〜??? 冒険者になるより前の時間軸〜
「……」
今日も今日とてモモンガさん達の目を盗んでとある場所へ足を運ぶ。
「〜〜〜〜」
とある言葉を唱え、指輪を外しあらかじめ召喚しておいた天使に預け更に中へ進む。
「……!えーと、ハロ イチ ビン ウイダー ダ…‥であってるかな?」
「やはり発音がまだまだですなアテナ様。この場合だと…Hallo, ich bin wieder da、となります」
「うぅ…にほんご、よりむずかしい」
「なんのなんの。まだ練習を始めて数日ではありませんか。さて、今日もですかな?」
「うんっ、お願いします」
「Wenn es meines Gottes Wille!お任せくださいませ!」
この事実にモモンガもといアインズが気づくのはもう少し後……
「そ、それではアインズ様、マスター。重要事項をまとめ書き留めたものがこちらになります」
「うむ。ありがとう」
オルトリンデから渡された複数枚の紙には先ほど言っていた情報に加え、他の情報も書き加えたものだった。いやはや、デミウルゴスが助言したにしても優秀すぎないか…。
「それでは引き続き監視の任へ戻ります。何かありましたらご連絡ください」
「ばいばい、またあとで、ね。それとオルトリンデも、気をつけてね」
「これからの働きも期待しているぞ」
「ありがたきお言葉です」
オルトリンデは完全不可知化のスキルを使い転移魔法で任務へ戻っていく。それと同時にナーベラルが俺たちの前へ転移で現れた。
「お待たせして大変申し訳ありません!ナーベラル、ナザリックより戻りました!」
「気にするな。こちらも丁度用事が終わったところだ。それでナーベよ、体調などは大丈夫か?」
「はい、問題ありません!」
「ならば良い。次からはアテナさんを怒らせないようにな」
「ハッ!アテナ様も此度は私の失言により不快な思いにさせてしまい大変申し訳ありません!」
「いや、いいから、きにして、ないから」
アテナさんはオドオドしながらナーベラルと俺を交互に見てくる。…本当に、これが普段のアテナさんなのだろう。だけど…
「(いや、今気にしてもしょうがない。あとで二人きりで話せばいいだけだ。それよりも)ンフィーレアたちの言っていた森の薬草の採集までもう少しです。準備して待っていましょう」
「わかりました」
「ハッ!」
「それではみなさん、ここから森に入って薬草採集をしていきますので警護をよろしく願いします」
「ま、モモンさん達がいれば大丈夫だと思いますが!」
干し肉とスープという簡素な朝食を摂りンフィーレアたちと共に森の入り口に向かう。モモンさんの名前を広めるためにも一先ずはちゃんと依頼を成功させなきゃね。
「あの…モモンさん、一つだけお願いがあるのですが」
「はい、なんでしょうか?」
「もし森の賢王と出会った場合、殺さずに追い払って欲しいんです」
「というと?」
と、側から見れば無茶な要求だったが、ンフィーレアによるとカルネ村が襲われなかったのは森の賢王がカルネ村付近をテリトリーとしていたことからモンスターが好き勝手できず、そのお陰でカルネ村に被害が出ていないとのこと。
「おいおい、いくらなんでもそれは無茶ってもんだぜ」
「そうですよ。いくらモモンさんと言えど」
「わかりました。ミアさんも宜しいですか?」
「はい、もちろん、です」
「えっ⁉︎」
「相手は何百年も生きてる伝説の魔獣だぞ⁉︎」
「強者にこそ許される選択であるな」
そんな要求にモモンさんは二つ返事で了承し、私もそれに了承する。でもどんなモンスターなんだろう。凄い名前だし、カッコいいか貫禄のあるモンスターだったりするのかな。
「ただ、森に入る前に一つだけ宜しいですか?」
「はい」
「ナーベがアラームに似た魔法を使えるので一度私たちが先行して入り危険がないか調べてこようと思うのですが、宜しいでしょうか?」
「勿論です。ただ、気をつけてくださいね」
「分かっております。それではミアさん、ナーベ、行きましょう」
「わかりました」
「ハッ!」
ミアさん達と共に森の少し奥へ入り一度振り返る。ンフィーレア達の姿が完全に見えなくなったのを確認し声を出す。
「さあ、私達の名声を高めるための作戦会議をしよう」
「はーい!」
「ッ!」
事前に知らせておいたシモベへ声をかけると元気な声が響く。ナーベは警戒し魔法を発動させようとしていたが声の主を見てすぐに引っ込めていた。
