トレセン学園の隠れた名店   作:[]REiDo

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イチャラブ警告発生


猫はこたつで丸くなる、ウマ娘も例外ではないが

 

 冬場に外に出たくないのは万人共通な思考だと思うが。

 

 いや、そもそも寒いのが好きな人間なんぞそう多くはないだろう。

 手はかじかむし、耳はやけに冷え頬は擦ってなきゃやってけない季節だ。せめて夏のようにプールや海という分かりやすい楽しいイベントがあれば良かったのだが、冬場はそんなイベントが殆ど無いに等しい。強いて俺が思いつくのがスキーに行く、程度のものしかない。

 

 むしろデメリットの方が多いだろう。

 体が冷えるというのは、日頃の運動に支障をきたすことが多い。手がかじかんではやりたい事も存分にできやしない。

 

 現にうちの担当共は、休日の今もこうして、寒いからとトレーナー室にこもりっきりだ。

 ウィングとテイオー、2人ともこたつで丸まりながら机の上でボードゲームを繰り広げている。

 

 

「『インディアンポーカーで勝利、隣の人から持ってるにんじんを3つ貰う』と。

 はいテイオーちょーだい♪」

「エ゛~!? もうボクのにんじん無いって~!アスウィーさっきから良いマス止まり過ぎだよ!」

「私のせいじゃないじゃん。ほら、無いなら手形とって」

「そんなぁ~……」

 

 

 市販に売られている、にんじんの数で勝敗を決めるすごろくだ。

 すごろく、というか人生ゲームに近い感じだろうか。ともかく、テイオーとウィングそして俺を含めた3人でこの娯楽に勤しんでいる最中である。

 

 サイコロを振って、各マスに書いてあるイベントに一喜一憂するうちの愛バ共は非常に微笑ましい。

 はは、写真撮って後でスレに貼ったろ。

 

 ……てな感じで、冬場は暖かい所で丸まるのが一番という話だ。

 理由? この楽しそうにしてる2人を見てその感想が浮かぶだろうが。外出てたらこれ眺めれねぇんだぞ。ぶっ飛ばすぞこの野郎。

 

 ……とまあ、冗談はさておき。

 だからと言って冬を好きだという奴の意見を全否定するわけでもない。

 

 好みは人それぞれだ。十人十色。

 そういう風情の感覚を楽しむ者も多い事だろうし、何より一見でそいつの感性を否定するのも俺の信念に反する。好きと嫌いは誰にだってあるのだ。

 

 てなわけで、結論を言うとだ。

 

 俺は部屋の中で仲睦まじく。

 自分の愛バらと暖まりながら、ゆったりするのが好きという答えを叩き出しておくとする。

 

 

「はい、トレーナーの番だよ」

「おお悪いな。……今順位どんなもんだっけ?」

「トレーナーが独走の1位なのは変わってないよ。たださっきの手形で私が2位、テイオーが最下位落ちちゃったかな」

「むぅ~、2人とも後で絶対追い付くからね!」

「はっ、勝てるもんなら勝ってみやがれ。実力で差がつくゲームならまだしも、運ゲーなら負けねぇよ」

 

 

 以上、膝上で暴れるテイオーに挑発しながら語った俺であった。

 

 余談だが、テイオーを担当に引き込んでから今まで、ゲームと名が付く勝敗は1割を切って俺の惨敗中だ。流石に自他ともに認める天才の感性を持っているからか、センス負けや実力負けが多い。今まで何度も苦汁を飲んできたのである。

 だがしかし、今回は確実なる運ゲー。勝率は5分5分のはず。そして現状は俺の大量リードを許している状況だ。

 

 俺は、大人げないにしろ今までの雪辱を晴らす為、そして小さくくだらないプライドを守る為、気を強く持とうと堂々の煽り宣言をしたのだった。

 

 既にクワトロスコア差がついてんだ……流石にテイオーが天才的なゲームセンスを持ってると言え、ボードゲームで負けはしねぇぞ……!

