モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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今回はおまけストーリーはありませぬ。

シリアスムーブが終わったら幕間の物語で書くから許して(



それではどうぞ


22話 決戦前夜

「あはっ、あはは……ほんっと、私、最低だ…。何も、何も変わってない」

 

目の前が滲む。いくら擦って鮮明にしてもまたすぐに滲んでくる。

 

転移前と何も変わってない。

大事なことはひた隠しにし、最後には最愛の人すら騙し自分のためだけに動く。

 

ははっ、こんな性格してるからアインズさんにもいい返事もらえないんだよ…。

 

 

 

だけど、私は守護神なんだ。これはアインズさんと私が背負うべき業じゃない。

 

私だけが背負うべき業だ。

私がやらなければならないことだ。

 

 

 

そう、独りでやらければならないことだ。

 

 

 

 

〜???〜

 

とある国の中心部、その一角で人間型の2人が邂逅する。

1人は紅い着物、その下には青い道着を着ており、腰には2本の刀が差してある女。

気だるげにソレと対峙しているのは黄金の甲冑を下半身に纏っている女。煌びやかな金髪と紅い瞳が特徴だった。

 

「ちわぁーっす。お久ぁ〜」

「……なんの用だ歩く酒豪。用がないのなら帰れ。…いや、用があっても帰れ」

「ひどない⁉︎せっかく遠路はるばる元クランメンバーに会いにきたってのに」

「我に会いたいというなら段蔵を連れてこいと言っただろう。何故おらぬ」

 

 

「殺されちった」

「は?」

 

 

超重要なことをサラッと何でもないかのように語られ、その場が静寂に包まれる。だがそれもすぐに崩れ去る。

 

「だぁかぁらぁー。蘇生のためのお金かーして、英雄王ちゃま」

「その前に殺してやろうか貴様」

「できるわけも無いのに?ぷーくすくす」

「よし分かった。貴様にはビタ一文もやらん」

「だあぁ!ごめん!ごめんなさい!後生ですからお金をお恵みいただきたい所存でございます!流石に私の手持ちだけだと蘇生費用足りないの!」

「帰れ」

 

紅い着物を着ている女が土下座をするも、黄金の甲冑をつけた女はとりつく暇もなく武具を射出している。

 

紅い着物の女は土下座をやめたかと思うとその全てを弾いていたが。

 

「お願いだからぁ!貸してくれるなら色々と耳寄りな情報が…」

 

「いらん。おおかた今回転移してきた奴ら情報なんだろうが、我の方でもある程度は揃っている」

 

「そーぉ?()()()()()()()()()()ってのも知ってるわけ?」

 

「……」

 

「お?知らない感じ?いいの?私を見捨てちゃったらその辺の情報が入らないかもしれないよ?いいのかい引きこもり」

 

「最初のちゃま呼びとバカにしてくるような笑いと今の引きこもり発言でスリーアウトだ。それとブリュンヒルデと貴様を天秤にかけたが、やはり貴様と関わる方がめんどくさそうだ。だから帰れ」

 

「やだ!貸してくれるっていうまでここに居座る!」

 

「……はぁ」

 

近くに世界最強のドラゴンがいるというのに全く気にするそぶりのない2人。ドラゴンは2人のことをうるさいと思いながらも口を出す気はない様子。

 

そして親しげ(?)に話している2人は、実力差は明確にあるのだろうが金を貸せとせびっている方が言い負かされていた。

 

「あーもう!じゃあ私の武具を何個かあげるわ!それならどうよ!」

 

「貴様の腰に差している世界級の刀、もしくはワールドチャンピオン獲得時の報酬の刀なら考えてやろう」

 

「いやこれらは流石に無理」

 

「なら帰れ」

 

「いやいや!これの前に愛用してたやつだから!ちゃんと神器級のだし、その辺の有象無象の持ってるようなやつよりかは数ランク上なはずだから!なんなら希少鉱石を使ってる刀だし、そんなモノなんてもうこの世界じゃ手に入らないんじゃない?」

 

「……」

 

黄金の甲冑をつけた女はその言葉を聞いて少し考える。なんせ、本人も自覚しているほどのアイテムコレクターだったから。それはそうとしてワールドチャンピオンの愛用していた武具とやらなら高い金になる、程度にしか考えていなかったが。

 

「さぁらぁにぃ、おまけ特典として…」

「刀以外はいらん。なにより貴様に貸しを作りたくない」

「ひっどぉ!ねぇどう思うよ引きこもりドラゴン!こいつ血も涙もないと思わない⁉︎一応同じ組織に所属していた仲間だよ⁉︎」

「自業自得だろう」

 

「……僕に話を振らないでくれないかな。君たちの問題だろう」 

 

ドラゴンはというと、2人が言い争っている間にも仕事をしており、ようやく終えたかと思うと今度はそんなふうに突然言われ困惑していた。

 

