モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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シャルティア達との一件から、また色々とありました。

リザードマンの集落を攻め落としたり、その過程で支配下に入れたり。
コキュートスが私たちの決定に異を唱えて自分の考えを伝えてくれたりとか。

あとは…あの、うん。ブリュンヒルデがずっと私のお世話をしてくれてるんだけど。手話も覚えてくれて、すごくありがたいんだけど……。

私の顔の火傷を見るたびに死にそうな顔になってしまう。

どうしよう。

自分への戒めで残してるだけで、ブリュンヒルデを傷つけるつもりなかったんだけど……。普段は化粧とかして隠した方がいいかな……。
ちょっとエミヤに聞いてみよう。多分化粧できるでしょ。

「…あ、そうだ。パンドラのところにも行こ。アインズさんには…ナイショにしたほうがいいかな」

ドイツ語の発音は大体できるようになったから採点してもらわないと。
いつかドイツ語だけで話せるようになりたいな。

そしたらアインズさん喜んでくれるかな?


前日譚
セバスの裏切り⁉︎


自室で仕事をしていた時、突然アインズさんから連絡が入る。

 

「はい、どうしました?」

 

『ア、アテッ、アテナさん!緊急、緊急事態です!』

 

「え?」

 

めちゃくちゃ焦って早口になってるアインズさんをなんとか宥める。

 

「それで、なに、あったですか?」

 

おおかたアルベドが暴走したとか、デミウルゴスの計画が壮大すぎたとか、止めてほしいとか助けてほしいとかそのあたり…

 

『セバッ、セバスが裏切りの可能性があるらしく…』

 

「はいすぐに向かいま……はい⁉︎」

 

 

 

大波乱(当社比)の幕開けである。

 

 

 

「セバスが⁉︎え、ちょ、どういうことなんですか⁉︎」

『俺が知りたいですよ!ソリュシャンから珍しく連絡来たと思ったらそう言われたんですって!』

「と、と、とりあえずどうします⁉︎」

『デミウルゴスとコキュートス、シグルドに連絡を入れてください!それで全員で2人が使ってる屋敷へ来てください!緊急会議です!』

「わ、わかりました!す、すぐに行きます!」

 

メッセージが途切れ、すぐに3人へ連絡を入れる。ちなみに、精神の沈静化は何度も起こっていて、その上であの慌てようだったらしい。

 

そして3人は、余程私が慌てていたのが伝わっていたのか血相を変えて集まってくれた。

 

 

「マスター。まずは一度深呼吸を」

「そ、そだね。すぅーーーはぁーーーー」

「アテナ様、緊急事態とは……もしやシャルティアたちを洗脳した者と?」

「ムゥ、ソレナラバ…出シ惜シム必要ハ無イナ」

 

「げほっげほっ…。えーと…アインズさんから伝えられた内容をそのまま、言うね。

 

ソリュシャンからの報告より、プレアデスリーダーのセバス・チャンがナザリックを裏切った可能性があります」

 

その瞬間、部屋の温度が10℃くらい上がった気がする。

 

「そ、それで、これからアインズさんと共に真偽を確かめる為にセバスの元へ向かうので、3人には私とアインズさんの護衛をお願いします」

 

もう敬語になったりとか崩れたりとか、意味わかんない言葉遣いになってたけど焦りすぎてそれどころじゃなかった。

 

「畏まりました。セバスならば私とコキュートスが適任でしょう」

「アテナ様、5分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか?セバスから送られている報告書を纏め、用意致します」

「アテナ様、私モ、必要ナ武具を取ッテ参リマス」

 

「う、うん。わかった。じゃあ5分後にまた集合、おねがいしま、す」

 

「「「ハッ!」」」

 

 

 

セバスが使っていたという屋敷に到着すると、アインズさんは既に来ていた。腕にはピンク色の脳みそみたいなものに目玉や羽がついた可愛い子…確か……えーと、ヴィクティム、だったっけ。その子を抱いていた。万が一の時にはヴィクティムの特殊能力で守りを固めるとのこと。

 

「アインズさ、おまたせ、しました」

「お疲れ様ですアテナさん。わざわざありがとうございます」

「いえいえ。それで…セバスの裏切り、本当、ですか?」

「まだ分かりません。本人に直接問いただすつもりですので。3人も、忙しいのに集まってくれて感謝する」

 

アインズさんの言葉に3人は感極まっていたのか、震えながら跪く。

 

