GOD EATER~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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二喰目~圧倒~

フェンリル極東支部。別名、アナグラに着いた俺達はサクヤに従い行動をしていた。まずは適性試験を受けろとのことだった。余計な場所にはいかず、そのまま適性試験を受ける部屋まで案内された。俺は適性検査を受けないのにもかかわらずだ。

俺は荒神喰らい―――――ゴットイーターとしてアナグラに来たのではない。荒神殺し―――――ゴットスレイヤーとしてここに配属されたのだ。

 

フェンリルには上位組織がある。その組織の名はエデン。由来はパラダイス、神が存在する地上の楽園という考えからだ。アラガミに侵されていない楽園。そこにエデンはあるとされている。されている、というのは、選ばれた者(神)しか行ったことがないからだ。フェンリルのお偉いさんでも、どんなに優秀なゴットイーターでも、エデンには誰も行ったことがないのだ。だが、エデンが実際にあることはフェンリルのメンバーは知っている。なぜなら、物資がエデンの使者に手渡しされるからだ。

 

俺はエデンから来たという設定でこのアナグラに来たのだ。ちなみに、エデンの創始者であるカオスの姉貴直々の書状も持っている。カオスの姉貴とは原初神カオスのことで、神になりたての頃に神界で一〇〇年間修行をつけてくれた恩人だ。俺の原初神の力もカオスの姉貴から受け継いだものだ。

 

この話は一旦ここで終わりにしようか。

 

サクヤに案内された部屋にレティシアと一緒に入ると、

 

 

『ずいぶんと遅かったね。道にでも迷ってしまったのかい?』

 

 

と、少し嫌味気味に誰かが言ってきた。だが、そのことに関しては俺の転移座標の間違いにあるので何も言い返せない。でもそのおかげでサクヤを救出できたのだから、少しくらいは大目に見てもらいたいものだ。

 

 

『さて、ようこそ………人類最後の砦フェンリルへ。今から、対アラガミ討伐部隊ゴットイーターとしての適性試験を始める。少しリラックスしたまえ。その方がいい結果が出やすい』

 

 

ここまで黙って聞いていたがどうやら向こうは勘違いをしているらしい。とりあえず、このままゴットイーターにされてしまいそうなので発言をしよう。

 

 

「一ついいか?」

『何だね? 言ってみたまえ』

「俺はゴットイーターになりに来たのではない。エデンからこのアナグラに協力するように派遣された、ゴットスレイヤーだ」

『何だと!? エデンからの使者だという証拠はあるのかい!!』

 

 

俺は無言で懐から封筒を取り出し、こちらを見ている者がいるであろう部屋のガラス窓へ投げつける。封筒に神力を纏わせたのでガラス窓を貫通した。封筒の中ほどで止まったがな。

 

向こうの人間が恐る恐る手紙を取ったのを確認、そして封筒の中身を見た瞬間息を呑んだがわかった。

 

 

『今までの無礼を許してください。神浄ヤイバ様、レティシア・D・神浄様』

 

 

急に言葉遣いが変わった。そこまでエデンの存在が大きいとは知らなかった。正直、爺神に言われたことなので半信半疑だったのだが………ここまで明らかな態度を取られると納得しないわけにはいかないな。

 

 

「別にいい。それと言葉遣いも今まで通りでいい」

『わかった。そうさせてもらおう。ヤイバくん、レティシアさんはどういった目的でこのアナグラに配属されたんだい?』

「………その話をするならせめて座れる場所に行きたいのだが。ある程度の長さになるはずだからな」

『わかった。ではこちらに―――――』

 

 

向こうの人間がそこまで言いかけたときだった。

 

―――――ウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

警報が鳴り響いた。それと同時に向こうの人間が慌ただしく連絡を取っているのがわかる。

 

 

『すまないが話はまた後にしてもらいたい。正体不明のアラガミがこのアナグラに向かって進んで来ているらしいのでね』

 

 

それを聞いて俺は焦る。気配を探って分かったことだが、これは間違いなく敵勢力の仕業だ。この世界に存在しないアラガミを創りだし、こちらに向けて放つ。明らかにこちらを潰しに来ている。俺の存在がバレてしまったのだろうか? ここまで来ると確立は半々だ。

