二人は相棒(仮)   作:壬生咲夜

8 / 13
新年、明けましておめでとうございます。
休みを使って一気に仕上げました。


第07話「歓迎会」

「「「「「織斑君、クラス代表就任おめでと~!!!」」」」」

 

掛声とともに鳴り響くクラッカーの音。

今日は一夏の代表就任パーティーだ。

 

「はぁ、何で俺がクラス代表に…」

 

ため息と共にそうボヤく一夏。

 

「それは私が辞退したからですわ」

 

席を立ちそう告げるのは対戦相手だった“セシリア・オルコット”

彼女がクラス代表の座を降りた理由を纏めるとこうだ。

 

代表候補が素人に勝つのは当たり前で少々大人げなかった。

負けとはいえ代表候補に善戦したので将来性をみて譲ります。

 

「セシリアわかってる~」

「せっかく男子がいるんだから!」

「こりゃ、任せるっきゃないでしょう!!」

「人気者だな一夏」

「……そう見えるんだったら眼科に行けよ箒」

「フンッ…」

 

と素直になれない剣道少女と鈍感主人公のやりとりの机とは別の場所では…

 

 

「レイレイとっても速かったね~」

「ありがと本音ちゃん」

「フェアリーダンスだっけ? 今度教えてよ!!」

「ん~、あれはかなり練習を積まないと難しいよ癒子」

「じ、じゃあ訓練機の申請が取れたら見て貰ってもいいかな」

「僕でよければ構わないよ」

 

「「「やった!!!」」」

 

絶賛人気上昇中のレイナに約束を取り付け周りから一歩リードする3人娘。

遠巻きに爪を噛んで悔しがるのが何人かいる。

そんな彼女らがなぜ、席を遠巻きに見ているかというと…。

 

 

「………」

 

[ペラッ…]

 

前回同様、レイナに拉致られて無理矢理参加させられたレインがいたからだ。

本人としては別に(歓迎会事態に興味が無いので)何とも思って無いのだが、周りからすれば不機嫌そうに見えるので(無表情なだけ)近寄り難いのだ。

同席している3人も何と話しかけていいか解らず、ひたすらレイナと話している状態だ。

 

「えっと、レインさんは何を読んでるんですか?」

「………」

 

とうとう耐えきれずに3人を代表して癒子が無難に話しかけ、何も言わずにスッと差し出される本。

 

タイトルは――

 

『日本芸能界の後ろ暗い秘話~これであなたもブラックアメリカンジョークの達人(笑)~』

『突如地図から消された村~隔離された○○村に何が~』

『謝罪会見で号泣した政治家の末路』

 

「「「………」」」

 

どうリアクションしていいのかわからないがとりあえず一言。

 

「「「(タイトルが重い)」」」

 

「それ、面白いですか?」

「…暇つぶしにはなる」

 

どっちだよ!! と突っ込みたくなったがなんとか抑える。

というか歓迎会そっちのけで堂々と暇つぶしとはかなり酷い。

 

「その本~しずしず以外にも~読む人居たんだね~」

「そ、そう言えば読んでたね…」

「しずしず?」

「静寂のことよレイナ。おーい静寂!!」

 

人垣を避けて一人の女の子が近寄って来る。

 

「もう、大声で呼ばないでよ癒子……あっ」

「ごめんごめんってどうしたのよ?」

 

突然黙り込んでしまう静寂に不思議がる癒子。

 

「この間はありがとうございました!!」

「え、何?」

「何かあったの~しずしず~」

「えっと、入学前にちょっとガラの悪い人たちに絡まれてたのを助けてもらったの…」

 

「「「お~!!!」」」

 

「そうなのレイン?」

「…?」

「(あ、ダメだ本気で覚えてない)」

 

まさかの出来事に盛り上がる女子三人を脇にレイナが事実を確かめるがどうやら覚えてないらしい。

 

「あ、私は鷹月静寂っていいます」

「!」

「…へぇ」

「?」

「………(ジー」

「あ、あの何か」

「…いや、何でも無い」

「?」

「はいはーい。新聞部の黛薫子でーす。話題の“舞姫”レイナ・シュバリエちゃんにに突撃インタビューをしに来ました!」

 

一夏とセシリアの取材を終えた黛薫子が人垣を別けて取材をしにやってきた。

 