 

 そんな、万感の思いを込めサイコロを振る。

 

 

「あ」

「あ? …………ハァッッ!?!?」

「えっと『1000年に一度の彗星の影響で人と入れ替わる、次の手番の人と持っているにんじんを交換』……ってことはトレーナーとだ! わ~い!ボクが1位~~!」

 

 

 部屋中で俺の絶叫が響く。

 

 身から出た錆、もしくは死亡フラグとでもいうのか。

 万感の願いを込めて振ったサイコロは見事俺を地獄に叩き落とした。あまりに無情。なんだこれは。

 つか、なんでありふれた人生で『君の名は』してんだよ!? 1000年に一度って言ってんだからんな気安く起きて良いイベントじゃねぇだろ!?

 

 

「ざっけんな!? なんだこの頭沸いたマスは!誰が考えやがった!?許されて良い訳ねぇだろこんな理不尽がぁ!?」

「へっへ~ん! マスの言うことは絶対だもんね~!ほらトレーナー、にんじん出して出して!!」

「が、っぐこのっ……!」

「ぷっ、あはは!! 流石、期待を裏切らないねトレーナー!」

 

 

 発狂する俺、元気な笑顔で俺の膝上で飛び跳ねるテイオー、大爆笑のウィング。

 

 まさに阿鼻叫喚(カオス)

 この不条理理不尽鬼畜を極めたマスがこんなゴミのような展開を生み出したのだった。そして、ついでに俺が急転直下の最下位逝きである。マジで凹むんだが。俺は運ゲーですらテイオーに勝てないってのか……!?

 

 ……そして結局。

 

 

「いえ~い! ボクが1番~!」

「私が2位っと。で、もちろんトレーナーが」

「最下位だよクソが……」

 

 

 その後の番狂わせなどは起こらず順位はそのまま。

 テイオー1位、ウィング2位、俺が最下位というなんとも無残な結果に終わったのだった。

 

 崩れ落ちるように膝上に座る少女の頭に顎を乗せると、ウマ耳でペチペチと俺の両頬を叩いてくるテイオー。しまいには腰に尻尾を巻き付けてくる始末。……ご機嫌だなおい。

 

 満面の笑みでウィングにピースサインをするテイオーは非常に愛くるしくはあるが……今は惨敗した気持ちの方が強く出る。なにせこれで61戦7勝54敗だ。負けが込み過ぎだふざけんなバカ野郎が。

 はぁ……まあ敗北は敗北だ。そこは潔く認めるとして。

 

 とりあえず一回言わせろ。

 

 あのマス作ったどこぞのバカは一回(ツラ)貸せ。

 テメェの顔面を【自主規制(ピー)】して【自主規制(ピー)】してから【自主規制(ピー)】してやるからよ……!!(湧き上がる殺意)

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ということで~? 負けたトレーナーは今からボクのお願いを聞いてもらうよ!」

「できる範囲でなー」

「あ、保険張った」

 

 

 ボードゲーム終了後。

 元気のいい声量で、テイオーが俺に向けて言う。

 

 敗者に口無し、債務者に人権無しとでもいうのか(にんじんが通貨だが)

 まあ、あらかじめ今回は罰ゲームありというルールってのは決めていたので。

 見事すごろく勝者のテイオーからズビシッ!と、指をさされて刑の執行を言い渡される俺であった。キラキラと目を輝かせているテイオーは非常に機嫌が良さそうである。

 

 因みに俺は目を細めて気だるげだ。諦めの念すら漂わせている。

 何なら軽く冷や汗すらかいている。

 

 

「そんなやだ? 罰ゲーム、テイオーの事だし優しめにしてくれると思うけど」

「ははは、ウィング甘いな。敗者に人権は無ぇんだ。どんな事されようが俺はそれに従うんだぞ? 例え『今からダートで2000m走って来い』って言われても、俺はそれに逆らえねぇんだぞ?」

「トレーナーが想像する罰ゲームって過酷過ぎない?」

「流石のボクでもそんなこと言わないよ!?」

 

 

 HAHAHA、どうだか。

 細い目でツッコミを入れる2人をジト見する。

 

 因みに過大に警戒してる理由だが、俺は学生の頃からこういう罰ゲームにはいい思い出が無いのだ。

 ババ抜きに負けては購買の焼きそばパン抗争への参加を強いられ、格ゲーで負けてはその日の飯代を奢らされた(5桁の支払い)

 

 その他多数余罪があることを含めると、俺が罰ゲームを警戒するのは当然の流れだろう。

 

