宿した者(仮)   作:雲丹

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激情論

 駒王に来たのは春だったが、今ではすっかり夏である。

 日本の夏は結構……いや、かなり暑い。

 四季を感じられるのは、長いこと日本の外にいた俺にとって悪くないのだけれど……それでも嫌になる暑さだ。それに湿度が高く、肌に張り付くような不快感を感じる日も多い。

 

 

「よー、涼夜。リアルで会うのは久しぶりだな……いや、最近はお前全然インしてねーから普通に久々か」

 

 

 そんな夏の日。

 場所は自室。

 時間は放課後。

 目の前でソファーにドカリと腰掛けているのは、ワルそうな風貌の黒髪の男。

 見た目年齢二十代の男は何故か浴衣を着ている。……イッセー先輩がここ最近契約で会っているのが「イケメン黒髪外国人で、いつも浴衣ばかり着ている」と言っていたな。

 となると……。

 

 

「イッセー先輩にちょっかい出してるの、お前か――……アザゼル」

 

 

 俺が呆れると、男……アザゼルは面白そうに笑う。

 

 

「うはっ! お前が先輩呼びとか! 生で聞くと本当に気持ち悪いな!!」

 

 

 それも大笑いである。

 鳥肌立つとまで言いやがるか!

 この野郎……! と思うが、俺は眼前の堕天使総督は勿論。魔王サーゼクス=ルシファーのこともゼクスと愛称で呼び、敬語を使うこともない。

 こいつの反応は、ある意味で当たり前なのかもしれない。

 

 

「……このひとが……堕天使の?」

 

 

 トレーにアイスティーを人数分乗せて、キッチンの奥から歩いてくる小猫は、胡散臭いとでも言うような目でアザゼルを観察している。目は口ほどに者物を言うとは正にこのことだ。

 

 

「お? なんだ、思ったより普通の反応だな」

 

 

 もっと警戒されると思ったんだが、とアザゼルは笑うのをやめて小猫からアイスティーを受け取る。

 

 

「涼夜が警戒していないので、問題はないと判断しました」

 

 

「……へぇ?」

 

 

 小猫がシレッと言い放ち、アザゼルは俺に視線を戻した……その顔は誰の目にも明らかにニヤついている。

 

 

「で、どこまでイッたんだ? いくらお前でも流石にキスぐらは――」

 

 

「用件は?」

 

 

 下卑た笑みで下卑たことを言ったアザゼルに、絶対零度の視線を向ける小猫。

 俺は俺でアザゼルの言葉を遮ってやる。

 

 

「あー……何もないのね」

 

 

 そうだよ。

 こちらの反応に残念そうなアザゼル。

 こいつが正面から妖館に入って来たってことは、そっち方面の許可は取ってあるんだろう。そしてそこまでして訪ねてきたのなら、やはりそれなりの理由が――。

 

 

「――前の堕天使件か? コカビエルと……レイナーレ、だっけか」

 

 

「ま、その辺りだな」

 

 

 フゥー、と深く溜め息を吐くアザゼル。少し疲れているようだ。

 小猫は「外した方がいいですか?」と気を遣ったが、アザゼルは軽い調子で同席を許した。

 

 

「前者の方は地獄の最下層(コキュートス)で永久冷凍の刑に処した。十中八九……いや、九十九パーセント出てはこれないだろうな」

 

 

「……随分と簡単に明かすのな」

 

 

「構わねーよ、どうせ後で知るだろうしな」

 

 

 まァ当事者なわけだし、俺も小猫も遠くない未来で知るだろうけども。

 俺の横に座った小猫も……少なからず気になっている情報のはずだ。コカビエルだけでなく、レイナーレのことも。

 

 

「問題は後者の方でな」

 

 

 問題? 問題があったのか、あの……四人だったか? 結局俺が直接会ったのは主犯格のレイナーレと、その下っ端のドーナシークとかいう二人だけだったのだが。

 言っては悪いがあいつらの起こす問題のレベルなんて高が知れている。

 

 

「……逃げられたんですか?」

 

 

「ないだろ」

 

 

