トレセン学園の隠れた名店   作:[]REiDo

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前回のあらすじ
季節外れのアイスが欲しいと、シービーがウマ小屋に来店してきたのだった。以上。

あ、あけおめー。今年も頑張って更新するぞー(すでに遅い)



似た者同士に遠慮はいらない

 

 

 戸惑いもなく店に入ってくるその少女。

 ミスターシービーは羽織るデニムを揺らして、店長である俺と視線を自然に交わす。

 接客業らしく慣れたように、()()()()()()いつものように。

 

 

「遅かったな、もうすぐ店閉めるとこだったぞ」

「いやごめんねー。キミの所に行く前に色々寄り道しちゃってさー。気づいたらこんなに遅くなっちゃったよ」

 

 

 はにかむ笑みに悪気はないように見えた。というか実際無いのが分かる。本当にただ寄り道したくなったからどっかに行ってたんだろう。

 ……まあ、約束ほっぽり出さずここに来た地点で上等だろうよ。俺とか優先順位入れ替えてるときあるからな。自慢できることじゃないが。(当然

 

 うーんと体を伸ばしてから彼女は近くのカウンター席に座った。初顔合わせなウィングの2つ隣の席だ。1つ隣ではないのは彼女なりの気遣いだろう。

 

 

「たくっ……ほらよ()()()()、ご注文のアイスだ、受け取れ」

 

 

 座ったのを確認して、俺はすぐそこで冷やしていたボウルの中身から持ち帰り品を取り出せば、器に溜まってた芳醇な香りが表を上げる。 

 黄土色の半球体。触れれば溶け落ち、やわな力で形を変えるその中身は、味わい濃厚なジェラートだ。分類としてはミルクアイスというモノに振られるらしい。

 

 

「んっ! さつまいもの匂いだ!」

 

 

 いい匂い!と、鼻とウマ耳をピクリッと分かりやすく反応させてから、カウンターから身を乗り出してまで、差し出した器に手を伸ばすシービー。

 うーむ、元気な子供らしく可愛らしいリアクションだ。こうもいい反応をされちゃ、作った俺としても嬉しい。

 

 そんな感情が入り混じった笑みで、俺はシービーに渡したアイスについて語り始める。

 

 

「季節の変わり目がなんとやらってな。もう冬だろ? せっかくだからちょいと時期に乗じて旬の食い物をベースに作ってみたんだ」

「へぇー、それがさつまいもなの?」

「ああ。秋から冬の変わり目が一番旬でな。まぁこれが美味いのなんの、ゆで物に汁物に加えて単に焼くのもアリ何でもござれって奴だ。だからまあ、今回はお前の要望でアイスに挑戦ってことで作ってみた。因みに味は保証する」

 

 

 自信あり、とニヤリ顔で語ってやるとワクワクしながら目の前のアイスに視線を向けるシービー。今にも飛びついて食べそうな雰囲気だ。尻尾も振ってて忙しない。

 焦んな焦んな。アイスは逃げねぇぞ?

 

 

「ほらよ、これスプーンな」

「ん、ありがと」

「おう。しっかり味わって食えy」

「いただきまーす」

 

 

 初の試みで苦労して作ったんだからな。

 

 そう言おうとしたのもつかの間、ささっと匙で氷菓子をすくうシービーの姿が目に入った。

 ……コイツ話聞いてねぇ。いや別にいいけどさ。

 

 

「ん~! おいし~!」

 

 

 ブツを口に含み、頬に手を当てて美味しそうに味わうその姿は実に良い光景だ。話し損ねた苦労話にお釣りが出るくらいには。

 まあ、やっぱこういう何かを作る行動ってのは、ちゃんと評価されると結構嬉しいもんだ。誤魔化しはしない。

 

 腕を組んで満足気に眺めていると、不意に正面から掛けられる声が。

 

 

「トレーナー。私のは?」

「あ? 欲しいのかお前?」

「……あれだけ美味しそうに食べてると気にもなるでしょ」

 

 

 そこにはそっぽ向いて気恥ずかしそうに言うウィングが。……ただアイスが欲しいって言うだけなのに何を恥じらってんだコイツ。

 長い青鹿毛の横髪を人差し指でくるくる回す姿はまるでおどおどしい子供だ。いやまあ、俺からしたら全然子供だけどよ。

 とにかく、目の前の少女は急にアイスが欲しくなってしまったらしいという。

 