 数拍の間が開き。

 遂に覚悟を決め、身に降りかかる災難が何か。

 

 

「はぁ……で? 罰ゲームは決まってんのか?」

 

 

 嘆息交じりで、当の執行人(テイオー)に気だるげに聞いてみると。

 

 

「え? ん~いや、どうしようかなー」

「悩んでんのかい」

「だって、せっかくトレーナーを独占……いいようにできるいい機会なんだもん。普段できなそうなことをやって見たくてさ~」

「独占つったかお前」

「何かないかなー」

 

 

 無視ですかそうですか。ハイ。

 こめかみに指を当てて考えるそぶりを見せるテイオ―。

 どうやら相当悩んでいるようで、即時決断な性格のテイオーにしては珍しく長時間の長考になっている。

 

 

「う~ん」

 

 

 そうして、キョロキョロと視線を動かしながら落ち着かない様子になること数分。

 遂に決まったらしく、テイオーのウマ耳がピコンッと跳ねた。

 

 

「あ、そうだ! ねえねえトレーナー、膝枕して!」

「……膝枕ぁ?」

 

 

 貯めて思いついたモノにしては随分とあっけらかんとしたお願いに、俺はつい間の抜けた声を出す。

 なんだ、コイツの事だから『バカデカはちみー作って』くらいは言うと思ったんだが予想に反してもっと()なのが来たな。

 

 

「またまあ、何で?」

「アスウィーがね? トレーナーの膝枕がすっごく気持ちいいって言ってたから、ボクも気になったの!」

「お前の入れ知恵かウィング」

「私のせい!? いや確かに流れでそんな事を喋った気はするけど……」

「口緩みすぎだろお前」

 

 

 隣でこたつに包まりながら座るウィングをジト目で射抜く。

 

 俺も学んだぞ。最近、テイオーが突拍子もなく珍しいことを言うようになったら、大抵ウィングが関わってるって事がよ。

 焦り散らかしているウィングを眺め、あぐらかいてる脚の真ん中にテイオーをすっぽりと置きながら俺はそんな思考に行き着いた。

 

 

「つか、今更膝枕て。俺と普段から添い寝とかしてるだろうに」

「そ、それとこれとは話が違うんだよ! ボクはもっとこう……そう、カップルがやるような奴をやってみたいのっ!」

 

 

 両手を頭上に振り上げて抗議するテイオー。

 

 そうか。そうですか。

 すまんテイオー、俺にはその違いが一切分からん。

 添い寝≠カップル判定で、膝枕=カップル判定が正解なのはいかがなものかとは思うのが正直な俺の感想だ。

 一緒に寝るという行動は同じだろ? そこに一体何の違いがあるんだ?

 

 ……いや、こればかりは俺が分かってないだけで世間一般からしたら常識の部類なのか……?

 

 若干コメくいてー顔になりながら、俺はテイオーと視線を合わせる。

 

 

「ねえねえ、してよー!」

「へいへい……」

 

 

 対面座りになって、グラグラと俺の肩を揺らす駄々こねテイオー。

 ウマ娘特有の万力に揺さぶられながら、俺は気だるげに了承の台詞を吐いた。そんなに膝枕してほしいかお前。

 

 

「ったく……ほらこい」

「わーい! お邪魔しま~す♪」

 

 

 こたつから少し身を引いて膝をさらけ出してやると、膝に座ってたテイオーが飛び込むようにその枕元に寝付く。

 ぽすっ、と軽い音と同時に少女一人足りない分程の体重が膝に乗る。テイオーは小柄な方だからもっと軽いが。

 

 

「ご加減はいかがで」

「うむ、苦しゅうな~い!」

「さいで」

 

 

 ぐりぐりと膝を頭で弄られながら、俺はテイオーの髪を撫でる。

 サラッサラなポニーテールにフリフリと振られる尻尾。手入れが行き届いてる鹿毛の髪はまるで清水の様だ。

 何度もブラッシングしてきたが、コイツの髪はウィング以上に()きやすい。ウィング自身すら羨むほどである。

 

 

「ホント、お前の髪は気持ち良いくらい綺麗だなぁ……」

「ね? 私にも分けてほしいくらいだよ」

「えへへ、くすぐったいってば~」

 

 

