GOD EATER~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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三喰目~引率~

俺こと神浄刃のアナグラでの役目は大きく三つだ。

 

一つ目、極東地域のアラガミの討伐、素材の回収。

二つ目、ゴットイーターの行動の監視。

三つ目、敵勢力の殲滅。

 

一つ目に関しては簡単だ。あくまでも討伐がメインで、素材の回収はオマケなので手加減せずに消しとばすことができる。二つ目に関しては割と面倒だ。ナノマシンを散布して監視することもできるが、勘の鋭い者や気配に敏感な者、下手したら機械か何かで感知されるかもしれない。まぁ神クオリティのナノマシンだからそんな心配はないはずなんだけど。三つ目はもう神界大戦の大きな目的だ。悪神を殺し尽くす。一切妥協せずに、殺す。これは爺神にも何度も言われた。あと絶対に同情するなだったな。

 

現在、俺は一つ目に当たるアラガミの討伐、素材の回収を行うためにエントランスでレティシアと一緒に待っていた。誰を待っているかって? それは―――――

 

 

「あ、リンドウさん。支部長が見かけたら、顔を見せに来いと言っていましたよ」

「オーケー。見かけなかったことにしといてくれ」

 

 

リンドウだ。まったく、時間を自分で指定したくせに遅れるとは………困ったものだ。

 

 

「よぅ、新入り」

 

 

リンドウが腰に手を当てながら声をかけてきた。しょうがないので、俺とレティシアも立ち上がる。

 

 

「知っていると思うが、俺は『雨宮リンドウ』。一応先輩ということで俺が仕切らせてもらう。―――――と、まぁ面倒くさい話は省略する。昨日の件はモニターで見ていた。あれだけの戦闘能力があれば俺から言うことは何もない。まぁ俺が足を引っ張るかもしれないがよろしく頼む」

 

 

リンドウが自己紹介もどきをした。まぁ既に知っていることばかりなのであまり意味がなかったと思うが。

 

 

「あ、ヤイバくん」

 

 

ここでサクヤのお出ましか………しかし相変らず奇抜な服装だ。目の保養になる。背中がら空きで色っぽい。サクヤは胸も結構あるからそれも相まって素晴らしいことになっているが―――――これ以上はやめておこう。レティシアに殺される。

 

俺がこんなことを考えている間にも、リンドウとサクヤはやり取りを続けていた。べ、別に俺がハブにされたわけじゃないからな。

 

 

「―――――っと、時間だ。そろそろ出発するぞ」

 

 

リンドウよ、とっくに予定の時間は過ぎ去っているぞ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ここも随分荒れちまったな」

 

 

リンドウが呟きを聞き流しながら辺りを見回す。ここは贖罪の街。俺とレティシアが一番初めに来た場所だ。正直、荒れたという次元ではないと思う。まぁ感性は人それぞれだからな。俺がとやかく言っても仕方がないか。

 

 

「それじゃここら一帯の解説をするぞ。そのまえに約束してもらいたいことがある」

「なんだ?」

「死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。運が良ければ不意を突いてぶっ殺せ。―――――あぁ、これじゃ四つか?」

 

 

それをまるまるリンドウに言い返したい。前提として俺が死にそうになって逃げることになったら全世界のゴットイーターが集まっても勝てない敵の出現を意味する。そこまでいったら隠れても死が遅くなるだけで、運がの良し悪しなんで関係ない。

 

 

「ま、とにかく生き延びろ。それさえ守ればあとは万事どうにでもなる」

 

 

それ関しては激しく同意だ。生きていればどうにか―――――ならないときもあるな。ケースバイケースだな。

 

 

「それじゃあ行こうぜリンドウ」

「おぅ!! 生で実力が見れるのが楽しみだぜ」

 

 

そうリンドウが返してきた瞬間だった。

 

―――――ドォォォォォォォォォン!!―――

 

空から何か振ってきた。そしてそのまま地面に激突した。おそらく―――――いや、絶対アラガミだろう。だがただのアラガミではない。悪神共が創り上げたアラガミだ。今回は鳥型だな。

 

 

「リンドウ!! このアラガミは通常のものではない。俺に任せて下がれ!!」

「りょーかい!!」

 

 

リンドウが離れていくのを確認しながら俺は相棒の名を呼ぶ。

 

 

「―――――《二天龍の双龍刀》」

 

 

右手に紅の刀が、左手には白銀の刀が収まる。相変らずしっくりきていいね。

 

鳥型アラガミの数は一〇。一気に片付けてやる。

 

 

「ラァ!!」

 

 

左手で白銀の刀を投げる。それと同時に右手に収まっている紅の刀を横なぎに振るう。それと同時に柄頭についている鎖が引っ張られて白銀の刀を引っ張り上げる。もう、分かるだろう? 