 

 

 

 

 

 

〜ナザリック 地表〜

 

「…よし、行こう」

 

ニグレドと少し話し、シグルドたちと一緒にアインズさんたちが来ないよう見張るように厳命しておいた後、準備が終わったので地表まで出る。

私が戦い始めたら周囲の監視に戻るようには言い含めてあるけど。

 

正直、シグルドたちに命じたことがどこまで機能するかも分からない。

あの子達は私の命令とアインズさんの命令が食い違った場合どちらを優先するかもわからないのだから。

 

だから、理想を言うなら即決着させる。無理でもアインズさんが来てしまうまでに、間違ってもアインズさんが負けるなんてことがないレベルまで2人を疲弊させる。

 

何度も何度も深呼吸をしてようやく落ち着いた。

装備、アイテムボックスの中身を4回ほど確認し、自身の装備も何度も見直す。

 

「(ブリュンヒルデの攻撃は大半が神聖属性だから、大体軽減できるはず。1番怖いのはシャルティアのスポイトランスと闇属性の攻撃。全部の属性の耐性を上げてはいるけど完全耐性じゃない。人数不利に加えて私よりもビルドはガチなんだから出し惜しみしている場合じゃない。数少ない回復スキルも惜しみなく使わないと)」

 

10本中9本の指に指輪などの装備をつけ、何度も握って緩める。まだ震えはおさまらないけど、戦えないほどじゃない。

 

「アテナ様?」

 

「ん…ああ、コキュートス。どうしたの?」

 

地表に出ると不意に話しかけられ、横を見るとコキュートスが立ってこちらを見ていた。やば、見られてたかな

 

「…ソノ、アテナ様ノオ顔ガ優レテイナイヨウニ思イマシテ。アテナ様ト言エド、ヤハリアノ2人ヲ相手スルノハ厳シイカト…。アインズ様ト共に、ソシテ守護者ヲ複数人連レテ行ク方ガ良イト思ワレマス」

 

「んーん。これはもう決めたことだから。今更辞めるなんてできないよ。わかるでしょ?仮に私とアインズさんで行ったとして2人とも生きて帰る保証なんてないんだから。…それとも、私たちが両方死ぬ方がいい?」

 

「ッ!イエ!ソノヨウナコトハ決シテ!アインズ様モアテナ様モ慈悲深ク、最後マデナザリックへ残ッテクダサイマシタ!ソレダケデ私達ニトッテドレホド救ワレタカ…。ソンナ私達ヲ救ッテ下サッタ御方ガ、独リ死地ニ成リ得ル場所へ向カウノヲ…」

 

…やっぱり、ナザリックのみんなは優しすぎる。

でも、そんなみんなだからこそ守らなきゃ、ね。

 

「冗談だよコキュートス。みんなが私たちに死んでほしいなんてこれっぽっちも思っていないのはわかってる。みんなと話してて、君たちが至高の御身と敬っている人たち…私にとっても尊敬している人たちがいなくなってどれだけ辛かったか、その辺も聞いてる。だからね…私はハナから死ぬ気なんてないよ。安心して」

 

「デスガ…!……ッ、イエ、申シ訳アリマセン。シモベニアルマジキ態度、オ許シクダサイ」

 

「うん、気にしてないから大丈夫。ありがとう心配してくれて。…それじゃあそろそろいくよ。見ててね。君たちの守護神がみんなを助けるところ」

 

「…アテナ様。今コノ時ダケ、シモベトシテデハナク、1人ノ武人トシテ言ワセテ頂キマス。御武運ヲオ祈リシマス。必ズヤ、コノ地ニオ戻リクダサイ」

 

「もちろん。ありがとう。行ってくるね」

 

コキュートスからの激励を受け取り、転移門の巻物(スクロール)を取り出し使う。

 

 

 

 

さあ、地獄へ行こう。

 

 

 

 

 

〜宝物殿〜

 

「「お帰りなさいませアインズ様」」

 

「……?なぜシグルドがここに?それにアテナさんはどうした」

 

パンドラのいた場所まで戻るとそこにアテナさんはおらず、代わりにシグルドが居た。

それを見て途方もなく嫌な予感がする。

 

「「……」」

 

「なぜ黙る。もう一度聞くぞ。アテナさんは、どうした」

 

「…アテナ様はアインズ様が奥へ向かわれた直後、単独でシャルティア様達の撃破に向かわれました」

 

「「「なっ⁉︎」」」

 

パンドラが語った内容に、俺ではなく横にいたアルベド、ユリ、シズが驚きの声を上げる。

俺は予想通りすぎて逆に冷静になれてしまった。

 

冷静に、だが怒りが込み上げてくる。

 

だけどそれは止めなかったシグルドや1人で行ったアテナさんにではなく、自分自身の不甲斐なさへの怒りだった。

 