「“舞姫”?」

「あ、レイナは知らないのか。この間の試合を誰かが付けみたいよ」

「へぇ~僕としては舞闘剣士(ソードダンサー)の方が好きかな」

「え~それじゃあ可愛くないよレイレイ」

「そ、そうかな? 格好良いと思うけど…」

「女の子なんだから可愛くないとね~。えっとレインさんもそう思いますよね…」

「…“猪突猛進のバカ”か“電光石火のアホ”」

「なんだと~レイン!!」

「…事実だろう? ただでさえ、上空の気圧に耐えるように装甲を厚くしなけらばならないのに、極限まで軽くして動きやすく滅茶苦茶速い装備を要求しては他の技術者を泣かせたのはどこのどいつだったか?」

「ごめんなさい」

 

腰を45度に曲げての謝罪。

 

「…お陰で――」

 

 

『おんし、スピード特化型の機体か装備を作るとな』

『…ええ』

『よし、ならば装備をパージすれば速くなる機体を作るのじゃ!!(クワッ!!』

『………』

『ん? なんじゃそのアホなモノを見る目は?』

『…別に』

『俺にはわかるぞ白夜叉。フェイトそんの“脱げば脱ぐほど速くなる”だろ?』

『流石じゃな、親友(ピオニー)

『よせよ…照れるだろ///』

 

『………』

 

「――スポンサーの無茶ぶりに付き合わされたな」

「重ね重ね申し訳ありません…」

 

今度は両手と額を机につけの精一杯の謝罪。

レインの言葉に薄らと怒気が混ざっているのはきっと気のせいではないだろう。

 

「えっと、それでインタビューなんだけど…」

「ああ、僕は別にいいですよ」

「ありがとう♪ それと……」

「………」

「あ、あのですね」

「………」

「一緒にインタビューさせていただけたら嬉しいな~なんて…」

「………」

「………」

「………」

「ごめんなさいorz」

 

薫子は無言のプレッシャーに耐えきれなかった。

 

「アハハ、ごめんなさい先輩。相棒は取材とか本当に嫌いなんですよ」

「そうなの?」

「うん、前に自宅にまで来た記者や勧誘(命知らず)を(暇つぶしで作った)トラップの実験台にしたあと、下水や生ごみ処理場に放り込むくらい」

「………」

 

サーっと青くなるのが鏡を見なくてもわかる。

 

「(よかった…研究室に突撃取材しなくてよかった)」

 

と、この時心底思ったそうだ。

 

「それじゃあシュバリエちゃんインタビューお願いできるかな?」

「はいっ」

「まず最初はクラス代表を辞退したことなんだけど…」

「あれ? 僕はそもそも推薦も自推もしてないですよ」

「え、そうなの?」

 

薫子の疑問に首を縦に振るクラスメイト達。

一部ではもったいないな~という表情を浮かべている。

 

「でもまぁ、選ばれたとしても自宅警備員(・・・・)のお仕事があるから辞退することになるんですけどね」

 

「え?」

「はい?」

「ん?」

 

レイナの言葉に疑問の声が上がる。

 

「“自宅警備員”ってなんですの?」

 

訂正、セシリアを含む国外出身者はその単語の意味を理解できない返事だった。

 

「え、えっと…」

 

自宅警備員

24時間自宅を警備することが職務

<主な勤務内容>

PCの監視、掲示板サイトの管理、ネットの視察管理、SNSによる情報交換など…

 

 

「え? これってつまり…」

「ひきk――」

「シッ~! 言っちゃダメ!!」

 

コソコソと話し合うクラスメイト達を余所に友達から本当の意味を知る。

 

「フムフム、なるほどね………………………………………………騙したなレィィィィィィイイイイイン!!!!!」

 

レイナの怒りが爆発!!

レインに飛びかかった!!

 

「…間違いでは無いだろう?(ようやく気がついたか)」

「自宅は自宅でもロンド邸と研究室(ラボ)だから!! 警備じゃなくて護衛だから!! あと、心の中で『…やっと気がついたのか』とか思ってるでしょ!!」

「…チッ」

「舌打ちされたっ!? ああもう、だからたまにカガリ様が可哀そうな眼をしてたり、ミナ様とかが影で笑ってたんだね!!」

 

「「「「「(いや、そこで気付こうよ…)」」」」」

 

全くもってその通りである。

 

「もう、バカバカバカ!! レインなんて知らない!!」

 

ポカポカと叩くのを止め、頬を膨らまてプイっと明後日の方向へ向いてしまう。

困り果てた薫子は取りあえずレインに聞いてみることにした。

 