「ああ、そういう問題じゃない」

 

 

 大き過ぎるが故に下っ端の動きを把握しきれていなかったとは言え、神の子を見張る者(グリゴリ)は間抜けではない。

 では一体どういうことなんだろうか。

 小猫は首を傾げ、俺も訝しげな表情でアザゼルに続きを促す。

 

 

「――あいつら揃いも揃って術を仕込まれてたんだよ」

 

 

 煩わしげにアザゼルは言い放った。

 

 

「術……てェと暗示とか催眠術の類か?」

 

 

 まさか敵陣で爆発させるみたい術じゃ……ないか。

 術者が爆弾としてレイナーレ達を扱っていたなら、俺達を攻撃するタイミングはいくらでもあっただろう。……それも狙いに寄るのか?

 だがアーシア先輩を通してグリゴリを狙うのは難しいだろうし……。

 

 

「大正解。堕天使なら俺が今さら戦争なんざしたくねーのは知らない方がおかしい話だろ?」

 

 

 頷く俺。

 アザゼルと懇意にしている俺だから知っていることだが、悪魔側の小猫は知らなかった様子だ。

 だがアザゼルの言い分は事実だ。少なくとも、堕天使陣営の者なら誰でも知っているだろう。何よりアザゼル自身が争い事を忌避した様子を見せているのだ。考えれば察することができる。……まァ悪魔や天使からしたら、それも何か裏があるように感じてしまうだろうけどな。

 

 

「……あれか? 神器(セイクリッド・ギア)を集めればお前の寵愛を受けられるとか、そういうの」

 

 

 イッセー先輩やアーシア先輩の話だと、レイナーレはそんなことを言っていたらしい。それを思い出し、確認をとってみる。

 すると案の定アザゼルは「ああ」と肯定した。

 

 

「俺が神器集めてるって情報を上手いこと絡めた暗示だ」

 

 

 両手を広げ、困ったものだと肩を竦めるアザゼル。

 

 

「主犯格のレイナーレにかけられた術式自体は解けかけてたが……」

 

 

「それはイッセー先輩の魔力……つうか赤龍の影響だろ」

 

 

 だろうな、とアザゼルは俺の言葉を肯定する。

 あの時のイッセー先輩の魔力は二倍三倍なんてレベルではなかった。加えて神器自体が龍の力を帯びた代物だ。しかもその龍は伝説とも言われている高等種。

 あれだけ容赦のない一撃なら、レイナーレの体を駆け抜けた魔力は相当なものだったろう。

 

 

「術を仕込んでた連中にも当たりは付いてるが……それは後で纏めて報告するさ」

 

 

 まァそういう情報はある程度纏まっていた方が整理しやすいからな。

 

 

「でだ……お前、レイナーレのやつと面識はあるか?」

 

 

 勿論お前が駒王(こっち)で会った時以外で、とアザゼルは付け足した。

 真面目な顔のアザゼルに対して、俺は不思議そうな表情を浮かべていることだろう。……全く覚えがないのだから。

 

 

「その反応だとないみたいだな」

 

 

 俺はないとキッパリ返す。

 アザゼルは息を吐き「ならいい」とだけ呟いた。

 なんだよ……気になるな。

 

 

「……また忘れているだけじゃないんですか?」

 

 

 黙って話を聞いていた小猫が俺を見て言った。

 また、というのはレイヴェル=フェニックスのことを指しているのだろう。

 

 

「それを言われると……確かに俺が忘れてるだけな気もするな……」

 

 

 どこか疑わしげな目の小猫に、俺はただ自信なさげな言葉を零す。

 頬を掻く俺を見てアザゼルは呆れてしまっているようだった。

 

 

「ちなみにいつ、どこで会ったのかは聞いてるか?」

 

 

「それは……あれだ……お前が……その、な?」

 

 

 聞いてみる途端に歯切れが悪くなり、こちらを気遣うような目をするアザゼル。その目は数度小猫と俺を行き来した。

 普段中々見ることができない様子のアザゼルに、小猫が「わかりました」と言い立ち上がろうとした……のを俺は手首を掴んで止める。

 