「勿体ないお言葉です!我らシモベ、至高の御身からの招集とあらばいつでも駆けつけます!」

「デミウルゴスの言う通りです。お二人の為ならば、この身、如何様にもお使いください」

「モシモノ時ハ、必ズヤ至高ノ御身ヲ守ッテミセマス」

 

「うむ。3人の忠義に感謝を。さて、これからセバスが帰還し次第、尋問を行う。基本私たちが行うが、3人も気になることがあれば私に許可を取ってセバスへ聞いてくれ」

 

「「「ハッ!」」」

 

「それと、セバスが拾ったと言う人間の女が同席する。こちらに関しても手出しはするな」

 

その他注意事項をアインズさんと私から伝える。

 

アインズさんが長椅子の中央に腰掛け、その横に護衛かのように立つ。デミウルゴスたちに座るよう言われたが、もしもの時にすぐ動けるよう立っている方が都合がいい。

 

しばらく経って、ソリュシャンからセバスが帰って来たと報告が来る。

 

『俺、過去1緊張してます…』

『私もです。セバスの裏切りなんて考えたくないです…』

 

伝言(メッセージ)でこっそりやり取りしながら、応接室でセバスを待つ。ついでにどんなことを聞くのかも打ち合わせしておく。

 

コンコンとノックされ、ソリュシャンに連れられてセバスが入ってきた。

私たちを見た途端、明らかに緊張したのがわかる。

 

「セバスよ。私たちが何故ここにいるのか、説明する必要はあるか?」

 

「いえ、必要はございません」

 

「どうした?ひどく汗をかいているようだな。ハンカチなら貸してやるぞ」

 

「……」

 

「心配するな。お前の汗が見苦しいだけだ。これからの行動がお前の未来を決めるわけではない」

 

「で、では、失礼します」

 

アインズさんが投げ渡したハンカチを拾い、汗を拭うセバス。

よっぽど緊張しているのがわかる。

 

 

というか私もそろそろ冷や汗を拭いたい。

 

 

コンコン

「失礼します。連れて参りました」

 

「入りたまえ。セバスのペットたる人間、ツアレよ」

 

ソリュシャンが連れて来たのは、メイド服を着た金髪の人間の少女だった。

アインズさんの姿を見ても逃げ出さず、セバスの横に立つ。

 

「……。『ひざまず』…」

「よせ、支配の呪言は不要だ。彼女の勇気を讃え、この場での無礼を許そう。

 

まずは名乗るとしよう。私は『アインズ・ウール・ゴウン』。そこにいるセバスの支配者だ」

 

「は…は、い」

 

「さてセバス。嘘偽りなく答えよ。もし虚偽だと判断した場合はそれ相応の罰が与えられると考えよ。

 

まず第一に、お前には目立たないよう行動するように言ったはずだな?」

 

「ハッ。その通りでございます」

 

「にも関わらず、くだらない女のために厄介ごとを招いた、違うか?」

 

ここまでは事前に聞いていた通りの内容だった。

 

セバスは王都の探索中に1人の奴隷…そこにいるツアレとやらを助けた。その結果、王国の裏社会に潜む組織『八本指』とやらを敵に回したとか。

 

だけどアインズさん達の元にそんな報告は一切入っておらず、全てソリュシャンから聞いたものになる。

 

また、ソリュシャンはツアレのことを報告するよう意見したが、セバスはこれを拒否し、なんとか内密に済ませようとしてたとか。

 

「私の浅慮が、アインズ様のご不快を招いたことを深く反省し、このようなことが二度と起こらないよう十分な注意を致します」

 

「……。良い。誰にでも失敗はある。それは私やアテナさんだってそうだ。セバス、お前のつまらない失態を許そう」

 

「アインズ様…。ありがとうございます!」

 

「しかしだ!失態は罰で以て償うのが道理というものだ。セバスよ、厄介ごとを招いたその女を殺せ。お前自らの手で」

 

さてさて…これでどうなるのかな。あー心臓ドキドキする…。でもさ、これ事前に話し合った内容とはいえ、あまりにも罰が重すぎない?とは思ったり思わなかったり。

 

セバスもひどく動揺しているみたい。

 

「セバス、お前は、至高の御身と呼ぶ存在に従う犬か?はたまた己の意思を正しいとする者か?」

 

「それは…」

 

「答える必要は無い。結果で私に示せ」

 

セバスはしばらく考え込み、ツアレの表情を見て決心したのか拳を構える。

 

「……フンッ!」

 

ドォン!と大きな音を響かせセバスの拳は……

 

 

コキュートスによって止められていた。

 

 

「フム…」

「な、何をっ⁉︎」

 

「良い!セバスよ下がれ!」

 

