「お待たせしました」
デミウルゴスがナザリックに戻ると同時にやってきた場所は第九階層にある休憩室のような場所。そこにはアルベド、コキュートス、シグルドが既に座っており、宙に浮いた2枚の鏡を見ていた。
片やシャルティア、ブリュンヒルデと戦っているアテナが
片や戦闘している場所へ近づいているアインズの姿が
「それで、説明してもらいましょうか」
そう言いながら用意されていたソファにドカッと無造作に座る。普段のデミウルゴスらしからぬ行動だった。だがその理由を3人は察していた為、何も言わなかったが。
「アテナ様が先行して現場へ向かわれた理由、それとアインズ様との会話の詳細は
「なぜ御二方のみで行かせたのですか!」
「アインズ様たちがそう決められたからよ。私たちシモベは…」
「なぜお許しになった!」
黙っているシグルド、コキュートスとは裏腹に怒りを抑えきれないデミウルゴスは段々と声を荒げていく。それに対してアルベドは涼しい顔をしていた。
「罠があればシモベが囮になれば良い。敵対者など守護者全員で潰せば良いだけのこと。おそらくアテナ様やアインズ様は、あえて嘘をつかれた。その深淵なるお考えは分かりませんが、あなたも気づいていたはずだ!」
「ええ、そうよ」
「ならばなぜアインズ様たちだけで行かせたのですか!アインズ様たちがエ・ランテルへ向かう際に、守護者を供としないのをあれほど拒絶した貴女が!なぜ今回は頭を縦に振ったのですか!あなたもですよシグルド!何故死んでも引き留めなかったのですか!」
そしてその怒りの矛先はアテナと直接会話していながらも止めなかったシグルドにも向く。
「アインズ様がアテナ様と共に、2人でシャルティア達を討伐すると仰ったからよ」
「なっ……」
アルベドの言葉を聞いて驚愕するデミウルゴス。そして何かを求めるようにシグルドを見る。
「アテナ様を止めなかった理由など至極当然。至高の御身の覚悟を侮辱するなどあってはならないからだ。それに…アテナ様の、マスターの心の内側を知っている以上、止めると言う選択肢などハナから無かった」
「アインズ様も私とお話ししてた時に確かな、そして強かな覚悟を感じ取れたわ。女として…不敬かもしれないけれど、惚れた殿方がその意思を貫こうとしている時に、あれ以上横からぐだぐだ言うつもりは無かったわ。それに、約束してくださったもの。
アテナ様をお救いし、2人でこの地に必ず戻ってくる、と」
デミウルゴスはその回答に深いため息をつく。
「くだらない。理性ではなく感情で判断するとは。アインズ様たちは最後までこの地に残られた慈悲深き御方々なのですよ!その身に危険が生じるのであれば、その排除こそが我らシモベの役目。後で叱責され、死を命じられることになろうとも行動すべきでしょう!」
デミウルゴスはアルベドの回答に納得いかなかったのか荒く立ち上がり、その場を去ろうとする。
「どこへ行くのかしら?」
「決まっています。私の部下を動かし…ッ?」
だがそれに立ちはだかったのはコキュートスとシグルドだった。
「なるほど…戻った際にすぐここへ来るよう厳命したのは、こういうことですかアルベド!」
「その通りよ」
「愚かな!アインズ様にアテナ様。この御二方を失うリスクを背負うことがどれほど愚かなことか、わからないはずがないでしょう!」
「アインズ様たちは、必ず戻ってくるわ」
「その保証がどこにある!一時の感情で流されたお前たちの、どこに!」
「我らが至高の御身を見送るのに、何の感情も抱かず見送ったとでも?我らを舐めるなよデミウルゴス」
憤怒の感情に包まれ、本来なら上の立場であるはずのアルベドに激昂する。そんなデミウルゴスの態度にシグルドも怒気を含め言い放つ。
しかしそれらを流し、アルベドも口を開く。
「主人を信じなさい。それもまた、配下としての姿よ」
「っ、ぐっ……」
アルベドの言葉に少しだけ納得はしたが、それでも許容しがたいが故に荒く、ドカッと乱雑に座る、
「もし、どちらも御無事に帰られなかった場合、貴女には守護者統括の地位を降りてもらいます!」
「至高ノ御身ガ決メラレタ地位ヲ降リロと言ウノカ。デミウルゴス、ソレハ不敬ダ!」
