今回は追憶回と名付けた過去回になります
多分、更新していくうえで不定期にこういう回を出すと思う。
あと比較的真面目な作りにもなりそう。
「暇」
木々の間を通る日差しで火照る体、鼻につく芝の香り。
俺は全身で感じる感覚を、とある場所で寝ころびながら堪能していた。
「暇暇暇暇だだだだだぁぁ……」
導入からだる気ですまんな。仕事終わりで眠いんだ。だいぶ頭が狂ってきてらぁ。
現在時刻は14時、天候は快晴なり。青空も満天で良い昼寝日和である。
いやー、仕事が早めに終わった後の昼寝ってなんでこんなに背徳感すげぇんだろうな。俺これ続けて6ヶ月くらい経つけど全然やめられない。
あれか。仕事が終わっていない社会人を酒の肴にしている感覚があるから、それに酔いしれているのかもしれんな。そりゃやめれんわ(ゲス)
てか流石に暇すぎるから回想でも流すわ。いい退屈しのぎにゃなるだろ。
俺が中央のトレセン学園に配属されて1年が経つ。
実家暮らしを決め込んでいた俺は、こんなところに就職するつもりなど毛頭なかったのだが……まあ、なんだ、巡り合わせが俺のところに回ったのか、流れるようにここまで来てしまった。
元々、俺は実家の北海道にある地方のトレセンで事務員として働いていたのだ。ちなみに経理部担当だった。
就職先は親父からの紹介で入ったもので、給料もそこまで悪くはなく、俺としては「とりあえず数年働いてみて様子見かな」程度の気持ちで、業務に励んでいたのだ。
事態が急変したのはちょうど1年前。
俺が働いていた地方のトレセンに、なんと中央のトレセン学園所属の理事長が視察に来るという話から始まった。あの時期は他の職員全員、マジで慌てふためいていたな。
かくいう俺と言えば、まったくと言っていいほど興味などなく業務に勤しんでいた。……今思えば、勤しみすぎたから目を付けられたんだろうな。うん。
さっきも言ったが、俺の業務は経理部担当だった。
トレセン学園と言えば、基本的に『トレーナー』と呼ばれ【ウマ娘】というアスリートを育成する人間が主体で回っている。
今の世はウマ娘ブームというもので、一つのレースがあるごとにその日は狂乱と熱狂交じりでレースの話で持ちきりになるくらい人気があるコンテンツなのだ。
そんな中、地方の学園の経理を隅の端っこでコソコソと処理している人間に気をひくものなんてあると思うか? HAHA 普通はないよな。
……普通ならな。
いやまあ、うん。
どんな量の仕事が来ようが、
仕事に勤しみすぎて、あの常識的には有名なロリ理事長に気づかない程集中してりゃもっと興味を惹かれるってもんで。
『質問! 君の名を聞かせもらっても良いだろうか!?』
なんて声をかけられてしまうのは、自業自得としか言いようがなかったのだ。
今思い返してみれば、某映画のセリフに似ているな。……いや、どうでもいいか。前々前世に逢っているわけでもないんだし。
あと、一応補足しとくと、仕事自体に別にやりがいが無かったわけじゃない。
余った時間は、学園の生徒のトレーニング風景を見て独学する時間もあったし。地元の人らはそんな俺のことを仕事面では頼ってくれたり、自由時間の時は気にかけてくれたりもしたからな。いいホワイト環境だったよ。
ただ俺が、マルチタスカーなだけに仕事を終わらすのが異常なくらい早かっただけ。うん、それだけ。
……理事長に話しかけられてからの流れは、早すぎて俺自身あまり覚えてない。
明確に分かっていることと言えば『俺の事務処理能力を中央のトレセンで活かさないか?』みたいなことを理事長に問われたくらいか。
中央のトレセンにはトレーナーの数が少なく、常に人手不足状態であり、理事長個人の願いとしては『多少なりともトレーナー諸君の負担を減らしたい』というものだった。
実家暮らしが好きな俺は承諾するつもりなんか毛頭無かったのだが、深刻そうな理事長の顔を眺めて、思わず『善処します』みたいな返答をしたはずだ。気楽に。帰って飯食う頃には、この話はこれで終わりかな、なんて思っていたんだよ俺。
……それがどうしたことか。次の日にはクソ親父と母さんに話が知れ渡っており、親父経由で商店街のじいちゃんからトレセンの職場まで話が乾いたスポンジ並みに浸透していやがった。
しかも全員、全面的に俺の中央逝きを推してくるもんだからホント困った。
俺は嫌だ嫌だ、と数日間拒否していたのだが、気づけば話が地元中に浸透しており、断れない状況になってしまう。
いつも野菜大盛りにしてくれる八百屋の爺さんすら俺のトレセン行きに賛成していたからな。俺の味方だと長年思ってたのによ……。あ、でも相変わらず野菜は大盛りにしてくれた。やっぱ味方だあの爺さん(現金人間)
そして最終的には、親父から魂のバックドロップを、母さんからは渾身のドロップキックを食らい、俺は中央のトレセン行きを決めたのだった。
これらは実に1週間の出来事である。
スピード感がマリカ超えててマジで頭バグりそうだったわ、ここほんとに地球?
