モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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アテナとNPCの日常 シャルティア編

「おまたせ、しました。シャルティア」
「あ、ああ、アテナ様!お、お待ちしていんした!」

第一階層に降りてくると出迎えてくれたのはシャルティアとヴァンパイア・ブライド。とても緊張していたので、何回か深呼吸をしてもらって落ち着いてもらう。

「そ、それで妾にどのような…。もしかして、妾は何かとんでもない失態を⁉︎」

「ちがう、ちがいます。いま、守護者のみんなとお話ししてて、今度はシャルティアと、おはなししようって。そうおもった、です。それに、紅茶っていうのに、すこし興味がある、から、しゃるてぃあに教えてもらいたくて」

「は、はいっ!お任せください!最高級の紅茶をご用意しんす!」



〜5分後〜

シャルティアに通された部屋はとても整理されていて、淑女ってこんな感じなのかな、っていう部屋だった。

机の上にはティーポットとカップ。それと色とりどりのお菓子が。ちなみに、お菓子はエミヤが用意してくれました。
本人曰く『腕が鳴る』だそうです。

「……」

でも私の中で一つ問題があった。
こういう飲み会みたいな時の作法を全く知らないという、大問題が。
シャルティア達が私やアインズさんを慕っている以上、変なことはできないし。

「お、おまたせしましたアテナ様!って、え…このお菓子は…」
「えみやが、お茶会なら必要だろう、って。作ってくれたんです」
「気がきくわねあの赤コート…食堂の守護者なだけあるわ…」

最後の方なんて言ってたかよく聞こえなかったけど、シャルティアが紅茶を注いでくれ目の前に置いてくれる。砂糖とか色々聞かれたけど、そんな高級品を使ったことがないのでお任せする。

混ぜ終わった紅茶を手に取り、一口飲んでみる。

「ど、どうでしょうか?」
「おいし、です。さすがシャルティア、です」
「勿体無いお言葉でありんす!」

それからはちょっと渋られはしたけど、なんとか一緒に紅茶を飲んだりお菓子を食べたりしてくれました。

「アテナ様、おひとつ伺ってもよろしいでしょうか?」

「うん、いいよ。どうした、の?」

「以前、ペロロンチーノ様が仰っていた言葉をお聞きしたことがあるのですが、その内容が妾にはよくわからなくて。それでアテナ様にお聞きできればと」

「ぺろろんちーのさんの?どんな言葉なの?」

「ええと、確か…『えろげー』なるもので『触手プレイ』『ぼてばら』というものをペロロンチーノ様は…」

「ゴフッ⁉︎」

「アテナ様⁉︎」

「けほっけほっ…そ、それ、他の誰かに、言った?あいんずさん、とか…」

「いえ、まだ言っておりません!その…なにか不謹慎な言葉なのでしょうか?」

「そんな、ことはない、けど…。えーと、その。ぺろろんちーのさんの、好きなものと言えばいいのかな」

「そうなのですか⁉︎ぶくぶく茶釜様がその『えろげー』なるものに、『せいゆう』というもので関わっておられたとも聞いたのですが…」

「ゲフッ⁉︎ゴホッゴホッ…。そ、それもぺろろんちーのさん、が?」

「はい。かつてアインズ様とそのようなお話をしておられました!」

「……。しゃるてぃあ。間違っても、それ、他の人の前では喋らないこと。せいゆう、とか、えろげー、まではまだいいけど、アインズさんの前では絶対に言わないこと。いいね?」

「え?それは…」

「いいね?」

「は、はいっ!」

……アウラとマーレにも、もし同じようなことを聞いてたら誰にも言わないよう念押ししておこう。


20話 守護神としての覚悟

ヒルドの報告を私の頭の中で簡素に纏めていく。

 

 

 

-シャルティアたちは王都を出た後、予定通り消えても問題ない人間を餌に武技を使える人間を探していた。

 

今回引っ掛けた盗賊たちから『ブレイン・アングラウス』という人間がいる事を知り、捕えるために根城にしていた洞窟を襲う。

 

シャルティアが道中の人間を殺し、ブリュンヒルデはシャルティアが暴走しないよう見張りながら奥へ進んでいく。するとブレインの方から現れ、交戦に入る。

シャルティアが小指のみで対応してみせると、ブレインは心が折れ逃走する。これを追いかけている最中にシャルティアのスキル『血の狂乱』により暴走状態に。

 

