貴女と共に輝きたい   作:Wisteria

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初めての方はどうも。前から読んでいただいていた方はお久しぶりです、Wisteriaです。
更新が遅れて申し訳ないです。相変わらずの不定期更新ではありますが、どうぞ楽しんでください。


第四話

 シチューを食べ終えた五人は片付けをしながら団欒していた。直人と響子は皿洗いをしている。

「センパーイ、響子も早く終わらせてババ抜きやろーよ!」

「じゃあ手伝ってくれるとありがたいんだけど」

「えー、だってそっち行っても立つ場所ないじゃないですか。そ・れ・に・ね?」

 響子にアイコンタクトを送りながら含みのある言い方をする由香。響子は少し頬を染め、直人の方へ一歩距離をつめた。直人はその意味を知らない。そもそも由香の行動に気づいてすらいないかもしれないだけなのかもしれないが。恍惚した響子を見るや絵空はこう言った。

「ラブリーだわ〜♡」

 

 

 

 §

 

 

 

 直人はPeaky P-keyの面々とトランプをして遊んだ後自分部屋で勉強をしている。泣く子も黙る丑三つ時。満足したようで手を止めて片付けをしながら時計を見ると、時間に驚きつつ寝る準備をするべく風呂場へ向かう。一階に向かうと明かりが付いていた。

「こんな時間まで起きてる悪い子は誰だ? なんだしのぶか。寝れないんだったら昔みたいに子守唄歌ってあげるよ」

「そんなのいらねーから! もう子供じゃないんだしさぁ。てか兄貴こそまだ勉強してたんだろ。今日はアタシ達が居たって言うのもあるからなんとも言えないけどちゃんと寝ろよ?」

「大丈夫だよ、昔から体だけは強いからさ」

強いのなんか体だけだろ。いっつも心はボロボロの癖にさ

「しのぶ? ぼーっとしてたけど大丈夫か?」

「っ! なんともない。そういえば兄貴。兄貴がホれたヤツの話聞かせろよ。今日は会ってたんだろ?」

「なっ、なんで今その話!? てかなんで会ったこと知ってんの?」

「やっぱりか。いやー、今日の兄貴妙にテンション高かったからな。デートでもしてきたか?」

「そんな……喫茶店で少し話しただけだよ。さおりさんは俺の事なんか眼中にないだろうしさ」

「ふぅん、サオリって言うのか」

 しのぶは意味深な笑みを浮かべ直人をからかう。恥ずかしさから顔を朱に染める直人。兄妹水入らずの空間だけがそこに広がっていた。

 

 

 §

 

 

 時はつとめて。数時間だけ寝た直人は祖父の飼っている犬のハンゾウと散歩するべく着替えていた。そこへやってきたのは周りの音に敏感な響子だった。

「あれ、直人さん。ランニング?」

「ちがうちがう、ハンゾウと散歩だよ」

「そっか。あのさ、直人さん。私も一緒に行ってもいい?」

「いいけど多分つまんねーよ?」

「そんなことないよ。……ハンゾウくんと歩くの結構好きだしさ」

 私も着替えてくるから待っててと言われた直人はハンゾウを撫でながら時間を過ごしていた。

 数分後、普段着を身にまとった響子と散歩に出かけて行くのであった。

 

 

 

 

 歩き始めてやや経った頃。直人が少し休もう、と行きすがりの公園を指さした。敷地内に入るとハンゾウのリードをベンチに括り付け、そのベンチに座った。

「響子も座りなよ。少し疲れたでしょ?」

「そうだね、お言葉に甘えて隣頂こうかな」

 響子は直人の隣に座った。それはそれは近く。一寸の隙間もなく。それには少し狼狽える直人だったが、ところでさ。と話を打ち出した。

「響子が急に二人きりになろうとするなんて何か話したいことがあるんでしょ? 昨日新曲作り上手くいかなかった?」

「あはは……直人さんにはお見通しだよね。でも、新曲は上手くいってる。しのぶが閃いたみたいでね」

「しのぶはすごいよね」と響子は言う。そしてそれでね、と話を続けた。

「あの、昨日さ、腕組んで歩いてた人と付き合ってるの?」

「昨日? あぁ、さおりさんは彼女なんかじゃないよ。俺なんかよりお似合いの人がいるだろうしさ」

 照れくさそうに言う直人。その姿を見て直人はその女の事を好いていると察してしまった。理解してしまった。隠してしまっていた恋心は結ばれはしないことを。

 響子が恋心隠していた理由は直人のように自分に自信を持てなかったからではない。いや、勿論少しばかりはそういうこともあった。しかしそれよりも自分と()()()との関係が、Peaky P-keyでの活動が壊れてしまうことに恐れを抱いていたのだ。

 響子は後悔していた。もしももっと早くただ一言、好きだと伝えていたら。付き合ってほしいと言葉に出したのなら。直人は優しいし、恋愛事には慣れてないから押せば首を縦に振っただろう。だからといって直人の恋路を邪魔するほど自分勝手にはなれない。山ほど恩のある人物にそんなことはできない。響子もまた心の優しい少女だった。

「そう、なんだ。なんだぁ、びっくりしたなぁ。由香に言ってなくて良かった」

「おい!? 由香が一番シャレなんないよ? 言ってないよね?」

「勿論。直人さんと私だけのひみつだよ」

 

 今にも涙が零れてしましそうな表情をした少女がそう言った。




いかがだったでしょうか。どんな時でも人が失恋するのを書くのは心が苦しくなるものがありますね。
ではまた次の話か、どこか別の作品でお会いしましょう。
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