 

 

『Divide』        『Divide』         『Divide』

 

      『Divide』    『Divide』    『Divide』

 

『Divide』   『Divide』     『Divide』       『Divide』

 

 

あちらこちらに散らばっていた鳥型アラガミ全て斬り裂いたそれと同時に半減も開始される。もう決着はついたようなものだが何があるか分からない。慢心・油断は身を滅ぼす。これは今までの人生―――――神生か、神生で学んだことだ。

 

先ほどの斬撃でひるんだ隙に、一瞬で鳥型アラガミに近づく。そして―――――

 

 

「だらっしゃぁぁぁぁぁ!!」

 

 

叫びながら紅の刀を振るう。一瞬と呼ばれる時間で一〇は振るう。一体ずつ確実に斬り刻む。

 

 

『グギャッ!!』

 

 

そして最後の一体を今殺し終えた。視線をアラガミの死体―――――もとい残骸からリンドウの気配がする方へ移す。リンドウは俺と視線が合った瞬間、ビクッと身体を震わせたがすぐに片手を挙げてきた。特に怪我をした気配はないので心配はないだろう。

 

リンドウの下へ瞬間移動する。

 

 

「うおっ!? いきなり現れんなよ!! ビビるだろうが!!」

「すまん。もうアラガミは片付けた。この近辺からはアラガミの気配がないから帰投しよう」

「そうだな………はぁ………」

 

 

溜息吐くなよ。幸せが逃げんだろうが。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

アナグラに帰投してから一番初めに行ったことはシャワーを浴びることだ。悪神が創造したアラガミ特有の血の匂いが付いていて気持ち悪かったのだ。それだけではなく、神力を使っての浄化までしたので匂いなどは完全に消えただろう。

 

シャワーを浴び終えた俺は自室に戻った。そして部屋に入った瞬間―――――

 

 

「遅いぞ!!」

「うおっ!?」

 

 

レティシアが飛びついてきた。もちろんそれを驚きながらも両手を開いて受け止める。当たり前だろう。レティシアをそっと下ろす。

 

 

「すまん。悪神共の創造したアラガミと殺り合っていてな。今回は鳥型だった」

「そうか………」

 

 

レティシアは少しだけ考えるよう顎に手を当てたが、すぐに抱き着きなおしてきた。

 

 

「ど、どうした?」

「ふふふ、いやなに、こういうのも久しぶりだなと思っただけだ」

「そう言えばそうだな………」

 

 

今まで戦いまくってたからな。それに世界を渡るときは基本的にはレティシアと離ればなれになったし。

 

と、そうだったそうだった。

 

 

「悪いレティシア。これから変態博士のとこに行かないといけなかったんだった」

「そうか………続きは夜に頼むぞ」

「もちろんだ!!」

 

 

クソッ!! あの変態博士め………レティシアとの時間を邪魔してまで呼んでしょうもない話しやがったらただじゃおかねぇぞ!!

 

ちなみに変態博士とはペイラー・榊博士のことだぞ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「来たね!!」

 

 

変態博士が言う。それを無視しながらソファに腰を掛ける。既にコウタが来ていたところから察するに、俺を待っていたようだ。まぁ別にどうでもいいけど。

 

 

「さて、いきなりだけど……キミはアラガミってどんな存在だと思う?」

 

 

変態博士が俺に向かって訊いてくる。

 

 

「アラガミはそうだな………面倒事だ」

「うん、まぁそうなんだけどね」

 

 

そりゃそうだ。アラガミのせいで人類は生存エリアを狭められているんだから。それと同時に厳しい生活を強いられているんだから。

 

 

「『人類の天敵』『絶対の捕食者』『世界を破壊する者』まぁ、こんな所かな?」

 

 

変態博士よ、自分で候補を上げるなら聞かないでもらいたい。

 

それは置いておこうか。

 

そこから変態博士による説明が始まった。

 

アラガミの認識は『人類の天敵』『絶対の捕食者』『世界を破壊する者』で間違ってはいない。むしろそれは、目の前にある事象を素直に捕えられていると。

 

なぜ、どうやってアラガミは発生したのだろうか? 答えはいたって簡単だ。ある日突然現れて、爆発的に繁殖したと。

 

アラガミには脳がない。心臓も、脊髄も同様にだ。人間は頭や胸を吹き飛ばせは死ぬ。………まぁ例外はいるけどな。だがアラガミはそんなことでは倒れない。

 

アラガミとは考え、捕食を行う一個の単細胞生物―――――『オラクル細胞』の集まり。アラガミは群体であり、それ自体が数万、数十万の集まりである。そしてその強固でしなやかな細胞結合は既存の通常兵器では全く破壊ができない。

 

ではアラガミとどう戦うのか? 結論を言えば同じ『オラクル細胞』を埋め込まれた生物兵器である神機を使い、アラガミの『オラクル細胞』の結合を断ち切るしかない。だがそれによって霧散した細胞群もやがては再結合してしまい、新たな個体を形成してしまう。

 

ちなみにこの新たな個体が悪神共が想像したアラガミである。少しずつ様々な個体の『オラクル細胞』を無理やり集合させ、創りだしたものだ。

 

最善策はアラガミの行動を司る司令細胞群であるコアの摘出だ。だがこれはかなり困難である。

 

結局、神機を使ったとしても人類には決定打がない。そのことからいつのまにか人類はこの絶対の存在をここ極東地域に伝わる八百万の神に例えてアラガミと呼ぶようになったと。

 

うむ、全く持ってどうでもいいな。レティシアとの時間を邪魔されてまで聞くようなことではない。いままで言われたことは全て爺神から聞かされているからな。

 

今の話を聞いて改めて思った。よく人類滅亡していないなと。通常のアラガミにでさえ神機を使っても決定打がない。ということは、悪神共が創造したアラガミとゴットイーターのみで遭遇したら即ゲームオーバーだろ。

 

これは俺も神機の性能アップに力を貸したほうがいいか? いや、だが、神機開発に特化している神がすでにここにきているはずだ。まさか全ての―――――通常のアラガミも悪神共が改造しているのか?

 

むぅん………また面倒事が増えたな………

 

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