『はい。できるでしょうか…?』
『それがですね、アテナさんが入る前に作っていたNPC達で現在の作成可能レベルの上限一杯になってるんですよ。ですので…』
『それって、引き上げる方法、みたいなのってあるんですか?』
『はい。あるにはあるんですが…』
『?』
『あまり期待しないでくださいね?いくつか方法があるんです。一つはギルド自体のレベルを上げる。こちらはほぼ不可能だと思ってください。そしてもう一つが課金アイテム。正直こちらもあまり現実的ではないんですが……』
『どんな課金アイテムですか?』
『……本当に期待しないでくださいよ?こちらのガチャでの超低確率…確か0.1%とかだっけな。しかも天井無しの。マジで何の掛け値なしのクソガチャです。それでこの【作成可能レベル上限解放】というのが1つで5レベル、上がります』
『なるほど…。って、1つで5レベル?』
『はい』
『つまり、100レベルNPCを一つ作ろうと思ったら?』
『20個ですね』
『一応念のため確認したいんですけど、天井システムは』
『無いです』
『クソガチャですか?』
『クソガチャです』
『むむ…分かりました。ありがとうございます』
『いえ。申し訳ないです。やまいこさんとかいればリアルラックで引き当ててそうですけど』
『確かにですね(笑)』
その後さりげないお話をしてモモンガさんも切り上げるそうでログアウトしていった。
……さーて、ガチャしますかぁ。
とりあえず軍資金……30で行ってみようか。
次の日、モモンガさんにドン引きされて正座させられました。
何で?
ナザリックに帰還した後、守護者達に名前を変えたことを告げアインズ・ウール・ゴウンを不変の伝説にせよ、とノリで命令してしまった後に未だ放心状態だったアテナさんを俺の部屋へ連れてきた。
-兎にも角にも、まずはアテナさんを安心させてあげなければ-
そんな思いが俺を支配していた。
「アテナさん、ここなら誰にも聞かれる心配はありません」
だけど未だにアテナさんは下を向いている。まるで何かに絶望でもしていたかのように。
「アテナさん、話したくないのならば話したくない、で構いません。ですから、顔を上げてください。あの場でも言いましたが俺はアテナさんを責めていませんから。何より、まさしくナザリックの守護神として振る舞ってくれたアテナさんに俺は感謝しているんです。ですから…」
「……う、です」
「?」
「ちがう、です!」
アテナさんは今までで一番大きな声で、悲痛に満ちた声で叫んだ。目からはポロポロと涙が出てきている。
それを見た瞬間、めちゃくちゃ焦ったが幸か不幸かアンデットの精神沈静化が働いてすぐ冷静になれた。今回ばかりはコレに感謝していた。
ゴシゴシと涙に濡れる目を擦った後、今度はゆっくり、しかしはっきりと聞こえるように話し始めた。
「わたし、
「……」
「私を助けてくれて、他の人の反対があったなかで、押し切ってギルドに加入させてくれたときから、私はずっと、ずっとずっとずっとずっと、モモンガさんが、好きなんです」
これはきっと、異変が起きたからとアテナさんへの返事を後回しにしてしまっていた、見て見ぬフリをしていたから起きたことなのだろう。
…本当、自分の優柔不断さに腹が立つ。もしここに女性メンバーたちがいたら袋叩きにされていたのかもしれない。
腹を括ろう。例え見捨てられるとしても。怒られるとしても。愛想を尽かされるとしても。
今の俺の気持ちを伝えなければ、男が廃る。
「…アテナさん」
「ユグドラシルが終わるときの、あの告白は、本心からでした。
今もずっと、貴方が、モモンガさんが、大好きで。
私にとってモモンガさんはずっと、憧れで、ヒーローで。
私がずっと、ずーっとナザリックから離れずにいたのは、ギルドが好きなんじゃなくって、モモンガさんが大好きで、会いたいって気持ちで、それだけで。ただモモンガさんと会うためだけに、ギルドっていうのを利用してた、だけで。そんな私が、いやで」
「アテナさん」
「ユグドラシル最後の日を境に、二度と、会うことなんてできないなんて。自分の気持ちに嘘をつきたくなくて。伝えれないまま終わるのは嫌で。でも、こんな世界に、きてしまって、モモンガさんとも、自由にお話しできなくなって、こんな世界に来てしまったのも、本当は嫌で嫌で嫌で。でも、そう考えてしまう自分が一番、嫌で。
叶うならずっと、モモンガさんと二人でいたかった、それだけだったはずなのに…私は……」
「アテナさん!」
