あなたたちが作った子がすんごいことを言い出しました
助けてください
『えーと、えーと…これ、どういう…』
『世界征服って、なんの…え?一体何が…』
デミウルゴス達の説明を聞けば聞くほど、混乱してくる。
アインズさんも声質が何回も変わってることから、何度も精神鎮静化が起こってるのが分かる。
『一体どこからこんな話になったんですか⁉︎え、私何かやらかしちゃいましたかね⁉︎』
『おおおお、、落ち着きましょう。俺たちだけ分からなかったとバレたらマズイですから!……。冷静に考えれば世界征服も悪くはないですし。悪名でも名声は名声です』
『でも私、アインズさんが怖い人として知られるの嫌ですよ?それに他の人たちが見つかった時どう説明するんです…?』
『その時は素直に、ナザリックを管理しきれませんでした!って俺が土下座します』
こっそり話してる最中、デミウルゴスが私たちを見ていたのに気づいた。
バレちゃった⁉︎と思ったけどそんなことはなく、物凄く誇らしげな表情だったから、多分違うと思う。
「お、覚えていたんだな!」
「もちろんでございます!アインズ様、アテナ様のお言葉であればこのデミウルゴス、一言一句たりとも忘れたりしません!」
「そ、そうか!あの時だな!」
「そうでございます!」
「(どの時だよ!)」
そんな時に、ふと、世界征服というワードで非常に嫌な心当たりがあることを思い出した。
あの、その、まさかとは思うけど……
「デミウルゴス、私の記憶違いでなければ…もしかしてアインズさんと一緒に夜空を見てた時の…こと?」
「その通りでございます!」
それを聞いた瞬間、過去一やらかしてしまったと、本当に心の底から悔やんだ。
『……確かに、あの時昂って変なRPしました。えーと…これ、私の……せい』
『いやいやいや!それでいうなら俺だって世界征服なんて面白いかもしれない、なんてことを言った記憶ありますって!でもまさか真面目に受け取られてるとは思わないですよ!』
『でも、どど、どうしますかこれ。今更、あの言葉を撤回する、なんてできない所まできてます…よね?』
『どうにか、平穏なルートでの世界征服にシフト…平穏な世界征服ってなんだ?』
『さあ…?』
と、2人で考え込んでいたように見えたのか、守護者のみんなが不安そうな顔で見ていた。
「そうか。私は…嬉しいぞ。デミウルゴス」
「ありがとうございます」
「それにしても世界征服とは、難しい、ものだな」
「全くでございます」
「それで…どうすべきだと思う?」
「ナザリックを表へ出すべきだと愚考致します。シャルティアを精神支配した者たちが暗躍している以上、こちらも裏に潜っていては厄介なことになりかねません」
「わたくしも同意見です。これまでのように極小数を派遣し、裏で密かに探る必要がなくなりますから」
「以前アインズ様達が対談をなされた『英雄の集い』という存在もあります。たっち・みー様と互角の相手であり、更には自身の素性を隠す気がない彼女、また他にもいると思われるプレイヤーを相手取る際、後手に回りかねません」
「ふむ…。確かに。三人の言う通りだな。特に英雄の集いとは今後確実にぶつかるだろうし、特にクランマスターである『宮本武蔵』を仕留めようと考えた場合、【第八階層のあれら】も動員する必要が出てくるな」
「でも武蔵さんはともかく、段蔵さんはできる限り敵対したくない、というか関わりたくない、みたいな感じだったような…」
「それも踏まえ、王国を裏から操りナザリックを組織として認めさせる必要性があると判断いたしました」
「でも何処かの国に所属したり仕えたりするなんてまっぴらなんだけど」
「私だってごめんだよ。王国の現状では魅力が一切ない。ただ1人を除いてね。また国に仕えるということは、私たちの動きもある程度抑止される。シャルティアを精神支配した者達が何処かの国の組織だった場合、後手に回る可能性がある。故に…
アインズ様、アテナ様。わたくしは『ナザリック地下大墳墓』という国を立ち上げることを提案致します!」
ほへーすごいなぁみんな。そこまで考えてたんだなぁー。
「念のため説明しておくが、これらは全て、当初からアインズ様とアテナ様がお考えになられていたことだよ」
「「「「「「おぉ…!」」」」」」
((えぇっ?))
