アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーが勢揃いしてて、ワールドエネミーを相手にしていた。
何度も何度も負けては試行錯誤して、作戦を変え…
ものすごく、ものすごく楽しかった時の記憶。
「(ああ…でも…)」
だからこそ、これは夢なんだと半ば無理やり理解してしまう。
そう気づいた瞬間、みんながどんどん遠くなっていく。
夢だとわかっても手を伸ばし足を進めてしまう。
だけれど、全く追いつけない。みんなのところに居たいのに。
『ほら、みんな待ってるんですから。早く起きてください』
チャットが目の前に浮かび上がり、思わず後ろを振り返る。
そこに居たのはモモンガさんだった。
起きる?どういう…
『先に行って待ってます。寝坊したら罰ゲームですからね?』
最後にそう打ち込んだと思うとモモンガさんもどこかに向かって歩き出してしまう。
いやだ
モモンガさん。私を独りに…
ふと、目を覚ます。いつの間にか寝ていたのかな。ゲームで寝落ちとか久しぶり…
「……ッ」
あれ、ここは…
「アテナ様!お目覚めになられたのですね!」
「……?」
訳がわからなくて、周りを見渡してるとメイド服を着た人たちが一斉に駆け寄って何かを言っている。けど、なんて言ってるかわからない。そもそも音が聞こえない。
「(いや、音が聞こえないの当たり前なのに、何言ってるんだ私)」
私は何を……
周りのメイド達が私に対して色々とアクションをしようとしてるのを無視しながらなんとか起き上がって周囲を見渡すと、見覚えのある部屋だった。
間違えようもない、ナザリックで作った私の部屋。いつの間にここまできたっけ。
というか本当に私は何をしてたっけ…
バタン!
「アテナさん!」
びっくりしたぁ。急に目の前の扉が開いてモモンガさんが現れた。私の顔を見た途端に勢いよくこちらへ近づき、とても力強く抱きしめてくる。
「ああよかった、本当に…よかった……」
「??」
え、あの。ちょ、なんで?
嬉しいけど!嬉しいけども!今リアルの方の顔、多分きっと絶対真っ赤でニヤけてるだろうけど!
「ああ、そうだった…。アテナさんの容体はどうなっている?」
「命に別状はございません。ですがバッドステータスがほとんど残っておりまして…。私たちの力が及ばず申し訳ありません!」
「良い。気にするな。それよりもアテナさんを救ってくれて感謝する」
「勿体ないお言葉です!」
「(と言うことは…例のゴミクラスの影響か。ワールドアイテムでもない限り1日は解呪不可だっけ)」
モモンガさんが横のメイドと何かを話していて、それが終わったのかこっちを改めて見る。
かっこい…げふん。いえなんでもありません。
そんな煩悩に包まれているとモモンガさんは胸の前くらいに手を持ってきて動かし始めた。
『アテナさん、身体の具合はどうですか』
「!」
それは紛れもなく手話で、モモンガさんが出来たことにとても驚いた。
『私は元気です!それよりモモンガさん、いつの間に手話を覚えたんですか?』
『仕事の合間に少しずつ。まだまだ拙いですけどね』
『それでもすごいですよ!』
『ありがとうございます。それでアテナさん、どこまで覚えていますか?』
え?覚えてるって何のことだろう?
