時間を見つけては書き溜めてようやく形になりました?
整備室と言えば彼女の登場です。
それではどうぞ…
会談から数日。
今日もまたいつも通り研究室で作業をしていたシズクだったが、以前送るように頼んでいたモノが間違えて別の場所に運び込まれたと麻耶から謝罪の連絡が入り、確認と回収の為に整備室へレイナと共に向かっていた。
「山田先生もドジっ娘だね~」
「…そうだな」
「これで2回目なんでしょ?」
「…わざとかを疑うな」
「もう、そう言うことは思っても言わないのっとここだよね?」
「…ああ」
扉を開き、中に入る。
放課後の整備室には数名の生徒がIS整備を行っており、それらを無視して奥の方へと進む。
奥へとたどり着くと目的のモノがあり、ソレを1つ1つ確認しながらふと視界の隅に映ったモノへと視線を向ける。
そこには水色の髪の少女が一人でISをイジッていた。
「っカ、カーティス博士」
「………久しいな」
「お、お久しぶりです」
やがて、視線に気がついて振り返った少女にシズクにしては珍しく挨拶をする。
現に傍にいたレイナが少し驚いた顔をしている。
「知ってる子なのレイン?」
「…前に少しな」
シズクの言う前と言うのは今回同様に間違えて配送されたのを一人で取りにいったさい、一人で作業をしている簪を見かけほんの少しだけ会話をしたのだ。
会話と言ってもプログラムミスやちょっとした指摘程度。
たったそれだけのことを嫉妬する生徒会長がいたとか…。
因みにレイナもこの時会っているのだが、歓迎会に参加するために急いで拉致って行ったので全く覚えていないのであった。
「ふ~ん」
「っレイナ・シュバリエ…さん」
「僕のこと知ってるの?」
「……この間の候補生同士の試合は学年の皆が知ってる。あの機動は本当に凄かった」
「いや~、それほどでも///」
「…スピード馬鹿」
「なんだと~!!」
例の如くポカポカと叩こうとするが、片手で軽く制される。
「え、えっと、今日はどうされたのですか?」
「…前と同じだ」
「また、ですか」
「…ああ」
「……わざと、じゃあないですよね」
「アハハ、レインと同じこと言ってる♪」
「はぁ…」
どう答えたらいいのかといった顔をする簪。
そんな彼女にレイナが疑問に思っていたことを聞いた。
「それでえっと…――「簪でいい」――簪はここで何をやってるの?」
「…ISを造ってる」
「へ~、他の人たちは? 休憩?」
「………いない」
「へ?」
「私一人でやっている」
「………」
「えっと……何で?」
「それは……」
話を要訳するとだ。
元々、専用機開発がされていたのだが、数か月前に織斑一夏がISに乗れることが解り研究者の大半がそちらへと回されることとなり、開発の延長が告げられた。
そのことに怒りを覚え、自分の方でISを組み立てると宣言。
参考書や昔の設計図を見比べながら改良を加え、作業を進めること数か月。
何とか形にはなったが、最近停滞気味でイライラ。
「へ~、此処まで一人でやったんだ。凄いね~」
「……そうでもない」
「謙遜しなくていいと思うよ? 僕だったらまず無理だもん」
「…イジルなよ」
「やらないよ。だって信じてるもん」
「………」
「あ、もしかして照r――「…(スパンッ!!」――アダッ!?」
無言で手に持っていたボードで叩かれた。
「アタタッ…でも、どうして一人でやってるの?」
「……あなたには関係ない」
「いや、まぁそうなんだけどさ。みんなでやった方が効率がいいと思うよ? レインだって作業分担してるし」
「カーティス博士も!?」
「うん」
「でも、お姉ちゃんは…」
「お姉ちゃん?」
「っ何でもない…」
それっきり、俯いて黙り込んでしまう簪。
微かに身体が振るえていることから、触れてほしくないことなんだろうと察する。
さて、どうしようかと考えていると意外や意外、途中から興味が失せた様子だったシズクがそっと簪に近づいていった。
「…ひとついいか」
「……何ですか」
「まさかとは思うが、お前の言う姉というのはコレのことか?」
「え…」
そう言って差し出された携帯の画面を覗き、固まる簪。
何故ならそこに映っていたのは、縄で縛られた裸エプロン姿の姉だったからだ。
「お、姉……ちゃん?」
どうして?