 ……ただなぁ。

 

 

「あー……悪いが、用意したのはシービーの分だけだ。予備が無くてな」

「えー。試作品もないの?」

「無いな。別に今からでも作れなくないんだが……遅くなるぞ?」

「う~ん……」

 

 

 無理に近いと伝えると腕を組んで悩む。

 材料はあるものの、冷やすという工程がある以上今から作っても1時間は使うはずだ。それに加えコイツの場合、悩む理由に寮の門限というものもあるだろう。わざわざ寮長のヒシアマゾンにどやされてまで食いたいかと問われれば悩むのは仕方ない。

 

 要は目の前の娯楽(アイス)を取るか、身の安全を取るかの2択を責められているのだ。

 

 天使と悪魔の攻防が激化しているのか、悩みに悩むウィング。

 

 そうしてから数秒。

 頭を悩ますウィングを見て仕方なく作ろうかね、と俺が地下室に行こうとしたのもつかの間。

 助け舟が向かったというかなんというか。

 

 コーッ、と唐突にカウンターの机上を滑るガラス状の器の音がウィングへと向かったのだ。

 

 

「わっ!」

 

 

 腕を組んで悩んでいた所に、いきなり横から飛来物がやってきて驚いている。そして器が彼女の正面に止まると、その中身を一見してから目を見開いた。

 食べかけではあるが、さっきまで欲していた黄土色に輝く氷菓子。

 

 俺がシービーに渡したはずのアイスが器ごと流れてきたのだ。

 

 

「…………おいおい」

 

 

 なら、渡したはずの本人は? と、俺は視線を横にずらした。

 

 片手で頬杖を打ちながら笑みを浮かべるその恰好はいかにも大人らしい。心の余裕というのか、なんとなくそういう雰囲気を醸し出すシービーを見て、ウィングも器を寄越してきたお隣さんに思わず見惚れている。

 

 だが、それを無視するかのごとく、シービーは口を開いた。

 

 

「隣の人からです~ってね。キミも食べたかったんでしょ?」

「え、まあ、はい」

「食べかけでいいならソレあげるよ。アタシはもう十分満足したから」

「え、はぁ、えぇ……?」

 

 

 急な問いかけに戸惑うウィング。言葉も詰まって様子がどこかよそよそしい。

 逆にシービーの方はいつもの自然体だ。

 

 

「お前なぁ……良いのかよ。今日ずっと楽しみにしてたんだろ?」

「幸せのおすそ分けっていい事でしょ? 物欲しそうにしてるのに、それが貰えないってなんかムズムズするし。アタシもされたらイヤだから、ちょっとカッコつけちゃった」

「いやまあ、イケメン具合はすごかったが……」

 

 

 それでいいのか今日の楽しみの閉め。

 

 

「あとなんだ、さっきの隣の人からです~って台詞」

「ん? いいでしょ、アタシ一回は言ってみたかったんだ」

「いや、それ店長の俺の台詞だっての。つかやるってんなら俺にも予め言ってくれ。台詞合わせたのによ」

「ん、そうだね。耳うちでもするべきだったかな?」

「ツッコむ所そこなの!?」

 

 

 流れるような会話の応酬。趣味人として気が合う同士の以心伝心な会話に、ウィングが目を大きく広げてツッコんできた。

 他に何がある、とツッコミを返す俺。ツボにでも入ったのか笑っているシービー。そして奇人でも見るかのような視線を向けてくるウィング。

 

 まさに四面楚歌ともいえる空間が完成した瞬間であった。

 

 

 

 

 

 数分、数十分と、笑いや戸惑いが混じった空間の時間が過ぎていく。

 

 

「~でね? トレーナーってばいつもこうでさ……」

「あははっ!」

 

 

 店内では、賑やかな2人の笑い声が。

 

 既に彼女らは互いに自己紹介を終えた後で。

 そんな2人は現在、俺の普段の諸行、悪行、奇行について語りつくしているところだ。

 楽しそうに笑っているシービーに対してウィングは割と愚痴が多めだが……まあいいだろう。俺程度の話題で会話を楽しめているのなら安いモノだ。

 

