納得するまで書いてたらめっちゃ長くなったし時間かかった(土下座)
自己理解は深めにできてると、俺自身そう自負している。
年齢20代。自分をだます嘘はつかない性分。
趣味はやりたい事、そして特技は趣味全般そのもの。
俺は『趣味人』だ。
ついでに言いえて妙だが『変人』だ。『奇人』だ。
どこまで行っても唯我独尊を貫き通す、普通には程遠い『狂人』だ。
そんな俺だが、よくスレ民共から質問が来る。
曰く、人に好かれることはあるのか、と。
……答えだが、はっきり言って『
中学の頃から出ていた結論だが、コレに関しては断言可能だ。てか実例が多数有るし。つまり手遅れ。修正不可能な事例ということだ。
てかそもそも、だ。
だぁ~れが好き好んで、こんな灰色髪年中パーカーの奇天烈衣装クソ趣味人野郎の事を目に付ける奴なんかいるのかっ。そんな奴が存在するなら逆に目にしてみたいわ。いや少数ならいるにはいるんだが。友人とかウィングとかよ。(早口)(自虐)
……が、まあそれは外見の話。
ウィング談によると、この地点で話しかける気すら損なわれてマイナス点らしいけど、まだまだ外見だけでの話だ。
人間、内面良ければこそ人に好かれるものである。
……と、友人がそう言ってた。俺は知らん、気にしてねぇから。
で、内面――つまり性格な?
そこら辺、俺はどうかというと……
まあ、うん。
クソである。
自分でも言い包めずはっきり言おう。マジでゴミだ。
口調は荒めだし、空気は読みにくい。
仕事以外は常に不真面目マンで、物事の優先順位は『趣味』が最上位で他人への気遣いはまあ雑の極み。
おまけにウィングには、まだまだ複数個所指摘するモノがあると言われる始末。
……これを機に俺も逆に問いたい。
なんで俺を好く奴がいるんだ?
はっきり疑問に思ったのは高校の頃に告られた時で、その時から続く長年の理解不能ポイントだ。ホントに意味不。
――とまあ話を戻し、なんでこんな話をしているのか。
俺は今日、この雨の中で
見つけた時、彼女はそれはもうご身分を超えた特訓を行っていた。
それに――その尖りに尖った彼女の性質に見惚れ、俺は雨に濡れるのも構わないという後先を考えない無鉄砲さで濡れたまま、俺は彼女の特訓風景を眺め続けて。
そして、ついには疲労で倒れた少女を介抱するために俺の店に連れてきた。
さて、ここからさっき話した内容と繋がるのだが。
俺は眺め続けている間、彼女からの不満を身に受け続けた。
まあそりゃいきなり現れて、ブツブツ独り言言いながら一人寂しくただ頑張ってるところを見られ続けるなんて、深く考えるまでもなく、死ぬほど邪魔だろう。普通は。(自覚有り)
「うるさい」「邪魔」「どっか行って」等、辛辣かつごもっともなセリフをもらった事は記憶に新しい。
まあつまりは、だ。
俺は拾った少女――テイオーに悪印象を持たれている
というか、そうなってなきゃおかしいのだ。
「それでね~? カイチョーはすごいんだよ!だってさぁ(武勇談的なエピソードの数々)」
俺のトレーナー室。
高めのテンションでシンボリルドルフの事を語る少女――トウカイテイオーの楽しそうな喋りに耳を傾けながら、俺はお得意のマルチタスクスキルで一字一句聞き逃さず思考を深めていた。
……これはどういう状況なのだろうか。
トウカイテイオーのジャージ服を乾燥にかけて、体の介抱をウィングに任せて。
その間に、俺はウマ小屋の厨房で暖かいコーンスープを作って、部屋に持ってきたところ。
何故、いや、俺の感じ間違いでなければだが。
なんで、俺は目の前で楽しそうに話す少女から、若干の好印象を持たれているのだろうか。
「むぅ? ねえ聞いてる?」
「おう、聞いてるぞ」
「そう? でさ、カイチョーがそう言ったら副カイチョーがもうすごい疲れた顔しててさ~」(早口)(もっと続いた)