声に出さなかったが、おそらくそうだろうと応える。
「…趣味らしい(人をからかうのが)」
「え?」
「ちょっと待てぇぇぇええ!!!」
「「…出たなストーカー(あ、ストーカー先輩)」」
「ス、ストーカーちゃうわ!!」
「ねぇ、レイン。息を潜めて天井に隠れてたり、人が捨てたものを拾ったり、物影からじっと見続けたり、こっそり後を着け回す人を何て言うんだっけ?」
「…ストーカー、だな」
「うっ!? そ、それはその…」
監視者として彼女らの動向を探っており、もしかしたら捨てたものに何かあるかもと回収もしていた。
が、監視しているという事を除けばストーカーと言われても否定できない。
学園が招き入れている手前、本人を前にして素直に怪しいから監視しているとは流石の楯無も言えない。
「僕たちのことが信用できないのは…まぁ、しょうがないけどさ~、でもやっぱり何日もやられると……ねぇ?」
「…煩わしい、鬱陶しい、気持が悪い」
「そこは“ウザイ”でいいでしょ!!」
「…ウザい」
グサリと視えない何かが楯無に突き刺さる。
「クッ、改めて言われるとグッと来るわね…」
「…マゾ?」
「違うわよ!!」
「ねぇ、レイン。マゾってなに?」
「…マゾヒズム、又はマゾヒストの略称。砕いて説明すると痛みや苦しみに喜びを覚える変態だ」
「へ~」
一歩だけ、レイナが後ろに下がった。
「ねぇレイナちゃん。何で距離を取ったうえに構えてるのかしら?」
「どうしょうレイン。取り押さえようにも触れたくないし喜んじゃうんだよね?」
「あら無視? というか触れたくも無いって普通に傷つくわよお姉さん」
「…聞いた話によると、ソッチの業界ではご褒美らしい」
「あ、そうなんだ」
「こら、女の子がそんなゴミ虫を見るような顔をしちゃイケないぞ☆ じゃないと本気で泣くわよ」
軽快に話してはいるが、実のところ結構泣きたい気分だ。
更識という家督で修業を積んでいるとはいえ16の乙女。
変態呼ばわりされたり、冷たい眼で見られるのは相当堪える。
ところで忘れていないだろうか、ここには3人以外にもう一人いるということを
「え、あ、お姉ちゃんは…裸エプロンなストーカーで痛いのが大好きでこっそり後を着けまわすマゾで縄で縛られてて……――」
簪の頭の中で色んなモノがグルグルとまわる。
「(暫くまともに合っていない間に何があったの? もしかして元から? ううん、昔はそんなことはなかった………筈。どちらかといえば、“私ツェー”だったような……あれ? 何か違う気がする。…そう言えば、時々本音から虚さんがお姉ちゃんを叱ってるって……もしかして二人はそう言う関係なの? 主従逆転プレイなの? あ、だから裸エプロンなんだ。それで何かミスがあったら虚さんが縄でしばるんだね。ナルホド、ソウカソウカ……)ア、アハハハハハhhhhhhh」
「か、簪ちゃん!?」
脳のキャパシティやらが崩壊して壊れたように笑う簪。
そんな彼女に驚き、心配して手を伸ばそうとしたが――
[パシィッ!!]
「へ? かんざ――「触らないでください更識先輩」――し、ちゃん?」
伸ばした手を叩かれたうえに何も写していない眼差しと機械の様に淡々とした冷たい声に固まる楯無。
「すみませんカーティス博士。今日はこれで失礼させて頂きます」
「………」
「それと、後日色々と相談に乗って頂きたいので、時間をいただけませんでしょうか」
「…別に構わない」
「ありがとうございます。では…」
「まったね~」
スタスタと足早に立ち去ってゆく簪。
「さて、僕らも行こうか」
「…ああ」
荷物を乗せた台車を押して進むレイナの後ろをゆっくりと付いて行くシズク。
暫くすると一人、また一人と別所で作業をしていた生徒も立ち去り、後には不自然に手を伸ばした状態で
【後書き】
3話続いての楯無イジリ…
別に私は彼女のことキライではないですよ?
【オマケ】
「ねぇ、本音」
「あ、あれ~かんちゃんどうしたの~?」
「お願いがあってきた」
「なになに~?」
「私の機体――打鉄二式を造るのを手伝って」
「………(ピトッ」←おでことおでこを合わせる
「熱は無いよ」
「………(グイッ!!」←簪の頬をつねる
「夢でもないし、痛いから放して」
「………(スッ」←持ってたお菓子を差し出す
「お腹もすいてないし、嫌そうな顔をしながら渡すなら最初からしないで」
「ほえ~!? どうしての~かんちゃん!! あんなに手伝うって言ったのに一人でやるんだって言ってたのに~」
「ごめん。今さらだよね……他をあたr――「手伝う、手伝うよ~!!」――あ、ありがとう」
「えへへ、どういたしまして~。でも~、本当にどうしたの~?」
「うん、どうしてもブチのまさなきゃいけない人が出来た」
「えっ!? そ、それってもしかしてオリム~のこと~? ダメだよ~」
「違う、わたしがヤらなきゃいけないのは別の人」
「???」
「ソウ、ワタシガヤラナクチャイケナインダ…」