あと母さん……ウマ娘のアンタから食らったドロップキックはめっちゃ効いたよ……ガクッ……
で、今に至るというわけだ()
親父からは『新しい趣味探しと思ってとりあえず行ってこいやオラぁ!!』とバックドロップを食らいながら言われ、仕方なく来た中央のトレセンだが、やっぱ都心にある施設なだけあってしっかりしていて地方とはまた違う味があって割と満足している。仕事も順調だし。
ただ帰ったら親父に背負い投げするのは決めてる。あの野郎絶対仕返ししてやるからな(私怨)
あと、ここに来る前にトレーナーの免許みたいなものを取ってきた。
そのせいか、ここでの俺の扱い的には『新人トレーナー』ってことになってるらしい。
親父からなんか取っといた方が良いみたいなことを言われてたやつで、めっちゃ難しかったから鼻血出るくらいクッソ勉強してやっとのこさ取れたんだけどさ……これいる? 俺の業務って相も変わらず経理とかの事務処理なんだけど。
まあそんな仕事も、いつも通り5時間くらいで終わらせてぐーたら寝ているんだが。
もうちょい俺好みの環境が整えば3時間くらいに短縮できるはずなんだけどね。共用の職員部屋だと設備が限られるから全力が出せん。
「そろそろ、自分の場所を見つけるべきかね……。今度、学園の探索でもしてみるか」
そんな良いところなんてあんま無いのはわかりきってるけどな(フラグ)
大きめの倉庫さえあればいろいろ改造できるんだけどそんなんねぇわな!(フラグ立て得意だなコイツ)
「ま、そりゃまた今度にするとして……そろそろ模擬レースか」
双眼鏡片手にターフを見ると、多くのウマ娘たちがゼッケン付きのジャージで集まっているのが見えた。
いつものことながら、トレセンの生徒による模擬レースが俺の寝ている場所の目の届く所で開催されるようだ。並んでいる面々の表情は十人十色で楽しそうな奴もいれば緊張してるのもいる。お、
「さて、今日も勉強させてもらいましょうかね」
氷砂糖を口に放り込みながら、日の光という名のスポットライトに照らされたウマ娘らを遠目で観察する。
これは地方にいたころからやってきた俺のルーティーン。
暇な時間ができた時かつ模擬レースがある日は、出来るだけ毎日、レースを観察して勉強をしているのだ。
俺とて、伊達に『新人トレーナー』というの肩書を軽く背負っているわけではない。いつか組むかもしれない担当の為にも知識だけはしっかりと付けとかないといけないという心持ちは流石に持っている。
……つってもここ一年、ずっとそんな相手に恵まれてはいないわけだが。
俺の中央の配属がスカウト氷河期にされたってこともあるが、何よりスカウト好調期を見逃したのが原因だ。確か、その頃俺は業務終わらせて河川敷の芝生で寝るのが日課だった気がする。
スカウト時期を寝過ごして無駄にしたって、冷静に考えると頭おかしいな俺(後の祭り)
ま、こういうのは気長に待つもんだ。
石の上にも一年。勝負は時の運。急がなくても俺の寿命は後5分の4くらい残ってんだし、流石に何か起こるだろ(汗)
とはいっても、ちょっとは急いだ方が良いかもしれないと思い始める今日この頃。
上層部から職務怠慢と言われることが多くなってきたからな。身分上は一応『新人トレーナー』扱いだから、配属されて1年も担当無しというのは世間体的にまずいのかもしれない。
最近だとたづなさんからの注意も受けたし、理事長からの催促もすごいな。……いやアンタ俺を経理役として引っ張ってきたのにそれ言うかね? って感じだが、上司命令には逆らえない。やっぱ社会ってクソだ。
「そろそろ始まるか」
社会の闇を思い出したところで、双眼鏡の先に見えるレースがそろそろ始まるのを察知。
さて、そろそろ観察の準備をするか。
双眼鏡の倍率を調整して、糖分摂取用の氷砂糖が大量に入った袋をビリっと開けて、分析メモに使うタブレットの電源を付け――
「ん?」
ようとしたところだった。
俺がいる場所から、なんとなく人の気配を感じる。だいぶ近い。多分、
こういう気配感知はゲーセンの音ゲーやってると自動的に鍛えられる。普通の人間がしない動きって目立つからね。仕方ないよね()
それはさておき、下を見る。