返答は自然に。冷静に答えながらではあるが、俺の内心は困惑の極みだ。
口調も、身にまとう雰囲気も、ターフで向けた俺に対する敵対心も、何もかも無くなったり優しくなっている。
なんていうか、隣人同士のなんてない会話みたいな感じ。「少し気になるから話しかけたいなー」くらいの軽さだ。
先刻まで予想していた対応と違うことが気になり、原因を頭の中で探ってみる。
思考を続けてる間も、トウカイテイオーの一人語りは続く。
喋るのはずっとシンボリルドルフに関わるものばかりだ。止まることを知らない。どんだけ好きだお前。
と、それに耳を傾けながらその隣――ふと座椅子に座るウィング視線が合う。
さっきからトウカイテイオーの言葉に相槌をうったり、逆に知らない事を話したり、
(そういえば、服の乾燥とか体を拭くのとか任せたっきりだったな……)
俺は俺でコンポタ作ったりしてたし……
なんて考えていた、その矢先だった。
一人の会話が流れていたその一瞬。
(…………あー、なんかやったな)
俺に向けて。
間違いなく、意図して、俺に向けて一つ右目でウィンクをしたことで確信を得る。
俺が想定していた現状のズレの原因は、ウィングがトウカイテイオーに何かを吹き込んだ事で起こったのだと。そう理解した。
アイツは、意外に人と慣れあう事に適した奴だ。
誰とでも難なく会話はこなせるし、気を使う技術も持ち合わせている。というか、引退して以来、何の勉強をしてるかは知らんが、能力が向上している気さえする。
ただ、アイツの場合自分からはきっかけを作りに行くことは少ない。
偶然話しかけれれば関係を作る。そのくらいでしか、人との関わりに興味を示していないのだ。
だがそれ故か、ウィング自身が望んで関係を作る事を決めた時。
その時は一等級のコミュニケーション能力を発揮する。
実際、アイツは現役時代、ただでさえ過去の負い目ともいえるシンボリルドルフと好意的な関係を作ることに成功している。そしてそれは今も続いている。
ならば
(難しくは無い、か?)
目の前で楽しそうにしゃべり続ける少女を絆すことなど、ウィングにとっては容易に近いことなのかもしれない。
そして、どんな手法を使ったのかは知らないが、ウィングはさっきまで少女が俺に向けていた敵対心を霧散させるどころか、好意的な印象を付与することまで成功したのだろう。
(つっても、よくやるよコイツ。いやマジでさ)
おそらく、最初は本当に俺の予想してた通りの印象だったのだろう。裏付けはさっきまでの様子と、今こうして楽しそうにしゃべる少女の様子だけで事足りる。
(……ったく、人が人に与える印象を変えるのは、そう易いことではないだろうに)
……ま、結局はここまで推論に過ぎないんで。言及はしないでおこう。
機嫌が良いなら良いで、俺はそれを利用させてもらうことにした。
熱は熱いうちに叩けってな。
「あー、自慢げで話してるとこ非常に恐悦至極なんだが」
「何その口調」
「うるせ」
楽しく話す少女の様子も長く見れて満足したことだし、話の腰を折るように話題を変える。
変え方に笑えるところがあったのか、ウィングが若干バカにしたような苦笑を浮かべる。ジト目で返した俺は泣いた。
「ん~なに?」
「いままあ、なんだ。お前、随分憧れてんのな。あの会長さんによ」
「まあ、ね? 小さいころからカイチョーと走る事ばっか考えてたから」
「いいことじゃねぇか。そんだけ没頭できるなら」
小さいころから。
つまり当然、ルドルフに対する想いの強さは尋常じゃないということ。
感情の濃さは、その『純度』と『募ってきた時間』でその色を増す。まあ、こんな論理的な考えでも無くても少女がさっき見せた無茶なトレーニングで分かるようなもんではあるんだが。