 

「――俺が拾われる前、つまり研究所にいた頃……それか研究所を抜けて放浪してた頃だろ?」

 

 

 アザゼルを真っ直ぐ見据えて言うと、彼の目は柄にも無く驚きに染まった。

 小猫に座るように促すと彼女の目は揺らいでいた。

 

 

「話しちまって良かったのか?」

 

 

「もう触りは知ってるしな」

 

 

 アザゼルは俺の過去を知っている。それが小猫に伝わらないようにと気を回してくれた。

 そして小猫はアザゼルの考えに気が付き、席を外そうとしてくれたのだ。

 俺は小さく笑い、背もたれに深くよりかかる。

 そのまま天井を見上げながら当時のことを思い出そうと試みたが……。

 

 

「駄目だ……思い出せねェ」

 

 

 呟くと、呆れた様な視線が二人から向けられた。

 

 

「十年以上前だし、結構曖昧なとこもあるからなァ……」

 

 

 と言うよりも、思い出すことのの出来る内容の方が少ない。

 研究所で知り合った被験者達は覚えている者もいるが、実験内容の方はほとんど覚えていない。それにその後の放浪生活も……ただただ生きることに必死だっただけだ。

 

 

「そこまでして思い出そうとする必要はねーって。あいつが勘違いしてるだけの可能性の方が高いわけだしな」

 

 

「……十年あれば容姿も変わりますしね」

 

 

 二人の言う通り、か。

 俺があの堕天使にそこまでしてやる義理はない。

 

 

「でだ。話は変わるんだがな。涼夜……お前、シークレット・サービスを雇う気はないか?」

 

 

「はァ?」

 

 

 アザゼルの振った話題は予想外だ。

 俺は護る側として妖館に属している。そのことは彼自身もよく知っているはずだ。

 

 

「つってもま、レイナーレ共なんだがな」

 

 

 はァ? と全く同じ返しをする俺。

 

 

「……それは、話は変わったんですか?」

 

 

 小猫がツッコむ。

 俺もそう思うわ。

 批難とまではいかないが、それでも冷めた対応をとられたアザゼルは乾いた笑みを漏らす。

 

 

「やつらが実際に殺したのは赤龍帝と……聖女様だけだ。それも自分の意思とは関係なくな。それでも殺したっつー事実は覆らんが……」

 

 

 そうしてアザゼルは続けた。

 三人も元はグリゴリに従順な堕天使だった……立場に多少の不満はあったようだが。

 今の三人は罪の意識を持ち、イッセー先輩アーシア先輩に謝罪したいと思っていること。

 レイナーレが俺に会いたいと思っていること。

 三人のやったことは不可抗力とは言え罪だと言うこと。

 要するに――。

 

 

「――償いのための労働だァ?」

 

 

 事情は理解したが、なんでソレで俺ん所に来るんだよ。

 

 

「人手なら院の方だって足りてないだろ?」

 

 

「今じゃ逆にあっちが足りてるんだよ……ガキ共が率先して手伝ってくれるからな」

 

 

 ……おおゥ。俺がいなくなってからそんなに戦力になるようになってたのか。いや、確かに俺が発ってから一ヶ月や二ヶ月ではない。

 子供の成長は早いんだなァ……。

 まァ俺がいなくても、あの孤児院には大人もきちんといたのだ。護衛を兼ねた堕天使も交代で訪れていた。なら子供達は、その大人達に率先して手伝いを申し出たというわけか。

 神器などの被害者達の孤児院なので、心に傷を負った者も多い。

 それでも皆、力を合わせて頑張ってる……そう思うと、なんとなく胸が熱くなる。

 

 

「感動してるトコ悪いけどな。――奴らに悪意がなかった以上、情状酌量の余地はある。だから一つの候補にと思ったんだよ」

 

 

 あー……確かに三人は見方によっては被害者だ。それでも罰さないといけないのが組織のトップか。

 

 

「けどま、実際問題実力は下から数えた方が早いやつらだしな。場合によっては邪魔になるだけか……どっかで奉仕活動でもさせて、機会を見て謝罪させて……そんな感じでいいか」

