ウルトラマンブレイク   作:リョウギ

1 / 1
第0章 誕生、若き勇士
序章「宿命を打ち破る者」


第17メラニー遊星

 

偽りの理想郷を作り出し、宇宙を旅するあらゆる種族を誘い込み「破壊獣」にその命を奪わせる悪魔の兵器

 

誰が作り出し、野に放ったのかもわからない兵器惑星の荒れ果てた地表に今、一人の巨人が降り立った

 

『妙だな。ホログラムが機能していないのか?』

 

降り立ったのは赤い体に金と銀のラインが入る巨人

胸部の金のプロテクターの中央には青く輝くクリスタルが輝いている

 

ーキシャァァァァァオオオゥ!!!

 

と、荒廃した地表を揺らしながらもう一体別の巨体が現れる

 

赤い硬質な体表を持つ恐竜のような巨獣

メラニー遊星と一体でもある生物兵器、破壊獣モンスアーガーがその姿を露わにした

 

『現れたか!通りがかりの宇宙種族のためだ、悪く思うな‼︎』

 

ーシュアァッ!!

 

巨人が勇ましく構えをとる

 

ーキシャァァァァァオオオゥ!!

 

それに呼応し、モンスアーガーも腕を振り回し雄叫びを上げる

 

両者の巨体が激突、盛大な土煙を上げる

拮抗していた両者はその腕を払い、拳を受け止め、鉤爪を受け流し、格闘戦を続ける

 

ーシュアッ!!

 

鋭いエルボーを打ち込み、モンスアーガーを退けた巨人は両腕をクロスし、光のエネルギーを漲らせて光弾として放つ

 

ーキシャァァァァァオオオゥ!!

 

が、モンスアーガーはそれを引っ掻くようにして叩き落とし、お返しとばかりに両腕からエネルギーを迸らせて放つ

 

ーシュアァッ…‼︎

 

赤い光弾を受け止めた巨人はそのエネルギーと勢いをそのままに身を翻し、自身のエネルギーを上乗せして撃ち返す

直撃を受けたモンスアーガーはたまらずのけぞり、膝をつく

 

ーキシャァァァ……

 

すぐに構え直した巨人はある違和感を覚える

 

膝をついたモンスアーガーが、起きあがろうとしないのだ

 

(モンスアーガーは硬い甲殻を持つ怪獣のはず…何故そこまでのダメージが…?)

 

更に巨人は先程の競り合いの際にもう一つ違和感を感じていたことを思い出す

 

この破壊獣と呼ばれる怪獣から、あまり殺意を感じなかったことを

 

『まさか……』

 

巨人は瞳に力を集中させ、モンスアーガーを見据える

モンスアーガーの肉体組成やその情報が脳裏に直接流れ込み、違和感の正体を見つけ出す

 

『……体組織の衰弱、戦闘用神経興奮剤の合成不良…やっぱりお前、欠陥個体なんだな…』

 

ーキシャォォォ…

 

モンスアーガーはただ力無く項垂れた

 

メラニー遊星もモンスアーガーも、何者かが作った惑星兵器

それ故に、時に『不良品』も存在していることを巨人は同胞たちから聞いていたのだ

 

『ホログラムが無いのも、この遊星自体が不良品だから機能不全を起こしていたのか……』

 

巨人はそれを知ると、モンスアーガーに近寄り、その体を支えて近くの岩山にもたれさせる

 

モンスアーガーは巨人を怪しむように睨む

 

『俺は弱った相手を倒すほど非情じゃない。それに、お前はまだ薬剤の影響が少ないなら「破壊獣」なんかじゃないはずだ。俺の先輩にそういうのに詳しい人がいるから、今から報告してどうするか決める』

 

巨人はモンスアーガーの頬を優しく撫でた

 

『少しだけ待っててくれ。悪いようにしないでくれるよう、頼み込んでもみるから』

 

ーキシャォォォ……

 

 

『感動的なシチュエーションだが失礼するよ』

『!?』

 

荒廃した遊星の上空から降りてきた五角形を底辺にした台形のような形状の宇宙船から響く声を聞き、巨人が宇宙船を見上げ睨む

 