 始めは初対面でよそよそしくパクパクと貰ったアイスを食べていたウィングの態度も、シービーが俺と似たような性格を直視したせいかどんどん軟化していき、遂には軽口まで叩くようになってしまっていた。

 もはや俺のようなタイプの人間には無遠慮でいい、という見放した扱いがアイツの中で設立されてるようだ。泣ける。

 

 ……あと最近内心で思ってはいたが、ウィングは割とコミュ力が高い部類の人間だ。

 奇人とも呼ばれる俺に会話を合わせることができることも確かだが、今こうしてシービーと軽い話を実演している様子から、その能力の高さが見て取れる。

 

 と言っても、さっきまでのように初対面の人間に話しかけようとする意志は無い。

 そういうタイプではなく、いざこうして話すとなれば遠慮なく、無礼講気味に関係を築けるタイプの人間だ。

 

 コイツの学園生活の事情はよく知らんが、多分知り合いや友達と呼べる部類の人物はそう少なくないだろうな。気になるし今度聞いてみるとしよう。

 

 

「あー、笑った笑った。やっぱりキミは面白いね」

「へいへい、お気に召したようで何よりで」

 

 

 俺の面白おかしい普段の諸行を聞いて笑い疲れたのか、うっすら涙を浮かべながら俺に賛辞を送ってくるシービー。どうやら相当ツボに入ったようだ。なんでやねん。

 

 

「トレーナー、もしかして拗ねてる?」

「別にそんなんじゃねぇよ。ただ、そんな俺が普段やってることって笑い話になるもんかー、って感じで疑問に思ってな」

「……昼から木にハンモックかけて寝てる人がそれを言ってもねぇ……」

 

 

 反対に、俺の表情を覗いてきたウィングがそんなことを言うので、俺は正直に疑問を返す。したら怪訝な顔で呆れ始めやがった。……昼寝ってんな非常識なもんかね?(そういう問題じゃない

 

 

 

 

「というか、トレーナーってシービーと知り合いだったんだね。いつ知り合ったの?」

「ほぼ2年前だ。偶然散歩してる途中に会ったもんで、()()()()同類判定してな。そこからは即意気投合してーってな感じだ」

「大分あっさりだね……シービー、これホント?」

「ホントだよー。あの時は急にバッタリ出会ってさ、アタシのドッペルゲンガーかと思ったよ」

「分かる。ここまで感性が似てる奴がいるなんて滅多に無いから俺もビビったわ」

 

 

 絶えない話を繰り返していると、ふと話題になる俺とシービーが出会った頃の話。

 と言っても、上記の通りで他愛のないモノだ。The普通。

 

 

「私にはその感性が分からないよ……」

 

 

 ――だというのに頭を抱えるウィング。おい、理解できないものを見るような目をすな。向けるな。やめい。

 

 

「……ん? 2年前ってトレーナーがトレセンに来た時期だよね。そんな前から知り合ってたんだ」

「おん? よく覚えてんなお前」

「うん。あ、あとトレーナーが担当探しに躍起になってた時期でもあったっけ?」

「……よく覚えてんなぁ……」

 

 

 話は変わり、というか無理やり繋げて俺の昔話をぶり返すウィング。今は懐かしきトレセン配属1年目の話だ。

 てかそうか。コイツには日頃の会話で色々語ってたっけな。つっても大分前に語ったはずだが。いやぁ、なかなか記憶力が良いようで。

 

 

「あの頃のトレーナーって結構焦ってたんだよね。シービーを誘ったりしなかったの?ほら、なんか気が合うらしいし」

「んなもちろん誘ったよ。ただ俺はシービーの意思を尊重してだな――」

「あの時はアタシから断ったんだよね」

 

 

 せっかく相性がよさそうなシービーを逃したのか? などという問いがかけられ、応えようとするがそれをシービーの一言が遮る。

 

 

「へぇー、何で?」

「うーん。一番はその時が気分じゃなかったっていうのもあるけど」

「うわ、でたよ()()

「引くなよウィング……で、シービー? その言い方だと他にも理由があるように聞こえるが」

 

 

 ……ウィング(コイツ)もまあ、なんだ。饒舌になったもんだ。

 怪訝な視線を交わしながら、シービーにその先の言葉を勧める。

 

 

「まあね。キミとは気の合う友達同士でいたかったんだよ」

「…………む」

 

 

 ほう、と俺が内心であの時の解答の理由に納得しながら、ウィングが隣で目を細める仕草を見せた。……いや、なんでお前が?