これ以上彼女が自分自身を卑下するよりも前に俺はアテナさんの顔をもって思い切り俺の方へ向ける。酷く驚いていたが特に怒ったりせず、力無く笑っただけだった。が、手が震えているあたり何かに怯えているようだった。
怒られると思っているのか、それとも、他の何かなのか。
「ごめんなさい。こんな手荒なことを。少しお話をしたいんです。俺と、アテナさんでの2人で。今から」
「はい、もちろ、です」
心臓がものすごく鳴っている。精神沈静化が幾度となく起きる。
何度も何度も深呼吸を繰り返し、ようやく意を決し口を開いた。
「……」
ベットに潜り込む。分かり切っていたはずなのに。
覚悟はしていたはずなのに。
ずっと涙が止まらない。
コンコン
「…?」
「マスター、少しよろしいかね?」
「えみや…?」
「まずいようなら時間をずらしてまた訪ねるが」
「ううん、だい、じょぶ、ちょっとまって」
目元をゴシゴシと擦って頬を何度かペチペチとする。
顔を引き締めて扉を開けるとエミヤだけでなくブリュンヒルデにシグルドもいた。
「…どうしたの?」
「何やら元気がない御様子だったのでね。ここは一つ、私の料理で少しでも元気になってもらおうと思ったのさ。入っても良いかな?」
「しぐるど、ぶりゅんひるで、は?」
「私は…少しでもマスターの、相談に乗れたら…と」
「当方も我が愛と同じです。マスターが困っていると言うのなら力になるのが道理というものでしょう。デミウルゴスやアルベドほどではありませんが、当方の持ちうる知恵の全てをマスターの為にお使いしましょう」
「ん、わかた。…とりあえず、入って」
「ありがとうマスター。ほら、お二方も」
「失礼…します」
「失礼致します」
3人を部屋に入れるとシグルドとブリュンヒルデはテキパキと机と椅子を4人分用意して、エミヤがスープを私の前に置いた。けどどうしても手が伸びない。美味しそうな匂いはしてるのに、食べようと言う気が起きなかった。
「今ちょっと、たべれない、かな。ごめん。後で、たべ、るから」
「大丈夫だ。気にしないでくれ。さてマスター。単刀直入に聞かせて貰おうと思う。
何があったのかね?」
「…っ。なん、そんなこと」
まさかの事に言葉が詰まる。
そんな私を見てエミヤはため息をつく。
何もかもを見透かされているようで少し、居心地が悪くなる。
だけどそんな私に構わずエミヤは言葉を続ける。
「マスターを見れば一目瞭然さ。だが私だけでは分かり得ない事もあると思いマスターがお創りになられたシグルド殿とブリュンヒルデ殿にも同席をお願いしたというわけさ」
「……。わたし、そんなに分かり、やすかった?」
「ああ。それはもう。それでマスター?アインズ様と外へ向かったとのことだが、そこで嫌なものでもあったのかね?」
「話したく、ないって言ったら?」
「それならそれで構わないさ。だが、意気消沈しているマスターをみた他のシモベ達がどうなるかは保証しないぞ?それこそマスターを悲しませたかもしれない、命を持って償いを、とか言い出しかねない。それなら私達にだけでも話して少しでも楽にならないかね?」
「……エミヤって、どうしえ、そんなに、優しい?」
「さあね。どこぞの素晴らしい、誇りたくなる敬愛すべきマスターが『守護神アテナの親代わりのような存在。それでいてとても優しく気がきく存在だ』というふうに創ってくれたからじゃないのかね?」
「……うん、そう、だたね。……えみや、ちょっとだけ、手話で、はなさせて。それを、ぶりゅんひるで、しぐるどにも、つたえてあげて。これ、ほかのみんな、とくに、あるべどには、ないしょ、ね?」
「承った」
「承知しました。この命尽きるまで、当方の中へ未来永劫しまっておくと誓いましょう」
「わかり…ました。シグルドと共に、墓の中まで、持って行くと誓います…」
もう私の中で堰き止めていた何かが溢れ出してきた。吐き出さなきゃ、壊れてしまいそうだったから。
『私、失恋しちゃったんだ。モモンガさん…じゃなくてアインズさんにさっき、告白の返事をしてもらえたんだけど、やっぱりというか、予想通り、フラれちゃった』
『なるほど…心中お察しする。直接言われたのかい?』
『うん。アインズさん達と人間の村に行ったあと帰ってきてから、アインズさんからお話があるって、それで告白の返事をしてくれたの』
『で、付き合うことはできないと、そう言われてしまったのかい?』
『"今の俺ではアテナさんを幸せにするどころか悲しませるだけになってしまいます。そんな俺にアテナさんと付き合う資格はありません。ごめんなさい。ですが俺に告白してくださったのはとても嬉しかったんです。それだけは本当です。こんな俺に告白してくださってありがとうございます"…って』