その会話を機に、そこからは本当に他愛のない話が過ぎていった。
ハチミーなどという糖分飲料を教えてもらったり。俺の趣味内での経験談など、笑い話になるような会話に花を咲かせていた。
時々、俺宛ての質問に対し答えたりもした。
普段何してるか、なんでお店やってるのか、ウィングと歩んだ昔の話など。
話を盛り上げるために内容を少々誇張したところもあったが、その甲斐あって少女にとっては身になる内だったらしく、喜んで聞いていた。
流れ一転して、話題は少女の身の上の話に移った。
何を思ってトレセンに入ったか。夢の話、目指したい目標の話。少女は自身の夢である【皇帝】についてを自慢げに語る。
そして、つい先日。何が起こったか。何を経験したか。
膝を折った過去の記憶が、少女の口から語られる。
俺とウィングはそれをただ聞いている。
内容は【皇帝】本人から聞いたのとなんら差異はない。だから新鮮味こそないが。
しかし、少女の気持ちそのものを吐露したような感情の波が、彼女の――トウカイテイオーの独白を聞き逃すことを禁じさせていた。
会話の一区切り。
3秒ほどの間。
静寂の数瞬を過ぎたその時、ぽつりと。
こぼれるような言葉が落ちる。
「ボクね? 走るのがすごく好きでさ」
少女が体を揺らす。
笑顔で語るように見え、聞こえるその言葉にはどこか悲壮感が残っている。
「初めて見たレースでカイチョーが走る所を見てさ。もう、すっごい胸が熱くなっちゃって」
「いつかカイチョーみたいな人になって見るぞー!って」
「勉強も、レースも、色々意気込んで頑張ってきたんだよ」
「頑張って、来たんだよ」
ボク、頑張ったんだよ。と、少女の――
「カイチョーはボクの憧れで、ボクの大きな目標で……ボクの夢で」
「でも、あれだけ遠くてさ。手が届かないくらい、影も踏めないくらい遠くてさ」
「……ボクは、ボクが今までやってきたことはさ? 目指してる『夢』に届くようなものだったのかなって」
傍らに座るウィングは、その言葉の真意を知っている。
上から叩きつけ伏せられる絶望。今まで培ってきた努力が、一筋の風によって不意に吹き飛ばされたような理不尽。
その辛さを身をもって経験しているウィングは、少女の独白を止めることなくただ受け止める。
だから止めなかった。
その先の言葉を。
「…………ボクの走ってきた今までは、無駄だったのかな」
動揺はない。
悲壮はない。
俺はただ、たぶんウィングと同じようにその言葉を胸の奥にしまい込んだ。
一人の少女が放った心の叫びの重みは、以外にもすとんと収まった。
言い切った少女の顔と視線は天井に向いている。
泣いているわけではない。しかし、カラ元気な表情を浮かべているのは俺の位置からでも見えた。
……何を思って、さっき会ったばかりの人間にあのような話をしたのかは分からない。
思春期の子供の事だ、俺の知らない事情があって話したのか。それともただの気まぐれか。
――それとも何処かの誰かからの告げ口に影響されたか。
気になった対象として、理由が知りたいのはある……が、それも後回しだ。
この静寂を埋める言葉を、俺は語る。
「過去は『縋る』モンなんかじゃなくて『懐かしむ』モンだよ」
そう始め、押し進め、語りを始める。
ただの持論だがな、と懐かしむように、吐き捨てるようにそう笑う。
「……慰めならいらないけど」
「いいや? これはただの一人語りだ。聞きたくなきゃ耳塞いどきな」
開口一番のアドバイスを慰めの言葉と受け取ったのか、意気消沈のまま若干ムッスリ顔になる少女。
少女の隣では苦笑するウィングの姿が。また始まった……なんて思っているのだろうか。
そういや過去にも似たようなことはしたなと思い、ふと頭の隅で
あの河川敷の芝生の上の淡い記憶が。
……今から行うコレも似たようなものか?