『何のことですか?』
『今、私のことをモモンガと呼びましたが、改名したのは覚えていますか?』
改名?……あ。
『そういえば改名してましたね。ごめんなさい忘れていました』
『大丈夫ですよ。ではいつ何処で改名したのかは覚えていますか?』
『確か人間の村に行って、そこで』
『では、なぜ人間の村へ行きましたか?』
『周囲を見ていた時に人間の村が襲われていたから助けて恩を売るため、でしたっけ?』
『周囲を見ていた理由はなんでしょう?』
『原因不明の事故か何かでユグドラシルとは全く違う場所にナザリックごと転移…』
あ、そう言えばそうだった。
それに付随して色々と思い出してきた。そうだ、そういえば…
私はシャルティアとブリュンヒルデ相手に殺し合ったんだった。
それでようやく左腕が無いことや右目が見えないこと、鏡を見ることで顔の半分くらいがヤケドの痕になってることに気づいた。
『思い出したようですね』
『……はい』
『改めてお聞きしますが体の調子はどうですか?』
『クラススキルで犠牲にした部分以外は問題ないです』
『わかりました。それでは起きたばかりで申し訳ないんですが玉座の間へ一緒に来てくれませんか?シャルティア達の蘇生をアテナさんが目を覚ました後にやろうと思っていたのと、守護者達へアテナさんの無事を報告するのも兼ねようかと』
『もちろんです』
アインズさんに手を差し出され、それを握って立ち上がる。バランス感覚が少し狂っているのか倒れそうになるけど、アインズさんが支えてくれたことでなんとか転けずに済む。
『それじゃあ行きましょう』
『はい』
「すまない、アルベドへ各階層守護者とワルキューレ三姉妹、セバスとソリュシャン以外のプレアデス、それからエミヤを玉座の間に来るよう伝えておいてくれ。報告する事があると。あとパンドラにもシャルティアとブリュンヒルデの蘇生に必要な金貨などを用意して同じく玉座の間へくるよう伝達を。アルベドを通した方が早いだろう」
「畏まりました!」
メイドがアインズさんと何かを話し、勢いよく部屋を出ていく。
それからアインズさんに支えられながら歩いて行く。
はっはっは役得!っゲフンゲフン。
大丈夫かな、顔にやけてないかな。
それにしても音の無い世界が久しぶりすぎて懐かしい。だけど凄く安心してしまう。
あ、そういえば…
『2人の蘇生費用ってどれくらい必要なんですか?』
アインズさんの肩をトントンと叩き、気になったことを聞く。アインズさんのことだからきっと宝物庫にある金貨とかを使ってくれるんだろうけど、どうしても確認しておかなきゃならなかった。
『1人あたり金貨5億枚なので合計10億枚です』
『……10億?』
『10億です』
えーと、せめて1割2割は出そうとか思ってたんだけど…私のアイテムを全部エクスチェンジボックスに入れて足りるかな?
『アテナさんは出す必要ありませんからね?というか出させませんよ』
『待ってくださいそれはダメです。少なからず私も出すべきです』
『これはギルドとして決定した事です。ギルド長である俺の決定ですのでアテナさんは大人しく従ってください』
『でも、今回のは私にも責任が…』
『10億程度、どうとでもなりますから安心してください』
『そういう問題じゃ…』
『そういう問題です。今回のシャルティア、ブリュンヒルデの精神支配は俺の認識の甘さ、慢心ゆえの事件です。本来であれば俺1人が責任を持って全負担すべき費用なんですから』
『それは私も…』
私も責任がある、と伝えようとするとアインズさんに手を止められる。
『良いですから。この話は終わりです。早く玉座の間へ行きましょう』
アインズさんに強引に話を切り上げられ、手を引かれながら先へ進む。
というかアインズさんってこんなに強引に話を進める人だったっけ?
強引なアインズさんもそれもまた良い物ですけども。
えっ、いや。襲ってほしいとか思ってませんよ?……多分。
「(……)」
しばらく歩き続け、ようやく玉座の間に辿り着く。正確には横の控え室だけど。
『緊張してますか?』
『そんなことは、ないです。たぶん』
『ははっ。大丈夫ですよ。みんな心配のしすぎで倒れそうだったくらいですから』
『余計に緊張してきたんですけど…』
『それが狙いですから』
『何でですか⁉︎』
きっとゲーム時代なら、アインズさん今頃笑いマークを連打してそうだと思ったのは気のせいじゃないと思う。
それくらい、なんというかフランクになったと言えばいいのかな。
『行きましょう。みんなが待ってます』
メイドたちが扉を開けてくれ、光眩い場所へ歩いて行くアインズさんの後ろをテクテクとなんとかついていく。
広間に出て最初に感じたのは一斉に見られる感覚。
横目でチラ見してみると守護者のみんなが泣きそうな顔で私を見ていた。
アルベドだけなんか、すっごい複雑そうな顔してたけど。
見間違いだよね?ね?
