ルーター? 買えてません。
友人の家でこっそりいそいそと更新しました←
いやー、流石に安物を買う気は起きないのですが、八月は出費が恐ろしいことになりそうで(遠い目)
次話もまた少し空くことになると思います。
申し訳ないです。
◇
魔方陣から転移すると、俺達は見知らぬ場所に出た。
「先輩、転移する度に不安そうになるのやめない?」
「バッ! お前も自分の魔力足んないで転移失敗してみろ! ……凄く死にたくなるから」
まァ魔方陣を使った転移なんてのは、悪魔なら子供でも可能だしな。
イッセー先輩に真顔で言われ、俺は苦笑しながら辺りを見回す。
阿呆みたいに長い廊下。壁には蝋燭がずらりとかけられている。
所々で大きな肖像画もある。
「あれ? この扉空かないぞ」
魔獣の彫り物がされた巨大な扉を前にイッセー先輩がぼやく。
扉の向こう側が賑わっているし、見知った気配もある。会場は間違いなくここだろう。
俺はギターケースを床に置き、
「……力付くかよ」
先輩が言い、更に「お前って結構そういう所あるよな」と続けた。
確かに聖堂地下でも扉を派手に壊したな、俺。
「登場は派手な方がいいだろ?」
「ああ、それもそうか」
扉周辺に気配はないし、怪我人も出ないだろ……というより、どこぞの
「んじゃま、行くぜ!!」
扉を三度、横に斬る。
それは一瞬なんの結果も残さないように見えたが、すぐに線が浮き上がり、帯電しながら崩れた。
余り音は大きくなかったが、中の悪魔達が大慌てだ。
「うわ、こんな綺麗に斬れるのか」
……先輩が驚いている。
というのも、扉はバターのように四分割されており、しかも積み木のように折り重なっているからだ。
「口上口上」
小さく伝える。
ハッとなって先輩は積み重なった扉の上に飛び乗った。
「部長ォォォォォォッ!」
でかい声だ。
余裕で会場全体に響いている。
「貴様! ここがどこ――ぶはっ!!」
「はいはい、今いいとこなんだよ」
衛兵らしき悪魔の顔面を蹴り抜き昏倒させる。
部長さんの頬を、一筋の涙が滴っていたのが見えた。
俺は先輩の斜め前に立ち、威嚇するようにアラストルを床に突き立てる。
「上級悪魔の皆さん! 部長のお兄さんの魔王様! 俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠! 前にいるのが同じくオカルト研究部の頼れる後輩、黒上涼夜です! 部長のリアス=グレモリー様を取り戻しに来ました!!」
おいおい、俺の紹介は必要なかったろ……変なところで律儀な先輩だ。……まァ頼れる後輩ってのは素直に嬉しいけどさ。
背後の、少し上の方から発せられた言葉に俺は苦笑する。
会場がより騒がしくなったが、先輩は構うことなく不死鳥兄の元へ足を運ぶ。
だが当然それを止めようと衛兵が動いた……のだが。
「ここは僕たちに任せて!」
「……遅いです」
「あらあら、やっと来たんですね」
白いタキシードの木場先輩、ドレスを着た小猫、豪華な和服を着た副部長が、それを阻む。
「ありがとう」
小さく礼を呟いたイッセー先輩。
あらら、俺いらなくない? そう思いながらもアラストルを引き抜き、先輩の数歩後ろを追従する。
そして不死鳥兄と面を向かい合わして、先輩は言った。
「部長――リアス=グレモリー様の処女は俺のもんだ!!」
コケた。
俺が。
比喩ではなく、冗談でもなく、こんな大衆の場でスッ転んだ。いや、その大衆の場でとんでもないことを宣言したイッセー先輩に、視線の多くは集中してたけども!
「待て待て先輩! それでいいのか!?」
「いいんだ!」
即答された!!
「どういうことだ、ライザー?」
「リアス殿、これは一体?」
身内、関係者達は困惑し、まるで落ち着かない。
今の発言もあって、余計に。
「私が用意した余興ですよ」
一番奥で楽しそうに笑っていたサーゼクスが歩み寄ってくる。
「ドラゴンの力が見たくてですね、つい」
「さ、サーゼクス様! そのような勝手は!」
中年風の男性が慌てる。
「いいではないですか。先日のレーディングゲーム、実に楽しかった。ゲーム経験のない妹があそこまで奮闘するとは……それでもフェニックスの才児であるライザー君と戦うには少々早かったかな、と」
「……サーゼクス様は、この間の戦いが解せないと?」
「いえいえ、そのようなことは。魔王の私があれこれ言ってしまったら、旧家の顔が立ちますまい。上級悪魔同士の交流は大切なものですからね」
食えないことを笑顔で言うサーゼクスに、「いけしゃあしゃあと」……そう口から零れそうになる。
「ではサーゼクス。おぬしはどうしたいのかな?」
あの人は……サーゼクスと部長さんの父親か。
直接見るのは初めてだな。
「父上。私は可愛い妹のパーティは派手にやりたいのですよ。ドラゴン対フェニックス、最高の催しだと思いませんか?」
まァどっちも伝説上の存在だ。
魔王の一言に会場が黙り込む。
「ドラゴン使い君、お許しが出たよ。ライザー、リアスと私の前でその力を今一度見せてくれるかな?」
「……いいでしょう。サーゼクス様に頼まれたのなら断れるわけもない。このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」
不適に笑う不死鳥兄。
どうやら舞台は整ったようだ。
「ドラゴン使い君、キミが買ったら代価は何がいい?」
その申し出に、身内の悪魔たちが批難の声を上げている。が、それを手で制するサーゼクス。
「リアス=グレモリー様を返してください」
迷いのないイッセー先輩に、サーゼクスはわざと渋った顔をしてみせた。
「わかった――と言いたいところだが、婚約はゲームで決まってしまったものだ。一度決まったことを覆すのは簡単なことではない。故にキミも代償を払わなくてはならないよ?」
「構いません」
これまた迷いのない先輩。
サーゼクスの口元がほんの僅かに笑った。
「ならばライザー君のフルメンバーを下してみせたまえ。そうだな、流石に一人でというのは不利すぎるから……十六対二、なんてのはどうかな?」
もっと色々あると思うが、戦闘能力を見せれば文句はないってか。流石は悪魔だ。そもそもサーゼクスはこの展開に持って行きたかったんだろうし。
「もう一人は誰でもいいんですか?」
「そうだね……ライザー君」
「リアスの眷属でしたら。……ああ、なんならそこの人間でも構いません」
不死鳥兄が人間を見下しているのが功を成したな。それに俺を部長さんの給仕だのなんだのと思っていたのも。
尤も、俺を選ぶなんて思っていなさそうだけど。
「涼夜、今度また甘いもん奢ってやるよ」
「お、気が利くな」
笑い合いながら先輩の横に並ぶ。
不死鳥兄が嘲笑しているが、目に物見せてやる。
「決まったね。キミ達が勝てたら、リアスを連れていくといい」
このやりとりによって、俺達と不死鳥兄達の戦いがこの会場で執り行われることとなった。
◇