「えっと、シュバリエちゃんは国で護衛のお仕事をしてるってことでいいんですか?」

「…レナはガーディアンの一人で、有事の際には駆けつけなければならないから無理だということだ」

「そうですか。じゃあ次のインタビューなんだけど」

「………」

「えっと、シュバリエちゃん?」

「…(プイッ」

 

再びインタビューをしようとレイナの前に向かうも悉く顔を逸らされてしまう。

 

「…レナ」

「ツ~ンだっ」

 

目の前を何度も横切る薫子を邪魔に思ったのかレイナに声をかけるも同じく顔を逸らされる。

 

「…はぁ」

 

やがて溜息を吐き、一度席を離れて暫くすると何かを持って戻ってきた。

 

「…侘びと言っては何だが、これをやる」

 

ことりと机の上に差し出されるデザート。

 

「こ、これは!?」

「雪原のように美しいクリームにルビーのような苺ジャム」

「ひ、一目でわかる高級フルーツ」

「これでもか~ってくらいお菓子もあるのに~上品さが欠けず~、寧ろ芸術と言われるデコレーション(ジュルリ」

「間違いない、これは!!」

 

 

「「「「「“スーパーデラックスストロベリージャンボパフェ!!!”」」」」」

 

 

高級感漂うパフェに一目見た瞬間に女子の視線が釘付けだ。

料理長の気まぐれによって生み出されたこのスイーツだが、値段はとても一学生が軽々しく買えるものではない。

そして、その見た目からしてかなりのカロリーを摂取してしまうため、購入したのは片手で数える程度。

ゆえに幻のスイーツと呼ばれているのだ。

 

「そ、存在したんだね(ゴクッ」

「はっ!? た、食べモノ何かに釣られないんだから!!」

 

危うくモノで釣られそうになるところだったと言うが、チラチラとパフェに視線を向けているのがバレバレだ。

 

「…いらないんだったら、処分するが」

 

「「「「「あ゛~~~~!!」」」」」

 

処分しようとパフェを掴んで席を立とうとするレインにレイナだけでなく周りからも悲鳴があがった。

 

「…いるのか?」

「う~~~~~いるけど……」

「…?」

「いいの? 高いんでしょう?」

「…これくらい構わない。悪かったな興味本位で騙すような真似をして……相棒失格だな」

「そ、そんなことないよ!! レインは最高のパートナーさ!!」

「…ありがとう」

「(あ、少し笑った…)」

「(格好良い///)」

 

本当に薄らとだが微笑んだレインに思わず顔を朱くする数名。

その表情を脳裏に焼き込もうとするも、残念ながらすでにいつもの無表情に戻ってしまっていた。

 

 

「それじゃあ早速――」

「あ、ちょっと待ってレイナ」

「え~なにさ癒子」

 

スプーンを片手に食べようとするも止められ不満の声をあげるレイナ。

 

「まずはこの芸術を激写しようではないか!!」

「よく言った癒子!!」

「こんなのもう二度と見れるかわからないものね!!」

「薫子先輩撮って撮って!!」

「よし、任せろい!!」

 

これにはレイナを含め皆大賛成の様子。

始まるのは複数のカメラによる激写大会だ。

 

 

数分後――

 

「それじゃあ今度こそ」

 

恐る恐るとスプーンで生クリームを掬いそっと口元へ運びそれを一口。

 

「……おいひい///」

 

口に入れた瞬間にふんわりと広がる甘みに自然と表情が緩んでしまう。

見ていただけの周りも無意識のうちにゴクリと喉を鳴らしてしまっていた。

 

「いいな~レイレイ(ジュルリ」

「美味しそう(ジュル」

「た、食べたいけど…」

「私たちには買うお金もなければ」

「(待ち受けるダイエットと)闘う勇気もない…」

「なんてチキンなんだ私たちは!!」

 

周りの喧騒を聞いて何やら考えるレイナ。

そして――、

 

「……ねぇみんな。日本では“横断歩道みんなで渡れば怖くない”って言葉があるんだよね?」

 

「「「「「???」」」」」

 

レイナの言葉に周りは「聞いたことはあるがそれがどうした?」という表情を浮かべる。

 

「だからさ」

 

 

 

 

「一緒に(ダイエット地獄に)堕ちようよ」

 

「「「「「「何処までも付いていきます!!!」」」」」」

 

甘美な誘惑に皆即答だった。

 