「アインズ様、私パンドラズ・アクターはシグルド殿と共に死罪になる覚悟はできております。ですので…我らの願いを聞いていただけないでしょうか」

 

「構わん。述べよ」

 

なぜ止めなかったのか、という怒りは見当違いなのは理解している。

おそらくはアテナさんが強引に1人で向かったのだろうから。

 

そんなアテナさんにも怒りを抱くのも見当違いだ。

なぜなら彼女はナザリックの誰よりも優しく、誰よりもナザリックのみんなを大切にしているのを知っているからだった。

 

彼女はきっと…

 

「パンドラ、ここからは当方が言わせてくれ」

「承知しました」

「アインズ様もよろしいでしょうか」

「うむ」

 

シグルドが一歩前で出てその場に跪く。

 

 

「アインズ様、どうか、どうかお願い致します。アテナ様をお助けください!

アテナ様はお一人で向かわれました。そして我らへ厳命しました。『アインズ様をここから出すな』と。…おそらくは、同胞殺しなどという大罪を背負うのは自分自身だけで良いというお考えなのだと思います。

 

きっとマスターは自らの使命を果たす時、とお思いなのでしょう。私が宝物殿でアテナ様とすれ違った時、そのような目をしておられました。

 

…仮にも『英雄』などという肩書を持つ当方には、その覚悟を侮辱してまで止めることができませんでした。ですがアインズ様なら!どうか…どうかお願い致します…」

 

 

普段の冷静なシグルドからは想像もつかないほど感情の籠った声。

アテナさんの覚悟を侮辱したくない、だけど死んでほしくない。そんな気持ちなのだろう。

 

……

 

「シグルドよ。今一度確認するがそれを私に願うということは、お前はアテナさんの命令に背くと、そういうことか?」

 

「はい」

 

罰する気は微塵もないが念のため確認をするとまっすぐこちらを見ながら頷く。

 

「そうか…。パンドラもか?」

 

「その通りでございます。アインズ様がお戻りになるまでシグルド殿とその事についてずっと話し合っていました。どうするのが最善か、と。その最中、ふと聞いてみたのです。『なぜ命を賭けるのか』と」

 

なぜ命をかけるか…か。

 

「シグルド殿はこう答えました。『己の信じる者、そして敬っている方々の為だ』と。何故そのような考えを持つに至ったかもお聞きしました。

その理由とは、アテナ様とお話をした時シグルド殿もふと聞いたそうなのです。『どのような時に命を賭ければ良いのか』と。するとアテナ様には『自分の覚悟を貫き通す時』と言われたそうです」

 

覚悟を、貫き通す時…。なるほど彼女らしい答えだ。

 

「まさに天明でした。それを聞いた時にはもうすでに覚悟しておりましたが改めてシグルド殿と話し、今がその時だと、覚悟を貫き通す時だと判断致しました。アインズ様。何卒我らが守護神様をお救いくださいませ」

 

奥へ行く前までのオーバーリアクションばかりだったのが嘘のように鳴りを潜め、シグルドと同じく跪き、シグルドと同じ願いを口にする。

 

 

……本当に、何をやってるんですか。こんなにも慕われているのに。

 

 

「面をあげよ」

 

2人が顔をこちらに向けたのを確認し、アルベドの方を見、改めて2人を見る。

 

「これは先ほどアルベドへも伝えたが、元より私はアテナさんと2人でシャルティア達を撃破するつもりだった。

彼女は責任感の強いが故に、今回の騒動は自分の不注意、楽観視が原因だと思っているのだろう。だがそれは私も同じだ。故に今回1番責められるべきはアテナさんでもシャルティア達でもなく数多くの情報を有し、最適な手段を持たせていなかった私だ。

 

それとお前たちの願いがなくともアテナさんの元へ、遅かれ早かれ向かっていただろう。だから私はお前たちの命令違反は私の行動に影響を及ぼしてもいないし私の機嫌を損なうような事ではない。

 

以上の理由を以てお前たちの命令違反は不問とする」

 

2人の表情が驚きに満ちていた。

死ぬ覚悟で意見を伝えたのに、死ぬどころか罰すら与えられないことにひどく困惑していた。

 

「私からは以上だ。パンドラは引き続き宝物殿の守護を、シグルドはアルベドと共にデミウルゴスたちと合流しろ。詳しいことはアルベドに伝えてある」

 

「「ハッ!」」

 

「それとお前たちにも約束しておこう。

 

私達はシャルティアたちを倒し、必ずこの地に戻ってくる。だから安心して待っていろ」

 

 

 

 

 

 

 

「さて…ニグレドにも命令は下したし、他に打てる手は打っておいた。遅くなったけど……アテナさん。後でお説教ですからね」

 

 




次回

守護神VS守護者1位&守護神の子供(半神)

アインズ様は…後1〜2話おやすみです

さぁ頑張るぞ(バトルシーン苦手だけど


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