モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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タイトルの通りでございます

それではどうぞ(今回で戦闘シーンはほぼ終わりです)


24話 至高の御身VS守護者

 

その場に現れたのは、誰もが望んでいなかった人物。

守護神にとっては死んでほしくないから、危険な目にあって欲しくないから。

 

守護者2人にとっては、自分たちの勝ち目が低くなってしまうから。

 

「なん…で、なんで来たんですか!アインズさん!」

 

守護神は、今にも泣きじゃくりそうな声で叫ぶ。

 

それを聞いて死の支配者はゆっくりと横を見る。

 

「貴女を助ける為ですよアテナさん」

 

「そ、なの。いらない、です!わたしのために、アインズさん死ぬ、なんていやです!だから…」

 

「死ぬ気なんてハナからありませんよ」

 

「でも…アインズさんが傷つくの、みるのもいやです!そんなのを見るくらいなら、私ひとりで、わたしだけが裏切り者になって、ひとりでやるほうが…」

 

アテナの言葉を聞いた瞬間、アインズは勢いよくアテナの肩を掴む。それに驚いていたが無視してアインズは激昂しながら叫ぶ。

 

「その行為が!その思いが!何よりも俺への、俺たちアインズ・ウール・ゴウンへの裏切りなんですよ!」

 

「っ…」

 

「アテナさん、俺はそんなに頼りないですか?守護者のみんなはそんなにも貴女が1人で守られなければならない程ですか?

 

 

貴女にとって『アインズ・ウール・ゴウン』とは、たった1人で背負えるほど小さかったのですか?」

 

 

最後は優しく強かに諭すように言い、アテナは様々な感情がぐちゃぐちゃになってしまっているのか目から涙が溢れ出ていた。

 

「アテナさん、今一度お聞きします。

 

貴女にとって『アインズ・ウール・ゴウン』は大切ですか?」

 

「……はい。もちろんです」

 

「よかったです。そう言って頂けて。さて、それはそれとして……てりゃ!」

 

「っ⁉︎」

 

「これは心配させたことに対する罰、ということで」

 

アインズはアテナの頭に思い切りチョップを決める。突然のことに目を白黒させながらアインズを見上げる。

 

「大体ですねぇ、そんなにも俺に信用がありませんか?」

 

「い、いえ。そういうわけじゃ…。ただナザリックの守護神としてまもらなきゃって…。それにアインズさんに危ない目にあって欲しくないって…」

 

「ほほう?この俺がたかだか性能がいいだけの相手に遅れをとるとでも?」

 

「……」

 

「それにですね。下の者を守るのは上に立つ者の責務、それには同意します。ですがその理論で言うのならナザリックの頂点とも言える私が最も背負うべきモノです。決して貴女だけが背負って良いものではありません」

 

「でも、でも…」

 

「でもじゃありません。はいこの話は終わりです」

 

アインズは無理やり話を切り上げ、改めてシャルティア達を見る。

 

「アテナさん、最後にもう一度お聞きします。そんなにも俺は信用がありせんか?

 

俺は貴女の横に立つに相応しくありませんか?」

 

最後の言葉にアテナはハッとする。

それに敢えて気づかないふりをしながらアインズはシャルティア達へ問いかける。

 

「と、言うわけだ。ここからは2対2だ。卑怯だなんて言うなよ?」

 

「ええ、勿論です。むしろこれで対等ですねアインズ様」

「…ああ、悲しい。アインズ様すら手にかけなければいけないなんて…」

 

「ふむ…ずっと疑問だったのだが、何故お前達は私やアテナさんを『様』付けで敬う?」

 

「これは異なことを。至高の御身である御二方をそう呼ばずして他にどう呼べばよろしいのでしょうか?」

「マスターは…私を創造してくださりました。アインズ様は…最後まで私たちを見捨てずにいてくださいました。それだけで…十分すぎる理由かと…」

 

「ほう。ならばもう一つ問おう。今のお前たちの主人は誰だ?」

 

「私の主人は…」

「私の…主人…」

 

続きを2人は言えず、口ごもってしまう。その様子を見てアインズは2人の状態が精神支配ではあるが完全ではないことと確信する。

 