目線をその場所へ向けると、そこにはウマ耳を持った誰かがいた。
「おーい。何やってんだーお前ー」
「!? え、どこからっ!?」
俺は心の中に渦巻く好奇心からそのウマ娘に声をかけた。すると一瞬、ビクンッと体を上下させ慌てて周囲をキョロキョロし始めた。はは、めっちゃ動揺してて面白れぇ。さてはどこから声をかけられたのかも分かっていないなありゃ。
「上だよ、上」
「! ……なにを、してるの?」
「んー?」
声の位置から俺の場所にやっと気が付いた様で、視線が俺のほうへと向く。
さっきまでの動揺から困惑の顔になったウマ娘に問われるが、今はそんなことどうでもいい。
俺は慌てて上を見てきたウマ娘の顔を眺める。
絶世の美女とはいかないまでも整った顔立ち。どれくらいかと言うなら、今まさに困惑している表情を掲示板のスレ民に画像として上げるだけで拍手喝采の嵐が起こるくらいには顔が整っているくらいといったところだ。
特段、細過ぎず大きくもない目の中にある芝色に輝く瞳は、俺を鏡のように映す。
そして瞳の
俺はそれを視て目を細めるが、さっきの問いに答えることを優先して言葉を返す。
「あー、まあなんだ。見りゃ分かるだろ」
「いや、全然分からないよ? 木の枝にハンモックを掛けて寝てるくらいしか私には分からないよ?」
「分かってるじゃねぇか。半分だけども」
「ならいよいよ怪しいんだけど。もしかして不審者? これって通報したほうがいい?」
「ちょっ待ったぁあ!?」
あっぶね! 動揺でハンモックから落ちそうになったわ。
この娘、思ったより会話のスピード感早いわ。こいつさては意外とコミュ強だな。親父と同じレベルの会話ができそうな雰囲気あんぞ。
いやそんなことより、とりあえずこのウマ娘を引き留めなきゃヤバイ。最悪警備員の雪崩が来る羽目になる……っ!
幸い、俺が木から落ちかける所を見ていたようで足は止めてくれている。今のうちに急いで弁解しなくては。
「別に怪しい人間じゃないんだ。俺は――まあ、ここの一職員だと思ってくれればいい」
「……ホントに?」
「ホント。マジ。オレ魂に誓って嘘つかない」
「片言なのがもっと怪しいけど……でも確かに不審者ならこんな昼時に不法侵入は普通しないか」
俺の弁明で不審者認定は一旦やめることにしたらしく、走って去る行動はやめたようだ。
あっぶねぇ……、これで報告されたら上司からドヤされるとこだったわ。
「誤解させてすまん。……念のために名前を教えてもらえねぇか? トレセンに来てまだ浅くてな。生徒の名前は少しでも覚えておきたいんだ」
「えー、怪しい」
そう聞くと、彼女は再び仰向けに寝転ぶ俺にジト目を向けながら警戒する。
おかしい。何故普通の職員の俺が不審者認定扱いされなきゃならないんだ。(自業自得)
「いやマジでただの好奇心だから。怪しくないから。個人情報は秘匿する人間だから俺」
「…………何かあったら学園の人に言うからね」
「わかってる」
瞬間、緑葉を揺らす風が吹く。同時に眼前の彼女の青鹿毛も揺れた。
枝葉が風で揺れ、日差しの明かりがその場から点々と移動する。
場所は、ターフから少し離れた場所にある一本の樹木。
目を覆いたくなるほど眩しい日の光というスポットライトから隔絶されたこの場所で。
「……私はアストラルウィング。ただのウマ娘って思ってくれていいよ」
俺は「アストラルウィング」という、大きな石ころを偶然見つけたのだった。
食らったことあるとわかると思うけど、バックドロップってめっちゃ痛いよな(一敗)
ウマ娘のドロップキック? もしもを百歩譲っても死ぬんじゃね?()
評価ボタンを押すと台風が来ない一年を過ごせるらしい
感想ボタンを押すと平日に台風が来る確率が上がるらしい
他ウマ娘との絡みもっと欲しい?
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くれ
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いらん
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どうでもいいからイチャイチャ見せろ