「あま~~~い♪」

「ヤバイ、凄くヤバい!!」

「さ、さっきまでのお菓子が霞んじゃう…」

「肥えるわ~」

「なんて究極兵器を作ったのよおばちゃん!!」

「私…明日から一週間お菓子を断食するんだ」

「モチツケ!! 食べるペースが速すぎるってかズルイ!! 私も食べる!!!」

 

一つのデザートに歓迎会そっちのけで群がる女子一同。

話に付いていけなかったとある男子がコップを片手にポツンと一人寂しくチビチビとジュースを飲んでいたそうな…。

 

そして、

 

「大丈夫なんですか? かなり高いって聞いてましたけど…」

「…(賭けの)臨時収入が入ったから構わない」

「(ああ、また騙されてるのか…)」

 

喧騒に巻き込まれないよう離れたレインと一人参加しなかった静寂。

気になったのでそれとなく聞いて何となく察してしまい、可愛そうなモノを見る眼を向けてしまうのだった。

 

 




【後書き】
うむ、相変わらずの文才の無さに泣けてきます。
どうでもいいかもしれませんが、第01話の内容を一部変更しています。

これからもちょいちょいと書いたり、皆さまの書かれたSSを読ませて頂きます。
今年もよろしくおねがいします。

それではまた…


因みにレイナのイメージキャラは東方Projectの“大妖精”です。

【オマケ】
◆賭けについて
誤った情報を教えたのは半年くらい前で一部でどれだけの間気付かないか賭けが行われた。

1口千円から参加可
レインが即席で作ったネットバンキングに振込み、期間を選択。
参加者は真実を教えたりヒントを与えない。

以下、参加者とコメント

カガリ:1月以内
「いや、さすがにすぐに気づくだろう」

ミナ&ギナ:高校在学中
「あやつの言葉を無条件で信じる傾向にあるが…」
「流石にIS学園してすぐに気付くだろう」

ピオニー&白夜叉:学園卒業後
「よし、面白そうだから大穴狙いでいくぜ!!」
「うむ、賭けるならばやはり大穴狙いじゃろう」

レイン:学園入学して1月以内
「…だいたいこれくらいか?」

友人s:学園入学前
「「「戦闘以外だと結構アホだから…」」」

知人s:1年以内
「「「「「「素直(バカ)な子だからな……」」」」」」

<結果>
レインのほぼ一人勝ち

◆釘刺し

「はぁ~結局ちゃんとインタビュー出来なかったな~。どうしよ」

トボトボと一人廊下を歩くのは片手にカメラを持った黛薫子。
新聞部として話題の人物らを取材したかったが、思ったような成果を得られなかったようだ。

「こうなったら織斑君と同様適当に捏造を――」
「せ~んぱい」
「ん? どうかしたのシュバリエちゃん?」
「相棒のことなんですけど…」
「?」


「適当に捏造したら僕、怒りますから♪」

「あ、はい」

とっても素敵な笑顔にそう返すしか出来なかったそうです。


◆とある部屋にて

[カタカタカタッ…]

「レ~イン」
「…なんだ?」

宛がわれた部屋にてパソコンに何かを打ち込むレインの後ろから抱きつくレイナ。

「よかったの? たぶん、そうなんでしょ?」
「…別に、知らないならそれでいいだろう」
「ふ~ん」
「………」
「まぁ、レインがそれでいいなら別にいいけど」
「………」
「んじゃ、先に寝るよ~」
「…ああ」

[カタカタカタッ………タンッ!!]

◆???
「ーー以上が報告です」
「ありがとう虚ちゃん」
「それで、どうされますか?」
「…一度、会って確かめて見る必要があるわね」
「お気をつけて…」

【割とどうでもいい補足】
◆白夜叉
“問題児たちが異世界から来るそうですよ?”のキャラクター
セクハラが大好きなロリババア

◆ピオニー
“テイルズ・オブ・ジ・アビス”のキャラクター
初恋を煩わせて三十路後半になってしまった独身

◆カガリ
“機動戦士ガンダムSEED”のキャラクター
頭に血が昇りやすいやんちゃ娘

◆ロンド・ギナ・サハク
“機動戦士ガンダムSEED ASTRAY”のキャラクター
中二感溢れる笑いをする方

◆ロンド・ミナ・サハク
“機動戦士ガンダムSEED ASTRAY”のキャラクター
女王様オーラを出す長身美人

全員、マルクトの幹部の一人という設定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。