「よくわかりませんが、攻撃を仕掛けられた以上アテナ様を、アテナ様に加勢するアインズ様を滅ぼさねばなりません」

「ええ…シャルティアの言う通りです。ですので…恨まないでくださいね」

 

「こんなことで2人を恨むものか。むしろ私の方こそお前たちに恨まれないか心配だよ。

 

絶対的な自信を持つ2人をこれから私とアテナさんで完膚なきまでに叩き潰すのだからな」

 

シャルティア達はピクッと僅かに反応し、不愉快になったものの表情には出さずまっすぐ見据える。

 

「さあ、アテナさん。よろしいですか?」

 

「スゥーーーーハァーーーーーーーー」

 

アインズに問われ、アテナは今一度覚悟を決め直す。

 

 

コレまでの独りよがりな覚悟ではなく、アインズと2人で成す覚悟を。

 

 

思い切り深呼吸をし、頬をペチンと2、3度叩き、アインズと共にシャルティア達へ向き直る。

 

「もちろんです。私たちの力、見せつけてあげましょう!」

 

そこにはもう独りぼっちな守護神はおらず

 

「ええ。思う存分やってやりましょう」

 

2人の支配者がいた。

 

 

 

 

「アテナさん、こちらを」

「ありがとうございます」

 

アインズさんから手渡されたポーションを一気飲みする。すると欠損していた左腕が綺麗に生える。だけど右目は未だ見えないままだった。

 

この際贅沢は言っていられない。腕が戻っただけでもありがたい。

 

「シャルティア達のスキル状況は俺も把握しています。ですので…アテナさんは好きに暴れてください」

「了解しました。それじゃあ…()()使いますね」

「ええ」

「……誤射しないでくださいね?」

「意図的ならまだしも純粋なミスでそんなことをやると思います?」

「ふふっ、いえ全く」

 

アインズさんに確認をし、ずっと使わずにおいた職業(クラス)スキルを発動させる。

 

「身体障害者スキル発動。【声帯】、【聴覚】、【視力・右】」

 

スキル発動させると、世界から音が消える。喉元からも何かが消えたような感覚がし、成功したと確信する。

 

 

頭の中が、自然とスッキリしていく。

 

ああ、()()()()感覚だ。

 

 

盾を装備しなおし、その場に屈む。

 

「ッ!」

 

「なっ⁉︎」

「速…」

 

そのまま思い切り地面を蹴り、シャルティアに肉薄し、そのまま無造作に槍を振り下ろす。

 

ガギィンと音が鳴り、下を見るとシャルティアはギリギリスポイトランスで防いでいた。だけどその顔は焦燥が浮かんでいた。

 

「(うん、違和感全然ないや。やっぱり私は()()()()方が戦いやすい)」

 

「ッ…ハァッ!」

 

シャルティアも負けじと押し返してくるので、それに合わせて後ろに跳ぶ。

 

「どういうこと?アテナ様の力が一気に増したような……」

「私にもわかりません。おそらく…先ほど発動させていたスキルだと思いますが」

 

もう一度足に力を入れ直進する。

 

「「⁉︎」」

 

2人と1メートルほどの間合いまで近づいた瞬間に左へ切り返し、今度はブリュンヒルデを盾で殴り飛ばすことでシャルティアとブリュンヒルデの距離をさらに近づける。

 

魔法三重化(トリプレット)魔法最強化(マキシマイズ・マジック)万雷の撃滅(コール・グレーター・サンダー)!」

 

「ぐうっ…」

「くっ…原初のルーン!」

魔法最強化(マキシマイズ・マジック)朱の新星(ヴァーミリオンノヴァ)!」

 

ブリュンヒルデが魔法を弾き、シャルティアがアインズさんへ魔法を放っているけど私はそれに構わず2人の前に飛び出す。

 

 

-さあ、ふたりとも。もっと私と遊ぼうか?-

 

 

そう思っただけなのに、2人の顔は一気に戦慄していた。

 

「(変なの。ま、いいか。さあ、どんどんいこう)」

 

「ブリュンヒルデ、今の……」

「ええ、恐らくアテナ様は自らの()()()()()()()身体能力の底上げをしているのでしょう」

 

2人が何かを喋っていたけど何も聞こえないから構う必要がない。

 

