箸休め(
幕間の物語『守護神の胃袋をつかめ大作戦?』
〜アテナの料理 メイド達へ内緒へ出してみました〜
時は遡り、初めて料理を出した二日後
「シホウツ、エミヤ、きょうは、よろしく、おねがいしま、す」
「ああ、よろしく」
「よろしくお願いしますアテナ様。このシホウツ、アテナ様にお料理をお教え出来るとは、嬉しさのあまり!」
「わか、わかったから、そんなにかしこまらないで」
現在はナザリックの厨房。何故そんな所にいるかと言うと…エミヤに再度料理を教えて欲しいと言ったら『どうせなら料理長殿にもご助力願おう』と言われて、成すがまま厨房へ連れてこられました。エミヤ自作のエプロンも付けてます。
エミヤのオカン気質が発動したぽいなぁ。
……にしても、補助があるとは言えエミヤとシホウツ含めた3人でこの食堂を回してたんだ。そりゃ忙しい訳だ。
「それで、どんな料理、するですか?」
「そんなに難しいものではございません。しかし簡単すぎず料理が初心者でも扱える料理にしようと思っています」
「うんうん」
「そこで、本日のメインメニューはカリー(カレー)と呼ばれるものを作る予定でございます。副菜にサラダ、ナンというパン、その他付け合わせなどを作ろうと考えておりますのでアテナ様には主にカリーの調理をしていただきたいのです。無論、全てをお任せするわけではなく適宜お手伝いしますのでご安心ください」
「わか、りました。がんばり、まふ」
「はい!このシホウツ、全身全霊でアテナ様へお教えしましょう!」
「仮に調理が難しいと感じたら直ぐに私か料理長殿へ聞くと良い」
「え?でも。ふたりの料理の、じゃまに…」
「その辺は心配無用だマスター。我らは腐ってもこのナザリックの厨房を預かる者。1人を教えながらいつも通りに調理するなど造作もない」
「そう!エミヤの言う通りです!我らのことは気にせず、迷ったりしたら遠慮なく聞いてください!」
「あ、ありがとう、ございます」
どうやら私の心配は杞憂らしく、遠慮なく聞くことにしよう。
……1人でつくれるようになったら、毎日…。
「さてそれでは野菜の仕込みから参りましょう。本来ならば量が量なので纏めて行うのですが今回はまず1人分を作り要領をつかんで頂こうと思います。宜しいですか?」
「はいっ!」
「ではまず……」
この後、野菜の仕込みの後にスパイスが数十種類出てきて驚きのあまり目が点になるとはこのことかと思ったりしました。
「でき、ました!味見、おねがいします!」
カリーを作ること40分。ようやく完成しエミヤとシホの前に出す。(シホウツがシホと呼んで欲しいとのことなのでそう呼ぶことにした)
エプロンをつけている2人がスプーンで掬い神妙な面持ちで口に運んでいた。
他人に味を見てもらうと言うのがこんなにドキドキするものなのかと今になって思い知った。もし美味しくないと言われたりしたら、と思うと気が気でない。
「……料理長殿、どう思う?」
「そうですな。……率直な感想になりますが宜しいですかアテナ様」
「(コク)」
「……アテナ様」
シホがジッとこちらを見つめてくる。
「私は問題ないかと思われます。本日の食堂にはアテナさまのお作りになったカリーをお出ししても問題はないかと。エミヤはどう思う?」
「私も料理長殿と同じ考えだ。味などに関しては私達基準で言うならばまだ雑な部分、足りない部分があるにはあるが料理初心者という点を踏まえても食堂で出すには充分及第点だ」
「ほんと?」
「ああ。私たちはマスター含め至高の御方へ嘘はつかないし、何より調理の場を預かる私たちが料理に対し嘘をつくことは絶対に無い」
「エミヤの言う通りです。料理に対して妥協はしません」
「よ、よかったぁ…」
2人がニコニコしながら高評価をしてくれ、一気に力が抜けてしまった。
思わずその場にへたり込んでしまいそうだったけど机に手をついて何とか体勢を保つ。
「アテナ様にお教え出来、このシホウツ、今直ぐにでも天へ昇れそうでございます!」
「のぼっちゃ、だめだよ?」
「昇るなよ?貴殿には食堂運営という大役があるのだから」
エミヤが手をとってくれて改めて立つ。
よし、これでモモンガさんに出せる料理がひとつ増えた!
