モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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アテナとNPCの日常 アウラ&マーレ編

〜第六階層〜

「おぉ…なんどみても、すごい…」
「あ、ありがとうございます!」

本日はエミヤとの喋る練習がお休みになり暇になってしまったので気晴らしに第六階層へ赴いた。
事前に伝えておいたお陰かマーレが出迎えてくれる。アウラはというと少しだけ時間がかかるらしい。その間はマーレに森の中を案内してもらっている。

「この森、ぜんぶマーレが管理、してるんだよね?」
「は、はいっ!そうです!」
「すごい…ね。えらいえらい」
「ふぇっ⁉︎」

私よりも背の低い人というのが珍しく、またマーレの精神年齢が結構幼いからか、つい頭を撫でてしまう。

「お待たせしまし…マーレ?」
「うぇっ⁉︎お、お姉ちゃん⁉︎」
「うぇってなにようぇって!それより!ちょっとズルいんじゃない?」
「な、何のこと?」

「あうら、おつかれさま、です」

「アテナ様!お疲れ様です!」

アウラが挨拶し、周りに続々と魔獣が集まってくる。全身が黒い馬みたいな子やカメレオンみたいな子、それと恐竜みたいな子など合計10匹くらい集まっていた。

「どうでしょうかアテナ様。私の使役してる子の中でもお気に入りの子達なんですが…」

「うん。かっこいいし、かわいいよ。特に、この子、わたしすきだな」

「だって、よかったねイーちゃん!」
『ゴー!』

イーちゃんと呼ばれた恐竜みたいな子はすごく表情豊かで喜んでるのがよくわかる。可愛いなぁ。

「この子達のお世話、アウラがやってるの?」

「はい、その通りです!」

「大変じゃない、の?」

「いえ全然そんなことは!むしろみんなの体調管理とかも出来ますし必要な仕事です!それにこの子達って意外と甘えん坊なんですよ」

「なる、ほど。あうらもえらいえらい」

マーレと同じようにアウラを撫でるとすごく嬉しそうにしてて可愛い。他の魔獣たちが羨ましそうにこっちを見るので、撫でてあげようかと提案すると一斉に私の近くに集まってくる。

「そ、そんなに、してほしいの?」
「こらみんな!アテナ様を困らせないの!」
「だいじょうぶだよこれくらい。それよりもアウラ、マーレ、今日は案内よろしくおねがいします」

「お任せください!」「お、おまかせ、ください!」




「アテナ様の武装ってほとんど自分で作られたんですか⁉︎」

「うん、でも素材あつめて、自分でデザインして、性能考えて、たまにモモンガさんやぶくぶく茶釜さんにアドバイスもらって、がんばったの」

「すごい、すごいですアテナ様!」
「す、すごいです!」

「ありがと。でも私よりもナザリックのみんなの方が、すごいんだよ?みんな私には出来ないことができて、モモンガさんの役に立てて。みんなのこと羨ましいな」

つい本音をぽろっと言ってしまうと双子があたふたしてしまった。うーん…私のこと慕ってくれるのは嬉しいけど、ちょっとしたことでも不敬だとか言うのはやめてほしいなぁ…。時間をかけてその辺を直していった方がいいかな?

「そうだ、2人って好きな人とかいるの?」
「アテナ様とモモンガ様が大好きですよ!」
「ぼ、僕も大好きです!」

そう言うことでは…まあいいや。話す時間はこれからたくさんあるんだから。

「2人とも、またくるのでたくさんお話ししようね」
「はい!お待ちしております!」
「た、たのしみ、です!」

やっぱり仕事がない時にみんなとお話しするのはいい気分転換になる。次は誰のところに行こうかな。


19話 異変

「お待たせしましたミアさん」

「お疲れ様、です」

 

森の賢王を連れて冒険者協会へ従魔として登録を済ませる。ミアさんはと言うとやはり森の賢王の上に座っていた。曰く、フワッフワのソファみたい、とのこと。

 

少し乗ってみたさもあるにはあるが、ここでは絶対にやりたくない。

やるにしてもナザリックへ戻って1人の時にやろう。

 

