箱推し君逃げて、超逃げて   作:Plusdriver

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のんびり執筆 飯テロタイム


箱推し君のグルメ その5

収録が終わったのは既に辺りが暗くなってから。ホロメン達は大空さんに連れられて深夜ラーメンを食べに行った為、スタジオに人の気配はない。誘われたけど、断りを入れてから1人電車を乗り継ぎ、途中下車をする。目的は唯一無二の、アレを食べるためだ。

 

飲み屋街、まだまだ続きそうな飲み会を視界にチラつかせながら目的地へと向かう。時間帯的にまだ飲み屋が閉まるわけでもないため、シメで食べに来る人の多いこの店はまだ空いている席が確認できた。素晴らしい、待たずに席に付けばもはやのんびりと『食』と対話できるというもの。入店後入口付近に設置された券売機で食券を発行する。全部のせ、心が踊らないわけがない。席に案内されれば静かにお冷を自ら用意する。待ち時間に明日のスケジュールを確認しつつ、翌日の目覚ましの設定を再確認する。推し活の為にホロジュールを確認しようとするが、視線は既に厨房に吸われていた。次から次へと網の中に投下される麺、サッと湯切りされたそれは既に用意された特性の油へとダイブする。ゴクリ。

 

「お待たせしました!W盛りDXトッピングです!!」

 

深夜まで作り続けてきたであろう店員のお姉さんの笑顔が染みる。こういうときに感じるものはホントに来るものがある。駄目だぁ、説明できなぃ…

正面に置かれた油そばと向き合う。静かにカウンターに置かれたラー油、特性油へと手を伸ばしそれぞれを回し掛けていく。箸を使い混ぜ合わせていけば私がここまで足を運ぶ品、ホロメン達とのラーメンを断る程の品が出来上がる。一口で収まるであろう麺を箸でつかみ、はねない程度に勢いを付けて吸う。

 

ああ、のんびり対話?そんなこと言ったけどもう忘れたや。箸は止まらない。

 

吸い上げ、咀嚼。小麦の味を感じ、油を感じ、トッピングで〆る。チャーシュー単体で販売して欲しいと思いながらも、ラー油特有の辛みがやってくる。そろそろ、味変といこうかな!

 

「すいません、柚子胡椒貰えますか?」

 

「はい!どうぞ〜」

 

手渡された小瓶。それに詰められるだけ詰めたと思われる量の柚子胡椒が収まっている。スプーンで必要な分だけを取り出し、追加で微塵切りにされた玉ねぎを加えて混ぜていく。香りと食感、味以外の変化も醍醐味なのだ。ラー油と柚子胡椒の相性は良い。それはどちらも唐辛子を使用して作られるものだから。だからこそ、柚子の香りが拡がりつつ、辛さが増すのである。ああ、旨い。この時間に食べてもラーメンよりもカロリーが低く塩分は半分程、更には店の特徴の1つである特製油が心を軽くしてくれる。なんでもとっても脂肪燃焼効果が高い上に調合によって加えられた栄養素のお陰で体にも優しいんだって!

 

啜るたびに拡がる柚子、舌に残る辛さ。玉ねぎの食感が合わさり先程までとは異なる感覚を伝えてくる。油そば、新たな選択肢を得た私に死角はない。

 

ああ、終わってしまう。この時間が、私の食の時間が終わってしまう。始まりがあれば終わりがある。当たり前のことだが名残惜しいのは久方振りだろうか。最後の〆の為に残った麺に再度追加した玉ねぎ、ラー油、そしてお酢を回し掛ける。

 

「んくッ」

 

酸味、辛味、そしてシャキシャキとした食感に、その全てを纏わせた状態で口内で暴れる麺。この、最後の最後まで楽しめるのは麺料理の特権だと私は思う。異論は認める。みんな違ってみんなイイ!

 

水を飲みながらふと、忘れていた存在の確認をする。

 

「…早く帰ろ」

 

鞄の中で丸くなったぽたんは可愛かったです。

油そば、食べたことある?

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