モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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「えーと、あの、ブリュンヒルデ?どういうこと?」

「ですから、一度フラれたからといって再度アタックしてはならない…なんて決まりは…無いと思うのです」

「い、いや。うん、そう、だけど」

「でしたら、アインズ様がマスターに振り向いてくださるまで、アタックし続けてはどうでしょうか。無論…マスターが嫌だというのなら、無理強いはしませんが…」

「いや、ちょ、まって。……確かに、そうだけど、めいわく、かけないかな?」

「大丈夫だと思われます…。アインズ様は、とても慈悲深く、お優しいですから…。どうするかは、マスター次第になりますが……」



それから丸一晩、ブリュンヒルデ達と別れてから悩みに悩み抜いた。
人生でこれだけ悩んだのは初めてかもしれない。


10話 冒険者

「はぁ…アテナさんと今後どう接しよう…」

 

昨日アテナさんへの最低な回答をした翌日、俺は執務室で項垂れていた。

どう転んでも嫌われる自信しかなく、かといって何も言わないまま、しないまま今後付き合うなんてことが最悪なことも理解している。

 

「だけどなんて言うのが正解なんだ…。謝るのがいいのか?それとも…あーもう!誰か俺に教えてくれ!」

 

コンコン

 

「んんっ!誰だ?」

 

「アインズさん、わた、し、です。入ってもいい、ですか?」

 

「アテナさん⁉︎」

 

噂をすれば何とやら、まさかアテナさんがくるとは思わずすこし声を荒げてしまう。すぐに落ち着きを取り戻していつもの声で答える。

 

「んんっ。入っていいですよ。どうぞ」

「失礼します」

 

入ってきたアテナさんは普段の神器級アイテムの装備を付けておらず黒いシャツに白いスカートをしていた。不覚にも少しドキッとしてしまった。

 

「どうされたんですかアテナさん。その…」

「いえ、あの、すこしだけわたし、しゃべらせてくだ、さい」

「え?あ、はい」

 

俺が何を話そうか決めあぐねているとそれを静止され、何度も深呼吸を繰り返していた。

 

「アインズさん。私決めたんです」

 

「決めた、とは?」

 

「私は昨日、アインズさんにフラれちゃい、ました」

 

「うぐっ⁉︎は、はい。最低なことだとは理解しています。アテナさんに嫌われ、見捨てられてもしょうがないと……思って、います。ナザリックから出ていきたいと言われても、俺には止める権利も資格もありません。…そのお話なんですよね?」

 

「え?」

 

「え?」

 

思わず静寂がこの場を支配した。めちゃくちゃ気まずい。

 

「何、言ってるですか?」

 

「いや、そのー、昨日のこと怒ってるものだと……」

 

恐る恐る聞いてみるもアテナさんは何を言ってるのか、というように首を少し傾げていた。そしてしばらく考えていたかと思うと何かを理解したかのように頷き始めた。

 

「アインズさん。だいじょうぶ、ですよ。わたしは、ナザリックから出る気は、無いですから。それに…もう貴方を1人にはしないと決めているんです。…確かに昨日アインズさんからちゃんと答えを貰えたことは、私にとっても大きな、ことでした。確かに、悲しくて、なんでだめだったんだろうって、いっぱい泣きました」

 

「うぐっ⁉︎も、申し訳…」

 

「謝らないでください。その後にですね、慰めてもらったのと、アドバイスをもらって、それから色々考えた、です。

 

私は、ナザリック地下大墳墓は大事でもなんでもなくて、そんなのどうでもよくて。

ただただ『モモンガさんに会いたかった。そばに居たかった』それだけの理由でずっとここに足を運んでいただけ。

 

それだけなんです。他のことなんてどうでも良かった。むしろ私の方こそ裏切り者と言われても仕方ない事してたなって」

 

「そんな事…!」

 

そんな事はあり得ない。俺にとっても皆がやめてしまったあともずっと横で支えてくれていたアテナさんにどれだけ感謝していたか。

 

だけど言おうとしていた言葉はアテナさんの被せてきた言葉に遮られた。

 

「あるんです。

 

だけど今は違います。ナザリック(ここ)のみんな、もう私にとって、大事、です。だから……今日も、これからも、ずっとナザリックを護るつもりです。守護神の肩書きに恥じぬよう。だからアインズさん。これからもずっと、貴方の横にいてもいい、ですか?」

 

