「いらっしゃいませ!転生屋へようこそ!おや?お客様転生初めてですか?ご安心ください!当店ではしっかりサービスの説明も致しますよ!」

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ジャンルが合ってるのか不安


転生屋へようこそ!

 どれくらい歩いたのだろう?何もない道を、周りの人について行くようにダラダラと歩いていると、喫茶店のような外見のお店があることに気が付いた。看板には「転生屋」と書かれている。歩き疲れたし、ちょっと覗いてみようと俺は店に入った。

 

 カランカランと音が鳴ると、明るく可愛らしい声が聞こえて来る。

 

「いらっしゃいませ!転生屋へようこそ!」

 

 カウンターには声の通り可愛らしい人が立っていた。服装はなんというか、和風のメイドさんっぽい。メイドさんなんて見たことないけど。

 

「あの、前を通りかかったので入ってみたんですけど、ここ…何の店なんですか?」

 

「あ、お客さん初めての方なんですね!当店は死んだお客様が通常の輪廻転生ではなく、異世界などに転生したい場合にご利用いただく施設となっております」

 

 死んだ後に訪れる店なら初めての人しか居なくないか?

 

「それ初めてじゃない人とかいるんですか?」

 

「はい、記憶を持ったまま転生先の世界で亡くなられて、再度別の世界に転生されるリピーターの方なんかがいらっしゃいます。」

 

 あ、転生先でも死ぬとここに来るのね。

 

「へぇ…リピーターとかいるんですね」

 

「そうなんです。今度も転生先の世界でハーレムつくるぞ!って息巻いてる方が多いですね」

 

 異世界ハーレムなんてありがちだけど、転生したくらいでモテるもんなんだろうか?

 

「転生するとモテるんですか?」

 

「そういったオプションを買われる方が多いので」

 

「あ、オプションなんですねそれ」

 

 なかなか商売上手だな、俺だってどうせ転生するならモテモテな方がいいし

 

「…それで、どうなさいますか?転生されますか?」

 

「転生かぁ…でも僕今お金持ってないんですよね。」

 

 そう、問題はそれだ。お店ということはお金が要る。残念なことに俺は死んでしまっているのでお金なんて持ってないのだ。

 

「またまたお客様…ちょっとジャンプしていただけますか?」

 

「はぁ…?」

 

 なんで金がないのにジャンプなんか。まさか小銭の音が鳴るなんて古典的なギャグじゃあるまいし…

 

 チャリン

 

 いつのまにかポケットに入ってた…こんなこともあるんだな…

 

「ほら、六文持っていらっしゃいますね」

 

 うーん、いつの間に。

 

「他にも当店で使えるポイントに買い取らせていただくサービスなどもございますが」

 

 買い取ってもらうにしても俺はさっき出てきた他には今着てる服くらいしかない。流石にそれを売るわけにはいかないのだ。

 

「流石に素っ裸で転生したくないんですけど」

 

「ご安心ください、当店で買い取らせていただくのは物というより出来事でございます」

 

「出来事?」

 

 出来事を買い取るってどういうことだろうか。

 

「はい、例えば…お客様の死因をお聞きしても?」

 

「信号待ちしてたらトラックが突っ込んできてそれて…」

 

 そう、俺は普通に仕事して普通に帰路に着いて普通に信号待ちしてたら唐突にトラックに轢かれたのだ。

 

「あぁ、それは災難でしたねお客様。でもご安心ください!当店ではその死因、高く買い取らせていただきます!そう言った不慮の事故で亡くなられた場合、お客様には本来使用するはずだった寿命というものがございます」

 

 確かに天寿を全うしたわけじゃないし、病気でもない、あれが俺の寿命だと言われても雑すぎると思えて来る。

 

「当店ではその使えなくなった本来ある寿命を買い取らせていただき、適切な処理を行い、寿命が必要な方へ還元する寿命のリサイクルサービスを行ってまして」

 

「ふーん、死んだ俺の使ってない寿命で人助けができるわけか」

 それはなかなか画期的なサービスだ。死んだ後にも人の役に立てるなんて中々悪い気はしない。

 

「じゃあ買い取ってもらおうかな。どうせ俺が持っててもしょうがないんでしょ?」

 

 店員さんは笑顔で頷くと、何やら機械をガチャガチャと操作し…小さな紙を手渡してきた。

 

「はい、お客様の残りの寿命53年分で53ポイントをお返しします。当店にて1ポイント1文でご利用いただけますのでどうぞご利用ください。」

 

「ありがとうございます。そういえばこのお店って昔からあるんですか?」

 

 店の外装内装を見た感じ、かなり新しく見える。店員さんの服も新品のようだが、これはこの場特有のものなのだろうか?