『ゴース星の宇宙船⁉︎ なんの用だ⁉︎』

『私はゴース星の選ばれしもの、クルバス!なぁに、キミには用は無いよ。用があるのは、そこの破壊獣の方だ』

『モンスアーガーに…?』

 

クルバスと名乗ったゴース星人は宇宙船から言葉を続ける

 

『そいつは貴重な怪獣だ。戦闘能力は申し分ないがメラニー遊星などという惑星兵器にしか生息しない故に手に入りづらい。ようやく見つけた貴重な怪獣を逃すという選択肢はないだろう?』

 

その言葉を聞いた巨人はモンスアーガーを庇うように立ち上がる

 

『どうする気かは知らないが、俺はそんなこと許さない。こいつは、まだ怪獣兵器なんかじゃないんだ』

 

『はぁ、妙なことを言うウルトラマンだ…あくまで邪魔をするというならば、私も黙っていない…‼︎』

 

宇宙船の中でクルバスはその手に紫と黒で塗装が施され、3つの窓のようなものを備えた長方形のデバイスを取り出す

 

『ー行け!キングパンドン!!』

 

《バトルナイザー・モンスロード!!!》

 

クルバスの命に従うかのようにデバイスが発光・展開し、そこから飛び出した光のカードが側面のスキャナーを通り、宇宙船から飛び出す

 

飛び出した光のカードから二つの頭を持つ鳥に似た怪獣ーキングパンドンが姿を現す

 

一瞬驚きを見せた巨人だが、油断せず構え直す

 

『その力…レイオニクス⁉︎ レイブラッド星人の脅威は消えたはずなのにどうして…‼︎』

 

『ああ、そうらしいな。だがレイオニクスが全て消えたわけじゃない。私のように、レイオニクスバトルなんてくだらないことに手を出さなかった利口なものもいるということだよ!』

 

ークェェェェアァァァァァァ!!!

 

キングパンドンが咆哮、その二つの口から火球を連続して放つ

巨人はその攻撃を手刀で払い除けながら肉薄し、キングパンドンの胸元に膝蹴りを叩き込み、よろめいたその体にショルダータックルを決める

 

『いいのかなウルトラマン?後ろがお留守になっているようだが?』

 

クルバスの言葉に巨人が反応するが早いか、その背に光弾が直撃する

 

『ぐあっ!?』

 

よろめいた巨人をキングパンドンが掴み、至近距離から火球を乱射する

 

ー■■■■■■■■!!

 

巨人の背後に現れていたのは鎌状の両腕を持った宇宙戦闘獣ー超コッヴだった

クルバスが呼び出したもう一体の怪獣なのだろう、超コッヴはキングパンドンが劣勢になりそうになると光弾で巨人を攻撃し、その体勢を崩す

 

『クソッ…‼︎ 汚ねぇマネしやがって…‼︎』

 

『卑怯もラッキョウもあるものか‼︎ これこそがレイオニクスの力の正しい使い方なのだよ。怪獣を兵器として意のままに手足として操る!レイブラッド星人の力の一端とはいえ、この力があれば宇宙の支配にすら手が届きうる!!』

 

クルバスが自分に酔ったかのような高笑いを上げる

 

ークェェェェェェアァァァァ!!

ー■■■■■■■■■■!!!

 

巨人を挟み撃ちにしたキングパンドンと超コッヴが火球と光弾のエネルギーをチャージし始める

 

ーキシャァァァァァオオオオゥゥゥ!!

 

が、超コッヴの背後から赤い光弾が直撃し、よろめく超コッヴの尻尾が引っ張られる

尻尾を掴んでいたのは倒れていたはずのモンスアーガーだった

 

『お前…‼︎ やめろ‼︎体に限界が来てるはずだろ!!』

ーキシャァァァァァオオオオゥゥゥ!!!

 

『死に損ないめ…‼︎ 超コッヴ!!半殺しにして転がしておけ!!』

 

ー■■■■■■■■■■■!!!