嗚呼、一体何度この女性(ヒト)に感謝しているのだろう。だけど言わずにはいられなかった。

 

「え…ええ!ええ!勿論です!勿論です!俺こそ、アテナさんがいてくれてとても嬉しかったんです!貴方がいるからこそ、この世界でもやっていけると、そう確信しているんです!これからもお願いします!」

 

「はいっ。もちろんです。それと…ですね」

 

「?」

 

「一回フラれたくらいで、アインズさんを諦めるのは、やめました!」

 

「……はい?」

 

「つまり、ですね」

 

「えーと?」

 

アテナさんがテクテクと横に歩いてきて、それが何を意味するのかわからず聞いてみると急に抱きついてきた。

 

「あの⁉︎ちょ⁉︎」

 

力強く抱きしめてきたと思うとパッと俺から離れ、とてもいい笑顔でこちらを見てきた。

 

 

 

「見ててくださいねアインズさん。アインズさんの方から付き合ってくださいって言ってもらえるように、それか次私が告白しても受け入れてもらえるように自分を磨いていきますから!」

 

 

その後、アルベドやシャルティアが外で聞いており方や感極まり、方や嫉妬心から乱入してくるのはまた別のお話……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜1ヶ月後〜

 

 

リ・エスティーゼ王国の都市、エ・ランテル。その冒険者組合にとある三人組が新たな冒険者として登録に訪れており、一定数から注目を浴びていた。いい意味でも悪い意味でも。

だが大半は別の場所で大騒ぎが起きておりそちらに人が集まっていたためか本人達はさほど見られてはいなかった。

 

「はい、これで登録は完了しました。こちらが冒険者プレートになります。無くさないようご注意ください」

 

「ありがとう。それとついでに一つ聞きたいのですが」

 

「なんでしょうか?」

 

「今日は祭りか何かあるのでしょうか?やけに騒がしいなと感じまして」

 

漆黒のフルプレートを身に纏い2本のグレートソードを背負っている大柄な男は外を一瞥し訪ねる。

受付を担当していた女の人はいつものかと言った様子で答える。

 

「ああ。アレはそういう訳ではなくてですね。最近こちらで冒険者になった方が騒いでるんですよ。なにしろ突然豪華な装いで来たと思ったらとてもお強い方々でしたので。3日に1回くらいの頻度で大量の魔物の素材や沢山の任務をこなしては飲めや歌えや状態になるんです」

 

「ほう?どのような人なのかお聞きしても?」

 

「見た目がかなり個性的、というよりは派手ですので見ればすぐにわかると思います。一番の特徴は赤い派手な『キモノ』という服と腰に差してある2本の剣でしょうか。剣の方は確か『ニホントウ』と言っていました」

 

「んんっ⁉︎ちょっと待ってください、本当にそう言ったんですか⁉︎」

 

「えっ?あ、はい。確かにそう言っていました」

 

「わかりました。情報感謝します!」

 

 

 

 

「モモンさ、どうした、ですか?」

「モモンさーーん、どうされたのですか?」

 

「非常事態です!少し寄り道をさせてもらいます!」

 

漆黒の鎧を纏う『モモン』と呼ばれた新参の冒険者は迷惑など考えずに騒ぎの中心へ人をかき分け進む。付き添いの二人はそれの後ろに追従した。

 

「(俺の記憶が間違ってなければ…!)」

 

 

 

「酒じゃー!酒持ってこーい!」

「飲み過ぎです」

「デフォで毒無効じゃい!心配ご無用!」

「とは言っても飲み過ぎです。自重してください。さもなければ消えますよ。金が」

「最悪アイテムを売る!」

「オッケ承知しましたその刀貸してください売ってきますね」

 

騒ぎの中心にいたのは二人の冒険者。

1人は薄紅色の髪を独特な髪留めで束ね、藍の道着に鮮やかな紅い着物を身に纏い腰には2本の刀を差している女の冒険者。

もう1人は黒髪のポニーテール。動き易さを重視したような、雰囲気はどことなく着物に似ている物を着ており、女とも男とも取れる顔立ちをしていた。そして2人の首にかけているのはミスリル級を示すプレート。その二人…というよりは1人---紅い着物を着ている方---が飲めや歌えや状態になっており、それに便乗した冒険者が俺も俺もと宴会騒ぎに発展してしまっていた。なおその騒いでいた張本人の付き人は額に青筋が浮かんでいるが。尚そのやりとりすらも恒例行事となりつつあるが。