心の鎖を剥がす儀式。
後ろを向かざるを得ない少女を────
笑顔で、前だけを見れるようにする小さな儀式。
俺は、言葉を紡ぐ。
丁寧に、心に響くように。
「『過去』ってのはな。偶に思い出して苦しくなったり、怒ったり、笑うモノだ。決して依存する対象になっちゃいけねぇ」
「過去に依存すりゃ、それはもう前に進めなくなる鎖になる。縋って、それしか見なくなる――後ろを見続けるつまんない人間に成り果てる。ま、俺個人としちゃ、そんなの断固としてゴメンだな」
紡いだ言葉が部屋に響く。
『過去』の栄光。『過去』の屈辱。
心を満たし、心に傷を負わすモノ。
なるほど、それは確かに味わい深いモノだろう。噛み締めればさぞ、良くも悪くも今を生きる自分自身に刺さる記憶だろう。
「『過去』や『昔』。そりゃ良い思い出もあるだろうよ。痛い目を見て俯きたくなるようなこともあっただろうよ」
だが。
「でもよ。
そうだろ? と小首をかしげながら俺は少女に問う。
握りしめられた手のひらは、分かっていると言わんばかりの反応を示すには十分だった。
過去に依存するとはそういうことだ。
経験したことを糧として前を見るのではなく、思いつめるだけ思い詰めて重しになるような――
体にまとわりつく鎖になる、過去の依存症を作る行為。
「なあトウカイテイオー。お前はさ、そうやってレースの時に『過去』なんて後ろ向きなもんを気にして走り続けたいのか?」
「っ……!」
息を呑む音が聞こえた。
それは間違いなく目の前の少女からのものだった。
「お前が目指す夢は、そんなことを考えた先に待っているモンなのか?」
俺がそう言い切った瞬間の、少女の様子。
下唇を噛んで、俯いて、何をどうしたらいいかもわからない子供の顔が見える。
「……それでも、捨てきれないよ」
「だって、ボクの夢だもん。ボクが目指している憧れだもん」
「捨てれない。捨てきれない。忘れられるわけがないでしょ……っ!」
目指した栄光の輝きも、経験した屈辱も。
そう、忘れられない。
少女の隣に座る、
それは夢を目指す者にとって、前に進むための原動力だから故に。
憧れた当人から受けた経験は、脳裏にしがみついて離れることはないだろう。
「…………はぁ。あのな」
嘆息を一つ。
……少女は一つ勘違いをしている。
過去は忘れられない。それは正しい。
憧れの記憶は焼き尽くされない。
だが、「
「
荒っぽく吐いたその答えに、少女は目を開けて俺を見る。
俺も俺とて、椅子から立ち上がり少女が座るベッドの前に移動した。
「過去を捨てきって前に進む? それじゃ、ただ経験したものを見て見ぬふりしてるだけじゃねぇか」
「曲解するな。違うだろトウカイテイオー。お前が憧れた
荒く、強く、答えのない問題の答えを突き付ける。
絶対にそれは間違っているからだ。
確かに辛いことはある、悲しいこともある。時々嬉しいこともあったりするだろう。
けど、それをただ
せっかく身に受けた経験を捨て去る事だけは断じて間違っているだろうに。
「……でも、どうすればいいのさ。ボクはアレを忘れられない。それを抱え込んじゃってるから前に進めなくなるって言うんじゃ一体どうしたら――」
「違う。思考を止めるな。
なんでそこに、「
問いの答えを、少女の前に叩きつける。
そう、簡単な答えだ。誰もが思いつくような答えだ。
けど、過去を重くとらえる者にとっては、思いがけない答えだ。
その例に、答えの意図がまるで分からないと、少女の口から疑問の言葉が放たれる。
「え、でもそれじゃいつか」
「ああ。いつか考える日が来るかもしれない。ふと思い出す日が来るかもしれない。――でもそれは決して『屈辱の経験』としてじゃない」
俺は少女の座るベッドの傍で腰をかがませ、目線を合わせる。
そして少し微笑みながら言った。
「お前がいつか重ねに重ねた『経験』の結果から生まれる、
「…………思い出?」
言葉の意図が分からないよ、と放たれる少女の言葉。
「そう、思い出だ。『あの頃の自分はこうだったな』ってな感じの楽観的なやつな」
「それは、気楽な考えでいろってこと?」
「半分正解。けど、経験を生かすにはそれだけじゃ足りないな」
つい、子供をあやす癖が出てしまったのか、衝動的にトウカイテイオーの頭を撫でてしまう。
「っ!?」
「おっと悪い。すまん癖でな」
「うっうん、大丈夫。パパとママ以外に撫でられたことなんてなかったから、ちょっとびっくりしただけ」
反射で体をビクつかせたトウカイテイオーを見て、理性的に頭から手を放す。
あと
てか、しっかり悩んでいる子供を慰めに撫でてしまいたくなるこの衝動の名前を付けたい。
いい加減この手癖落とさねぇと変な目で見られかねんわ。
……閑話休題。
気を取り直して話の続きに戻るため、俺は口を開いた。