 

「いえ、できたのは実は最近なんです。最近、我々の上司である神様がですね、代替わりしまして」

 

「神様って代替わりするんだ」

 

「その新しい神様がこれまたドジっ子でして」

 ドジっ子て。メイドか何かかな?

 

「上司にドジっ子とか言えるなんて風通しいいんですね」

 

「最近やたらと神様の不手際の死が多くて…その補填によく転生をお薦めしてるんですけども」

 

「あ、本当にあるんですね、神様の不手際」

 最近多いのか、やだなぁそんな不手際で死ぬの…

 

「最近、どこでそれを聞きつけたのか、『転生するために死んだんだ!早くチート能力を授けて転生させろ!』と我々を怒鳴る死者の方が多くて」

 

 迷惑な奴もいたもんだな。

 

「死後の世界ても迷惑な奴っているんですね」

 はいと言いながら頷く店員さんは結構可愛らしかった。

 

「見かねた閻魔様がですね、転生できるサービス作ったらどう?っておっしゃいまして」

 

 閻魔様有能だなぁ

 

「まぁ我々もまだ手探りですので、そんな訳で今ならお安く転生できますがいかが致しましょう?」

 

「うーん、俺転生ってしたことないからさ。おすすめとかあるんですか?」

 

 いざ転生しようと思ってもやはり何事も初めてなので勝手がわからない。おすすめとか聞いてそれで判断しよう。

 

「でしたらこちらのチート能力パックがおすすめです」

 

「うーん、ものすごい直球なネーミング。どんな内容なんですか?」

 ネーミングが的確すぎて逆に何が入ってるのかわからない。

 

「前世の記憶あり、15歳程度の肉体で転生、チート能力あり、世界トップクラスの能力あり、モテやすい補正ありといった状態で転生が可能ですね。こちらですと転生初心者の方でも転生無双が楽しめますよ!」

 

 至れり尽くせりだなぁ、特に15歳程度の肉体で転生って所が特に

 

「そんなに気楽に世界で無双されて転生先の人たち困ったりしないのかな」

 

「ご安心ください!転生先の世界は魔王などと悪が蔓延る世界ですので、安心して敵を薙ぎ倒すことができますよ!」

 

 安心できるかそんな世界

 

「それはそれで転生先の人たちが心配なんだけど?」

 

 カランカランと音が鳴り、誰かがお店に入ってきたらしい。見た感じは小太りのおっさんみたいだ。

 

「あ、いらっしゃいませー」

 

「よう姉ちゃんまたあったな!また転生頼むわ!」

 

 先にた店にいた俺を無視してカウンターに肘を乗せるおっさん…。まぁ、俺もまだ商品に迷ってるところだし良いけどさ。

 

「いつものでよろしかったですか?」

 

「おうよ」

 

 やりとりを聞く感じ常連のようだ。いや、転生の常連ってなんだろうな。

 

「かしこまりましたー。…あー、申し訳ございませんお客様。ポイントが足りないようです…」

 

「え?俺今回魔王倒した後の世界でなんか知らんガキにナイフで刺されて死んだんだけど?これ事故とかにならないの?」

 

 しれっとおっさんが魔王倒したとか言ってる。すごいな転生ってマジで魔王とか倒せちゃうんだ。でも子供に刺されて死ぬって結構間抜けな死に方だな、結構高値で売れるんじゃないか?

 

「申し訳ありませんお客様。転生先での死因は買取できないんですよ」

 

「なんだよけっちぃな…。チッ、手持ちも…あー、なんだよ五文かよ、これじゃろくな転生ができねぇな。もう帰るわ」

 

「通常の輪廻転生後にまたお越しくださいませー」

 

 カランカランと音が鳴り、おっさんは怒ったように出ていった。

 

「まぁ、輪廻転生後は記憶とかないんですけどね」

 

 ペロッと店員さんは舌を出した。可愛い。

 

 …?そういえばあのおっさん、手持ちがもう5文しかないって言ってたな?

 

「…ねえ店員さん」

 

「はい?どうなさいました?お客様」

 

 店員さんは笑顔で答えてくれた。

 

「三途の川って渡れないとどうなるんですか…?」

 

 店員さんは笑顔のまま答えてくれた。

 

「さぁ?私は転生屋ですので、申し訳ありませんが分かりません」

 

 何か嫌な予感がする。

 

「…転生、やめときます」

 

「かしこまりました。またのご来店をお待ちしております。」

 

 カランカラン

 

 逃げるように店を出て、俺は大人しく三途の川を船で渡った。道中溺れるおっさんを見ないようにしながら。




気が向いたら設定練り直して連載します。

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