そんなデミウルゴスの要求に待ったをかけたのはアルベドでもシグルドでもなく、コキュートスだった。しかしアルベドも予想していたかのように涼しく受け流す。
「構わないわ。私達の要求を飲む以上、それなりのことを要求するのは当然ですもの。それでコキュートス、シグルド。御二方の勝率はどのように見るのかしら?」
「……アテナ様ノミデ戦ッタ場合、2対8。アテナ様ガ2ダ」
「コキュートスに同じだ。しかし…アインズ様が到着されたなら五分五分だろう」
「ウム。ソレデモ、シャルティア達ガ有利ニハ違イ無イガ……」
「そう、ならば刮目して拝見しましょう。お二人がどのように不利を跳ね除け勝利するかを」
「……」
目的地より少し離れたところへ転移し、歩いて行く。
近づいていくたびに、心の中が何か、別のものに支配されていく感じがする。
「ま…だからといって逃げれるはずないんだけどね。ねえブリュンヒルデ、シャルティア」
森を抜けるとその場に立ち項垂れている2人が映る。
地面が陥没していてその中に2人は立っていた。
……あれ?
「地形が変わってる。もしかして私よりも先に誰かが戦闘を仕掛けた…?ニグレドに見張ってもらっていたから誰も来てないと思ったけど。私が話してる間に誰か来たのかな?」
明らかに私が来た時と違う景色になっている。戦ったのか、それとも誰かが遠距離から攻撃したのか。
世界級アイテムを持ってきておいたのは正解だったなぁ。
「さぁて、悩む時間もおしまい。始めようか2人とも」
その場に一つの宝石型アイテムを出し、使用する。宝石は砕け、私に神聖属性向上のバフをかけてくれる。
その間2人から目を離さずに見ていたけど動く気配はなかった。
「完全な敵対行動がないと戦闘準備にすら入らない…よく見た光景だなぁ。ほんっとに、変なところだけゲームなんだから」
続いて大量の
筋力増強や防御力増加など片っ端からかけていく。
「よし、次はスキル…」
守護神の加護(体力及び全耐性向上)
守護神の槍捌き(槍系スキルのバフ)
戦女神の加護(物理攻撃力超増加)
熾天使の羽の顕現(常時【
etc……
「よし、こんなもんかな」
アインズさんみたいに豊富な魔法は無い。あるのは前衛職にしては多いMPと燃費の悪い攻撃系魔法、守りの魔法、体力回復くらい。
「でもこのスキルは…流石に、ね」
本当なら何とも競合しないバフスキルはあるけど、【
「よし、始めようか」
私が使える超位魔法のうち一つを起動させる。
本来の位階魔法としては第十位階が最高だけど、そのさらに上の魔法。
私が一撃で出せる最高火力を初手で撃つ。
そしたら…地獄の始まりだ。
「超位魔法【アイギスの神光】!」
青白い、立体的な魔法陣が浮かび上がり、2人の真上から真っ白な光を叩き込む。いつぞやの最高位天使(笑)さんが放ったのとは比較にもならないほどの威力だ。
「……」
しばらく土煙で覆われ、じっと警戒しながら待つ。だけど、土煙が晴れ渡るまで攻撃が一切来なかったのは正直意外だった。
そして甲高い笑い声が響いてくる。
「あっはははははは!アテナ様!なかなか痛かったですよぉ!」
「ああ…悲しい。アテナ様に矛を向けられるなんて…」
「私から2人へのプレゼントだよ。どうだった?」
爆発の中心地に立っていたブリュンヒルデとシャルティア。バフ盛り盛りの超位魔法が直撃したはずなのにピンピンしてるようにみえる。
そして2人の武装も先ほどまで簡素だったはずなのに、完全武装になっている。
特に注意しなきゃいけないのは…シャルティアの持ってるスポイトランスかな。
「あっははは!残念です。これほどの力を持つアテナ様を殺さなきゃならないなんて!」
「……本当は嫌ですが、矛を向けてきたのはアテナ様ですから」
「そこは気にする必要は無いよ。2人とも、ぐだぐだ喋る時間は無しだ。だけど‥これだけは名乗らせてもらうよ。
これよりナザリック地下大墳墓の守護神である私は、ナザリックに仇なす存在に堕ちた君たち2人を処刑します。異論反論は受け付けますので、好きに抵抗などをしなさい。……そしてもう一つ。向かってくるというのなら全力で来なさい。貴女たちが手を抜いていると私が気づいたその瞬間……どうなるかは分かりますね?」