ブリュンヒルデは止めようとしたが既に遅く暴れていた。そこでヒルドへ御使いを出させ周囲を警戒させるよう命じ、ブリュンヒルデはシャルティアを冷静にさせるために洞窟の奥へ向かう。

 

 

そんな時、御使いの索敵に二つの集団が引っ掛かる。

 

それは低レベルな集団と守護者でも苦戦必死な高レベルの集団だった。それを報告するよりも先にシャルティア達に接敵する。

 

一番近場にいたのは銀級冒険者で、シャルティアは1人を除き全員を一瞬で壊滅させる。

1人だけ残したのは赤髪の冒険者であり、残した理由はそいつの投げたポーションが赤いものでアインズさんが持っていたものと判断したから。

 

そのころにブリュンヒルデも追いつき、2人で冒険者に問いただす。シャルティアの魅了スキルで支配下に置き根掘り葉掘り聞いていると、そいつらにはまだ仲間がおり、後方に情報伝達を任された者がいたとわかる。

 

すぐさまシャルティアは眷属を召喚、ブリュンヒルデも同じく眷属を召喚し森の中にいる人間を殺し尽くすよう命令を出す。(ちなみに怒られるかもしれないと怯えていたらしい)

 

だけどここで更に異常事態が起こる。

 

ヒルドが捉えた集団のうちもう一つ、こちらがシャルティアたちの眷属とぶつかる。数の差などなんでもないかのようにあっという間に殲滅される。

 

これに怒り狂ったシャルティアは再び『血の狂乱』を発動させ、眷属が死んだ場所へ向かう。

ブリュンヒルデはヒルドに最大限警戒させながら見張るよう命令を出し、自身もシャルティアを援護するために向かう。

 

1分もかからず2人は人間の集団と接敵する。

 

シャルティア達を見た人間は、黄金の刺繍が施されたローブを着た老婆へ『使え!』と指示を出す。不味いと思った2人はその老婆を殺すべく動く。だがシャルティアは指示を出していた人間が、ブリュンヒルデは()()2()()()()()()()()()()()()()()()()対処する。

 

前者はともかく、後者はブリュンヒルデが全力を出したにも関わらず後手に回されていた。

 

シャルティアが何人かの人間を殺しつつも老婆には辿り着けず、老婆の着ていたローブから光が発生する。ブリュンヒルデから『私たちを見捨てて即時撤退!老婆の纏うローブを回収できるのならしなさい!』と命令を出す。そして光が2人を包み込んだかと思うと、その場に直立不動し動かなくなった。

 

ヒルドはコレに怒り狂い、自身の切り札である宝具【終末幻想・少女降臨(ラグナロク・リーヴスラシル)】を使う。御使いを100人まで複製し、全員が光の槍を一斉に投擲。その場にいた人間のほとんどが釘付けになっているうちに、ヒルド自身はブリュンヒルデの言いつけを守る為にローブを着た老婆へ強襲。殺してローブを奪うことに成功する。

 

だけど更にここで異常事態が起こる。

 

それは味方であるはずのブリュンヒルデとシャルティアが御使いを殺しながらヒルドへ迫っていた。

 

ヒルドは訳がわからず恐怖に怯えてしまい、ブリュンヒルデの槍で片腕を切り飛ばされてしまう。

 

泣きそうになってしまったが、それでもローブを持ち帰る事と状況を知らせる事が最優先と自分に言い聞かせ、その場を離れる。

 

泣きじゃくりながらアルベドへ連絡し、アルベドもリストを確認していたところ2人の名前が暗転していたので報告をするに至った-

 

 

と言う事らしい。

 

 

なぜだろうか、焦ったりとか焦燥感がとかはなく、頭は逆に至極冷静になっていく。

 

「これと、一応念のためこれも…。転移阻害されるのも考慮して…。他にアインズさんが来る前にできる事…。世界級アイテムだと仮定して…『二十』はじゃないと思うけど…。考えろ、考えろ。思考を止めるな」

 

自身のアイテムボックスから装備やアイテムを大量に出し、一つずつ分けていく。

ガチガチにアイテムバフだとか課金アイテム含め準備するのなんていつ以来だろうか。

 

「あとは指輪を…リングはつけておかなきゃとして、全耐性向上と…神聖属上昇と槍スキルの底上げと転移阻害と…はは、指輪を全部装備とかも久しぶりだなぁ」

 

装備を見直し、全身を神器級で揃える。そして両手の指10本のうち9本に指輪をつける(うち一個はギルドの指輪だが)