 

超コッヴは尻尾を振り回し払い除けると、モンスアーガーに光弾を乱射。よろめいたモンスアーガーに近づきその腕の鎌を振り下ろす

振り下ろされた鎌がモンスアーガーの体を引き裂き、その一撃がモンスアーガーの急所でもある頭部の結晶体に損傷を与える

 

『モンスアーガー!!』

 

駆け寄ろうとする巨人の背中にキングパンドンの火球が何度も直撃、数発は地面に着弾して土煙を上げながら大地を抉る

 

ーシェアァッ…‼︎

 

吹き飛ばされた巨人が大地に倒れ伏す

 

ーキシォォォゥゥゥ…

 

モンスアーガーも地面に倒れ伏し、その背を超コッヴが踏みつける

 

『クソッ……俺は……何もできないのか…‼︎』

 

倒れ伏したままの巨人が手を伸ばす

伸ばしたその手に何かが触れ、掴む

 

ードクンッ

 

巨人は、体の中から何かが目覚めたような感覚を覚えた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『クハハッ!ウルトラマンも下したならば……私が宇宙を手にするのも夢ではない…‼︎』

 

クルバスが高笑いと共にバトルナイザーを宇宙船の中から巨人へ向ける

 

『キングパンドン!!トドメをさせぇ!!』

 

ークェェェアァァァァ!!

 

自身の命令を受けたキングパンドンが火球のエネルギーを再びチャージし始めるのを見てクルバスは勝利を確信する

 

が、その勝利の確信をコクピット内に鳴り響くアラートが掻き消した

 

『な、なんだ⁉︎ 何が起こった⁉︎』

 

動揺するクルバス。更に自身の手にしたバトルナイザーが熱くなっていることに気づく

 

『ば、バカな、この反応はー』

 

 

キングパンドンに攻撃され、立ち上がれずにいたはずの巨人の体から赤黒い波動が放たれ、キングパンドンをよろめかせる

 

ゆらり、と立ち上がる巨人はその左手に現れたデバイスークルバスと同じ形状でカラーリングのみ赤と銀になったバトルナイザーをモンスアーガーへと向ける

 

倒れ伏していたモンスアーガーの体がカード状の光に包まれ、巨人のバトルナイザーへと吸収される

 

『ーグゥア……ガァァァァァァァァ!!!』

 

巨人が体を仰け反らせ、獣のような咆哮を上げる

銀色の瞳と胸部の結晶が真紅に変色し、体に入っていた銀のラインが黒く変化していく

 

巨人は右手に掴んだモノーオレンジ色に脈動する結晶体・デビルスプリンターを握りつぶす

砕けた結晶の粒子は渦を巻き、両端に錘のついた棍棒型の真紅と漆黒に彩られたデバイスーギガブレイクナイザーへと変化する

 

『ガァァァァ!!!!』

 

巨人はギガブレイクナイザーを振り回すと超コッヴに向けて真紅の斬撃を飛ばし、返す刀でキングパンドンへと光弾を放ち、両者を吹き飛ばす

 

『ァァァァ……!!』

 

巨人はギガブレイクナイザーを振り回し、地面に突き立てる

 

《ギガブレイクナイザー・モンスロード》

 

禍々しいガイド音声と共に錘部分から紫のカードが二枚飛び出し、怪獣の姿をとって実体化する

 

ーキシャァァァァァオオオオゥゥゥゥゥゥ!!

ーグォオオオオンン!!

 

漆黒のエネルギー体のような姿をしたそれは巨大な腕を持つEXレッドキングと鋭い甲殻と尾を持つEXゴモラの姿で固着し、キングパンドンに強烈無比な拳を、超コッヴに鋭いテールスピアの一撃を与える

 

よろめいた超コッヴの腹に更にテールスピアが突き刺さり、何度も何度もその体を鋭いテールスピアが貫き蜂の巣にしていく

 

ーグォオオオオン!!!

 

更にトドメとばかりにテールスピアはコッヴの頭から背中までを貫き、地面に突き立つ

 

しばらくもがいていた超コッヴは脱力し、糸が切れた人形のように地に伏した

 

ーキシャァァァァァオオオオゥゥゥ!!!

