メタボ中年だって冒険者になればリア充になれますか? 作:プレイヤー
章ごとに執筆を終わらせてから投稿したかったんですが、
1話投稿しないと無理っぽいので、まず1話目だけ投稿します。
後のは、章単位で投稿していきます。
10代は良かった。漠然と、自分の将来に希望を持っていた。
20代のころは夢があった。
仕事に慣れて自分の裁量で現場を回すことに楽しみを覚えた。
30代になると、同期が結婚するようになった。僕は一人だった。
誰かを好きになることも、誰かに好かれることもない。
親からも結婚を期待され、何度か婚活もしてみたが駄目だった。
そもそもぼくが相手を好きじゃないのに、自分も好きじゃないのに、
相手がぼくのことを好きになってくれるわけがない。
結婚しても意味がないことは、無意味に性能の良い頭が理解してしまった。
当たり前の理屈に気づくと、いつしか結婚を諦めていた。
キャバクラで話を回すことができるくらいの社交性はある。仕事も普通にはできる。
女性に興味が無いのだ。いや、他人に興味が無いが正確だろう。
40代になると、腹が出てきた。
ぷにゅとした感覚は好きだったが、みっともない外見になった。
髪の毛が薄くなり、鏡の中の自分が、父親に似てきていた。
早く年老いたいとも思っていた。
どこにでもいるオヤジになって目立たなくなりたいとも思っていたのだ。
日常的な仕事、日常的な生活、アニメや小説も好きだったけど、何時しかそれでは癒されなくなっていた。新作アニメも見るのがすでにおっくうになっていた。
食事、お酒、パチンコ、小説、テレビやゲーム。
大抵のことは、お金があれば楽しめる。女性も、友人すらもいらなかった。
幸いなことに、収入は相当あったのでお金に困ることはなかった。
風俗で童貞を捨てたし、海外旅行に何度も行った。
有名店で食事を繰り返した。すべて一人だった。
そんなことはすぐに飽きる。飽きてしまうのだ。
午後の3時。八王子駅前にある冒険者ギルドの支店は、小奇麗なビルの中にある。
市役所と同居していることもあり、ひっきりなしに人が出入りしていた。
ぼくは冒険者ギルドの前に立っている。
ぼくは勃起していた。
ビルの壁面に映し出される女の子モンスターの映像を見ていた。
モンスターコロシアム、サキュバスやエルフ、キキーモラといった女の子モンスターが過激な衣装で、扇情的に、荒々しく戦う姿を見せている。
第二次アンゴルモア事変から10年が経ち、街中で堂々と映像を流せるくらいに、人々はモンスターに慣れていた。
昔ならデモ隊が騒動を起こしていたなと思いつつ、自分を握りしめていた。
この年になると勃起といっても、ちょっと固くなるくらいである。
悲しいことに中折れになるような勃起しかしないのだ。
Dランクは、最低百万円から、良いものになると1千万円を超える価格帯になる。
それなりに高給取りなので、ある程度のものを買える貯金はあったが、それでも安い買い物ではない。
ぼくの性格だ。きっと中に入ったら買ってしまうだろう。
だから、迷うなら今しかない。
こんなところで立っている中年男性は、明らかに不審人物だろう。
入るなら入る、帰るなら帰る、決めなくてはいけない。
冒険者ギルドに出入りする人間を見ているうちに、ぼくの中で思いが固まっていく。
10代、20代、、、30代の人間が出入りすることはほとんどない。
きっと後で後悔するだろう。