した。その様子を見た新入生たちも、改めて気を引き締める。

 今後ヒーロー候補生として高校生活を送る以上、ヴィラン犯罪への対処の過程で誰かと永遠の別れを経験するかもしれない。あるいは、自分自身が命を落とす可能性も多いあり得るのだからなおさらだ。

 その場の全員が姿勢を正すのを見届けた羽蛾南(うがな)は、満足げに、しかし多少の哀愁と不安を含んだ表情で頷く。

 

「簡潔に終わらせてしまいましたが、ご清聴ありがとうございました」

 

 こうして新入生へ向けた最初の朝礼が終わり、本格的な学校生活が始まる準備が整った。




NAME:鬼蜘蛛羽蛾南(おにぐも うがな)
QUIRK:大蜘蛛蛾(おおくもが)
HEIGHT:131.22cm(腰から頭頂部)、156.08cm(腰から脚)
WEIGHT:372.50kg
PERSONALITY:誠実にして冷静

異形型の女性ヒーロー。下半身が蜘蛛、上半身が人間、背中から蛾の翅を生やす。容姿はかなり整っており、一言で言うなら「女も一目惚れする美女」。
学生時代は内気かつ自信が持てない性格で、普通科で滑り込み入学した雄英高校を卒業間際に中退してしまうなど問題行動も多々あった。
個性の大蜘蛛蛾は、下半身の蜘蛛の能力と背中の蛾の羽の能力をあわせ持つハイブリット的かつキメラ的な能力。
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