「それでは、ンフィーレアの元へ向かいましょう」

「分かりました。あ、それとですね」

「?」

()()しました。漆黒の剣は、ちゃんと生きて、ます」

「おお、素晴らしいですね」

「さすがミア様でございます!」

 

成功した。

その言葉でないはずの口角が少し上がったような気がする。だけど油断は禁物だ。念には念を。石橋は叩きすぎるくらいがちょうど良い。

 

「そのクレマンティーヌとカジットとやらの強さはどうでした?」

「御使いと互角です。隠してる切り札とか、あれば話は別かもですが、オルトリンデ1人でも大丈夫、だと思います」

「なるほど。それでは手筈通り、敢えて『死の螺旋』とやらは発動させましょうか。アンデットの大群が来るそうですが大丈夫ですか?」

「もちろんです。なんでもばっちこい、です」

 

「なあお主ら」

 

「「?」」

 

「もしや孫と薬草採集に行った冒険者かの?」

 

突然話しかけられ、声の聞こえた方を向くと老婆が立っていた。

格好からして錬金術か何かの実験をしていたのは予測できるが俺もミアさんも知らない相手だった。

 

「そうですが、あなたは?」

 

「儂はリイジー・バレアレと言う。ンフィーレアの祖母じゃよ」

 

「そうですか。私はンフィーレアさんに依頼されたモモンと言います。こちらはミアさんにナーベ。それから…」

「某は森の賢王。今はハム助でござるよ!」

 

「なんと…!この強大な魔獣が、かの森の賢王だと言うのかい⁉︎」

 

「そうです。薬草採集の際に遭遇したので捻じ伏せました」

 

「そりゃすごいのう、孫が指名して依頼するわけじゃ!そうじゃ、どうせ向かう先は同じじゃろうから一緒に店へ行かんかね?」

 

「私たちで良ければ喜んで」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ…はっ…。お姉様…ごめんなさい。シグルド様…ごめんなさい。

 

ごめんなさい…マスター…」

 

 

 

 

 

 

 

特に何事もなくバレアレ店に着く。特に警戒することなくリイジーは中へ入る。だが店の内部は荒れ果てており思わず足を止めていた。

 

「な…こ、これは…」

「リイじーさん。ここは私が調べます。あなたはンフィーレアさんをお探しください。ナーベ、守ってやれ」

「畏まりました」

 

俺の言葉が聞こえているかどうかは分からないが店の奥へリイジーは向かう。敵はいないと報告を受けているが念のためナーベを護衛として送り、ミアさんと共に荒れている店の中を捜索する。

 

「(オルトリンデからの報告通りならば…)」

 

壁際で倒れている棚を無造作に持ち上げると、下敷きになっていたのは漆黒の剣のレンジャーであるルクルットだった。ミアさんがぶち破られていたドアの先を確認するとペテルとダインが。

 

「…っ!モモンさん!」

「ニニャさん、無事でしたか」

 

カウンターの下からヨロヨロと這い上がってきたのはニニャ。

漆黒の剣は全員が武器破壊及び軽傷とは決していえないレベルの傷を負わされてはいるが全員が生きていた。

ニニャは俺たちの姿を確認し喜ぶと同時に苦痛に顔を歪めていたので、その辺に転がっている容器が無事なポーションを4本ほど拾い上げ、そのうち一本を渡す。残りの3人は気絶しているようだったので上からかける。そして何度か頬を叩くなどをし全員を起こす。

 

「みなさん、ご無事なところ申し訳ありませんが何があったか説明をお願いします」

 

 

 

 

 

モモンさんが漆黒の剣から聞いた内容を簡単に整理すると

 

まず、店に入るとンフィーレアを攫うのが目的の女がいたこと。

交戦に入ろうとした時に純白のフードを被ったミスリルの冒険者が偶然店を訪れ、協力して打倒しようとした時、更にマジックキャスターが現れたこと。

マジックキャスターは誘拐目的の金髪の女の仲間だと言うこと。

 

応戦するも自分たちの力量が足らずンフィーレアは攫われてしまいミスリルの冒険者は喉元を刺されてしまったこと。

 

金髪の女は自分たちにもトドメを刺そうとしていたが何かを思い出したかのように店を出て行ったこと。

 

と、言うことらしい。オルトリンデから逐一聞いていた報告通りの内容だった。あの子優秀だなぁ。私が作ったとは思えない。

 

「漆黒の剣の皆さん。至急このことを冒険者組合へ知らせてくれませんか?私たちは犯人の手がかりを探します」

「わかりました。お任せください」

 

漆黒の剣の4人が冒険者組合へ向かうのを確認し、モモンさんと共に殺されている御使いを軽く観察する。

 

……あれ?