「というわけで私が来ましたー!」
「アウラ様⁉︎驚かさないでください!」
「あはは、ごめんねー」
「一体、いつから…」
「ん?アインズ様達が森に入られた時からだよ?」
「全く気づきませんでした…」
「それでアウラよ。この森にいると言う森の賢王なる魔物を私たちに対してけしかけてくれ。できるか?」
「はい!問題ありません。多分アイツだと思うので」
「よろしい。では行動を開始せよ」
「了解しました!」
そうして俺の命令によりアウラは森の奥深くまで向かっていく。流石はレンジャークラスというべきが迷うことなく奥へ進んでいきすぐに見えなくなった。
「それでは戻りましょう」
「え、あ、もう終わった、ですか?」
「はい。これからですがアウラにより森の賢王を私達へ向かわせて貰います。そして森の賢王を倒す、もしくは追い払うことで更に名声を高めようと思います」
「わかりました」
さて、アウラがさほど警戒していないのと強いモンスターがいるという報告も受けていないから大丈夫だろう。それでも警戒しておくに越したことはないだろう。
「(さて…鬼が出るか蛇が出るか)」
「…!マズいな、何かデカいのがこっちに向かって来てる!」
「森の賢王…でしょうか?」
「分からないが、とにかく離れたほうがいい」
「皆さんはンフィーレアさんを連れて森の入り口へお逃げください。ここからは私たちが」
「分かりました!ですがモモンさんもお気をつけてください!」
「はい、もちろんです」
ンフィーレア達と共に森に入りしばらく経つと俺でも分かるくらいの地響きを感じ取れた。おそらくはアウラが上手くやったのだろうと思いンフィーレア達には森の入り口まで戻ってもらう。だが…そもそもの話として目撃者がいないと森の賢王かどうかわからないということに思い至る。
「はぁ…仕方ない。腕の一本くらいは切り落とすか」
地響きが段々と大きくなりグレートソードを構える。ミアさんも俺の前に立つようにし槍と円盾を構える。
「っ!」
地響きが鳴り止んだと思うと俺の後ろから何かが飛来してくる。ソレにいち早く気づいたミアさんが盾で弾き返す。
「っ…モモンさん、だいじょうぶ、ですか」
「はい、ありがとうございます」
ミアさんに感謝をしながら攻撃して来た相手がどこにいるのか警戒しつつ辺りを見渡す。だが姿は一向に見えない。
「ミアさん、先の一撃はどうでした?」
「ん、様子見だと、思いますけど意外と弱い、です」
「なるほど。さてはて、ここから…」
『
「「ござる……?」」
だがそんな警戒も聞こえて来た語尾により消えかけてしまった。
なんだ『ござる』って。ユグドラシルでもそんな恥ずかしい語尾にする奴いなかったぞ。
『さて、某の縄張りへの侵入者よ。今逃走するのであれば先の見事な防御に免じ某は追わないでおくが、どうするでござるか?』
「愚問!それよりも姿を見せないのは自信がないのか?それとも恥ずかしがり屋さんかな?」
『いうではござらぬか。では某の威容に瞠目し、畏怖するが良い!』
そして声の主はゆっくりと姿を表し始めた。
木々をゆっくりと倒しながら俺たちの前へ出て…出て……
「なん…という…」
「……!」
その姿を見た俺たちは、思わず息を呑んでしまっていた。ミアさんに至っては思い切り目を見開いていた。
『ふふふ…そのヘルムの下から驚愕と恐れが伝わってくるでござるよ』
「そ、それよりも、一つ聞きたい」
未だ威厳に満ちた言葉遣いで喋ってくるが、それよりも先にどうしても確認したいことができてしまい質問を投げかける。
「もしかしてお前の種族名は……
ジャンガリアンハムスターとか言わないか?」
「なんと!もしやソナタ、某の種族を知っているでござるか?」
「う、うむ。知っているというか…嘗ての仲間がお前によく似た動物を飼っていてな」
「おお…!」
嘗ての仲間の情報を思わず喋ってしまったが、それにナーベは感嘆しており森の賢王とやらも俺の情報に食いついたようでめちゃくちゃ軽いテンションで俺へ話しかけ始めた。
「なんと!もし同族がいるのであれば教えて欲しいでござる!子孫を作らねば生物として失格でござるが故に」
「そ、それはサイズ的に無理だ…」
「あぁ…そうでござるか、残念でござる」
「す、すまんな…」
「いいでござる…。それよりも!そろそろ無駄な話はよして、命の奪い合いをするでござる!」
と、再度話の続きをしようとしていたが俺はというともうやる気がなくなっていた。だってこれはもう完全に…