 しかも不満げな表情をしたと思えば、なぜかその数秒後にきょとん顔をして赤面し始める。なんか最近多いなこういう反応。内心でどう思ってるんだか。

 

 つっても慣れたもんだし、その反応は無視だ。可愛さだけを目に焼き付けておく。

 

 

「ま、そんな経緯で俺は振られたんだ。せっかくの有用物件だったんだがよ、誘い方が悪かったのかまんまと空回りしたってわけだ」

 

 

 肩をすくめて台詞を放ちながら、俺はこの話題の締めを切る。

 出会い話としては割とあっさりだが、良い話のネタにはなっただろう。

 

 一応念を押す様に一言足すが、俺はシービーが誘えなかったからとウィングを代替(かわり)に選んだわけではないぞ。

 俺はちゃんとコイツの事を見て、触れ合って、そこから共にこのレースの道を進もうと誘ったのだ。コイツとなら一緒に楽しんでいける、と。

 そも、「俺は誰でもいいや」などという見境なしな考えは微塵もない。

 

 ……そう思えば、ふと締め切った話題に一言挟みたくなってしまった。

 

 

「つっても、今は良いと思ってるがな。こうしてウィングと一緒にいれることだし」

「……ふぇ!?」

 

 

 独り言のように口を開く。

 そう、ウィングだから良かったんだ。じゃなきゃ俺はここまでやれなかったし、こんな楽しい趣味(トレーナー業)も見つけられなかった。

 そういう意味では、コイツには感謝もしてはいる……ん?

 

 感傷深くなっていると、正面からきょとんな表情のシービーが視界に入る。

 なんだ、何か言いたげだが。

 

 

「……もしかしてアタシお邪魔かな?」

「は? なんで?」

「いやぁだってさ……?」

「シービー! 余計なこと言わなくていいからぁ!」

 

 

 急にそんなことを問われ、割って入るのは叫び声に近いウィングの横やり。

 もう言わなくていいかもしれんが、その顔色は真っ赤だ。もう唐辛子並みに。カプサイシン(辛みの原料)でも舐めたんじゃないだろうか。

 そんな有様になっている理由は……俺には相変わらず分からん。俺はただウィングといることが嬉しいとしか言ってない筈なんだが。

 

 

「お前はなに赤くなってんだ」

「…………うるさいっ、それもこれもトレーナーのせいなんだからっ!!」

 

 

 いや知らんて。

 

 

 


 

 

 

 ――と、こんな感じにだべっていたら時間は流れ、気づけば門限だ。

 既に食器等の片づけは終わっている。後は店仕舞いをしてから、目の前の少女2人を送り届けるだけだ。

 

 

「ありがたいけど、アタシ一人暮らしだから見送りはいいよー」

「あ? そうなのか」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

「聞いてすらなかったよ。……んじゃ、せめて校門までは付いて行かせてくれ。これでも学園の指導者(先公)みたいなもんなんでな、そんくらいの義務は果たさせろ」

「うーん……まあいいかな」

 

 

 ……ったのだが、シービーは上記の通り即帰宅の様。

 とのことで、俺は即刻店仕舞いの用意をして校門までのわずかな距離、ウィングとシービーを送り届ることにした。

 寮も一人暮らしというシービーの家も、どの道学園の校門を出た先だ。だったらそこまで見送りに行こうじゃないか。

 

 因みに、ウィングは美浦寮(みほりょう)の住人である。寮長はヒシアマゾン。門限に遅れると連絡する際にはよく世話になっている。

 

 

「……よし。戸締り終わったからそろそろ行くぞー」

「分かったー」

「ふふっ、それじゃしっかりエスコートしてね、店主さん」

「おう、任せろ」

 

 

 木製の扉に錠前と鎖を、ぎっちりと鍵をかけて。

 そうして、俺たち3人は校門までの帰り道を歩き出した。

 

 

 

 冬の始まりを告げるかのような肌寒い北風が容赦なく降りかかる。

 