玉座に座り、横に用意しておいた椅子にアテナさんが座ったのを確認し守護者たちを見る。エミヤにはアテナさんの補佐を命じ、俺と守護者たちの会話を伝える役目を言い渡す。
「皆、よくぞ集まってくれた。まずはいくつか報告がある。一つ目は皆が見ている通り、半日以上眠っていたアテナさんが目を覚ましてくれた。デミウルゴスとシグルドの迅速な治療のおかげだ。この場を借りて礼を言う」
「とんでもありません!我らこそ至高の御身をお救いでき、この上ない喜びでございます!」
「アインズ様、デミウルゴスの言う通りです。それにアインズ様は私の命令違反を咎めることなく、我がマスターを救っていただきました。感謝に堪えません」
「うむ。後お前たちが懸念していたアテナさんの視力や聴覚などを治癒できなかった原因だが、アテナさんの持つ特殊なクラスによるもので、時間経過以外で治す方法は無い。あまり気に病むな」
そう伝えるが、守護者たちの顔は曇ったままなのを見ると、本当に悔しいのがよく伝わる。時間のある時にみんなに詳しく説明して周知させておく必要があるな…。
「それで次の議題だが、これよりシャルティア及びブリュンヒルデの蘇生を行う。異論のある者は?」
念のため確認をとるが、全員不動の姿勢でこちらを見ていた。アルベドあたりが反対するかと思ったが杞憂だったか。
「無いようだな。パンドラ、準備はできているか?」
「ハッ!問題ございません!ご用意した方がよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む」
パンドラへ問いかけると勢いのいい返事をしながら後ろの空間へ金貨10億枚を出していく。はぁ…しばらくは節約だ。
「こちらで全てになります」
「よろしい。後ほど金貨の在庫、今後の資金運用などを確認するため宝物庫を尋ねるので、必要な物などを準備をしておいてくれ」
「畏まりました!」
「それでは、これよりシャルティア達の復活を行う。アルベドはリストで常に名前の確認を。もし先程までと同じ、精神支配を受けた状況ならば…」
「アインズ様、アテナ様。その時は僭越ながら、わたくし共で対処致します」
そう言って立ち上がったのはデミウルゴス。それに続き全守護者が立ち上がっていく。
「デミウルゴス…」
「これ以上、至高の御身に明確な危険が及ぶ事を認めることこそ、守護者として最も相応しくないと判断いたしました」
「しかし…」
デミウルゴスの言うことに間違いは無い。だけどそれを許容したくない俺がいる。どう返答すべきか悩んでいるとアルベドが声を発する。
「シャルティアたちがまだ叛逆してくるようでしたら私達で対処致します。至高の御身はお下がりください」
「…わかった。そうであれば守護者たちよ、お前たちに任せよう。エミヤとシグルドよ、有事の際はアテナさんを連れてこの階層から離れてくれ」
「承った。アインズ様」
「畏まりました」
ひとまず納得し、守護者たちに任せることは了承する。だが、それでも俺の言葉のトーンなどに少し思うところがあったのか、アルベドが続けて口を開いた。
「アインズ様とアテナ様は、この場にいてくださるだけで良いのです。至高の御身が誰もいなくなってしまっては、私たちはどなたへ忠義を尽くせば良いのでしょう。
それに…例え捨てられたわけではないとはいえ、どなたもいらっしゃらないのは、寂しいですから」
そこまで言われ、改めて守護者たちの気持ちを理解した。
そうだ、そうだよな。誰もいないのは寂しいんだ。
「……わかった。守護者たちよ!我らを守れ!そして行動を開始せよ!」
「「「「「「ハッ!!」」」」」」
守護者たちの返事を聞き、目の前に山積みにされた金貨10億枚へギルド武器を掲げる。
「シャルティア、ブリュンヒルデよ!復活せよ!」
杖が光り、全ての金貨が溶けていく。
黄金の湖のようにしばらくその場をうねり、次第に2つの人型に固まっていく。
「アルベド!」
そこに出来上がったのは裸の状態のシャルティアとブリュンヒルデ。すぐにアルベドを呼ぶと、しばらく険しい顔をしていたがすぐに穏やかな顔になり…