「はぁ…はずれだ。完っ全にハズレだ。森の賢王なんて名前だから…期待してたのに…」
「某の支配する領域に侵入せしモノよ!某の糧となるでござる!」
「ミアさん、もうこれは…」
「何をしているでござるか!そちらの方はともかく、お主ともあろう戦士が未だ勝敗わからぬ内に降伏とはあり得んでござろう?」
「ん?何言って…」
と、思わず横にいるミアさんを見てしまう。そこには確かに口を開けたまま固まってしまってるミアさんがいたが、その表情はもっと、何というか別のものを含んでいたような気がした。
「あの、ミアさん?」
「そちらの方は某との力の差を理解しているのではござらんか?であれば、今すぐ逃げるのを…」
「か……」
「「?」」
と、不意にミアさんが何かを喋ろうとし俺も森の賢王も思わず聞き返してしまう。だけどそれに返って来たのはもっと別の言葉だった。
「かっわいい!!!」
「「え?」」
「あ、あのっ、ももんさん!この子、私、ほしいです!」
「え、えーと」
「ね、ね、だめですか!ちゃんとお世話しますから!」
「とは言いましても、コイツが私たちに従うとは…」
「じゃあ森の賢王さん!何したらいいですか!何をしたら私のペットになってくれますか!」
「…森の賢王、もし仮に私たちの軍門へ下れと言ったらどうする?」
めちゃくちゃハイテンションなミアさんはどうやら森の賢王が気に入ったようで、ペットにしたいと言ってくる。初めて見るテンションの高さに思わずたじろいでしまったが何とか姿勢を戻し森の賢王へ問いかける。森の賢王も予想外のことだったのか驚いていたが。
「ペットとは…某をでござるか?」
「うん!」
「とのことだ。お前はどうする?私たちの元へ下るというのなら私たちも無益な戦いはするつもりないのだが」
「とは言っても…流石に負けてもいないのに忠誠を誓うわけにはいかぬでござるよ」
「てことは、私が勝てばペットになってくれるんですか!」
「そ、その通りでござる」
「モモンさん!私、やっていいですか!」
「は、はい。どうぞ」
「ありがとうございます!」
ミアさんの勢いに押され思わず了承してしまった。森の賢王も困惑しながらも戦うことには納得しているのかミアさんと向かい合う。俺とナーベは邪魔にならないよう少し後ろに下がる。
「モモンさ…ん。宜しいのでしょうか?」
「大丈夫だろう。何より…あのミアさんを止める勇気があるか?」
「い、いえ…」
「それじゃあ、いくよ?」
「うむ、何処からでもかかって…」
「
勝負はまさに一瞬だった。ミアさんが手のひらを森の賢王に向けスキルを発動させる。森の賢王は身震いしたと思うとその場に仰向けに倒れた。
「こ、降参でござる。某の負けでござるよ…」
「…!なら、私のペットになってくれる?」
「承知したでござる。某、姫のペットになるでござるよ」
「やったー!」
そう両手をあげて喜んでいるミアさんはまさに年相応、とでも言えばいいのか。これが親の気持ちかーなんて思いながらついほっこりしてしまう。
「ありがとうございますモモンさん!」
「い、いえ。問題ありません。それよりも森の賢王よ。ミアさんのペットと言うことだが私たちへも忠誠を誓うと言うことか?」
「姫がそうおっしゃるのなら某は構わないでござるが…もしやこちらの御仁は姫よりもお強いのでござるか?」
「うん、モモンさんはわたしより、つよいですよ」
「そうなのでござるか…であらば、殿へも忠誠を誓うでござるよ!」
「あー、うん。もうそれでいいか。ではミアさん。ンフィーレア達の元へ戻るとしましょう」
「はい!あ、ねえねえ、背中乗ってみてもいいかな?」
「もちろんでござるよ姫」
…アテナさんも森の賢王も適応早すぎないか?俺がおかしいのか?いやというより、今からこれを連れて行かなきゃいけないのか?
……どんな羞恥プレイだ。
さて森の賢王は無事アテナのペットへ。ウッキウキしながら戦女神の覇気を使ったのは単に浮かれすぎて弱いスキルを使おうというのを忘れていただけのドジっ子だったりする
戦女神の覇気…レベル差が20以上ある相手へ恐怖などを始めとした精神的バッドステータスを付与する。なお森の賢王に対してはもちろんオーバーパワーもいいところである
次回ももう少し早く書き上げれそうなので意外と投稿は早いかも?
それでは読んでくださりありがとうございます
感想や評価などくださるととても嬉しいです