……アルベドに負けられないし、もっと頑張らなきゃ。
「さてアテナ様。こちらのカリーはどうされますか?せっかくご自身で初めてお作りになったのですから、アテナ様が食べられますか?」
「んーん。たべて欲しい、ひとがいるから、その人に持って行き、ます。あったかいうちに、持って行ったほうがいい、ですかね?」
「そうですな。保温をする魔法などがあれば話は別なのでしょうが、生憎そのような魔法は覚えていない故。幸いメイド達の食事時間までは時間がまだございますから、お先に持って行かれますか?」
「うん。そうする。ありがとうシホ、エミヤ」
2人がそう言ってくれ、自分で初めて作ったカリーをモモンガさんの元へ運びに行った。
「……よし」
モモンガさんの執務室の前に立つ。
「(食べて……くれるかな)」
忙しくて後回しになったりしないかな、とか食べてくれないパターンの方を想像してしまい思わず怖くなる。
だけどモモンガさんがそんなことをするわけないと思い、何度か深呼吸をして意を決しドアをノックする。
「はい、ア、アテナ様⁉︎どうされましたか?そちらの抱えておられる物は…」
「あ、えーと、ふぃーす。モモンガさんに、ご飯、持ってきたんです。今モモンガさん、大丈夫、そうですか?」
「わ、私のような下々の名前を⁉︎」
「うん。ぜんぶ、じゃないけど出来るだけ、ナザリックで名前ついてる子達は、おぼえてるよ」
「ありがとうございます!このフィース、至高の御身に覚えていただき感謝の言葉もありません!」
「いや、いいから。かしこまらなくて、いいから。それよりももんがさん、だいじょうぶかな?」
「はいっ!少々お待ちください!ご用件だけお伺いしても?」
「……ももんがさんに、ごはんをもってきたんです。エミヤと、シホが、手伝ってくれたところもありますが、ほとんど私1人でつくったんです。だから、最初にモモンガさんに、食べて欲しくて…」
「承知しました!お伺いしてきますので少々お待ちを!大丈夫です!モモンガ様ならきっと食べてくれます!」
フィースは勢いよく執務室の中へ入って行った。
…アルベドが居なかったらいいんだけど。いたらいたで宣戦布告にはなる、かな?
「お待たせしました!お入りください!」
フィースに促されカリーの乗っているお盆を落としたり傾けたりしないよう慎重に入る。
「しつれいし、ます。もも、がさん」
モモンガさんを前にして思い切り緊張したのか今まで以上に言葉がうまく出てこない。
「アテナさん、大丈夫です。ゆっくり仰ってください。ちゃんと聞いていますよ」
「は、はい」
モモンガさんがゆっくりとわかるように喋ってくれて改めて心を落ち着けようと深呼吸をする。その間もモモンガさんは急かしたりする事なくずっと待ってくれていた。
「ももんがさん、ご飯を、作ってきました。宜しければ、食べて、くれませんか?」
「勿論ですよアテナさん。ありがとうございます」
すごい優しい声でそう言ってくれる。モモンガさんのところまで持って行こうとしたらその前に椅子から立ち上がってモモンガさんが直接私の手から受け取ってくれる。
……ほんとうに、優しい。私はこの人のこういうところに惚れたのだと再認識した。
「アテナさん、今日作ったのはどのようなものなのか、教えていただいても良いですか?」
「はひっ!え、えと、『かりー』っていうものです。えみやと、しほうつに、てつだてもらったところもある、ですが、半分いじょう、じぶんで、つくりました。あじも、2人のおすみつきを、もらってます」
「半分以上自分で作ったんですか⁉︎」
「はい」
「凄いですね…今度私も教えてもらおうかな」
「そのときはわたしも、いっしょにやりたい、です」
「そうですね。どうせなら守護者たちも集めてみんなでワイワイ料理したりするのもいいかもしれませんね」
「楽しそう、ですね!……あっ、これから、もうすこしエミヤ達にみてもらうことに、なってるので、これで失礼します」
「わかりました。ありがとうございますアテナさん。じっくり味合わせてもらいますね」
「どうぞ、おめしあがれ、です。ふぃーすも、今日の食堂に出る、かりーはわたしが、つくてるやつだから、あじわってたべて、ね?」
最後にそれだけを伝え、熱くなっている顔を隠すように私は調理場へ戻って行った。
数十分後にメイドだけでなくほぼ全ての階層守護者、領域守護者、他ナザリックで食事が出来る者が皆食堂へ来たとか。
皆決まってカリーを食べたとか。そのおかげでアテナもエミヤもシホウツも死ぬほど忙しくなったのは言うまでもない。
一区切りついた辺りでこのような幕間(アテナとアルベドの正妻争奪戦)を書いていきたい(願望
あと書いてて思うのが自分の名前も一応アテナだから……なんか変な気持ちになる(わかる?わからない?
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