 

「モモンさん、冒険者プレート、取られちゃってます」

「そうですね。ハンティングトロフィーのつもりなんでしょうか。何にせよ…バカですね」

「そう、ですね。大バカですね」

「口悪いですよ?」

「今くらいいい、でしょう?」

 

まさかの超弩級のバカな-わざわざ御使いに持たせたアイテムを持って行った-ことをしてくれたことに気づき、思わず笑ってしまう。これでは見つけてくださいと言っているようなものだ。

 

「リイジー・バレアレ。私たちは犯人の行方を追う。部屋を一つ貸して欲しい」

「うむ、構わんぞ。頼む…孫を…」

「お任せください。必ずや助け出して見せましょう」

 

奥の部屋に入り、モモンさんが魔法の巻物(スクロール)を数十個ほど出しナーベに指示をどんどん出していく。

 

「…あ、それなら念の為に、私もスキル、つかいましょうか?」

「ほう?どのようなスキルなんですか?」

「えーと、確か、情報系の魔法とか、スキルを一定期間遮断する、だったと思います」

「なるほど。重複するものでしたら是非ともお願いします」

「わかりました」

 

ナーベが魔法を次々と唱えている横で私のスキルを発動させる。重複とかなんとか、その辺は大丈夫だった……はず、きっと、おそらく、たぶん。

 

 

ピピッ

 

 

「「?」」

 

ナーベが魔法を唱え終わり、いざ始めようとした時、誰かから伝言(メッセージ)が入る。

 

モモンさんと目を合わせ応答すべきかどうか尋ねると、応答してくださいと言われたのでメッセージを受ける。

 

『マスター、シグルドでございます』

 

「どうした、の?急用?」

 

『はい。今はご都合の程はよろしいでしょうか?』

 

「うん、大丈夫。どうしたの?」

 

明らかにいつものシグルドらしからぬ声色に思わず警戒しながら尋ねると帰ってきたのは沈黙。何が何だかわからず、思わずモモンさんを見る。

 

「どうされました?」

 

「あの、シグルドが、何かあったみたいで、でも…」

 

「ミアさんもですか?」

 

「私も、ってことはモモンさんも、ですか?」

 

「エントマから連絡が来まして、至急伝えたいことがある、と。忙しいから後で連絡すると伝えたところアルベドに連絡をしてくれと言われたので、そこまで緊急性の高いものではないと判断したのですが」

 

「…‥ちょっとだけ、待ってください」

 

「はい」

 

「シグルド、何かあったの?緊急性の高いこと?」

 

未だ黙ってしまっているシグルドへ問いかけると意を決したかのような声がする。

 

『その通りでございます。お話から察するにアインズ様にも同様の連絡が入っているかと思います』

 

「それって今すぐ私かアインズさんの手が必要?」

 

『はい』

 

「……わかった。ちょっと待ってて」

 

メッセージを切りモモンさんの方を向く。

 

「あの…ミア、さん?」

 

()()()()()()。なんか、今すぐに私かアインズさんの手が欲しいそうなので、ちょっとナザリックへ戻ろうと思います。大丈夫ですか?」

 

「……。それほどまでの事態が起こっているのですか?」

 

「わかりません。でも流石に放って置けないです。これでシグルドたちに何かあったらと思うと…」

 

「大丈夫ですよ。行ってあげてください。ンフィーレアの件に関しては私達でどうにかしておきますので」

 

「ありがとう、ございます。ナーベラル、モモンさんを困らせないようにね」

「はっ!アテナ様もお気をつけください!」

「うん。ありがと。…それじゃあ、ちょっと行ってきます」

 

「アテナさん」

 

「?」

 

「無茶は…しないでくださいね?」

 

転移門を使おうとするとアインズさんに名前を呼ばれ、そう言われる。

 

「…はい、わかって、ます」

 

 