「ご安心ください。精神支配は解けているようです」
その言葉に安心しアテナさんに向かって頷くと、顔を明るくしていた。
『もう大丈夫です。行ってあげてください』
手話でそう伝えるとアテナさんは布を2枚取り出し、駆け寄っていく。それに続くようにワルキューレ三姉妹とシグルドも駆け寄っていた。
アテナさんは2人の頭を何度か撫で、その時の表情からとても安堵していたのがわかる。
「(酷い傷とかも特に無さそう。嗚呼、本当に良かった…)」
「…シャルティア、ブリュンヒルデよ」
俺の呼び声に、2人はそっと目を覚ます。俺はシャルティアを抱き抱え、アテナさんがブリュンヒルデに抱きつく。
「ああ、本当に良かった……」
「アインズ様?マスター?どうされたのですか…?それにこの状況は……」
「そんなこと関係ないでありんす!ああ、妾はここで初めてを迎えるのでありんすね!」
「え?ちょっ…」
シャルティアはよくわからないことを言い、顔を赤くしながら俺の首に手を回してくる。戸惑っているとアルベドがニッコリしながら俺に近づいてきた。
「アインズ様、シャルティアは疲れているかと」
「はぁ?」
「うむっ!そ、そうだな!」
「え、ええっ?」
アルベドが怒気を含んだ声でそう言いながら引き離す。正直助かった。
「シャルティア、ブリュンヒルデよ。この状況についての疑問は山ほどあるだろうが、まずは確認したいことがある。お前たちの最後の記憶は何だ?」
「は、はい。ブリュンヒルデと共にセバスと合流するため、出発のご挨拶をアインズ様にしたところでありんす」
「私も……シャルティアと同じ、です」
「そうか…。(そうなると、あの老婆に話を聞くしかないか。だが例のニグンとやらみたいに魔法をかけられているか確かめないと…)」
「あの…アインズ様」
「ん?どうしたブリュンヒルデ」
「いえ…私たちの格好や、アインズ様やマスターたちの反応から、もしかして…私たちは取り返しのつかないミスをしたのでしょうか?」
「そ、そうでありんす!アインズ様アテナ様、妾たちは一体何を…。それにアテナ様のそのお身体は…」
「その説明は後でアルベドたちから聞いてくれ。改めて聞くが、体に異常は無いか?どんな些細なことでもいい」
2人はしばらく体を触ったり見たりしながら見上げてくる。
「私は…問題ありません。それよりもマスターの方が……」
「妾も問題ありんせん」
「そうか。ならば良い。それとアテナさんは心配するな。あと1日経てば治せる。さてシャルティアとブリュンヒルデも無事なのがわかった。これより次の…」
「ああっ!アインズ様!」
「っ!」
次の話をしようとした途端、シャルティアが悲痛な声を上げた。
それに俺も他の守護者たちも、その気配を察知したアテナさんも最大限警戒する。
「胸が…!無くなっていんす…!」
「……は?」
だが告げられた言葉に思わず素で反応してしまう。
俺は呆れてしまったが周りの守護者たち…特にアルベドとデミウルゴスは顔を般若のようにし、シャルティアへ説教を始めた。
アテナさんはというと、シャルティアが何を言ったのかをエミヤに教えてもらっており、内容を知った途端にめちゃくちゃいい笑顔をしながらシャルティアに近づいて行った。
「ア、アテナ…様?」
「……」
その様子に全員が戸惑っている中、アテナさんは右手に槍を取り出し…
ゴンッ!
「ッ〜〜……!」
柄の部分を思い切りシャルティアの頭に振り下ろした。
「シャルティア殿。アテナ様より伝言がある
『冗談を言えるほどの元気があるのはいいことだけれど、時と場合を考えようね』
以上だ」
「も、申し訳…ありません」
アルベドたちに怒られている時は時たま反論していたが、流石にアテナさんからの説教は堪えたのかシュンと落ち込んでおり、アテナさんが離れだと同時にまた説教が再開された。
「……」
その様子を眺めながら、しばらく話はできないなと思い、少し離れた場所に腰を下ろす。ついでに小さな守護神も横に座ってきたが。
「…!」
「アテナさん?」
アテナさんが一枚のスクロールを取り出し、使用する。何の魔法だ?