 

 

「先輩達も事情を聞いたら許しそうだけどな」

 

 

「……簡単に想像できますね」

 

 

 俺と小猫は頷き合い、アザゼルもイッセー先輩のことは知っているので納得顔だ。

 その後結局、アザゼルは夕食を共にした後に帰って行った。

 特になんの問題もなく、一日が終わった。

 のだが、次の日の部活にて我らが部長さんは声を荒げた。

 

 

「冗談じゃないわ!」

 

 

 眉を釣り上げて怒りを露わにする部長さん。

 制服は既に夏服の季節だ。イッセー先輩が先日「素晴らしい季節だ!」とはしゃいでいたのは記憶に新しい。

 それは置いておき、どうやらアザゼル。昨夜もまたイッセー先輩を呼び出し、そこで漸く自身の正体を明かしたらしい。

 それを聞いた部長さんはご機嫌斜めだ。

 俺を通してアザゼルを多少は知っている部長さんだが……やはり無断で管理地に侵入し、眷属にちょっかいを出されるのは不快なのだろう。

 

 

「全く! ただでさえコカビエルの件があるというのに、どういうつもりなのかしら!?」

 

 

「どういうっていうか、単にイッセー先輩に興味があるだけな気もするけど」

 

 

「そうだね。アザゼルは昔からそういう男だ」

 

 

 部員ではない者の声が会話に混ざって来た。それも非常に自然な流れで。

 皆の視線が集まった場所に立っているのは紅髪の男性。奥には銀髪のメイドの姿もある。

 俺、イッセー先輩、アーシア先輩、ゼノヴィア以外が跪いた。俺以外の立ったままの三人は対応に困っている様子だ。……あ、イッセー先輩が部長さんに頭を下げさせている。

 それに倣うようにアーシア先輩とゼノヴィアも跪いた。

 

 

「コカビエルのようなことはしないよ、アザゼルは。今回みたいな悪戯めいたことはするだろうけどね。……随分と早いお着きだが、涼夜君にでも会いに来ていたのかな?」

 

 

「ご明察。昨日うちに来たよ。少し世間話をしに、な?」

 

 

 サーゼクス=ルシファーの言葉を肯定し、小猫に確認する。

 はい、と頷いた小猫に部長さん達は驚いたようだ。

 まァ俺達がアザゼルに会ったことはまだ話していなかったからな。いや後で話すつもりだったよ? 本当だからな? だから呆れたように俺を見ないでくれ、部長さん。

 

 

「ああそうだ。今日はプライベートで来ているから、楽にしてくれたまえ」

 

 

 言うのが遅くなってすまないね、と手を軽くあげたゼクスの言葉に部員達はゆっくりと立ち上がった。

 注目の的であるゼクスは部屋の中をゆっくりと見渡して、これまたゆっくりと口を開く。

 

 

「――年頃の妹が使っている部屋にしては殺風景だ」

 

 

「あァ、俺も最初この部屋に来た時は結構引いたわ」

 

 

 当時を思い出した俺の言葉に「無理もない」と苦笑するゼクス。

 

 

「お兄様! どうしてここへ!?」

 

 

 俺とゼクスの会話を終わらせようと、怪訝な表情で部長さんが声を荒げた。

 まァ……うん。魔王が学校に来るというのも中々の展開だ。……中々の展開だよな?

 すると「これだよ」とゼクスは一枚のプリントを取り出した。

 

 

「授業参観があるんだろう? 私も参加しようと思ってね」

 

 

 さも当然のようにシレッと言い放つゼクス。

 流石はシスコ……ン? じゃないのか? 年の離れた妹の授業参観に参加するくらい普通……とも言えるよな。

 魔王といえど感情はあるのだし。

 

 

「妹が勤勉に励む姿は見たいから、時間を作ったんだよ」

 

 

 魔王、ドヤ顔である。

 その妹たる部長さん、他の皆と同じく呆けてしまっていたが、すぐにゼクスに授業参観を教えた者に当りを付けた。

 部長さんが目を向けたのは……グレイフィア。

 

 

「グレイフィアね?」

 

 

「学園からの報告は私の元へと届きます。当然、主であるサーゼクス様にも報告致しました」

 

 

 頷いたグレイフィアに部長さんは嘆息である。

 

 

「仕事は……激務ではあるが、大方片付けることができた。それに安心しなさい。父上も来られる」

 

 

 ゼクスはそう言うが……父親が来ることの一体なにを安心すればいいのだろうか。父の許可は取ってあるってことか?