「ま、そんな考え込みすぎんなってことだ。
「いや、そんなの全然聞いたこともないけどね……?」
少しはっと笑って吐いた俺のセリフに、少女はツッコむ。
まぁ、意気消沈した子供なんざできれば見たくないのが俺の本音だしな。
出来れば、考え深いしがらみなんざ吹っ飛ばして、やりたいことやって満足した姿が見たいもんだが。
「それで、あとの半分は?」
さっきの続き、と少女が口を開く。
「ん? ああ、続きね。……ちょいとむずい話になるんだが」
「…………」
早く聞きたいと、少女が耳を立てる。物理的に。
反応が正直で分かりやすいのは、ウマ娘の面白い所だ。長年ウィングと近くで接してきたからか、そういう観察眼も極まってきたらしい。
でまあ、話の答えなんだが。
「経験を活かすには、研鑽がいる。ってのは当たり前だよな」
「それは、そうだね」
「なら話は簡単だ。
お前が経験した『思い出』から学べるモンを抜き取ればいい」
「……ん? どういうこと?」
……ありゃ、分かりづらいか。
「あー、つまりだ。ただルドルフにボコされたって気持ちだけで思考を止めるなってことだ。
結果だけ眺めて、学べたはずの技術をスルーするってんじゃ、せっかくの経験も――ましてや、お前が目指す【皇帝】直々の経験なんだからよ。なんていうか……もったいねぇじゃねぇか」
今度こそ。
少女の瞳が大きく開かれる。
考えもしなかったと。長く咀嚼し続けてきた悩みの解答に驚いているようだった。
それもそのはず。至らなかった理由は、少女が今まで、打ちのめされたという『結果』しか見てこなかった為だ。
「経験を積むためには、結果だけじゃなく過程の分析も重要になる」
例えば、ターフで走り切り新記録が出た。
「やった。やり切った。だからこれでいい」と。
それだけで終わらせないことが、研鑽の本質なのだ。
もっと見返せば学べることがある。ここはこうすればいい、あそこはこうすればもっと早くなれる。
結果を喜ぶのも構わない。結果に打ちのめされてしまっても構わない。
ただ、そこで終わるな。
「進んだ道のりを無下に見るなよ。たとえそこに至ってみじめな姿になったって、そこから
折れても、くじけてもいい。
心にともす信念に従うなら、ただただ打開策を考え続けろ。
どんな形であれ、そこに成長した自分の道は存在するのだから。
「――進んだ道を偶に思い出して、そっから使える『経験』を根こそぎ拾い集めろ。
――思い出すのが怖いなら、その『恐怖』ごと正しく受け止めろ」
少女が言葉を詰まらせる。
反対に俺は、決め台詞として最後のアドバイスを言い放った。
「んで、そしていつかの『経験』を得た自分になったら、あの時『恐怖』で怯えてた自分を鼻で笑っちまえばいい。案外爽快だぜ?」
俺は笑いながら。
少女は俺の言葉を受けてから、少し苦笑して。
その隣に座るウィングはそんな様子を眺めて満足したのか、俺が持ってきたコーンポタージュを取りに行った。
「折れて伏せたってんなら、後は堂々と胸を張ってろ。お前にはそれが一番似合ってると思うぞ」
「…………うん」
「よし。んじゃ、コーンポタージュ飲んで今日は寮に帰るといい。
頷いた少女の表情は、少しだけ晴れやかになったように見えた。
…………
んでまあ、あとは何事もなく。
冷めかけていたコンポタをウィングが暖めに行ってくれたようで、手間無しで飲み終わって解散となった。
デスク前に座りながら目線をデジタル時計に向けると、時間は既に午後8時を指している。
こんな時間帯に一人で歩かせるのもなんだから俺が着いていこうか……というか送ろうかと相談したんだが。
『あ、じゃあ私が行くよ。そろそろ
『? それはいいが、お前勉強は? 途中で中断したんじゃなかったか?』
『…………帰ってやるよ』
『終わってねぇんかい』
ウィングが自ら手を挙げたことによって、俺の心配は霧散した。
まあ、アイツが居りゃ大丈夫だろう。第一ここはトレセンの敷地内。地元のクソ田舎じゃあるまいし、不良に襲われることなんざ万一にもないはずだ。
「さて」
デスク前で一つ伸びをする。
氷砂糖を一つ口に放り込み、PCを起動。12あるモニターから数々の色彩が浮かぶ。
使用するソフトは「物理演算」「計算」「文書」その他諸々etc
いずれも、ウィングが現役の頃に使っていた
業務は済んでいる、時間は無制限だが早めの方がいい。
触察などはしていないことから、圧倒的な情報不足。
頼りになる情報は――直接己の目で見た彼女の走りのみ。
以下結論、完成度は50%に達するかという所。
つまりは十分。
「取り掛かるか」
あれだけ我慢したんだし。
ここからは、俺の勝手な
他ウマ娘との絡みもっと欲しい?
-
くれ
-
いらん
-
どうでもいいからイチャイチャ見せろ