「やあ。失礼するよ」
「これはデミウルゴス殿。食堂へ来られるとは珍しい」
「なに、私もたまには食事に来るさ。時にエミヤよ。少し話をしたいのだが時間はあるかね?」
「私と?そうだな…少し待ってくれ。今やってる仕込みが終わり次第になるがそれでも良いなら同席しよう」
「構わないよ。どれほどかかるのかな?」
「15分ほどかな」
「わかった。それまで何か食べて待っているとするよ。何かオススメはあるかい?」
「ならローストビーフはいかがかな?新しい味付けを試しているから食べてみて感想を頂けると助かるのだが」
「ふむ。エミヤの新作ですか。それは興味深いですね。そのローストビーフとやらお願いするよ」
「承った」
「お待たせした。それで話とは何かね?」
「まずは話に応じてくれてありがとうエミヤ。では単刀直入に言うのだが-----について少し話を聞きたいと思ってね。無論話せる範囲で構わない」
「ふむ。私としては構わないが…全てとはいかないからあまり期待はしないでくれ」
「勿論だよ」
「ではどこから話そうか…そうだな、まずは----」
「ささ、此方へどうぞ。心配せずともアイテムで聴かれないようにするのでご安心を」
「……!」
段蔵と呼ばれていた女性に連れられ2階の個室へ入る。それと同時に取り出していたのはユグドラシルのアイテム。なんてことない、音漏れせず聞き耳などの盗聴スキルがあらかた通じないと言うだけのアイテムだったが、それでもこの女性がユグドラシルプレイヤーだと確信させるには十分だった。
「さてあの人が来るまで先に情報交換を……と言いたいのですがその前に」
「「っ!」」
「……」
途端に目つきが鋭くなり、思わず身構えてしまった。一緒に連れてきていたナーベラル・ガンマ…もといナーベも同じなようでいつでも魔法発動できる準備をしていた。
唯一アテナさん…もといミアさんだけは不思議そうな顔で見ていたが。(余談だけど名前の由来はアテネ神と同一神とされていたミネルヴアからだそうだ)
「「……え?」」
しかし予想外のことが起こって思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
目の前の女性は何か文句を言ってきたり何かしてくるわけでもなく、急に土下座をしてきた。
「たいっっっっへん、申し訳ない。ウチのバカが。ほんっとうに。その鎧の修繕費も私が持ちますのでどうか許してもらえないですか」
「え、えーと、あのですね、あまり気にしていませんから大丈夫ですよ」
「いえそういう訳にはいきません。この段蔵の身一つで許していただけるのでしたら貴方に抱かれるのもやぶさかではありません」
「抱っ⁉︎何を言い出すんですか⁉︎」
「私の体が貧相だから心配されていらっしゃるのでしょうか?大丈夫ですよ。以前そういう仕事をしておりましたので心得はあります」
「いやそういう訳ではなくて!」
「ああ、私がウチのバカにそう対処しろと命令されていると思いですか?ご心配なく。これは私なりの誠意ですので。良くも悪くも色々な客の相手をしてきましたので大柄な男性でも問題はありません」
「まずは抱く云々から離れましょうか⁉︎」
話をしようにも一向に進まず平行線のままで思わず声を荒げてしまう。
「そうですか?今まであのバカに手を出してきた男どもはこれで皆納得してくれていたのですが」
「俺たちをそのような輩と同じにしないでくれませんか⁉︎」
確かにこの人もあの日本の刀を持っている女性もかなり美人だったし言い寄られるのもわかる。が、そんな男どもと同じにしないで欲しい。
そんなことを思ってると今度はアテナさんが俺の前に出てきた。
「ミアさん?どうしました?」
「だめ、です」
「ミアさん?」
「?」
きっとこの場を収めてくれるようなことを言ってくれるのか!流石アテナさんだ!
「モモ、さんに、だかれるのは、私だから、ダメ、です!」
「何を言ってるんですか⁉︎」
前言撤回。何を言い出すんだこの人は⁉︎
「ふむなるほど。御二方はそのような御関係でしたか。それは申し訳ない。ならば他の……とは言ってもお金に関しては余り手持ちがありませんので、それ以外でできる限りのものをお渡ししましょう。無論全てを、とは参りませんが」
「何か勘違いしてませんか⁉︎私とミアさんはそういう関係じゃありません!」
「ああ言いふらしたりだとかそんなことはしませんのでご安心を。さて…そろそろ、ですね」
「そろそろ、とは?」
「ああいえ。あの下で飲んだくれているあの方がそろそろ上がってくる頃だな、と。さて…お話しする前に御三方。こちらをお持ちください」
「「「え?」」」
そうして渡されたのは上に上がってくる前に頭を引っ叩くのに使っていたシロモノ。確か…ハリセンだったっけ。
……なんで?