「(スキルを使わせなきゃいけないのは……ブリュンヒルデの原初のルーンと半神関係のスキルかな?)」

 

そう考えてすぐに行動に移す。一度シャルティアへ向かう、と思わせフェイントを入れ、間髪入れずブリュンヒルデの胸ぐらを掴んで投げ飛ばす。

 

「(必中の槍(ゲイ・ボルグ)!)」

 

投げ飛ばした矢先に今度は槍を投擲する。体制を整えきれていないブリュンヒルデの左肩に命中し、深傷を負わせる。槍を手元に引き寄せ、更に近づく。

 

「(強く……地面を踏んで、蹴り出すように…)」

 

たっち・みーさんに教わったことを思い出しながら、槍を思い切り振り下ろす。

 

ズドォン!と轟音が鳴っていそうなほど土煙があたりに蔓延し、視界が悪くなる。だけど受け止められていたのは感触で分かった。

 

ん?ブリュンヒルデの口が動いてる。

 

あ…シャルティアもアインズさんを無視してブリュンヒルデを助けにこようとしてる。

 

「(シールド強化、神聖防壁)」

 

防壁を貼るのと同時に闇属性ぽい何かと炎の魔法が降ってくる。

ダメージを相殺、とまではいかなくとも2割削られる程度まで抑え込めた。

 

 

ああ、来た。この感覚だ。

相手はすっごく早いはずなのに、ゆっくりに見える感覚。

 

相手の動きを見てから何をすればいいのか分かる感覚。

 

 

「おいおい。私を見なくていいのか?魔法最強化(マキシマイズ・マジック)重力渦(グラビティメイルシュトローム)!」

 

「不浄衝撃盾!」

 

私ではなくアインズさんへ向けて盾を生み出し魔法を相殺していた。

その隙を利用して今度はシャルティアへ槍を振るう。

 

シャルティアはこれに応戦し、互いに槍をぶつけ合う。

 

 

 

魔法三重化(トリプレット)魔法最強化(マキシマイズ・マジック)現断(リアリティ・スラッシュ)!」

 

アインズの第十位階魔法はシャルティア達へ目掛け放たれる。

それを避けようとした2人だったがそれを阻止したのはアテナ。

 

2人の腕をガッチリとつかみ、引き寄せ

 

()()()()()()()()

 

「「なっ⁉︎」」

 

切断属性の魔法は、3人に深傷を負わせる。それに驚きを隠せないシャルティアたちだったがすぐに頭を切り替え回復魔法、スキルを使い治癒する。

 

だがアテナはそれを治そうとせず、拳を何度か握ったり開いたりして感触を確かめていた。

 

「さあここからが本番だ。アテナさんばかりに気を取られてすぐに朽ち果ててくれるなよ2人とも」

 

そんなアテナの様子を微塵も気にしていないように思えるアインズは更に魔法を唱え始める。まずはアテナへバフのかけ直しを。連続して最高位の魔法を連発していく。

 

「ぐっ…シャルティア!空へ!」

「ええ!」

 

アインズは多種多様な魔法を、アテナごと巻き込むように使い続け、それに耐えかねた2人は翼を顕現させ空へ逃げる。

 

それに追従するようアテナも熾天使の翼を顕現させ空へ。

 

「アテナ様は私が押さえ込むわ!貴女はアインズ様を…」

「っ!魔法最強化(マキシマイズ・マジック)神炎(ウリエル)!」

 

「(スキル、戦女神の槍捌き)」

 

想定以上に急接近していたアテナにブリュンヒルデは咄嗟に魔法を唱える。だがアテナは魔法ごとそれを両断して見せた。

 

シャルティアはその隙を狙い、今度は自らアテナに近づく。少しでもスポイトランスの届く距離で戦う為に。

 

「(ま、そうだろうね。けど私がやることも変わらない。2人がアインズさんに接近戦を仕掛けれないよう『盾』になるだけ…)」

 

1人だったが故にほとんど使っていなかったヘイト値を高めるスキルをアテナは惜しみなく使い、2人の攻撃を自分へ向けさせる。

 

それをみていたアインズは更に多くの魔法を3人へ向け放つ。アテナへの誤射などまるで恐れていなかった。

 