 と、そんなことを考えてるといつの間にかすぐ隣やってきたウィングがテイオーの髪を触っていた。てか梳いていた。

 因みにトレードマークのポニテを奪われた俺は、すました顔でテイオーの顎をくすぐってやった。目を細めてニヘラと笑うテイオー。これでゴロゴロ鳴き始めたらウマ娘ならぬネコ娘だろう。可愛い。

 

 あと、今の座ってる位置なのだが。

 左に膝枕されてるテイオーが、真ん中に俺、右にウィング。

 4面ある四角形のこたつの1面に、3人がぎゅうぎゅう詰めになってる状態である。狭い。あとウィングとの距離が近い。肩当たってる。以上、報告終わり。

 

 

「にしてもトレーナーのお膝って芝生の匂いがして気持ちいいね~……ボクもう眠くなってきちゃったよ。ふわぁ……」

 

 

 こたつの暖かさに釣られたのか、急な眠気にあくびを取られるテイオー。

 芝生の匂いは……知らん。河川敷の芝の匂いが染みついたのか、それともターフの匂いが付いたのか。まあどっちもどっちな感じはするが、俺の体は芝生の匂いでいっぱいらしい。

 

 

「ありゃ、テイオーってばぐっすりの時間かな?」

「子供扱いしないでよ~……でも眠い……」

「あはは、まあ時間いっぱいゲームで遊んだし。疲れちゃったんだね」

「ま、だろうな」

 

 

 ウマ耳を畳んでから、俺の膝上で眠りに入るテイオー。っておい、癖で尻尾左腕に巻き付けるな。勝手にブラッシングすんぞこら。

 あと子供扱いしないでって言ってるが、コレは誰がどう見ても子供だろう。

 

 ウィングは眠そうにしてるテイオーの頭を撫でて甘やかしているところだ。

 慣れた様子で寝かしつける姿は……なんかもう、マジで母親みたいだ。

 

 俺も俺でテイオーに夕食まで時間はあるから寝とけ、と伝え背中を軽くポンポン叩く。

 子供を寝かしつける時の常套手段だ。これするとすぐに寝てくれんだよな。

 

 力を抜いて俺の膝に身を任せるテイオーの横顔は、とても安らかなものに見えた。

 

 

 

 数分後。

 

 

「うぅん……すぅ……」

「あ、寝た」

「思ったより寝付くの早かったな。……俺の膝枕パワーのおかげか……?」

「あははっ、意外とありそう♪」

「いや、ねぇだろ」

 

 

 視界の真下では無事、ぐっすりタイムに突入したテイオーが可愛い寝息を立てていた。

 右隣では俺の冗談が刺さったのか笑っているウィング。てか謎の膝枕パワーってなんだよ()

 

 

「結構あると思うけどね。だってトレーナー干したての布団みたいな良い匂いがするし。膝枕も固すぎないし、寝てる側としては気持ちいいんだよ?」

「……そういやテイオーも言ってたな」

 

 

 てことは、俺の膝は布団替わりか。なるほど不名誉なのか名誉なのか分からねぇなその評価()

 

 遠い目をしながら、俺はデスクに置いてあるノートPCに手を伸ばしそれをこたつの上に持ってくる。膝枕してるからこたつからは動けねぇし、テイオーを起こしたくはないしな。こんだけ幸せそう顔して寝てる奴を起こしたら、それはそれで罰が当たりそうだ。

 

 ふむ、余計に動けないからPCをいじるとしてだ。

 作業か、それかオンラインで将棋でも打つか……さてどうしようか。

 そう暇つぶしの思考をしていると。

 

 トンっ、と右の肩に何かが乗る感覚を覚えた。

 

 何かと思って隣を見れば、俺の肩に頭を預けたウィングの姿が見えた。

 

 

「ん? どうしたウィング」

「いやね? テイオー見てると、ちょっと眠くなっちゃってさ。丁度いい肩枕が隣にあったからつい」

「膝の次は肩かよ……。俺の体は枕製造機か……?」

 

 

 俺の吐き捨てた台詞に言い得て妙かも、とちゃかして微笑むウィングは実に楽しそうだ。

 

 