「それはそれは…恐ろしい!」
シャルティアがこちらに向かって突撃してくる。スポイトランスを突き立てようとしてくるので盾で受け流す。
そこから何度も粗雑に攻撃してくるので、その全てを弾き、受け止める。
「原初のルーン【光】」
「ニケの防壁」
シャルティアが急に引いたと思うとブリュンヒルデから魔法扱いのスキル、原初のルーンを撃ち込れる。間一髪、防壁を作ることには成功しダメージはさほど貰わなかったが。
「
「っ!」
ブリュンヒルデに向かって思いっきり槍を投げつける。それに少し驚いてくれてはいたけど、それだけで直ぐに弾かれる。
その間にもシャルティアが武器の無くなった私に向かってくる。
「
「不浄衝撃盾!」
うっそぉ。これスキル一個で消し飛ばされるのか。
自分の使える魔法の中でも最上位に近いものをあっさりとスキルひとつで対応され、すこしげんなりしてしまう。
だけどそんな悠長にはしてられない。
なんせ眼前までシャルティアが迫っているのだから。
「シイッ!」
「
シャルティアがスポイトランスを突き立てようとしてくるので咄嗟に壁を作り出し防ぐ。しかしそれもすぐ壊されてしまう。
だけど槍は回収できた。
手に戻ってきた勢いを使って槍で薙ぎ払う。
受け止められてしまうが少し後退させることはできた。
「スキル・ニケの聖光!」
「
「
シャルティアとブリュンヒルデまでを含むように範囲拡大し、神聖属性の光線を降らせる。
それに負けじとブリュンヒルデは神聖属性、シャルティアは炎属性の魔法を使ってくる。いくらバフをかけとるとはいえ流石にきつい。
「はっはっ……
「(回復の魔法……ならばこちらも)
「スキル・オーディンの加護。シャルティア、このままいきますよ…」
「わかっていんす。妾を巻き込むじゃありんせんよ?」
やっぱりと言うか、シャルティアが前線を張りブリュンヒルデが後衛で援護という形をとってくる。
ほんっとに、自分で作っておいてアレだけど原初のルーンやら半神のスキルやら本当に厄介だね。よりにもよってシャルティアをバフしなくてもいいじゃんか。
「それではいきますよアテナ様!死なないようお気をつけてくださいねぇ!」
「眷属召喚・ワルキューレ」
「そう思うなら…手加減、してよ!」
シャルティアが魔法を撃ち込むと同時に接近してくる。ブリュンヒルデは眷属を召喚してシャルティアの援護に回していた。たっく…オルトリンデたちに似てるから手が出しづらいったらありゃしない。
ガギィン!
シャルティアがスポイトランスを振り下ろしてくるので槍の柄で受け止める。そのまま連続で攻撃してくるのでなんとか捌き切る。
そして、また一歩後ろに飛んだかと思うと様々な属性の魔法が嵐のように飛んでくる。
「原初のルーン【雷】」
「清浄投擲槍!」
「ぐっ…」
私を取り囲んでいたワルキューレごと原初のルーンを撃ち込まれ、必中特性のついている光の槍が私を貫く。
「はぁっ…はぁっ…。イージス。
「ブリュンヒルデ、あれは?」
「防御スキルと魔法です…。ですが関係ありません。先ほどまでと同じ戦法で勝てます…」
「わかったわ」
わざわざスクロールを使って魔法を使ったのにブリュンヒルデに一発で見破られる。普段なら物知りだねって褒めてたかも知れないけど今となってはやめてほしい。
シャルティアと目が合い、同時に飛び出す。
「ハァッ!」
「聖撃!」
私の槍とシャルティアの槍が互いにヒットする。
その勢いで吹っ飛ばされるけど、神聖属性を纏わせた攻撃でダメージを負ってくれたようだった。
そのままシャルティアが体勢を整える前に再度跳躍して追撃し、脚に複数箇所刺し胸を袈裟斬りにする。
ついでに0距離で神聖属性の魔法を撃ち込む。
これで相当のダメージにはなるはず…。
「……」
「は?」
シャルティアが不敵に笑ったと思うと、まるで時間が巻き戻ったかのように傷が無くなった。
え、は?何そのスキル。
こっちのスキル込みの攻撃が全部無意味にされたんだけど。
「なにそれ。回復スキル?」
「ええそうです。卑怯だなんて仰らないでくださいね?」
あの人……。いつも変なことしか言わないのにこう言う時はちゃんとビルドガチなんだから…!