 

EXレッドキングはキングパンドンに更に拳を叩きつけ、赤熱化した拳でキングパンドンを地面に叩きつけた上に無防備なその体に何度も何度も拳を振り下ろしてキングパンドンをミンチにしていく

 

一際強烈な一撃と共にキングパンドンは爆散し、限界が近かったメラニー遊星の大地にも大きな亀裂が入る

 

 

『あ、ああ…‼︎ あの姿、あの棍棒型のバトルナイザーは…まさか、あの…‼︎』

 

クルバスは恐怖に慄きながらも宇宙船のデバイスの操作を始め、メラニー遊星から離脱せんとする

 

『ガァァァァ!!』

 

が、巨人はそれを見逃すはずがなかった

突き立てたギガブレイクナイザーから新たに怪獣が実体化

 

ークァァァァオオオオゥゥゥ!!

ーキャァァァァァオオオオゥゥゥ!!

 

巨人の背後に現れたのは漆黒の巨体を持つビクトルギエルと様々な怪獣が出鱈目に複合した姿を持つデストルドス

 

『ァァァァ…ッ!!』

 

巨人は胸の前に腕をクロスし、エネルギーを貯め広げ、それを十字に組み、赤黒い必殺光線を宇宙船に放つ

それに合わせて側に控えていたビクトルギエルとデストルドスからビクトリウムキャノンとD4レイの禍々しい光線が放たれる

 

『わ、私は…‼︎ 宇宙の支配者にー』

 

迫り来る絶望の光にどうすることもできず、クルバスは宇宙船ごと跡形も残さずに消滅した

 

それを確認した巨人はふらつきながら膝を突く

ギガブレイクナイザーが消滅し、巨人の体も元の姿へと戻っていく

 

『今の…力……これ、は……』

 

巨人はその手に残る銀と赤のデバイスを呆然と見下ろす

 

『俺が……レイオニクス……⁉︎』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

M78星雲 光の国

宇宙の平和を見守る『ウルトラマン』と呼ばれる神秘の巨人たちの故郷である星

 

その宇宙科学技術局で一人のウルトラマンが熱心にホログラムディスプレイを操作していた。その傍らには赤と銀のカラーリングをしたバトルナイザーが浮かんでいる

 

『イカロス、彼の検査の結果はどうだった?』

 

ディスプレイを操作する青銀のウルトラマンーウルトラマンイカロスに声をかけたのは深い青の体色を持つウルトラマンーウルトラマンヒカリだった

 

『ヒカリ。彼の報告は正しかったようだ……彼の体細胞の中には、レイブラッドの因子が確認された。彼はレイオニクスであると見て間違いない』

『そうか…彼も、ベリアルのようにどこかでレイブラッド星人に因子を埋め込まれたのか?』

 

イカロスは首を横に振る

 

『それは考えづらい。一時的に暴走はしたらしいが、彼はベリアルのように体までは変質していない。レイブラッド星人が直接関与しているとすれば、ベリアルのようになるはず…』

 

その言葉を聞き、ヒカリは顎に手を当てる

 

『……とすると、彼の持つ因子はどこから…?』

 

イカロスがホロディスプレイを操作し、結果と仮説をまとめたレポートを表示する

 

『恐らく、レイブラッド星人が撒いた因子は我々ウルトラマンの体内では発現がしにくいのだろう。だからこそ、ベリアルを生み出す時にヤツは、ベリアルの姿まで変質するほどの因子を直接植え付けた』

 

画面が切り替わり、あのウルトラマンが掴んだデビルスプリンターを映し出す

 

『彼は咄嗟のことだったとはいえ、第17メラニー遊星に埋没していたデビルスプリンターに接触してしまった。ベリアルの…M78星雲人にして「最凶のレイオニクス」だった存在の因子を濃密に内包する結晶体に』

 

『……ベリアルの因子が、彼をレイオニクスとして覚醒させてしまったということか…⁉︎』

 

イカロスが重々しく頷く

ヒカリもその事実に項垂れる

 

『……彼は僕にコレを預けて、「光の国を去る」と告げました』

『なー』

 

イカロスはバトルナイザーを手にし、告げる

そのイカロスの肩をヒカリが掴む

 

『止めなかったのか……イカロス‼︎ たしかにレイオニクスは危険な存在で、ベリアルという存在が生まれたこともある…だが!』

 

イカロスはヒカリの腕を優しく掴む

 