 

こうしてはいられない。俺も戦わなければアナグラがアラガミによって消滅させられてしまうかもしれない。

 

 

「おい!! 俺はこちらに向かっているアラガミの討伐に出る!! 他のゴットイーターは一切近づけるなよ。かえって邪魔になるからな!!」

『しかし相手は未知のアラガミだよ?』

「そのための俺達だ。見せてやる。エデンから配属された理由を」

 

 

俺達は踵を返して部屋から出る。向かうはアラガミ。一瞬で片付けてやる。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

目標のアラガミがいる地点まで来た。来たのはいいのだが―――――

 

 

 

「なんだコイツ………紅(こう)並みの大きさだぞ………」

「うむ。それに紅にも劣らない龍のオーラがにじみ出ているな」

 

 

紅とは『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッドのことだ。夢幻を掌るドラゴンで、最強の龍神である。そしてそれに劣らない龍のオーラの持ち主となると………

 

 

「ヘタすればここら辺一体が戦闘の余波で吹き飛ぶんじゃないか?」

「それは否定できないな。刃の攻撃は割と周りに被害を出すからな」

 

 

それを言われてしまうと反論ができない。調子に乗って本気で拳を振るって、国の地形を変えてしまったあったからな………なつかしいな。でも苦い思い出だ。

 

それは置いておこうか。

 

今気にすることは目の前にいる龍型のアラガミだ。名前はまだない。色は黒。漆黒と言っていいほど黒い。形は西洋の龍に似ている。翼は三対六枚ある。だが一番気にするのは容姿ではない。大きさだ。贖罪の街にあった廃ビルなんて目じゃない大きさだ。

 

どう倒そうか? 力でのゴリ押しは難しい。攻撃の余波でここら一帯が吹き飛んでしまう。でも方法はある。それは―――――

 

 

「―――――《二天龍の双龍刀》」

 

 

相棒の名を呼ぶ。俺の右手に紅色の刀が、左手には白銀の刀が収まる。それを確認してアラガミに向かって駆け出す。それと同時に、

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost』

 

 

瞬時に一〇回倍化をする。それを全て身体強化に回す。アラガミの身体の真下に潜り込むのと同時に身体強化を加えた本気の回し蹴りを放ち、アラガミを上空に向かって飛ばす。アラガミは廃ビル程度の高さまで浮き上がる。そして追撃を―――――できない!!アラガミが特大で極太のレーザーを放ってきたのだ。すぐに神力を開放し、レーザーをの勢いを緩和してそのまま消し去る。

 

結構ひやっとした。まぁ本気で防ぐほどではないから焦ったわけではない。今度はこちらからいかせてもらおう。遠慮はしない。一気に片付けさせてもらおう。

 

 

「装備(アームド)、《人類最終死剣》―――――【永遠の氷河期(エターナルブリザード)】」

 

 

氷河期(ひょうがき、ice age)とは、地球の気候が長期にわたって寒冷化する期間で、極地の氷床や山地の氷河群が拡大する時代である。氷河時代(ひょうがじだい)、氷期(ひょうき)とも呼ばれる。

 

そう、人類はおろか、ありとあらゆる生物が生存できる状態ではない。

 

《人類最終死剣》を【永遠の氷河期】の状態に変質させたことにより、辺り一帯の気温が一気に下がる。吐息ですら一瞬で凍り、ありとあらゆるものが凍り始めていく。

 

剣の刃を挟み込むように紅の刀と白銀の刀が剣の刀身に纏わりつく。一方は紅、もう一方は白銀の刃に変化する。そしてそのつなぎ目を透き通るような蒼が稲妻のように輝いている。

 

 

「準備は万端。あとは振るうだけだ。―――――逝け」

 

『Full Boost!!!!!』

 

 

剣を下から上へ振り抜くのと同時に限界まで一気に倍化をしつつそれを全てのスペック強化へ回す。剣を振り抜いた跡から氷山が出現していく。そして斬撃がアラガミに届くのと同時に―――――

 

 

『グオオオオオオォォォォォ!!!!!』

 

 

アラガミが叫び声を上げたと思った瞬間に氷山の一部になっていた。これにて任務完了。

 