「あの、これは…」
「それではドアが開くと同時に扉に向かって思い切り、ええソレはもう親の仇かのように思いっっっっきり、ぶん殴ってください。大丈夫、遠慮は要りません。どうぞ思い切り、なんなら日頃のストレスをぶちまけるかのように」
「「ええ…?」」「……?」
「さあ、来ますよ。構えて」
段蔵さんがいつでも思い切り振り下ろせるよう上段にかまえる。俺とナーベは訳がわからず呆けていたが、その横でもう1人、振りかぶっていた人が。
「おまーたーせーっ!」
「ふんっ!」「っ!」
「いだっ⁉︎」
スパアン!と
「酷くない⁉︎私が何をしたというの⁉︎」
「自身の行動を振り返ってどうぞ。残金を考えずに飲む馬鹿さん」
「そんな酷いやついるの?一発しばいた方がいいんじゃない?」
「鏡持ってきましょうか?それはそうと一緒にぶん殴ってくださってありがとうございます」
「……(ペコッ)」
「ミアさん何してるんですか⁉︎」
2回鳴り響いたのは単純明快で、アテナさんがノリノリでぶん殴っていたからだった。
「え、でも、なぐってくださいって、おねがいされ、たから」
「だからってやらなくていいんですからね⁉︎」
「いえミアさんとやら。グッジョブです。珍しくこの馬鹿がリアルダメージ受けてますよっしゃ」
「最近段蔵の私への扱いがおかしい件について」
「妥当です」
なんかもう、一気に疲れた。アンデットだから疲労がないはずなのにドッと疲れが出てきた。
「ほら早くこっちへきて座ってください」
「はーい。それとどうだった?」
「まあそれを伝えるためにも早くその酒をその場に置いて座りやがれってんです」
物凄く、本当に物凄く疲れてしまったがようやく本題に入れる。そう思い段蔵さん達と席に着く。
「さて、まずは改めて自己紹介するとしましょうか。私は段蔵といいます」
「私は宮本武蔵。シクヨロ〜あー酒うまい」
「私は一応この呑んだくれを管理する立場です。主に財布の」
「イェースアイドゥー」
「とまぁ、この通りアホなのであまりこの人の言葉は鵜呑みにしないでください」
「ひでぇ。やっぱり忠誠心カンストにしとくべき…いや気持ち悪いからいいや」
「おほん。初めまして段蔵さん。そして宮本武蔵さん。私はモモンと言います。つい先ほどこの街で冒険者登録をしてきた者です。こちらの赤髪はミアさん。そしてこちらがナーベ」
「……」
「(ペコっ)」
一通りの自己紹介が終わったところで店主らしき人が様々な食べ物を運んでくる。人間化の指輪がないので食べれないが。
「さて単刀直入にお聞きしましょう。あなた方の目的は何でしょうか?」
「言ったでしょう?あなた方に興味を持ったのでお話がしたいと。ただそれだけですよ」
「ふむ?ですが私達はさほど有名ではありません。新米もいいところです。そんな私たちになぜ興味を?ここよりも前にいた街では今のような目立つ服装はしていないですし写真一枚残していないはずなのですが」
「それは……」
どうするのが正解だ?着物だとか日本刀という単語を知っているからと素直に言うべきか、それとも隠すべきか。
「(…いや、この人たちが友好的だとまだ決まった訳じゃない。ユグドラシルプレイヤーなことは隠しつつ探るのが最善だろう)受付で貴女達の噂を聞きまして。特にあの赤い服を着ておられる方は同じ双剣を扱うと聞き興味を持ったのです。できるのなるば共に冒険者として依頼を受けてみたい、と」
「だ、そうですよ」
「ほーん。……双剣ねぇ」
未だジョッキにある酒を飲みながら武蔵と名乗った女性はこちらをみてくる。そして何かを思い出したかのように段蔵さんへ顔を向けた。
「そいやさっきの話どーなったんだっけ?」
「ああそういえば。忘れてました」
「「?」」
何かを思い出したのか、そしてそれを聞かれたくないのか魔法の効果を入念に確かめていた。そしてそれが終わったのか改めてこちらをみて衝撃的なことを言ってきた。
「モモンさん、そしてミアさん。ナーベさん。あなた方は
更新遅くなって申し訳ない…
もうリアルが…というのは言い訳にしかならないためやめておきましょう。
さて今回から出てきた『段蔵』『宮本武蔵』は皆様ご察しの通り某型月ゲームに出てくるものをそのままイメージしてくださって大丈夫です。
2人の詳細は後書きか前書きにでも書きます故
(実は本来のプロットの持ち主によると空腹のあまり武蔵ちゃんが行き倒れしてた)
更新は似たようなペースになると思いますが皆様の暇つぶしになれば幸いです。
それでは読んでくださりありがとうございます。
感想や評価をくださるととても嬉しいです