『安心してくれ、ヒカリ。そう思うのは僕も、彼も同じだ』

『彼…?』

 

イカロスはバトルナイザーを手元のデバイスにセットする

 

『手伝ってくれないか、ヒカリ。僕一人の技術ではできない仕事がある』

 

決意のこもったイカロスの目を見たヒカリは確かに頷いた

 

 

K76星

ウルトラ戦士たちが普段は鍛錬に使うこの星に、レイオニクスとして目覚めてしまったあのウルトラマンは一人佇んでいた

 

立ち止まり、振り返る

視線の先、遥か彼方にある光の国ーもう帰れはしない故郷を見据え、未練を振り切るかのように踵を返す

 

『待ちな』

 

その背後からかけられた声に巨人は立ち止まる

 

『……ウルトラマンゼロ』

 

背後に現れたもう一人の巨人、青いマントを纏うその姿見た巨人は少し躊躇いを見せる

 

『……放っておいて下さい。俺は、レイオニクスだった。あのベリアルのようにレイブラッド星人の因子を持つ存在だった!だから…俺が光の国にいては、また争いをー』

 

『ああ、そうだ。だからー』

 

ゼロはマントに手をかけ、それを脱ぎ捨てる

 

『ーお前は、ここでオレが倒す!』

『!?』

 

ーセェヤッ!!

 

ゼロは素早い手刀や蹴りを放ち、巨人はそれをなんとか受け止める

 

『何故…何故あなたと戦わなくちゃならないんですか⁉︎』

『お前が言ったんだろうが、ベリアルと同じ脅威になりうるって!ベリアルとやり合ってきたオレはヤツの危険さも強さも理解している。お前がヤツと同じ脅威になるってんなら、ここで倒さなきゃならないんだ!』

 

ーシャアッ!!

 

鋭いパンチで巨人をよろめかせ、蹴りを放つゼロに巨人も蹴りで反撃する。両者の蹴りが交差し、その反発を利用して両者が距離を取る

 

ゼロは頭のゼロスラッガーを両手に逆手に構え、巨人は手刀を構えて再び撃ち合う

 

が、歴戦の戦士たるゼロが技量で勝り、巨人は吹き飛ばされ大地を転がる

 

ードクンッ!!

 

『!?ぐ、ぁあッ!!』

 

巨人が頭を押さえながら立ち上がる

それに合わせてカラータイマーのうちからギガブレイクナイザーが飛び出す

 

巨人はそれを掴もうとし、一時は手を抑える

 

ードクンッ!!

 

『が、ぁあァァアァァァァァァ!!!』

 

だが、抵抗も虚しくその体が黒変、目とカラータイマーが赤く染まり、ギガブレイクナイザーをしかと掴む

 

レイブラッドの因子が、闘争に呼応して目覚めたのだ

 

『………』

 

『ガァァァァァァァァァァァ!!!』

 

泰然自若と構えるゼロに巨人はギガブレイクナイザーを振り回し、真紅の斬撃と光弾を放つ

 

ーシェアァッ!!

 

ゼロはその攻撃をなんなく切り裂き撃ち落とす

 

巨人はギガブレイクナイザーを大地に突き立て、新たに怪獣を召喚しようとする

 

『ガ、ァァァァ……ッ‼︎』

 

だが、巨人はそれをしなかった

内なる因子に抗うように巨人はギガブレイクナイザーから手を離す

地面に転がっなギガブレイクナイザーは消滅した

 

『ぐ…あッ……‼︎』

 

巨人が膝をつく

その姿は元のウルトラ戦士の姿に戻っていた

 

『……お前がベリアルみたいな脅威になるなんざ、二万年早ぇよ』

 

構えを解き、ゼロスラッガーを戻したゼロが巨人の手を引き立ち上がらせる

 

『悪かったな。試すようなことして』

『ウルトラマンゼロ……』

『ベリアルはもっと強力で、それでいて非道だ。暴走したお前の何百倍も強いくらいにはな。でも、お前はベリアルに負けない強いもの、持ってんじゃねぇか』

 

呆ける巨人の胸元にゼロは拳を当てる

 