「すー……うん、やっぱりいい匂い」

「干したての布団の匂いが、てか」

「それに青い芝の匂いがする……トレーナー、昨日河川敷で寝てたからじゃない?ちょっと残ってるよ」

「マジか。染みついてんのかね?」

 

 

 肩に寄り掛かりながら匂いを嗅ぐウィング。

 俺も気になって左の袖を嗅いでみたが……分からん。いつもの俺だ。

 あとウィング、随分とレビューになれているご様子で。そのとろけた顔すげぇぞお前。隠れ匂いフェチらしき一面が出てるぞー。

 

 

「まあ、毎日のようにお昼寝してたら芝の匂いも付くんじゃない?」

「……そういうもんか」

 

 

 怪訝な顔で無理やり納得しておく俺。

 その隣では、まるでガムを嚙みしめるように何度も俺の匂いを堪能するウィングであった。

 と、匂い関連の話はこれで置いておくとして。

 

 

「……にしてもあれだな。罰ゲームが罰ゲームしてねぇなこれじゃ」

 

 

 現状を軽く見返して、さり気なくそんな感想を吐いてみる。

 

 

「あまりにも幸せ空間過ぎて?」

「それな。こたつで暖かいし、可愛い愛バらは隣にいるしで両手に花なんだよな」

 

 

 冬場にこたつでぬくぬくになって。隣には愛バが並んで俺と一緒に寝てるこの状況。

 言うまでも無く、まさに桃源郷だ。

 今まで学生(ガキ)の頃から受けてきた罰ゲームの内容にしては天地の差すらある。スレにこの状況を話せば、アイツ血涙を流すに違いない。

 

 と少し下卑た表情をしていると、不意にこんな台詞が聞こえてきた。

 

 

「私も幸せだよ?好きな人と一緒にいれてさ」

 

 

 急な大好き宣言。

 唐突過ぎて意味分かんなかったが、まあそこは俺。

 平坦な表情のまま素直に返す。

 

 

「そーだな」

「もー本気なのに」

 

 

 さりげなくそんな台詞を言ったウィングの意図は知らんが、俺もそう思うから肯定して返す。

 しかし、俺の返事が軽いと思われたのか、少しだけ頬を膨らませて不機嫌を表現している。

 

 別に、好きな奴と一緒にいるのは気の悪い事でない事なのは分かるよ。

 ただまあ、ウィングが思う『好きな人』と俺が思う『好んでる人』の価値観が違っているからだろうか、ウィングの言葉に入れ込んで肯定することはできなかっただけでな。

 

 つっても幸せの共有は出来てるつもりだ。

 

 その意図を含めて、俺は右手で肩に寄り添うウィングの頭を抱きしめるように撫でた。

 

 

「……ま、そこん所は少しだけ分かってるよ。ずっと付いてくるつったもんなお前」

「まあね~、だって好きな人なんだから。逃がしたくないんだもん」

 

 

 優しい青鹿毛の髪が指に絡みつく。

 

 同時に、腰に何かが巻きつく感覚。

 俺からは見えないが、多分ウィングの尻尾が巻きついているんだろう。コイツなりの愛情表現といった所だ。やり返し、という意図にも取れるが。

 

 

「はっ、逃げウマのお前から俺が逃げるって……骨が折れるなぁ」

「モノの例えだって。まあ、逃げたとしても私が全力で追いかけるけどさ」

「そりゃ大ごとだ。そうならない様、俺も()()()()()()()()ことにするよ」

 

 

 軽口に笑いながら、俺はウィングの頭を撫で続ける。

 

 笑いながら吐いた俺の台詞がおかしかったのか、一瞬きょとんとして「もう、ホントに」と一言、微笑を浮かべて目を閉じるウィング。

 幻覚か、さっきよりも腰の締め付けも強くなってる気がした。

 

 そうして、おやすみと睡眠に入るウィングを右隣に。可愛い寝息を立てているテイオーを膝下の左隣に置きながら、俺は卓上のPCに向き合って作業を始める。

 

 こたつの暖かさと、どこかしらくる満足感から得た心温かさを感じながら。

 

 俺は今日も今日とて、普通な休日を過ごしたのだった。

 

 

 

 





 突拍子もないラブコメ展開よりも、さり気ない日常で起こるイチャイチャの方が心に染みると感じる今日この頃です。


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  • いらん
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