 

「刃。ご苦労様」

「まぁそこまででは―――――」

「なくないだろ?」

「あぁ………」

 

 

調子に乗って《人類最終死剣》を使ったのがいけなかったのだろう。あれは神力を結構消費する。久しぶりに顕現させたのも相まって結構な疲労になっている。

 

結局俺はレティシアに寄り添わられながらアナグラに帰投することになった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「嘘でしょ………」

 

 

サクヤくんが隣で呟くのが聞こえてきた。

 

初めましてだな。ヨハネス・フォン・ジックザールだ。これでもフェンリル極東支部の支部長をやっている。だから今まで様々な種類のゴットイーターを見てきたのだが―――――

 

 

「今までのゴットイーターの常識を覆すようなゴットイーターだな」

 

 

強さの次元が違う。我が息子、ソーマは強さで言えば余裕で上位に入れる程の実力者だ。だがそんなソーマを余裕で超えている。世界最強とされているゴットイーターも余裕で超えているだろう。さすがはエデンからの協力と言うべきなのか………

 

それを込みに考えてもあの強さはおかしい。彼を人間か疑いたくなってしまう。エデンにいる者は皆あれほどの力を持っているのだろうか? 正体不明の超巨大龍型アラガミをたった一撃で氷山の中に閉じ込めてしまった。この事実はここにいる全員が知ってしまったことなので隠しようがない。だがその強さの秘訣は―――――。

 

とりあえず彼が帰ってこないと何も始まらないな。彼に話を聞かねば。………もしかすると彼と一緒にいる彼女もあれほどの力を持っているのだろうか?

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

レティシアと少しイチャイチャしながらアナグラに帰投すると、すぐに質問の嵐に呑みこまれた。

 

あの紅と白銀の刀は何だ?

途中で一体化したようだけど、何が起きたの?

あの氷山は何だ? 一体どういう原理で出現したんだい?

 

などだ。正直うっとおしかった。なのでわかりやすいように簡潔に答えてやった。

 

 

「エデンの技術だ」

 

とね。すると少しうなりながらも納得してくれた。

その後、ヨハネス・フォン・ジックザール―――――支部長に部屋に案内されて話をすることになってしまった。

 

 

「ヤイバくん。君はエデンから派遣されたゴットスレイヤーだと言っていたね」

「あぁ、そうだ」

 

 

どうやら支部長はエデンとゴットスレイヤーの情報が欲しかったらしい。ちなみに支部長の私室には、俺とレティシアと支部長の三人しかいない。

 

 

「エデンのゴットスレイヤーは皆あのような力があるのかい?」

「そうだな………あそこまで強い力はなくても、通常のアラガミ程度なら瞬殺はできるだろうな」

「な、なるほど………」

 

 

少し顔をひきつらせながら返事をされた。まぁ気持ちは分からなくない。自分たちが命懸けで喰らい続けてきたアラガミをその程度なら瞬殺できると言われたのだから。でも事実なので仕方がない。

 

 

「次に彼女の強さについてなんだが………どれぐらい強いんだい?」

「少なくとも全世界のゴットイーターよりは強い。通常のアラガミが千体現れても一度に相手取れるだろう。なぁレティシア?」

「もちろんだ。あの下種程度なら瞬殺できる」

 

 

今度は目を見開いて驚かれた。いちいち反応してくれて見ているこっちはなかなか面白い。

 

 

「それだけか?」

「いや、他にも―――――」

 

 

それから簡単な質問を幾つかされた。エデンのことには全く触れてこなかったのはきっと自分の頭では理解しきれないと判断したからだろう。

 

質問の内容は、能力や戦闘スタイルなどのアラガミ討伐に関してがほとんどだった。質問をし終えると、俺とレティシアの部屋へ案内された。

 

 

「なかなか広くていいな」

「うむ。これならお楽しみも問題ないな」

「ははは………」

 

 

ベットはキングサイズ並みのが一つ。壁際に机が二つに椅子が二つ。これだけしかないが十分だろう。あとは空間倉庫を使えば問題ない。

 

まぁこんな感じでアナグラについて一日目が終了した。




分かりにくい表現、変な文章があったら教えてください。
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