 歩いている道中、視界の端に映るモノ。木を枯らす風は、俺の定番ポジの――始めてウィングと出会った場所である、中木の枝に掛けられたハンモックを揺らしていた。

 冬の寒さが堪える今日この頃、外で昼寝をする機会も少なくなってきた。その証拠か、手入れされてないハンモックの紐が風化しているのが遠目で見えた。

 

 

「……そろそろ今年も撤去の時期だな。」

 

 

 冬場は木枝も脆くなるからな。流石に高所から墜落などという怪我を前提に寝るわけにもいくまい。

 俺が独り言でそんな風に呟くと、いきなりシービーが口を開く。

 

 

「あ、そうだ。高い所で思い出したんだけど、アタシちょっと前に()()()()()()()()()んだけどね、そんなことしたらダメってエースと先生に怒られちゃってさ?」

「待って、ねえ待ってシービー。状況が分からない。まずなんで窓から降りようとしたのっ」

 

 

 急に話された学園での一件にウィングがツッコみを入れた。

 コイツなんかこーいう立ち回りやけに多いな。お、頭を抱えてら。

 

 

「風が気持ちよくてさ、高い場所からジャンプしたらスカっとしそうで。……見つからないと思ったんだけどな」

「そういう問題じゃ……ねえ、トレーナーもなんとか言ってよ。一応トレーナー(教員)なんでしょ」

「一応ってなんだ。俺は正式な職員だっての」

 

 

 傍観者の立場でいた俺に白羽の矢が飛んできてしまう。

 いや、何か言えつってもな……。

 

 

「シービーの気持ちは分からんでもないぞ。なんだったらよく分かる側だ」

「……はぁ。助言求める相手を間違えた……」

「呆れんじゃねぇよ。つかお前もあるだろ、ふと空を飛びたくなる時とか、俺らはそういう欲求に正直なだけなんだっての」

「そうそう。ウィングのトレーナー君とアタシの性格って似たり寄ったりだしね」

 

 

 一考して出た感想としてはこれくらいしか思いつかない。

 

 別に教員らしく危ないとかなんとか言えたらいいんだが、共感の方が大きいもんでな。

 そういうことはよくしてたし、中坊と高校の頃は売店の焼きそばパンをダッシュで買いにパルクールまでしてたくらいだぞ? 俺が何か言っても、説得力のかけらもねぇって感じだろ。

 流石に、空を飛びたくなったから窓から大ジャンプってのは極端な例だとは思うがね。

 

 

「……私は空飛ぶよりも芝を走ってたいけど」

「お、ウィング上手いね。ウマ娘ならではって感じがする」

「そういうシービーもウマ娘でしょ……もう……」

 

 

 いい加減ツッコミに疲れたようで、肩を落とすウィングの姿が目に入る。

 まあ、なんだ。お疲れさん((誰のせいだと

 

 

 

 そんなこんなで、冬風に吹かれながらも校門前に着いた俺たちはささっと別れを告げて解散した。

 

 去り際にシービーからは「またアイス作ってね」と言われたが、俺は善処しとくとだけ伝えておいた。意外と大変なのだ、こだわったアイスづくりというのは。

 因みに寮に向かうウィングも、なんか物欲しそうな顔をしていたのを俺は見逃さなかった。今度シービーを迎え入れる時は2人分の用意をしておこう。

 

 

 

 


 

 

 

 

 かくして、ウィングとシービーの初顔合わせはこうして円満に終わる。

 円満というか、仲睦まじくと言った感じだったが、それはそれで万々歳。 

 今夜の一件の後も、学園で会っては友人として接しているようで良い関係が築けているらしい。

 

 

 そして、1月ほど経ったある日。

 

 

「ねえ、トレーナー」

 

 

 その日は、とあるレースを観戦した帰り道だった。

 それは彼女の友人であるシービーのレース。

 ウィングにしては、珍しく他人のレースを直接見に行くというそんな稀な日だった。

 

 夕日が照らす帰り道、彼女は俺の袖を指先でつまみながら。

 

 

「私、シービーと戦ってみたい」

 

 

 アストラルウィングという凡人は、絶対的な壁に挑む決意を固めていた。

 

 

 

 





割と難産だった。
てか追憶編めちゃくちゃ難産大量発注過ぎて笑う。いや泣ける。

ていうか、趣味人コンビ出すとウィングがマジで苦労人ポジになってしまうな。
……がんばれウィング。


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