『それはそれは。ギルド長らしいな』
『うん。モモンガさんらしいよね。その後にね
"俺を軽蔑しても、嫌いになっても構いません。ですが俺はアテナさんを必ず幸せにできるような男になります。…その時にまだ、アテナさんが俺を好きでいてくださったら、その時は…いえ、これ以上は烏滸がましいですね。アテナさん。俺は貴方に見合うだけの男になってみせます。その時まで、待っててほしいんです"って。
…私が、モモンガさんを嫌いになるわけ、ないのに。ずるいよね。あの人。ずっと、ずーっと真っ直ぐで、自分のことよりもみんなの事ばっかりで、それでいてとても優しい。だから、好きになったのにね。
それでアインズさんのことを嫌いになれるわけないじゃないですか、って伝えたら一言だけ、ありがとうございます、って。……その後は、特に何もいえなかった。特に何をするわけでもなく、別れたんだ。
……こんな所、かな』
私が伝え終わってからはしばらく静寂が支配した。居た堪れない。
逃げ出したい。今すぐに。
だけど体が思うように動かない。
「ごめ、んね。こんなこと。みんな、持ち場に、戻って」
「ですがマスター。当方達は…」
「いいから!もどて!ひとりに…して…」
「いいえ。承伏できません。マスター。同じ恋を抱く女として。今のマスターをお一人にはできません」
そう言ってきたのは、まさかのブリュンヒルデ。
ブリュンヒルデが言ってくるとは思わず驚きを隠せなかった。
「マスター。お辛いでしょう。悲しいでしょう。ええ、その気持ち、ものすごく分かります。共感できます。…故に、今のマスターには、誰かが付くべきかと思います」
「でも…わた、し。みんながいると、甘え、ちゃう。そんなの、ナザリックの守護神、ふさわしく、ない」
「それがどうしたというのですか」
「え?」
「我が愛。それは不敬ではないのか。いくら我が愛とはいえ、それ以上は…」
「いやシグルド殿。ブリュンヒルデ殿の言い分を聞くべきだ」
エミヤがシグルドを抑えてブリュンヒルデと目配せをした後、再度こちらへ向く。
「マスター。甘えることの何がいけないのでしょうか。誰だって辛い時もありましょう。泣きたくなる事もありましょう。ですがそれを1人でお抱えになられては、今は良くてもいつか、そう遠くない時に心が死んでしまいます。
そして我らは、マスターが、至高の御方がそうなられないためにいるのです。マスターが『そうあれ』と創造してくださったのを、お忘れですか」
ブリュンヒルデははっきりと言い放つ。
「ですので、不敬を承知で言わせていただきますマスター。
もしも辛いと感じているのならば、わたしたちをお頼りください。
マスターは1人ではありません。私たちがお傍へ控える限り」
……ずるいなぁ。みんな、私が欲しい言葉を的確にいうんだもん。
強く在らなきゃ、みんなの期待する守護神にふさわしい存在にならなきゃ、ってずっと思って頑張ってたのに。こんな形で1人で頑張らなくていいって言われるなんて思ってなかったなぁ。
思わず目の当たりが熱くなってくる。
……これで三人の気持ちを無碍にしたら、それこそダメ、だよね。
軽く頬をペチペチと叩いてみんなに向き直る。
「うん、わかった。それじゃ、思う存分頼るね、みんな」
「「「ハッ!御心のままに!」」」
「それともう一つ…失礼を承知で…よろしいでしょうか?」
「ん、いいよ。言って」
「アインズ様にフラれた、とマスターは仰いましたが」
「ゔ…うん、それが?」
改めて言われると心にくるなぁ…これ。
「一度フラれたからと、再度告白してはならないという、ルールなんて……ないと思うのです」
「……はい?」
私はブリュンヒルデの言葉に思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
まずは評価をくださった方、ありがとうございます。
これからも頑張って書き上げていきます。
さてはて、これにてシリアスパートは一旦終了!
次からはほのぼのしたストーリーで描いていきたい(願望
ブロットの持ち主には『こういうのもっとちょうだい!』と言われましたが…もっとほのぼのしたのが見たい…え?みたくないすか?
私は見たい(真顔
てことで冒険者ルートになるのからナザリックお留守番ルートになるのかはまた要相談しながら描きますが、ほのぼのを目指して描きますw
それでは読んでくださりありがとうございました。
感想や評価をくださるととても嬉しいです