「ハ、ハッ!」

 

自らの決心を侮辱されたように思えたのか、コキュートスを問い詰めようとするセバスを制止し、後ろへ下がらせる。

 

「コキュートスよ、先の攻撃はその女を確実に死に至らしめるモノだったか?」

 

「間違イゴザイマセン」

 

「ならばこれを以てセバスの忠義に偽り無しと判断する。アテナさんも、宜しいですか?」

「はい、問題無いです」

「ご苦労だったなセバス。それでは次の話に移るとしよう。セバス達の働きによって、王都については十分な情報が集まったと判断した。屋敷は引き払い、ナザリックに撤退するものとする。女の処分は……少し待て、殺害は無いと思われるが絶対では無いと知れ。私からは以上だ。アテナさん、セバスへ聞きたいことはありますか?」

 

そう言われ、いくつか考えていたことがあったので聞いてみることにする。

 

「セバス、これからする質問の答えは、2人の処罰を決めるものではありません。素直に、正直に答えてください」

 

「ハッ!何なりとお聞きください!」

 

もう敬語を崩そうと思っても無理だと悟ったので、このまま貫こう。

 

「ではまず…セバスがその女性を助けたのはナザリックの利益になると判断したからですか?」

 

「……いえ、違います」

 

「そうですか。初めに言及しておきますが、本来の業務に支障が出ない範囲で自由に行動するのは構わないと、私はそう考えています。ですが報告などを聞いた限り、厄介なことに巻き込まれ、業務に支障が出るのを分かった上で助けたのだと、そう感じます。違いますか?」

 

「……。はい、その通りでございます」

 

「なるほど。では次の質問です。ソリュシャンから、本来、貴方達用にと与えていた治癒のポーションや巻物(スクロール)も使ったと聞いています。そのポーションやスクロールは、貴方個人が自由に使用して良いものではなく、貴方やソリュシャンが怪我を負った際に使用する為にと渡したアイテムだということ。また、貴方が勝手に使用したそれらのアイテムは私たちナザリックのもの、という自覚はありましたか?」

 

「はい。ありました」

 

「……なるほど。コキュートス、デミウルゴス、シグルド。私は怒ってないから、殺気を収めてください」

「ハッ。大変失礼致しました」

「申し訳ございません」

「失礼致シマシタ」

 

「ではセバス。改めて聞きましょう。

 

なぜその女性を助けたのですか?ナザリックの利益にならず、厄介ごとしか招かないと分かっていたその女性を、自分達用にと授かっていたアイテムまで使って、何故」

 

私の質問セバスは汗だくだくになりながら、ゆっくりと語り始める。

 

「彼女と出会った日、私は王都の地理を把握するため、普段とは違う帰り道を使用しました。裏路地へ足を踏み入れた時、偶然彼女と出会ったのです。袋に詰められ、薬、性的暴力、その他考えうる限りの暴力に晒されていた彼女を見て、見捨てるべきだと最初はそう判断致しました。

 

ですが、彼女の横を通り過ぎようとした際、ズボンの裾を掴まれました。離してくださるようお願いしましたが、彼女は強い意思を持ち、わたくしへ懇願したのです。『たすけて』と。

 

生を諦めた者を助ける気はありませんでしたが、彼女には確かな、生を渇望する強い意志がその瞳にありました。

 

生きることを諦めず、最後まで運命に抗おうとする心を見て、そんな彼女を助けてやりたいと思い、手を差し伸べました」

 

「なるほど、事情はよくわかりました」

 

セバスの言葉を聞いてて、一つの疑問が出て来た。

もし予想通りなら……

 

「ではセバス、最後の質問です。これに関してはアインズさんやデミウルゴス、シグルド、コキュートスの顔を伺い、考えることは許しません。思ったことをすぐに、嘘偽り無く素直に述べてください」

 

「畏まりました」

 

「では…。セバス、今の貴方はナザリックの利益、私やアインズさんの意思に関係なく動ける身だと仮定します。目の前に困っている善良な人々がいたら、どうしますか?」

 

「手を差し伸べます」

 

「その理由は?」

 

「『()()()()()()()()()()()()()()()()()』だからです」

 

セバスの言葉を聞いた瞬間、思わずアインズさんの方を向き、またアインズさんも私の方を向いており、目が合う。

 

「……」

「……(コク)」

「ふふっ…。っと、セバス。答えにくい中ありがとうございます。私からの質問は以上です。それとは別で、貴方に伝えることがあります。今伝えて、何か問題はありますか?」

 

「いえ、全く問題ありません」

 