「そんなに驚かないでください。ペロロンチーノ様が授けてくださったスキルなだけですよ?アテナ様、これはペロロンチーノ様のほうが貴女様より上だったことの証明では?」
「いやそれはそうでしょ」
「え?」
「シャルティア……間違っても次そのような発言をしてみなさい。殺しますよ?」
「わ、悪かったでありんす!もう言わないわよ!」
シャルティアからの言葉に思わず素で返答してしまう。だけどそれ以上にブリュンヒルデがシャルティアに対して怒っていた。
て言うか当たり前でしょう。
私、みんなほど廃課金勢じゃないし。強さ時にもギルドのみんなの中だと下から数えた方が早いし。
「ブリュンヒルデ、やけに後ろにしかいないけど私と戦うの怖いの?」
「ええ…その通りです。アテナ様の真価は近距離ですが、私は近距離を不得手としています…。それに、私が前衛に回ってもシャルティアの邪魔にしかなりません。なので後方で支援に徹した方が勝率は上がります…」
ごもっとも。2人同時に来てくれた方がやりやすいんだけど……無理そうだね。
「さ、無駄話はここまでにしよう。アインズさんがくる前に決着をつけよう2人とも」
「それには賛成です…」
「では、行きますよぉ!」
今までと同じようにシャルティアが私の前に出てくる。
槍や盾のスキルを駆使して渡り合う。だけど嫌なタイミングでブリュンヒルデから援護が飛んでくる。
それに少し怯んだ隙を狙われてスポイトランスで殴り飛ばされる。
「天使召喚・10th!
召喚スキルを強化し、さらに1日に使える使用回数を全部消費する代わりに90レベルの天使を召喚、追加でバフをかけてシャルティアに仕向ける。
「ブリュンヒルデ、これは⁉︎」
「純粋な体力と防御にのみ特化した存在です。シャルティアの敵ではありません…。そちらは任せましたよ」
「そっちこそ!負けたら承知しないわよ!」
この会話だけ聞いてると私の方が敵ぽいのやめよう?
「(先手必勝…)」
スキルを使って一瞬でブリュンヒルデの懐に飛び込む。ブリュンヒルデは一瞬動きが遅れ、私の突きが命中する。
ノックバックしかけたブリュンヒルデの腕を掴んで無理やり引き戻し膝蹴りをする。
「ぐっ…」
「たまには親子らしくスキンシップ、しないとね?」
ブリュンヒルデが槍で薙ぎ払おうとするので、掴んでいた手を離し盾で受け止め、弾く。すぐに盾を収納して胸ぐらをガシッと掴む。
何度も殴ったり蹴りを入れたりし、逆に殴られたり蹴られたりもしたが、一瞬の隙を突いて背後に回り込み羽交締めをする。
これでどう足掻いても逃げられない。
「
「ぐっ…原初のルーン【闇】!」
自分ごと巻き込んで魔法を使い、ブリュンヒルデも同じことをしてくる。ダメージは私の方が多いけど…原初のルーンを使わせれただけプラスだ。
「やはり、闇属性は対策しきれていないのですね…」
「元々弱点属性なのを普通よりちょっと効きにくくしてるだけだからね。でもブリュンヒルデには関係ないでしょ?闇属性のスキルなんて原初のルーンくらいしかないんだから」
ブリュンヒルデにないだけでシャルティアにはあるかもしれないけど、そんなこと考え出したらキリがない。
蹴飛ばして距離をとったあと、自分自身に回復魔法を使う。その際にチラとシャルティアを見てみるとシャルティアも魔法を何度か放っているのがわかる。MP削りはありがたいけどスポイトランスで回復されちゃってるから五分五分かな…。
「考え事ですかマスター…余裕、ですね」
「余裕なんてないよ。ずっと、ずっと辛い。だけど泣き言は言ってられないから」
槍を地面に突き刺し、防御力向上のバフとついでにリジェネイトもかけなおす。
ブリュンヒルデも回復スキルを使って8割くらいまで体力を戻していた。