だけど何が起こっているのか分からない以上、無茶をしないとは言えず、曖昧に返事をするしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

ナザリックに着くと同時、身なりをいつもの姿に戻す。地表の入り口に向かうとアルベドとシグルドが直立不動で待っていた。

 

何があったのか聞くと先に第九階層へ向かうように言われ指輪を使い転移する。

 

 

そこにいたのは

 

 

 

 

泣きじゃくっているヒルドだった。

 

 

 

 

「……」

 

その様子を見てすぐにヒルドの近くに駆け寄る。

私に気づいたヒルドはビクッとしながらも更に涙を流しながら謝ろうとするので、それを無理やり抱きしめることで止める。

 

「大丈夫、落ち着いて。私はヒルドに何もしないから」

 

数分経ってようやく落ち着いたのか、ありがとうございますと言われ私の胸元から離れる。

本当に、何があったんだろう。

 

「アルベド、何があったの?」

 

「ハッ。第一、第二階層守護者シャルティア・ブラッドフォールン及び第三階層守護者ブリュンヒルデが()()()()()()()()()()()()

 

 

「…………は?」

 

 

アルベドの言ったことが理解できなくて思わず変な声を出してしまう。

 

 

あの2人が?裏切った?

 

 

「ちがっ、ちがいます!アルベド様!お二人は…」

「ヒルド、少しだけ黙ってて。…アルベド、その言葉を私の前で口にする意味、分かった上で言ってる?」

 

「っ…はい、もちろんでございます」

 

ほんの少しだけ圧をかけると冷や汗をかきながら肯定する。

…つまり、ブリュンヒルデたちへの私情とか抜きにして『裏切った』と判断せざるを得ない事があったということか。

 

「……そう。ごめんね。続きお願い」

 

「ハッ。当初はリストにおける2人の名前が暗転したことから何者かによる精神支配などの攻撃を受けたものと推察しました。ですが…」

 

「シャルティアもブリュンヒルデも精神系統の攻撃は無効化できる」

 

「その通りでございます」

 

「確かにそれなら裏切ったと断定してもおかしくはないね。でもヒルドの報告は聞いたの?」

 

「申し訳ありません。まだでございます。アインズ様かアテナ様がお戻りになるまでに報告を受け、改めて私の方で整理しお伝えしようとしていたので」

 

「ん、わかった。それじゃあヒルド、ゆっくりでいいから私たちに教えてくれる?それと…その手に持ってる服も」

 

ヒルドは何かを思い出したのかまた泣きそうになっていたけどすぐに気を引き締めて報告をしてくれた。

 

 

 

 

 

 

「……そう。ありがとうヒルド」

 

報告の全てを聞き、何故かはわからないけど焦るだとかそういう事はなく、頭がスッと冷静になる。やるべき事だけが頭の中に残っていく。

 

「ヒルドはアインズさんが帰ってくるまでここで待機。

アルベドはニグレドにブリュンヒルデたちの監視を指示して、その後に完全武装でここにきて。

シグルドは念のため地表付近でコキュートスと一緒に居て。仮に侵入者がいたなら殺さずに捕獲する事。だけど5体満足で捕獲する必要はないからね。なんならダルマにしてしまってもいい。それともし仮に2人で戦っても勝てないと思ったら連絡して。すぐに応援を送るから」

 

「「ハッ!」」

 

シグルドとアルベドはすぐにこの場を離れる。1人になったヒルドの元にもう一度歩み寄り、頭に手を乗せる。最初こそビクッとなっていたけど優しく撫でると次第に緊張がとれていったように思えた。

 

「ヒルド、つらかったね、大丈夫だから」

 

「〜〜……っ!お願いします、マスター。どうか…どうかお姉様とシャルティア様を…」

 

「うん、任せて。私はこれでもナザリックの守護神なんだよ?例えどんな奴が相手でも、みんなのことは守ってみせるよ」

 

 

 

例え己の命が尽きようとも、ね。




残念ながらクレマンティーヌとカジット編は本誌とほとんど変わりないため丸々っと飛ばしちゃいます。
変わることといえばクレマンティーヌが殺されずに捕獲されるかもしれない くらいでしょうか。それもアインズ様のお考え次第ですね

さて2人の身に何があったのかお楽しみください


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