「わかりました。

では…セバス、改めて私の考えを言いますが、私は貴方の『困っている人を助けたい』という行動は悪いものとは考えていません。今回はトラブルを引き込んでしまいましたが、結果論というものです。貴方の持つその善性はナザリックに利益をもたらすこともあるでしょう。

これからもアインズさん、もしくは私の命令で人間の住む都市などへ出向くこともあると思います。ですが、任務に支障が出ない程度であれば、目の前の困っている人を助けるべきか否か、などとわざわざ連絡を入れる必要もありません」

 

「畏まりました。アテナ様の慈悲に感謝を」

 

「ですが」

 

「?」

 

「困っている人を助ける事と、自分が何をしているのかを報告する際に情報を意図的に隠すこと。これは両立し得ません。その意味は…わかりますね?」

 

「っ…はい。勿論でございます」

 

暗に『今回私たちが出張って来たのはセバスが報告を怠ったからだよ』と、少し遠回しに且つ強めに言うと、やっぱり少し怯えていた。

 

……そんな怖いかな?

 

「では、これで私の話は終了とします。アインズさん」

「うむ。セバスよ。アテナさんの言葉をしかと受け止め、今後も忠義に励め」

 

「ハッ!」

 

「では今後の議題になるが…まずは人間の娘よ。名を名乗れ」

 

「は、は、はい。ツアレ、ツアレニーニャ・ベイロンです」

 

「ふむ…」

 

にしてもこの子、どこかでみたことある気がする。

どこだっけ……。

 

「先に聞いておくが、お前は姉妹がいるか?」

 

「は、はい」

 

「姉妹の名前は?」

 

「セ、セリーシア・ベイロンという、妹が、います」

 

セリーシア?誰だろうそれ…。

 

「……なるほど。事情は分かった。ではツアレよ。お前の望む物はなんだ?私としてはナザリックのことを知ったお前の記憶を消し、金を持たせて何処か適当な場所にでも逃がそうと思っている」

 

「わ、私、セバス様と、一緒がいいです」

 

あ、どこで見たか思い出した!漆黒の剣のニニャだ!雰囲気似てるから多分妹ってニニャのことだ!!確かニニャは貴族に姉を連れて行かれたとか言ってた気がする!

 

って、セバスと一緒?え?

 

「ほう?その理由を聞かせてくれ」

 

「私は、今が、セバス様といる今が一番、し、幸せです。叶うのなら、これからもずっと、セバス様の横に居たい、です」

 

うわぁ、大胆。いやでもすごいこと言ってる。

というか、え?待って。

 

 

 

セバスに先を越されたってこと??

嘘でしょ???

 

 

 

「分かった。守護者達よ、ツアレについて、『アインズ・ウール・ゴウン』の名の元に保護することを決定する。異論はあるか?」

 

「いえ、ございません」

「私もございません」

「問題無イト思ワレマス」

 

「アテナさんも、よろしいですか?」

「もちろんです」

 

「ツアレよ、今後は私たちの拠点でメイドとして働いてもらう。それについて異論は?」

 

「あ、ありま、せん」

 

「では改めて命令を下そう。セバス、屋敷を引き払い、可能な限り不自然のないようこの場を撤退し、ツアレを連れてナザリックへ帰還せよ。方法はお前に任せる。その後ツアレはメイドとしての訓練を受けさせよ」

 

「ハッ!畏まりました!アインズ様のご慈悲に感謝致します!」

 

そのあとはアインズさんが細かい部分の命令などもしていき、私たちは先にナザリックへ帰還。デミウルゴスは別の用事があるのでそちらへ。セバスは1週間後にナザリックは帰還するとのこと。

 

これにてセバスの裏切り事件(?)は幕を閉じた。

 

 

 

 

はーーー。つっかれたぁ……。

ナザリックでゆっくりお風呂入ろう……。





とある日のアテナ

ところで、デミウルゴスに渡された計画書に書いてあるやつ

『リ・エスティーゼ王国に存在する裏社会組織の掌握について』

って、コレ何のことだろう?
アインズさんの指示なのかな?

まあどこにでも裏社会的なのはあるか。多分、私たちに被害が出ない為に潰すとか、そんな感じなのかな?掌握するってあるし、人間の都市への潜入調査に使ったりして。

多分私以上のことを考えてるだろうから、本当デミウルゴスって優秀だよねぇ。あ、もちろん頭脳なら私のシグルドも負けてないけどね?(設定が忠実ならデミウルゴスには勝てないけど)

さて…と、ブリュンヒルデも来たし、今日もお仕事がんばろー。

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