 

そして世界級アイテムの盾を取り出す。

 

「…うん、やっぱり馴染むなぁ」

 

かつてギルドのみんなに手伝ってもらって攻略した高難易度レイドダンジョン。そのクリア報酬の盾。守護神の種族がないと万全な状態で使えないとかいう割には、その内容はあらゆるバッドステータスを無効化するとかいう、なんちゃって世界級アイテムじゃねえかってみんな言ってたっけ。

 

「お待たせしましたアテナ様」

「うん、それじゃあ行こうか。アルベドも『真なる無』は持っておいてね」

「ですがアインズ様のご許可は…」

「アインズさんにはあとで言っておくから大丈夫。いざとなれば全部私が責任を負うから。それよりも相手の手札の最低ラインが世界級アイテムだと考えて動く方がまだいい」

 

あの2人に加えてアルベドまで敵に回ると、流石にどうしようもないし。それに…戦闘する気は無いとはいえ、アルベドにはもしもの時の為にナザリックへ情報を伝えてもらわなきゃならない。

 

「それじゃ、いこうか。転移門(ゲート)

 

 

 

 

 

 

「……」

 

ヒルドからの報告を反芻しながらブリュンヒルデ達がいるであろう場所の近くへ転移し、警戒しながらゆっくりと歩いていく。

 

「アルベド、最後に確認。もしもの時は…」

「交戦せず即時撤退、アウラが建設中の偽ナザリックへあえて姿が見えるよう逃げ、指輪で本物のナザリックへ転移する、でございますね?」

「うん、よろしい。戦闘にならないなら、それはそれで2人で帰ればいいからね」

 

気の進まなさそうなアルベドを横目で見ながら改めて鬼になる覚悟を決める。

 

「アルベド、もし私のいうことを聞けないって思うなら今すぐ帰って。代わりにシグルドを連れてきて」

 

「いっ、いえ!そのような事は!ただ…至高の御身を置いて逃げるなど…シモベにあるまじき行為…」

 

「…だろうと思った」

 

「え…」

 

「アルベドありがと。でもね、これは私がやらなきゃいけないことなんだ。『守護神』なんて肩書きを名乗ってるからには、ね」

 

今回に関してはそもそも戦う気は無い。だから転移阻害されたりだとか、そっち系の対策しかしてない。

 

「ん…見えてきたね」

 

森を抜けると、槍を手に持ったままその場に立ちすくんでいるシャルティアとブリュンヒルデがいた。

その目に生気は感じられず、余計に意味がわからなかった。

 

「…精神支配されてるなら、近づいてくるやつは全員殺せ、なんて命令出されててもおかしくないのに。よくわかんないね。さ、とりあえずやってみようか」

 

空けておいた残りの指に流れ星が三つ刻まれている指輪をつける。……あれ?

 

「アテナ様、それは…」

流れ星の指輪(シューティングスター)…だったかな?超位魔法の【星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)】っていうのを3回、しかもデメリット無しで使えるっていうアイテム。大体はその場に適したり、たまーに適さないのもあるけど選択肢が何個か出てきて選べるよ、って魔法なんだけど…」

 

なんか効果変わってない?あれ?つけた瞬間になんとなくだけど好きなものを叶えられるという確信が持てた。

 

「……ま、いいか。使えるものは使おう。それじゃあアルベド。もしこれで解除できたらそれで良し。できなかったら即撤退。仮に戦闘になってもアルベドは戦わない事。オーケー?」

 

「ハッ、かしこまりました」

 

指輪を起動させ、魔法を唱える。すると自分の足元と周りに青白い魔法陣が現れる。そのまま願いの内容を口にする。

 

「指輪よ。シャルティアとブリュンヒルデにかけられている全ての効果を打ち消して」

 

魔法陣が更に発光し……

 

 

砕け散った。

 

 

「……そーかぁ。ま、そうだよねぇ…」

「アテナ様、一体…」

「帰るよアルベド。これの解決は流石に私1人だと手に余る。それに勝手にやったらアインズさんに怒られちゃうからね」

 

困惑しているアルベドを無理やり引き寄せ指輪を使い転移をする。

 

 

 

 

そっかぁ…最悪な方だったかぁ…。

 

覚悟決めなきゃ。

 

こんなこと、モモンガさんにして欲しくない。でも誰かがやらなきゃ…。

だから、私がやらなきゃ。

 

 

 

 

「アテナ…様?」

 

