箱推し君逃げて、超逃げて   作:Plusdriver

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一周年記念連載開始。


時空が歪む日

天気が良過ぎる。今日も最高気温が40度近く、街からは聞きたくない音が聞こえてくる。また、誰かが倒れたのだろうか。コミケを終えて一段落した事務所には殆ど人は居ない。皆実家に帰ったりしているのだろう。

 

「ちょっと…寒い…」

 

冷房の風を一身に浴びられる場所にいた私の膝から彼女は降りて自分の席へと戻っていく。頭の上ではらみぃを囲むようにミニホロ5期生がぐだぐだしていた。

 

ふと、その場を離れホワイトボードを確認する。珍しく居ない先輩達を思い出しつつも、つい先日あったコミケの悪夢を思い出す。どうして強豪企業ブース同士を並べてしまったのか。未だに列に飲まれたときの圧迫感と緊張感、絶望感を思い出す。うへぇ…冬にまたあるってマ?

 

キンキンに冷えた水を片手に昼休憩を開始する。人数的に交代で外に出ないと誰もいなくなるレベルで事務所には人がいない。さて、何を食べに行こうかな

 

「ん?」

 

事務所を出てから直ぐに違和感を感じそちらへと視線をずらす。その場には何もない。何も居ない。なのに、私は路地裏を進み知らない場所へと足を進めていた。

 

「こんな場所、あったっけ?」

 

巡り巡って着いた場所には、黒い狐がいた。視線がずらせない。空腹感なんて忘れるほどに、私はその子に興味を持っていた。君は一体…

 

「あれ?」

 

私は、事務所から出てから何をしていたのだろう?1人炎天下の中その場に立ち尽くすなんて。見慣れた景色の中、胃を満たせられる店を目指す。スマホに通知が来たので確認すると、予定通り彼女は今日も配信を開始したようだった。

 

『やるか…。というわけで今日もホラゲーやってくぞー』

 

黒上フブキさんは今日も配信してくれている。最近体調不良でその回数を減らしていたが徐々に増えつつある。このまま元のペースに戻ってくれるととても嬉しい。ワイヤレスイヤホンをスマホに接続させて、店に入る。今日はローストビーフ丼にしよう!!

 

「すぃ!」

 

「いつから着いてきてたのさ?」

 

付いてきていたすいちゃんの分も頼みつつ配信を視聴し続けようとするが、店が地下にあるからか電波が届きにくく配信は数回止まる。諦めてアーカイブで視聴することにしスマホやイヤホンをしまう。楽しそうに待っている彼女の頭を撫でつつ、ふと違和感を覚えた。あれ、すいちゃんってこんなにモチモチした感触だったっけ?

 

「お待たせしました」

 

そんな思考は食欲の前に掻き消さられる。特に気にすることなく箸を箱から取り出し食べ始める。

 

「美味しい?」

 

「すい!」

 

元気のいい返事を聞きつつ、午後からの仕事を思い出す。先輩達が返ってくる前に仕事は終わるのだろうかと、不安に思いつつもオンラインミーティングの準備をすることを忘れないようにスマホでメモを残す。えっと、今は…

 

「8/15、12:30っと」




日常に必要なのはちょっとした非日常感だと思う今日此頃。

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  • 箱推し君
  • 黒上フブキ
  • 垂れ流しちゃん
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