トレセン学園の隠れた名店   作:[]REiDo

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真面目な雰囲気は前話で一旦しゅうりょ―

てなわけで今回はいつも通りの日常話でっさ。



楽しまずして何が趣味か
踊るときは羞恥心を奈落に捨てるべし


 

 ふむ、なぜこうなったのだろうか。

 

 頭を回せど答えは出てこない。静かに考えようにも歓声がうるさいから考えられない。

 

 隣には俺と同じく暴れる芦毛(あしげ)の同類。

 

 おう。良い暴れっぷりだ。ウマ娘の身体能力でこっちに被害が来ることは避けたいが。

 

 ……ってもういいか、コイツもコイツだし流れに身をまかせよう。

 

 俺はそう考えて、それ以降考えるのをやめた。

 

 ブレイクダンスに余計な雑念はいらん。

 

 

 

 


 

 

 

 

「はぁ、ウイニングライブですか」

「ああ。その件で少し頼みたい事があってな」

 

 

 俺の目の前で酒を呷る沖野先輩からそう告げられる。

 

 午後8時、テイオーのデビュー戦が終わって数ヶ月程経ったある日のこと。

 飲酒中のトレーナーが居る為、ウマ娘来店禁止中である俺の店『ウマ小屋』の中。

 いつものように、沖野先輩がうちの店で晩酌している最中、店主兼トレーナーの俺はそんな頼みごとを聞かされていたのだった。

 

 目の前で晩酌される光景も見慣れたものだ。昔は店主である以上、営業中は飲めないから一緒に乾杯をしたい気持ちがあった。が、今は割り切って終業後に飲むようにしてる。

 

 因みに、俺は酒にだいぶ強い体質だ。ウォッカをロック飲みしても酔えないくらいには。

 先輩らにそれ言ったら「やっぱ変人だろ」と罵られた。なして()

 

 

「今月のジュニア級レース、お前さんは見たか?」

「え? まあ、一応。ただ最近はテイオーに付きっ切りだったんで全部は追えていませんけど」

 

 

 カランッとグラスに入った氷を鳴らして先輩に問われる。

 

 そういえば、最近ジュニア級のレースを見る機会が減った気がするな。ウィングのレベルを基準にしてシニア級とか上位のレースを参考にしてるからか……いやダメだな、もっと初心に帰る必要がある。

 

 今テイオーがいるのはジュニア級だ。アイツの立っている場所も参考にして調整していかないと。なに、情報は多い方が損が無い。

 

 まあ、ジュニアの情報が足りないのは確かだ。事実は伝えよう。

 

 

「情報に関しては、博識とは言えないですね」

「そうか」

「どうします? 急用なら今すぐレースの動画見てきますけど」

「ああ、いや大丈夫だ。頼む立場なんだ、見てほしいものはこっちで用意した」

 

 

 そう言って沖野先輩が取り出したのは一誌の新聞と……カラオケの割引券?

 

 

「まあなんだ、とりあえず見てくれ」

「はぁ……」

 

 

 カサリッと新聞紙を持って中の情報を見る。

 そこには今月に注目されてたらしいジュニア級レースの輝かしい功績がでかでかと示されていた――はずだったのだが。

 

 ……はっきりと言う。何だこりゃ。

 

 新聞の一面を飾っていたのはウィニングライブの写真だった。

 写っている面々の名前は『チーム<スピカ>』 と60ポイントのフォントでドンと載せてある。

 確か沖野先輩が引率しているチームのメンバーらしいが。

 

 いや、うん。まあとにかくどんな写真があるかだけ言おう。

 

 ウイニングライブでセンターを勝ち取り優雅に踊る少女が1人。

 

 泣き目で顔面を地面にボッシュートして転んでる少女が2人。

 逆立ちをして自信満々に予定外の踊りを繰り広げるゴルシ(同類)が1体。

 ()()()()()()()()()何をどうしたらいいのかわからなげにボッ立ちしている少女が1人。

 

 

「え、なんすかこのウイニングライブ(面白惨状)()」

「言ってやらないでくれ……レースに集中させ過ぎた俺のせいでもあるんだ……」

 

 

 目を閉じて頭を抱える先輩の姿がそこにあった。

 グビッと現実から目を背けるために酒を呷る姿は実にもの悲しげに見えるだろう。

 

 

「にしても、このグラサン少女どこかで見たような……」

「本題に入っていいか」

「ああはい、いいですよ。……まあここまで来たら大体察しますけど」

 

 

 流石にここまで大まかな失敗例を出されて、何を頼みにしに来たのかわからないほど鈍感な俺ではない。といっても、先輩はしっかりとお願いをしに来たわけではあるので、俺は放たれるであろう言葉を待つ。

