箱推し君逃げて、超逃げて   作:Plusdriver

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疲れた日常に隠れた、至福の時間を貴方に

[飯テロ注意]


箱推し君のグルメ

本日も雲一つない晴天。素晴らしいに尽きるがしかし、冬へと季節が変わり始めたからか風が乾燥しているのが感じられた。今日も今日とてホロメンから逃げ出した私、箱推し君は生まれた欲求を満たすために事務所から飛び出した。会議で外に出るし、昼休みですし。

 

「フム...」

 

今日の気分は...和食が食べたい。今日訪れた街は会議で良く訪れる為、ここらで新たな発見をしておきたいところだ。

 

「ん?」

 

ふと香ってきた匂いの正体を探るべく歩道を歩いて行く。既にランチタイムは終わりかけのこの時間帯だからこそ人気の少なくなり始めた道を歩けるというもの。先程までの混み合いが噓のように無くなっている。オフィス街ならではの光景だろう。

 

「ここか」

 

匂いの原因となった店の看板を発見、最近開店したばかりの店の様だ。外壁の白が他と比べて随分発色がいい。

 

 

「『チキン南蛮専門店』か」

 

ラーメン激戦区とも呼ばれたこの土地で、宮崎チキン南蛮、本場の味を楽しめるだとっ!?

 

開店時間がランチタイムとディナータイムだけ。この強気な開店時間はこの街であっても客を確保できる程の自身があるとでもいうのだろうか。高校時代に訪れたことのある『フライデー』というパン屋が金曜、しかも朝のみ完売で閉店という開店時間が余りにも短い店であったことを思い出した。この考えが間違っていないのであれば、今日の昼食で私の食欲を満たしてくれることは確定したといってもイイだろう。「簡単に優勝できる」、私の好きな言葉です。

 

「いらっしゃいませー!」

 

「おお...」

 

思わず口から漏れ出てしまったが、カウンター席オンリーなこの造りには見覚えしかない。気にすることなく席に案内され着き、メニューを確認する。な、なんだと!?

 

メニューにあったのは僅か三種類の定食のみ。その全てがチキン南蛮である。流石だ!分かっていたことだが、写真付きな為もはや私の心は激しくタルタルソースを求めている。ホシィ!

 

「お決まりですか?」

 

「『もも肉のチキン南蛮定食』4個で」

 

「ご飯の量は...」

 

「大で」

 

この待ち時間が真の戦いである。店に充満している低温調理された鶏の香りが心を躍らせる。他の客が殆どいないこのタイミングだからこそ、定食が自身の元に運ばれて来るまで完全なるネタバレが起きないのもGOOD!

 

「こ、これは...!」

 

机の上の調味料に興味が生まれ、蓋を開けた。開けてしまったのだ。そこに鎮座していたのは沢庵。それだけでなく練りからし、柚子胡椒、タバスコが置かれている。親切にも箸入れにオススメの食べ方が書かれている。それを視界に収めながらも、キャベツ用のタレに目を奪われた。キャベツ、気になります。

 

「お待たせしましたー!」

 

来たっ!ここまで待ち遠しかったのも久しぶりだ。気になったのは、お吸い物である。小さな鶏皮と白髪ねぎが浮いているそれは、私が最初に手を出すべきものと言わんばかりの魅力があった。

 

「ズズッ」

 

これは...白だしをベースにしているのだろうか?鶏から旨味を抽出してあるのかとても良い。お代わりしたいほどに。しかし、まだ食べ始めたばかり。メインに手を出していない以上、決めるにはまだ早い。だからメニューに手を伸ばすのを辞めるのだっ

 

「はぐっ、はぐっ」

 

何とかチキン南蛮本体へと手を付ける。低温調理されたもも肉自体が調理前から甘酢漬けされており、それにタルタルソースまでかかっている。これらすべてが店内にて調理されたものという事実が期待を膨らませる。一口嚙み締め、熱が伝わってきた。やけどしないように早めに噛み切り咀嚼すれば、酸味を感じつつもタルタルソースの味が口の中に広がり、更にはもも肉に染みていた甘酢が香る。旨い。

 

白米は程よく焚かれたものであり、次々に口に運んでも足りなくなりそうな勢いだ。キャベツを口にし、甘酢本来の味を知ることとなり、更に米が進んでしまう。これは良くない。お代わりはしたくないのだ。でも、止まりたくない

 

2個目のもも肉に箸を伸ばそうとしたとき、ふと思い出した。味変!味変出来るんだった!

 

柚子胡椒へと手を伸ばす。市販品であるものの、外れがないこれなら苦手ではない限り使用してみる価値はあるだろう。

 

「ほほう...」

 

私の好物に柚子胡椒がある。これに実際の胡椒は使用されてないが、そんな事実はこの際どうでもいい。付けた個体を口に運べば特有の辛味と香りが追加で広がる。白米がすすむ。これぞ優勝なり。キャベツがお口直しらしいが、これはこれで全く別の料理の様にも感じ取れる。旨い、美味い、うまい!

 

あっという間にチキン南蛮とキャベツ、白米を食べてしまった。終盤は白米が足りていなかったが、気にしてはいけない。残されたお吸い物へと手を伸ばす。

 

酸味に支配された喉を通る鶏皮スープは、少し冷えていた身体を改めて芯から温めてくれる。薬味も実にイイ。これを飲み切ってこその優勝であると、ハッキリ言い切れる。

 

「ご馳走さまでした!」

 

これで午後も乗り切れる。私は足早に会計を済ませ会議先へと向かう。身体が冷えてしまう前に。

 

「まだ調味料はあったし、次回以降試してみよう」

 

次回は友ちゃんや垂れ流しちゃんでも連れて行こう。きっと、それがいい。一人で優勝するのは勿体無いからね。

 

「ねぇ、箱推し君。どこでごはん食べてきたの~?」

 

だから、おかゆん。そんなに私を問い詰めないで下さい。友ちゃんがきっと連れて行ってくれますからぁ!!!




箱推し君が一人でお昼ご飯を食べに行くお話。

お昼ごはんで優勝したことある?

  • 勿論さぁ!
  • 個人的にはある
  • お昼から優勝してもいいのか!?
  • 優勝シタイ...
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