「アルベド、ナザリックの警戒を最大まで引き上げて。それでアインズさんから連絡があったらすぐに帰ってくるよう伝えて。私は出来うる限りの準備を進めるから。多分、アインズさんが帰ってくる時にその場に私がいないだろうから、報告は任せたよ」

 

必要なことだけを伝えその場を離れる。

まずは……

 

 

 

 

 

 

〜次の日〜

 

「え、もう終わったの?」

『はい。冒険者組合からはミスリルの称号を渡されました。それで…アテナ様、そちらは大丈夫なのでしょうか?アインズ様も何かの報告を受け、即座に帰還されたのですが…』

「うん、大丈夫だよ。ちょっと、トラブルが起きてるだけ。詳しい事はまたナザリックで、ね」

『畏まりました』

 

ナーベラルから報告をもらい、アインズさんが今回の首謀者をもう止めたらしい。

 

すっご。

 

ンフィーレアは無事で、アンデットの大群も壊滅。エ・ランテルに被害もほぼ無いらしい。

 

 

さっすがアインズさん。

 

 

さて…と。

 

 

「アテナさん、探しました」

「お帰りなさいアインズさん」

 

しばらく経ってアインズさんが私の元へ現れる。どうやらアルベドから詳細は聞いているみたい。

 

「アテナさん、貴重な指輪まで使ってくださりありがとうございます。それでシャルティア達のことについてですが…」

 

「殺して蘇生、ですよね?」

 

「……はい」

 

とても申し訳なさそうに言われ、思わず苦笑してしまう。きっとこの状況になったのを、自分たちの仲間であるシャルティアや私の作った子であるブリュンヒルデを、仕方ないとはいえ殺してしまうことを悔いてるのだろう。

 

……本当に優しいなぁ。

 

「大丈夫ですよ。私はアインズさんを責めたりしてませんよ。むしろ私のほうこそ責められるべきですから」

 

「そん…っ!そんな訳ないじゃないですか!」

 

「でも世界級アイテムを自分で持ってるのに、相手が持ってないなんて考えになってなかったんですよ。ブリュンヒルデ達を外に出すって時に話し合って、その時も私は、大丈夫かなって思って特に何も言いませんでした」

 

「それは俺もです。ですから…辛い(そんな)顔をしないでください。これはアテナさんだけじゃない。俺も背負うべき業なんですから」

 

私達が背負うべき業……か。

 

「はい、ありがとうございます。アインズさんもいるんですから百人力どころか万人力です。それで、どうしますか?」

 

「まずは守護者を全員帰還させました。セバスのみそのまま情報収集をさせています。ですがスルーズに命じ御使い100人を展開させ監視させています。この後ですがひとまず宝物殿で必要なものを取り出し、世界級アイテムを守護者に持たせようと思っています」

 

なるほど。なら…

 

「とりあえずは2人で宝物殿、ですかね?」

「アルベドとシズ・デルタとユリ・アルファも連れていきますけどね。指輪を預けなきゃ俺たちが殺されるんで。……あのクソゴーレムクラフターの作ったやつで」

「そういえばるし☆ふぁーさん作でしたっけアレ」

「そうそう。あんヤロウ、第二階層のゴキブリを作るのに超超レア鉱石を無断で使うようなゴミクズ野郎ですけど、悲しいことに腕だけは本物ですからね」

「アインズさん、急に口悪くなりましたね」

 

普段見れないアインズさんの一面が見れて思わずフフッと笑ってしまう。

 

「少しは落ち着けましたか?」

 

「…はい、大丈夫です」

 

だけど、それはアインズさんなりに気を遣ってくれた行動だったらしく、改めてこの人は優しいな、と思う。

 

 

それと同時に、この人を殺させるわけにはいかない、とも。

 

 

「それじゃあ宝物殿に行きましょうか」

「はい」

 

 




軽い補足

カジットはアニメ通り死亡
クレマンティーヌは殺された後、死体はナザリックに保管。

アインズがナザリックへ帰還する前に既に冒険者組合からヴァンパイアに関しての報告を受けており、それに伴ってイグヴァルジ(アニメでやたらモモンに突っかかってた人)のパーティを全滅させている。

こんなところですかね。

本当なら追想式で書こうかな、とは思いましたがあまり良い感じにならないなと思ったのと、多分3話くらい掛かりそうなので断念しました

さーて、次からクライマックスに…いく予定です(小声


それでは読んでくださりありがとうございました
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