「(アインズ様…こんなにもアテナ様を巻き込むなんて。……いえ、あの御方が考え無しにアテナ様を巻き込むわけがない)」

「(恐らくはアテナ様のHPが削れることで何か奥の手が発動する、と言ったところでしょうか)」

 

だからこそ、守護者の2人はアインズ達の狙いを看破した。次に考えるは…

 

奥の手を使わせる前にアテナ、もしくはアインズを仕留めること。

 

「ブリュンヒルデ!一度距離をとるわよ!」

「ええ!」

 

「(!)」

 

アテナに対しシャルティアがスポイトランスで猛攻を仕掛け、ブリュンヒルデは使える高位の魔法を連続で叩き込む。

アテナは豹変した2人の行動に驚きながらも、アインズの援護のおかげで全てを捌き切って見せる。だがかなり後ろに下がってしまう。

 

守護者の2人は出来うる限り距離を取り、再度地面へ降りる。

空中戦はアインズ達の思う壺だと、そう思ったからであり、地上の方がはるかに戦いやすかったと感じた為だった。

 

「(高位階の魔法を使いすぎたな。少し節約しないと。2人もきっと気づいてるはずだ。だからこそ2人が取る手段は……)」

「(そろそろ…きっと2人も考えついてるはず。ならここはきっと……)」

 

アインズ、アテナの予想通り、シャルティアとブリュンヒルデは互いの切り札を使う。数秒後に2人の真横に全身真っ白でそっくりな人物が創造された。

 

「(キタ…)」

「遂に出したな。お前たちの切り札【死せる勇者の魂(エインヘリヤル)】を」

 

シャルティアたちのとっているクラス【ワルキューレ】のスキル、エインヘリヤル。

その効果は使い手とそっくりな人物像を作り出し、更にはソレが魔法行使能力やスキルの一部は使えないが、武装や能力値や耐性は本人と同じという凶悪じみたものだった。相手の戦力が倍になるのと同じなのだから。

 

「いけ」

「行きなさい」

 

2人が命じると、シャルティアはアインズの元へ、ブリュンヒルデはアテナの元へ向かう。

 

「(スキル、『シールドアタック』『シールドスタン』『メガインパクト』)」

 

それを阻止しようとブリュンヒルデの分身からの攻撃を受けながらシャルティアの分身に攻撃を仕掛ける。

 

「(あれは確か…ぶくぶく茶釜さん直伝のヘイトコンボか)」

 

アインズの思考は当たっており、先ほどまでまっすぐ向かってきていたはずのシャルティアの分身は攻撃先をアテナに移していた。

本体のシャルティアはそれに驚きながらも即座に頭を切り替え、その場に大量の眷属を召喚する。

 

「(…?物量でゴリ押そうとしてるのかな?守り固めた方が良さそう…)」

 

分身2体とブリュンヒルデの遠隔攻撃をしのぎながらシャルティアの眷属召喚に対抗するため、残りのシールド関係のスキルを全て使い果たす。

アインズは広範囲魔法で一気に片付けるため魔法を唱え始める。

 

ザシュッ

 

「「((は?))」」

 

()()光景を見た瞬間、アインズたちの思考が重なる。

 

ザシュッ ザシュッ

 

何かを突く音が何度も何度も鳴る。

その音の正体は、スポイトランスで周囲に召喚した眷属を片っ端から突き殺している音だった。

 

「(きったねぇ!フレンドリーファイアが有効だからって、そんなのアリかよ⁉︎)」

「(ズッル⁉︎てか容赦無さすぎない⁉︎曲がりなりにも自分が生み出した子でしょ⁉︎)」

 

2人が驚いている隙に、ブリュンヒルデは倍以上の距離を取る。

全回復仕切ったシャルティアは、再度アテナを仕留めんと接近し、2体の分身体と共に攻撃を仕掛ける。現時点でMPは尽きている為、少しでも早くアテナを殺し切りたいと言う考えからだった。

 

「(ぐっ…流石にきつい…)」

 

3対1と言う数の暴力の前にアテナはどんどんHPを減らしていく。アインズも援護をするがこれ以上アテナを巻き込むわけにはいかず、高威力の魔法を使えずにいた。

 