 どうであっても、部長さんは余り気乗りじゃなさそうだ。……そこら辺はやっぱり魔王という立場の兄を想っているのかもしれない。

 

 

「と言っても、仕事の一環でもあるんだけどね」

 

 

 仕事じゃなくても授業参観には出席するが、とゼクス。

 まぁそんな家族事情はさておき。

 仕事……魔王がわざわざ日本でか。

 

 

「実は三竦みの会談をこの学園で執り行うことになってね。会場の下見に来たんだ」

 

 

 部員達全員が驚愕である。

 これには俺もビックリだ。

 ……アザゼルが「後で話す機会がある」みたいなことを言っていたが、もしかしてそれは会談のことを指していたのか? だとしたら……言葉足りてないにも程があるだろ、あの堕天使総督。

 

 

「本当はダンテかバージルにも参加して欲しかったんだけどね……代わりがいるだろ、と」

 

 

 ゼクスが苦笑しながら俺を見た。

 俺自身は、ここ最近師匠達と連絡がとれないのだが……。

 一体いつから会談の話は出ていたんだだろうか。

 

 

「俺ェ? どう考えても代わりにならないだろ……」

 

 

 魔王、堕天使総督、天使側は……大天使か? そんな中で俺が代表の一角とか可笑しいだろ。俺、これでも十六才にもなってないんですけど。

 乗り気で無い俺に、ゼクスは言葉を続ける。

 

 

「現存する魔人は四人、その一人であるキミには充分資格がある……何より三竦みでは悪魔、天使、堕天使しかいないからね。魔人は魔の力を持つが人間――」

 

 

「――つまり人間として参加する枠ってことね」

 

 

 まァ直属の上司ともいえる師匠らが俺を推したのなら俺に拒否権はない。というか場所が駒王学園なら俺が出るのが手っ取り早いし。

 思紋バアさんなら人間枠なのだろうが、あのひとは外に出ることができないからな。

 俺が参加を承諾すると、脇からゼノヴィアがゼクスに声をかけた。自己紹介をしたかったようである。

 

 

「――ハハハ、妹が魔人と関わるようになったのは……半分は私が依頼したからだが」

 

 

 ゼノヴィアの自己紹介を聞いて、機嫌の良さそうなゼクス。

 俺は自分でも知らなかった情報がチラッと出てきて、訝しげにゼクスを見た。

 

 

「まさか見習いとはいえデビルハンターが眷属に加わるとはね。……リアスをよろしく頼むよ、ゼノヴィア」

 

 

「悪魔としてもデビルハンターとしても未熟な身だが、精一杯やらしてもらおう」

 

 

 ゼノヴィアの言葉にゼクスは満足げに頷いた。

 前者のゼノヴィア、悪魔になったことを後悔をしている様子はない。それは良いことなんだろうけど……いや、まァ俺がいつまでも気にするようなことではないのだけれど。

 ってか違う。

 俺が駒王学園に来ることになったのってゼクスの差し金だったのか?

 

 

「差し金、なのだろうか? ダンテ達も涼夜君が学校に通ったことがないのを気にしていたからね。ならリアス達のいる駒王学園はどうかと勧めたんだよ」

 

 

「あー……そういう感じ」

 

 

 納得だ。

 駒王学園は悪魔側の学園だし、魔王と魔人は繋がりがある。なら手続きとかも簡単に事が運べたんだろう。

 

 

「それに君がいれば周りに良い影響を与えるだろうしね」

 

 

 正解だった、とゼクスは楽しそうに笑うのだった。




16/08/11 投稿
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