「(シャルティアがセラフを倒し切る前にブリュンヒルデを少しでも削っておかないと…)」
素早く深く深呼吸して顔を上げる。
さあ、気張れ。死んでもいいから勝つんだ。
「はあっ…はあっ……」
あれからどれだけ経った?もう時間の感覚がわからない。
その場に跪きながら2人を見ると、万全ではないとはいえ立っている。
「終わりね」
「ええ…」
左腕は欠損して盾は持てなくなった。シャルティアが思ったより早くセラフを倒して援護に来たせいで右目も負傷してほとんど見えない。
槍系、盾、守護神に戦女神のスキルもほぼ使い切った。
種族スキルは元々単独で使うようなスキルじゃないし、使用回数元から少ないし…。
MPもあと2回くらい回復魔法をかけたら切れる。
それに対して2人をどれだけ削れたのだろう。
シャルティアは?不浄衝撃盾はあと何回使えるんだろう。清浄投擲槍を含めた非実体化みたいなスキルは連発してたのに不浄衝撃盾を使わない意味は?
魔力もだいぶ使わせることはできたけど、このあと肉弾戦に徹されたらそれこそもう何もできない。
ブリュンヒルデは見た限り種族スキルと槍系統のスキルは使い切ってる。近接なんてしないって言っておきながらシャルティアが後ろに引いた瞬間飛び込んで近接を仕掛けてくるなんてズルいっての。
そう作ったのは私だけどさ。
原初のルーン【万能】の使用回数は?正確に数えれてないけど残り数回なのはわかる。だけどまだ魔力が半分以上残されてる。
そした2人ともHPは6割前後残ってる。
対して私は4割弱。
ブリュンヒルデに殆ど痛手を取れてないのが何よりきついな…。
「
治療魔法を2回かけてなんとか立ち上がれるけど欠損部位を直せるほど回復出来はしなかった。アイテムを取り出す暇なんてくれないだろうし。
ここから勝つ方法…あるのかな。
もう、どうしようもないのかな…。
奥の手使えば片方は確実にやれるけど、それじゃだめだ。やるなら2人とも確実に巻き込まなきゃ意味がない。
「はは…本当に、本当に強いね2人とも」
「ありがとうございます。アテナ様もなかなか強かったですよ?」
「マスターに作られた身としては…勿体ないお言葉です」
思わず本音を呟いてしまうとそう返答される。更にいうなら、洗脳されてるだろうに事あることに普段の2人の様子が垣間見れるから、やりずらいったらありゃしない。
「本当に、やってられないよ。こんなクソゲー。元々シャルティアだけでも私1人じゃ勝てるか怪しいのにブリュンヒルデまでいて。私が不利にもほどがあるよ…」
「え?」
「……」
もう、疲れたなぁ…
「はは。もう、死ぬのかな。…死んだらどうなるんだろ。アインズさんが蘇生魔法をかけてくれるのかな。その後にめいっぱい怒られて。それで…」
どうせならちゃんと最後にどっちかを道連れにしておかなきゃ。アインズさんにこれ以上負担してもらうわけにはいかないし…。
「ア…アテナ様。であれば撤退すれば宜しいのでは?もしここで撤退なさるのであれば追撃をするような真似はしませんよ?」
「マスター、何故アインズ様と来られなかったのですか?それに加え他の守護者たちを連れてきたなら私たちなど一捻りでしょう…?」
「さぁ…なんでだろうね…。撤退する気はサラサラないけど…なんで独りで来たんだろうね」
私は私の役割を全うしなきゃいけないってくらいしか思いつかないや。
こんな私を助けてくれたモモンガさんと、モモンガさんが愛したギルド『アインズ・ウール・ゴウン』を、いつも助けてくれるみんなを。今度は私が助けなきゃって、そう思ってるだけなのかも…
それにアインズさんにはもう…悲しい思いをしてほしくない。
きっとあの人は裏切った君たちすら心配して心を痛めてるだろうから。