 

「マスター!酒追加ね!」

「あいよ!」

「いえ追加しなくていいです」

「いいから追加で!」

「……はぁ。一発しばき回してやりたい」

 

 

「ちょっと失礼します」

 

 

そんな中に一組の冒険者が乱入し、周りのことなどお構いなしに強引に酒を飲んでいる騒ぎの中心人物の前へ立つ。

 

「……やっぱり」

 

「んにゃ?この人だれぇ?みんなしってるぅ?」

「いやまったく!」

「さっき組合行ってたのはみたぜ!(カッパー)だから新人じゃねえのー?」

「別嬪さん2人連れてるなんて羨ましいねぇ全く!」

 

「宴会の途中に申し訳ない。貴女達の噂を聞いて会ってみたいと思いまして」

 

「別にいいけどぉ。なんの用?仕事の話なら今は聞きたか無いわよぉ?」

「よく言うぜ!酒と金が報酬に含まれてたらすぐ飛びつく癖によぉ!」

「そーだぜ!花より団子、団子より酒な癖にな!」

「よっ!黙って座ってれば牡丹。喋れば酒豪!歩く姿は酔っぱらい!」

「やかましいわ!」

 

「オホン!仕事の話ではありません。純粋に…そうですね、貴女と話をしてみたいと思ったのです。特に同じ2本の剣を扱う者として。(この話にどこまで乗ってくれるか…)」

 

「ふーん。……ちょいとこっち来なよ」

 

「はい」

 

漆黒の剣士は女に手招きされ素直に応じる。

 

「ガタイだけはいいのね。そんじゃあ…先に謝っとくけど、ごめんね」

 

「え?」

 

 

ズドォン!

 

 

「おー。不意打ち(コレ)を受け切る人初めてだ。感服感服。見掛け倒しの木偶の棒じゃないぽいね」

 

女はいつの間にか片手で剣を持っており、逆に漆黒の剣士は十数メートル後退していた。鎧が少し凹んでいることから剣で殴られたのだろう。

 

「いきなり何を!」

「…っ!」

「ゴミムシが!」

 

 

「「「「「おおおおおーー!!!!」」」」」

 

 

それに憤慨し3人が詰め寄ろうとした瞬間、予想外のものがそれをかき消した。

 

「あんちゃんすげぇな!」

「アレ受けて立ってるやつ初めてみたぜ!」

「お前教えてもらえよ!そしたらお前もできるようになるかもしれないぜ!」

「断る!死にたかねえからな!」

「にいちゃん酒奢ってやるよ!」

「肉はどうだ!ここの肉はうめえぞ!」

 

それは今の剣を偶然とは言え受け切ったことへの賛美の嵐。

 

「えーと…?」

 

「かっかっか!いやぁごめんごめん。私なりに君を試させてもらったよ。もちろん死なない程度に手加減はしてたし万が一の場合は治療する手筈はあったから許してちょーだいな」

 

「い、いえ。それは大丈夫なんですが……貴女、言い寄ってきた男に今と同じことを?」

 

「うん。大概は腕へし折るか片足切り飛ばすか峰打ちで気絶、辺りだったんだけど。その鎧もそうだし君の反射神経もここの人たちに比べたら相当な物ね。うーん合格!」

 

「ということは……」

 

「うん。君の要望通り話聞いたげる。マスター!2階の個室借りてもいーい?」

「おう!酒も持って行ってやろう!」

「マジでか!あんがと!あと適当に肉もお願いね!お台はつけといて!」

「あいよ!」

「てことで2階行っててもらえる?私はこの辺の飲み尽くしたら行くから。段蔵〜。連れてってあげてー。あとは先に話しててー」

「わかりました。ですがその前に……」

 

段蔵と呼ばれた方はいつの間にか手に持っていた巨大なハリセンで思い切り頭を叩いていた。

 

「いっっっ⁉︎」

「さあお客人。いきましょう」

 

「え?あ、は、はい」

 

段蔵に連れられ漆黒の剣士と付き人の2人は困惑しながらも二階へ上がっていった。






お久しぶりです(小声

ちょっとリアルがややこしいことになってまして更新止まってしまってました。申し訳ないです

ひとまず新キャラは出せたのでゆっくりと絡ませていきたいです(
とりあえず目標のところまでは書き切れるよう頑張ります


読んでくださりありがとうございました
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