「好き、嫌い、好き、嫌い……」

 

「!」

「……?……!」

 

ブリュンヒルデがゆっくりと浮かび上がり、詠唱を始める。持っていた槍はどんどん大きくなっていき、10メートルほどまで巨大化する。

 

それを見た2人は、ブリュンヒルデのもう一つの切り札だと確信する。

 

「(あれは…だめだ。…私の今のHPで耐えられるかな?いや今はいい。そんなことを考える前に動け…!)」

「(アテナさんにありったけのバフをかけて…あとは一か八かだ)」

 

アインズは使えるだけのバフ魔法をアテナに重ねがけし、アテナはそれを感じた瞬間にその場を離脱。ブリュンヒルデへ目掛け飛翔する。

 

シャルティアはアテナを止めるために追いかけ、エインヘリヤル2体は一番近場の敵-アインズへ向かって行く。

 

「(スキル・聖域解放、守護堅聖アイギス、聖なる道標)」

 

アテナは自身の残り3割弱しか残っていないHPのうち、半分以上を代償に特大のバフをかける。

 

「(これで…もうHPは削れない。正念場だ。踏ん張れ私……」

 

アテナは急に反転し、後ろから追ってきていたシャルティアを蹴り地面へ堕とす。そしてすぐさまブリュンヒルデへ向かう。

 

「(この際だ。もっと確実に…。身体障害者スキル発動【触覚】【痛覚】【味覚】)」

 

更に三つの感覚器官を犠牲にバフを盛る。

 

「好き…好き好き好き」

 

「(裁きの時はきた……喰われよ……)」

 

ブリュンヒルデの巨大化した槍が、聖なる炎を纏う。

それに対してアテナの槍は闇の炎を纏う。

 

 

「貫け…【死が2人を分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)】!」

 

 

「(パイロスター……バースト!)」

 

 

2人の最大火力が、真正面からぶつかる。

 

 

 

 

 

「…!よし、アテナさんは生きてるな。あとは俺の…」

 

空中で起こった大爆発、それに付随して起こった巨大な熱波があたり一面を焼く。炎対策はしているおかげでさほど影響は無いのが救いだった。

 

地面に二つの影が落ちてきて、エインヘリヤル2体とシャルティアをなんとか相手にしながら横目でチラと見るとアテナさんとブリュンヒルデが満身創痍で落ちてきていた。

 

どちらも全身が焼け爛れており、ブリュンヒルデは武装のほとんどが焼けこげているがなんとか5体満足で耐えていた。一方アテナさんに至っては顔半分が大火傷に覆われ、左腕は肩から先が消し飛び、全身のあらゆるところから血を流していた。

 

ライフエッセンスというHPを確認すると、どちらも3割程度まで戻っていた。

 

「(互いに蘇生アイテムを持っていたか…。となれば、俺ももう出し惜しみできないな)魔法最強化(マキシマイズ・マジック)!」

 

魔力をギリギリ残るよう魔法を連発し、三体から無理やり距離を取る。

 

「【The goal of all life is death(あらゆる生ある者の目指すところは死である)】!

魔法効果範囲拡大化(ワイデンマジック)嘆きの妖精の絶叫(クライ・オブ・ザ・バンシー)!」

 

アインズがスキルを使うと背後に黄金の時計が現れる。続けて発動させた魔法は広範囲に即死効果をもたらすもの。

 

「っ!ブリュンヒルデ!動ける⁉︎」

 

「ええ…問題、ありません」

 

背後の時計がカチッカチッと時間を刻み始めると同時、エインヘリヤル2体は俺に攻撃を仕掛けてくる。シャルティアとブリュンヒルデは遠距離攻撃をしようとしていた。

 

だが俺はそちらのことを心配すらしていなかった。

なぜなら、予想通りなら……

 

 

「……」

 

 

「んなっ…」

「マスター、その傷でまだ……」

 

「ふっ、やはりな」

 

アテナさんなら、まだ立ち上がれると、そう信じていたから。

 

ボロボロの右腕で愛用武器を持ち、ボロボロの脚で2人に近づいていく。

 

その間にもカチッカチッと時を刻み続ける。

 