 

 で、先輩は大きく息を吸って――

 

 

「頼む! ウイニングライブの練習指導役、一緒に任されちゃぁくれないか!?」

 

 

 パンッ!と両手を合わせて頭を下げた。

 

 うん、知ってた。 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 結論を言うと、先輩の頼みは受けることにしたよ。

 理由は? なんて言われると、単に休日だから暇だったとか、面白そうとかになるな。文句あるかスレ民共?((圧

 

 まあでも、助けになれることは確かだ。

 

 うちには現役を経験したウィングもいるし、ダンスがうまいテイオーもいる。なおかつ俺も一般的なダンスの基本知識は頭に入れてある。指導役としては及第点といったところではあるが。

 

 それでも素人が教えるよりはマシではある。体を動かす行動っていうのは一旦癖がつくとなかなか治らないもんだからな。しっかりと知識を持った人が教えるに限る。

 

 

「~~~~♪♪」

「おー! テイオーすごい上手だね!」

「えっへん! ボク、昔から踊るのは得意なんだ!」

「流石にうまいな。ウィングよりも躍動感があって良き良き」

「私を比較対象にするのはやめようよトレーナー! ちょっと恥ずかしいから!」

 

 

 ということで、やってきました都内のカラオケ店。

 

 現在、俺の目の前ではテイオーが自分の幼さにあった曲を歌い、軽やかなステップを踏んで踊っている最中だ。

 いやー元気があって大変よろし。良い笑顔で踊っている写真も撮れたし、後でスレ民に自慢してやろう(鬼畜)

 

 踊り踊る制服の格好をしたテイオーに対して、隣で合いの手を入れていたウィングは緑のベストの下に白いキャミソール?ってやつだっけか、オシャレはよくわからん。まあとにかくいつもの私服である。

 俺? もちろんパーカーだが。文句あっか?((圧

 

 で、だ。

 

 どうして頼まれた側の俺たちが先に居て<スピカ>の面々がいないのかだが、先輩からカラオケの割引券をあらかじめ受け取って先に室内に入っとけと言われたからだ。

 おそらくチーム<スピカ>全員の待ち合わせでもしているんだろう。大人数だとこういう不都合もあるらしい。

 

 部屋を埋め尽くしてた曲が止まる。

 テイオーの一曲が終わって次はウィングの番だ。

 

 

「次は私が踊るね。テイオーも一緒に踊る?」

「いいよ~。トレーナーは?」

「俺は勘弁。まあ、合いの手くらいは入れてやるよ」

「ちぇー、つまんないの」

 

 

 悪いが、かたくなに遠慮させてもらおう。

 というか女だらけのアイドルスペースに何野郎をぶち込もうとしてんだこの子供は。んなことしてみろ、俺が掲示板で丸1日中処されるわ。花園に黒墨を入れるな。これお兄さんとの約束な。(早口)

 

 

 

 

 

 

 

 

 連絡きました。先輩から。

 

 

「あとちょいで着くってよ。心の準備だけしとけー」

「はーいわかった」「うんわかった~!」

 

 

 緊張させない為に(こいつらの場合無いと思うが)踊っているテイオーとそれに合いの手を入れているウィングにゆるーく伝えて、俺は手元のタブPCを起動する。

 <スピカ>メンバーの事前情報は昨日店を閉めた後に確認済みだ。データも今持っている端末に移動してある。後は最終確認だけ。それぞれの動きの癖とかを見ておきたい。

 

 

「……にしても悪いな、朝急に呼び出して。休日だからなんか予定もあっただろうに」

「別にいいよ。急ぎの用事でもなかったし、何より今日って()()()がいるんでしょ?私も久しぶりに会いたかったからね」

「カイチョーが『ウイニングライブを疎かにするのは学園の恥』って言ってたから。 ボクも都合がよかったよ!」

「わお、お厳しい会長だことで」

 

 

 タブPCを操りながら謝る俺に、テイオー達は非常にやさしく返してくれた。

 

 いやー優しい世界野菜生活。ホント良い担当を持ったもんだ。

 これで俺一人だけってなってたら泣いてたな。主に疲労で。一人で5人分のコーチングとか普通に疲れるわ。

 

 テイオーが歌う『恋はダービー』がサビに入り、ご自慢のテイオーステップが披露される――

 

 

「入るぞー」

「「「テイオー!?」」」

「テイオーさん!?」

 

 

 って、いきなり来たな。この人にはノックするって概念がないのか。

 部屋に入ってきた<スピカ>の面々を見れば驚き3平然2ってとこだ。ゴルシ、お前ホント動じねぇのな。

 

 

 

 

 

 

 曲も終わり、カラオケ特有のドでかいモニターに[98.874点]と表示されたところで、テイオーの紹介が入った。…………ぷっくくっ、歌とダンスの先生だとよテイオーww いい紹介じゃねぇか『無敵のテイオー』に並べて広めるといいぞはっはっはって、痛てぇ!脛蹴るんじゃねぇよ!