『アインズさん、本当に、本当にありがとうございます』
アテナさんが指を空中に走らせると、光の文字となって浮かぶ。どうやら使った魔法はこれのようだった。手話を使わないのかと聞くと、こっちの方が早いから、だそう。
『俺のほうこそアテナさんがいてくれて良かったと、そう思います。流石にあの2人を俺1人は無理ゲーでしたから』
『はは、本当にですよ。ペロロンチーノさんいつもふざけてたのに、こういう時だけガチなんですから』
『アテナさんのブリュンヒルデもですからね?対アンデット特化しすぎなんですよあの子。アテナさんが1人で勝手に戦ってた時に、スキルの大半を削ってくれてたから何とかなりましたが、俺がタイマンしたら絶対勝てないです。
それはそうと、もう2度と1人で行かないでくださいね?』
反省を促す意も込めてそう書くと、みるみる萎んでいった。
……可愛いな。
『ゔぅ…はい。本当に反省しています』
『まだ細部まで決まっていませんが、アテナさんにもそれ相応のペナルティ受けてもらいますから』
『……。どんなのか概要だけお聞きしても?』
『あとのお楽しみです』
『全く楽しみじゃないんですけど……』
『はは。それにしても、まるで昔に戻ったかのような光景ですねこれ』
『そう…ですね』
シャルティア達をみながら、ここからいなくなってしまった皆を考える。みんなの面影を守護者たちに重ねてしまい、何を血迷ったのか手を伸ばしてしまう。
『アインズさん?』
『いえ。何でもありません』
アテナさんに心配されるが、強がってしまう。
言えるわけがない。みんながいなくて寂しいなんて。
「……」
そんな俺を見たアルベドがまず先にアテナさんに手で何かを伝え、アテナさんは渋々ながらも首を縦に振っていた。
そしてアルベドは俺の手を持ち、力強く、優しく俺を引っ張った。
「アインズ様も、シャルティアに厳しくおっしゃってください」
「もはや情けは不要かと具申します」
「シグルドノ言ウ通リデス。ココハ深ク反省サセルベキカト」
「そうですよ!このバカにガツンと言ってやってください!」
「あ、でもその、あんまり言い過ぎちゃうと…その…」
「シャルティア、アインズ様のお言葉をしっかりとお聞きになるんだよ」
アルベド、シグルド、コキュートス、アウラ、マーレ、デミウルゴスが俺にそう言ってくれる。
アテナさんの方もふと見てみると力強く頷く。
「ふふ、ははは…」
それらをみて、思わず笑いを溢してしまう。
(そうだ。俺はもう独りじゃない。みんなが作った子供たちがいて、俺を慕ってくれて。…過剰なのはおいおい直してもらうとして。
何よりアテナさんがずっと横にいてくれてるんだ。俺は……独りじゃない)
意を決し、これまで考えていたことを守護者たちへ伝える覚悟を決める。
「守護者達よ、今回起きた異常事態は、あらゆる情報を有していながら最適な手段をとっていなかった
「は、はい。ありがとうございます」
「ありがとう…ございます。アインズ様」
「そして守護者達に私たちからお願いがある。聞いてくれるか?」
「お願いなどと言わず!アインズ様は私たちへ命じてくだされば…」
「いいや、これは命令ではない。単なるお願いだ」
デミウルゴスやアルベドの言葉を優しく、だがしっかりと否定する。全員が口を閉じたのを見計らい、俺とアテナさんが少し前に話していたことをみんなに伝える。
「まず、今回の件で分かったと思うが、私やアテナさんはみんなが思っているほど万能で何でもできる…そんな存在ではない。当たり前のように失敗するし、守護者全員が容易に思いつくことすら私たちは分からない可能性もある」
「なっ!そのようなことは…」
「あるんだよアルベド。現に今回の騒動が起きているわけだからな。私達はお前達の支配者として努力していたが、所詮はたった2人の異形種でしかない。例えるなら知恵比べでは私達はアルベドやデミウルゴス、パンドラには勝てないだろう。逆に戦闘ではお前達に勝てるかもしれないが、得意分野以外では…私にアテナさんほどの前衛はできないし、アテナさんに私のような後衛は無理だろう。