ペロロンチーノさんをはじめ、ギルドのみんながいなくなった時のような悲しい思いは、もうさせたくない。
その一心で頑張った。
だけど、もう…
……
「でも、2人には悪いけどこのまま逃げる気はない」
「え?」
「…?」
「ここで逃げたら、やめたら。弱いままの私だから。死ぬ覚悟で、みんなに嫌われる覚悟で1人で来たんだ。だから…悪いけど死ぬまで付き合ってもらうよ2人とも。私の覚悟を示すために」
「「……」」
アテナの言葉に、2人は押し黙る。しばらくの間何かを考え、アテナが立ち上がるのを待ち口を開く。
「承知しましたアテナ様。全力でお相手いたします」
「アテナ様の覚悟、然りと受け取りました。同じく死ぬまでお相手致します」
その言葉を合図に、激痛に蝕まれている体を無理やり立ち上がらせる。
そのまま2人に向かって駆け出した。
「おいおい。悲しいぞ。私だけ仲間外れか3人とも」
その瞬間、その場に一つの声が響いた。
聞こえてほしくない声が、だけどずっと愛してやまない声が。
高台の方をバッと振り向くと茶色いローブに身を包んだスケルトンが。
武装こそ違えど、そのヒトを間違えるわけがない。
シャルティアとブリュンヒルデは驚愕に満ちた顔で見ていた。
私は…
「随分と楽しそうだな。私も混ぜてくれないか?」
こちらに飛び降りて、ゆっくりと歩いてくる。
「ここからは2対2だ。悪く思うなよ」
その人はさも当然のように私の横に立ち、ブリュンヒルデ達を見つめる。その気迫からは負ける可能性なんて微塵も思わせなかった。
だけど……
「なん…で、なんで来たんですか!アインズさん!」
私は、そう叫ぶことしかできなかった。
現状
アテナ
HP4割 MPほぼ無し
スキル ある特定のものを除き殆ど無し
シャルティア
HP8割 MP3割
スキル 不浄衝撃盾は残り1回 ワルキューレ特有スキル有り 他に有効打の取れるスキルは使い切っている
ブリュンヒルデ
HP5割 MP4割
スキル 原初のルーンは残り5回 種族スキルはほとんど使い切っている クラススキルで有効打の取れるものはほとんど残っていない
補足説明
【原初のルーン・万能】について
FGOでは敵のクリティカル確率ダウン、宝具威力ダウン、自身のNPチャージとなってます。
今回では原初のルーン【万能】というスキルになっているように、様々な効果のあるスキルとなっており、魔法に直すと第九位階に相当します。
例えば
【炎】や【雷】の場合だとヴァーミリオンノヴァやコールグレーターサンダーより少し強い程度。
今回は出ていませんが治療効果や相手へのデバフ、味方へのバフなども使用できます。
その代償として1日に使えるのは20回まで。そのため、使い方によっては前衛も後衛もできるようになります
アテナの強さについて
単独としての強さなら階層守護者の中ではデミウルゴスより少し強い程度。
これは本人のビルドがタンク前提ということもあり、また種族スキルのほとんどは複数人での戦闘を前提としたものが多い。
つまり、本人が1番力を発揮できるのはレイド戦などであり
今回の戦いは元から生きて勝てる見込みが無い。
門番の熾天使/セラフ・ゲートキーパー について
本作のオリジナル天使
アテナの持つ熾天使種族の持つ特有のスキルによって召喚できる。
本来なら智天使以下しか呼び出せないが、これにスキル強化、経験値消費、回数の全消費を併用することで熾天使クラスを呼び出すことができる。
体力、耐久力のみではあるがほとんどの階層守護者を凌駕し、完全武装のアルベドや本気装備のアテナ、ぶくぶく茶釜たちに並ぶ。
しかし、今回で明言したように体力、耐久力のみに特化しているだけなので階層守護者達の敵ではない。