 

 脛の痛みに悶えていると、面々の目線がウィングに集まっているのを察知。

 最初に口を開いたのは胸の――ゲフンゲフン。えー『胸部』が豊かな少女だった。

 

 

「というかアストラル先輩まで!? どうしてテイオーと一緒に!?」

 

 

 目を見開いて絶叫する少女に続いて叫んだのは、またもや独特な髪飾りを付けたボーイッシュな少女だ。確か、前者が『ダイワスカーレット』で後者が『ウォッカ』って奴だったっけか。 

 

 

「アストラル……ってあの『アストラルウィング』か!? 2冠王者の【飛翼(ひよく)】のアストラルウィングだろ!?」

「こら!! 失礼じゃないウォッカ!!」

「ふふっ! いいよ別に。私はもう引退した身だから、好きに呼んでくれても構わないよ」

「おお……ほ、本物だ。あ、握手してください!!」

「いいよ~♪ ついでにサインも後で書いてあげる」

 

 

 おー、流石ウィング。現役の頃のファンサがまだ染みついてるな。

 

 そういえば、コイツ今は評判的にどうなんだろうか。掲示板じゃまだファンがあふれかえっているけど、世間一般的には印象に残ってくれているのか?

 ……いやぁ、残っててほしいな。一応こいつと一緒に走った証明なわけだし。

 

 と、そんなことを思いふけっていると沖野先輩がこっちに近づいてくる。

 

 

「待たせて悪いな多良トレーナー」

「いえ、こっちも準備って言う(てい)で楽しんでたんで気にしてませんよ」

 

 

 キャンディーを加えながら開口早々謝る先輩に俺は立ってお気遣いなく、と言葉を投げる。

 まあ、テイオーらは楽しんでくれたし困ってもいないから別に大丈夫――

 

 

「あぁー!!!」

 

「「「!?!?!?」」」

 

 

 一人の少女の叫びが、室内を埋め尽くした。

 唐突な大声に驚愕する周りの連中だったが、俺らは予想してたこともあってか驚きはしなかった。

 

 俺と()()()()はその声の宿主に目線を向けて、こう言う。

 

 

「よおスぺ公。()()()()()()()

()()()()()()()、スぺちゃん。元気にしてた?」

 

 

 何度か()()()()()()顔と髪型に、何度か()()()()()()()声。

 

 

「ヒヤお兄ちゃん!? もしかしてテイオーさんのトレーナーだべさ!?」

 

 

 人差し指で指されながら、慣れ親しんだような大音量の台詞を耳で受け止める。

 

 そう、スぺ公――もとい『スペシャルウィーク』は俺の知り合いなのだ。

 ていうか、俺の地元である「北海道」の近所関係にあたる知り合いである。

 

 ウィングとの関係だが、その昔、ウィングも俺が実家帰省の時に同行して数日間だけ世話したこともあるのだ。つってもウマ娘の成長期ともいえる『本格化』が起こる前の出来事ではあるがな。

 

 まあ、そういう理由上、俺とウィングはスぺ公こと『スペシャルウィーク』と顔見知りの知り合いということになるのだ。

 

 以上説明終わり。

 

 

 ていうかスぺ公、地元語出てる。現代語と混ざって()()()()()ぞ。(訳:滅茶苦茶になってる)

(地元語)(特大ブーメラン)

 

 

 




 見返り云々の話

「お前さん、最近トウカイテイオーのトレーニングに顔出すようになったんだって?」
「半バ強制ですけどね。別にサボりたい気持ちは変わってません」
「渋面で言うなよ……。ならよ、俺が虚偽の呼び出しをして、サボる口実を一回だけ認めさせる権利っていうのはどうだ?」
「喜んで引き受けさせていただきます大先輩様」


 現金な奴? うるせえ!有給休暇が1日増えたって思えよ!!誰もが欲しがるもんだろうが!!
 



評価ボタン? 蜜の味がするに決まってるだろ
感想ボタン? 花の匂いがするに決まってるだろ

他ウマ娘との絡みもっと欲しい?

  • くれ
  • いらん
  • どうでもいいからイチャイチャ見せろ
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