『“ここ”だよ。お前はベリアルに近しい力を手に入れても、それを争いに使うのに抗って見せたじゃねぇか。それができてる時点でお前は敵なんかじゃない。立派なウルトラ戦士だろうが』

 

その言葉を受け取る巨人を見ながらゼロは腕を組みながら一つ嘆息する

 

『ったく、あのなぁ。ベリアルのヤツは元より野望があったが故であってレイオニクスがみんな悪人にならなきゃいけねぇってわけじゃないんだぞ』

『ッ、でも、この力や闘争本能の暴走は……』

『そんなもの、乗り越えていきゃいい。オレはそれをして見せたレイオニクスを知ってるしな』

 

得意げに微笑み、懐かしむようにゼロが告げる

 

『それに、レイオニクスだからこそ出来ることだってある』

『レイオニクスだからこそ出来ること…?』

 

『それは私から話そう』

 

二人の前に新たなウルトラマンが三人降り立つ

ウルトラマンヒカリとウルトラマンイカロス、そしてー

 

『大隊長!?』

 

宇宙警備隊大隊長、ウルトラの父その人がマントを纏い、巨人の目の前に立っていた

 

『近頃、あらゆる惑星、宇宙でレイオニクスと思われる怪獣使いたちが再び悪事をはたらき始めたという報告を聞いている。恐らく、デビルスプリンターによる影響が出始めているのだろう』

 

『レイオニクスの集う場所全ては私たちの力だけでも特定は困難だ。だが、キミならば、ウルトラ戦士でありレイオニクスでもあるキミならば、レイブラッドの因子を察知することも可能な筈だ』

 

ウルトラの父はマントを翻し、巨人にー若きウルトラ戦士に向き直る

 

『若き勇士よ、宇宙に再び巻き起こらんとするレイブラッドの脅威の打倒をキミに頼みたい。コレは長く辛い戦いになるやもしれん。だが、同時にキミが向き合い、立ち向かわねばならない運命でもある』

 

ウルトラの父が促し、ヒカリとイカロスが歩み寄る

イカロスは若きウルトラ戦士に一つのデバイスを手渡した

 

『これは…‼︎』

 

真紅の外装を持つ、腕輪にバトルナイザーが装着されたかのようなデバイスだった

 

『ウルトラバトルライザー。キミのバトルナイザーを怪獣の力だけでなくウルトラ戦士の力も引き出せるように改造したものだ。バトルナイザーの中で休んでいたモンスアーガーも無事だ』

 

イカロスが若き勇士の肩に手を置く

 

『レイオニクスは確かに呪われた宿命かもしれない。キミ以外にもレイオニクスとしての力に苦悩する者もいるだろう。そんな彼らに、キミならきっと寄り添っていけるはずだ。モンスアーガーに寄り添い救おうとしたキミならば!』

 

『共にレイオニクスの呪われた宿命を「打ち破る」仲間として!』

 

『名付けよう、キミの戦士としての名は、「ブレイク」。僕の友がいる星、地球の言葉で「突破する」「打ち破る」という意味の言葉だ』

 

イカロスから受け取った名前を聞き、若き勇士ーブレイクが胸に手を当てる

 

『ウルトラマン……ブレイク……‼︎』

 

『若き勇士、ブレイクよ。呪われた宿命を打ち破り行くがいい!』

『…はい!』

 

ブレイクはウルトラバトルライザーを左腕に装着する

 

『コイツも持っていきな』

 

ゼロが左腕のウルティメイトブレスレットを掲げる

そこから飛び出した光がブレイクの右腕に装着され、菱形のクリスタルを一つの備えたブレスレットへと変化する

 

『これは…』

『ウルティメイトイージスの力をほんの一部、お前に分けたんだ。一回使うと240時間は再使用出来ないし、ある程度近い宇宙にしか行けないが…そいつがあれば別の宇宙にも移動できる』

 

ゼロが喝を入れるようにブレイクの胸に拳を当てる

 

『頑張れよ、ブレイク』

『はい、ありがとうございます!ウルトラマンゼロ』

 

ウルトラ戦士の仲間たちからの激励を受け取り、ブレイクは飛翔する

再び目覚めつつあるレイブラッドの陰謀を砕くために

 

レイオニクスの呪われた宿命を「打ち破る」ために

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。