「っ、あああああ!」

「あああ!」

 

恐怖からなのか、焦燥からか。

2人は叫びながらアテナさんに向かって槍を向ける。

 

「……」

 

そんな2人を見てアテナさんは微笑み…

 

抵抗することなく2人の攻撃を受けた。

 

「え…」

「な…」

 

2人の槍は見事にアテナさんの体を貫く。その行動に2人は気を取られており…

 

「終わりだ」

「「⁉︎」」

 

俺の切り札は邪魔されることなく発動した。

 

 

 

 

 

 

 

辺りが光に包まれ、ようやく見えるようになると一面砂漠に変わり果てていた。

 

そして立っていたのは俺以外には1人だけ。

 

「命無き者にすら死を与える力を目にした感想はどうだ?シャルティア」

 

「お見事ですアインズ様」

 

その場に立っていたのはHPが全回復したシャルティアのみ。

足元にはアテナさんが血まみれで倒れていた。

 

「私の眷属、そしてブリュンヒルデも殺されてしまいました。ですが、ペロロンチーノ様が持たせてくださった蘇生アイテムのおかげで助かりました」

 

「そうか…」

 

「それで…言い残したことはございますか?」

 

「そうだな。では2つほど言わせてもらおう。まずはアテナさんについてだが……ナザリックへ送ろうと思う。私が死ぬだけならまだしも、これだけお前達を想い、行動してくれたアテナさんを死なせるわけにはいかないからな」

 

「ええ、どうぞご自由に」

 

シャルティアは勝ちを確信しているのか、それともアテナさんが復活したところで勝てると思い込んでいるのか。詳しい内容はわからないが、アテナさんは見逃してくれるらしい。

 

それに甘えてアテナさんのそばに近寄り、転移させる。

 

「(守護者達よ、頼んだぞ…)」

 

「それで、もう一つはなんでしょうか?」

 

「そうだな。私はMPが尽きれば雑魚だから。アテナさんはスキルさえ削り切れたらただHPが多いだけの人だから。

 

 

 

 

そう考えて迷うことなく残りのスキルを使い尽くしてくれて()()()()()。シャルティア」

 

 




さぁーやっと終わった!
次回からは後日談。そして少し前のお話で意味深に書いておいた例の歩く酒豪関係の部分もちゃんとかき切ろうとと思います

次回

ナザリック大波乱(色んな意味で)

あ、そうそう。下にみんなが疑問に思いそうなことを先にQ&A方式で書いておきます。他何かあれば感想欄にでも(露骨な感想欄への誘導

読んでくださりありがとうございました
感想や評価などもらえるとうれしいです。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Q どうすればアインズ、アテナの被害を最小限にできましたか

A.どこぞの早とちりさんが初めから2人で出撃してればこんなギリギリの戦いになっていません。むしろボッコボコにしてるしアインズは奥の手を使わなかった可能性すらある。


Q.アインズが来てから急にアテナ強くなってない?

A.そもそもアテナの役割はタンク。つまりはパーティ戦が前提で、今回のように単独で戦うこと自体がおかしい。剣士が遠距離専門に挑むようなもん。
それにアインズ様が攻撃魔法の合間にバフ魔法を定期的にかけてたりする。


Q.なんだ職業スキルの身体障害者って

A.アインズ・ウール・ゴウンが運営にお願いするタイプのワールドアイテムを使って耳の聞こえないアテナに、せめて何かしらのバフが得られるクラスをつけてあげて欲しいとお願いしたところ、新しく作られた職業(クラス)。もちろん運営は大炎上しました。

名称の変更を運営から提案されたがアテナ自身なんとも思ってないし変えるのもめんどくさかった(アバターデータを差し出したり云々でログインできなくなる)為、この名前のままになった。


Q.アテナのやつ、最終盤面で明らかに複数回死んでね?

A.奥の手同士の激突の時は蘇生アイテムをつかっており、その後2人に貫かれた時は守護神特有のスキル(HPが1残るパッシブスキル)で耐えていて、アインズの奥の手の時は自身へかけた蘇生魔法の効果で耐えている。


Q.この後のアインズVSシャルティアはどうなるの?

A.原作の通りに進んでいきます。つまりアインズ様(以下略


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