つまりだ、私たちにも『失敗』や『苦手分野』いうものは少なからず存在する。そこでお前達へのお願いなんだが…」
最後に、決心したというのに言っていいのかどうか不安に思い、ついアテナさんを見てしまう。
だが彼女がした手話…俺に伝えてくれた言葉のおかげでより一層覚悟が決まった。
「私たちはナザリックの責任者として、必ずお前達を守ると約束しよう。どんな手を使ってでもな。
その代わりにお前達も私達を手助けして欲しい。これまでのように私たちからの命令を愚直に遂行するのではなく、私達とお前達で話し合い、それから動く方針にしていきたい。
無論、これは守護者達だけではなく、命令に関わる全てのシモベとだ。
もう一度言うが、私達は全知全能でもなければ万能でもない。だからこそお前達も『至高の御身だから大丈夫だろう』と安易に考えるのではなく、私達に積極的に意見をしてくれ。私としてもお前達の意見を聞かせて欲しいし、その方が互いの認識の齟齬がなく、より良い作戦になる。
『自分なんかが意見するなんて』とは決して思わず、自分たちの考えを私たちに示してほしい。そうすれば私たちはお前達のことをもっと知ることができるし、それが私たちの手助けにも繋がっていく。ひいてはナザリックの全てがより強固な絆で結ばれていくだろう。
私から伝えることは以上だ」
俺が言い終わると、この場は静寂に包まれた。
「……その、だな」
それが何となく嫌で、他のことを言おうとしたその時だった。
守護者達が一斉に俺たちへ跪いた。
「お、おい。お前達…」
「アインズ様。我らシモベ一同、これからより一層アインズ様、アテナ様のために心身を捧げると決意致しました。どうかこれからも我らの忠誠をお受け取りください!」
「いやアルベド、私は……」
「アインズ様の仰りたいことは分かっております。ですがそれ以上に…我らはシモベであり至高の御身の配下です。そこを履き違え、アインズ様、アテナ様と友達のようには接することはできません」
「そう…か」
その言葉に少し落胆してしまうが、続けてアルベドが喋る。
「ですので!これからも主としてアインズ様とアテナ様を敬うと同時に、我らも微力ながら最大限お助けし、アインズ様たちと共にこのナザリック大墳墓を守っていきたいと思っております!我らは至高の御身に全てを捧げた存在。少しでもアインズ様、アテナ様のお役に立てるのならばシモベ冥利に尽きます!
「……もっとフランクに接したり、敬語とか崩しても良いのだぞ?あとは気軽に何かをお願いしてくれてもいいし、休暇を作ってその日は私たちと一緒にいてもいいんだが…」
「そ、それはご容赦くださいませ!そこまでしてしまうと規律が乱れてしまいます!」
そこさえ崩せたらとは思ったが、流石に無理か…。
だが一歩前進、と言ったところかな。
「わかった。お前たちの気持ちを尊重しよう。私たちの無理なお願いに応えてくれて感謝する」
これからも少しずつみんなとの距離を縮めていけば、きっと……
それはそうとアテナさん。
なんでずっと俺に引っ付いてるんですか?アルベドと火花散らせてるのは気のせいですか?
だけどそんな風景に思わず笑ってしまった。
ああそうだ。これからもこの場所をみんなで守っていくんだ。
さてはてこれにて一旦終わりです(とか言いつつ後日談を2〜3話書くんですが)
2期以降の内容は……
筆が乗れば もしくは見たいって人がいたら…書くかも?(アンケートでも置いておきます)
余談だけどアインズたちとシモベの距離感はアテナ&アテナ作NPCくらいまで縮んだそうな。
そして2日に1回は劇場版正妻戦争アテナVSアルベドVSシャルティアが繰り広げられているらしいゾ(途中からシャルティアが蚊帳の外になる)
さてここまで読んでくださりありがとうございました。
ちょっとでも読んでくれた読者様
最後まで読んでくださった読者様
お気に入りをしてくださった読者様
感想をくれた読者様
評価をつけてくださった読者様
誤字報告をしてくださった読者様
この場を借りてお礼申し上げます。
そして最後にプロットをくださりありがとうございました
貴重な体験ができました(投稿遅くてマジ申し訳ない)
改めまして ここまでありがとうございました