口を開けて、習ったとおりに息を吹きかける。目の前で一段とちっちゃくなった存在を抱きしめる。私自身に胸部装甲が殆どないことをここまで喜べたのも初めてかもしれない。膝の上の存在がとても、とても愛おしく感じる。
「フフフ、かわぁい」
「...」
腕の中で時々ビクンと反応している彼女を離して事実確認を行う。大事だよね?
「本当に、耳弱いんだ」
「ひぅ」
全力で肯定するために首を縦に振る彼女の両手首を片手で捕まえる。ホント、小さい
「いつもこんな小さい手で絵を描いてるんだもんね?」
そして無防備になった彼女の耳に自由な手を向かわせる。
「いろいろ情報を拾っちゃう悪い耳はこれかなぁ?」
耳をつまんで少し引く。痛みからぴくんと...いやこれは違ったね
「先輩としての威厳、もはやないよ?せ・ん・ぱ・い♪」
ヤバッ、これ、ハマっちゃうかも...
「声、我慢しなくてもいいんですよ?もう今日は私達以外帰りましたから」
ライブの予定もないし、本当に私達以外の社員はこの事務所に存在しない。既に全員が退社していることは確認済みなのだ。勿論残業が友達とか言っちゃうAちゃん先輩はいない。それどころか有給消化で一週間休みだからモーマンタイ♪
「し、視界...ふいで?」
「は~い」
腕の拘束を解除して彼女の頭を包むようにして視界を塞ぐ。これでもはや彼女に逃げる意思がないことは確認できた。
「ホロメンに言葉攻めして欲しくて垂れ流し行為を始めたって、ちゃんと本人達に伝えた?」
「む、むりぃ...伝えたら、おもちゃにされちゃうぅ」
「既に私のおもちゃだよね?」
あ、もうダメ。先輩後輩とかの立場は海外では関係ないんだもん。この時間だけEN担当のスタッフになってもイイよね?答えは聞いてないっ
「でも、これ以上ASMRを続けたらお仕置きがご褒美に変わっちゃうもんね」
返事を聞くことなく、彼女から手を離す。混乱してる様子もカワイイ。
「カワイイ声が聞きたくなっちゃって、ごめんね垂れ流しちゃん」
ギュッと抱きしめ直して、彼女の耳を確認する。やっぱり真っ赤だ。
「ここから先は、ね?」
余り見開かれない眼を開いたままプルプルと震える彼女を膝から降ろし、帰りの支度を済ませる。社員証の有無を確認して二人して事務所を後にする。うん、まだ終電に間に合うね。
「あ、垂れ流しちゃん」
「?」
落ち着いたのか息を整えていた彼女の耳元で囁く。
「また、やってあげるからね」
エレベーターの中でそんなことをしたからか、後に彼女は家に帰る道中の記憶が全くないということを伝えられた。悪いことしちゃったかな?
箱推し君
アウト。後におかゆにこの話がバレそうになった。
垂れ流しちゃん
情報収集の裏にはそんな理由が隠れていた。
今回登場した推しを教えてね!
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箱推し君
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垂れ流しちゃん