2人の心の声がぴったり重なった瞬間である。
「もちろん、叡智の結晶であらせられる御二方の計画は、私のような非才の身では測りきれません。あくまでもその一端を察するのみではありますが」
えいちってなあに?
「う、うむ!流石だデミウルゴス!」
「(なんでアインズさん乗っかったの⁉︎)」
「流石はナザリック1の知恵者だ。まさかたったあれだけの言葉からここまで推察するとは!」
「アインズ様とアテナ様のこれまでの行動、その意味を考えれば誰にでも分かることです」
「(何一つわからないんだけど…)」
「そ、そうか。あれか!」
「そうでございます!」
「あ、あれもそうだな!」
「その通りでございます!」
「(どのことだよ⁉︎)」
「(どれのことなの⁉︎)」
もう現実逃避していいかな?いいよね?
ワタシ、アタマ ワルイ。
ナニモワカラナイ。
「で、では。何が1番重要だと考える?」
「ふむ…やはり、カルネ村ではないでしょうか」
「そ、そうだな!あれは…うまくいったな!」
「畏れ多くも至高の御身自ら支配してくださった村です。うまく行かないはずがございません」
「人間どもの村がそんなに重要なのでありんすか?」
「し、知らなかったです……」
私も知らなかった。
「人間達を滅ぼすことは至極容易だが、アインズ様とアテナ様はあえて平和的な支配をされた。つまり…
この時点で世界征服をお考えになられ、そのための実験をされていたと言うことだよ!」
「「「「「「「「「「オォーーー!!!」」」」」」」」」」
アテナトアインズッテヒトスゴイナァー
『……どうしましょう』
『どうしましょう……』
メッセージでやりとりするも、アインズさんも軽く放心しちゃってる。
と言うか私も意識を手放したい……。
『あぁ…本当にどうします…?』
『とりあえず、この後念入りに話し合いをしましょう……』
『わかりました…』
終始胃痛を抱えながら、集会は幕を閉じた。
いやあの。本当にどうしよう……。
〜アインズの執務室〜
「あいんずさん、きました」
「お疲れ様ですアテナさん」
あの後、執務室で話し合おう、ということになり合流する。
アインズさんが極秘の話があるからとメイドやアルベドを外へ出し、念の為と言い魔法で盗聴対策も施していた。
「さて…と。…………。マジでどうしましょうアレ」
「さあ…?」
どうにか方針転換できないかとか、世界征服にしても血を流さない穏便な方法は他にないかとか色々と話したけど、全く良い案が思いつかない。
「……いっそのこと本当に、世界征服、しちゃいます?」
「でも私、あいんずさん、悪者みたいに見られるの嫌です…」
「それはもう仕方ないものだと割り切ったほうがいいかもですね。この世界の人間からしたらアンデットは敵なんですから」
「えー…でも私、優しいあいんずさん、好きなのに……。それを勘違いされるの、すごく嫌です……」
「とは言っても…」
無い頭を必死にフル回転させ、思いついたそばから考えを羅列していく。
考えることに必死で口がうまく回らないのはご愛嬌。
「王国を誰かに襲わせて、私たちが王国の人たちと一緒に退治するとかどう、ですか?」
「アテナさんの召喚天使とデミウルゴスの召喚悪魔のタッグでどこかの国を襲わせますか。被害は最小限にさせて。襲ってきた理由はあくまでも『この地を支配するため。だから必要以上に流血をさせたくなかった』みたいな感じにすれば変に生かされてると感じても納得させれそうですが」
「でも…現地の人たち、強くてもレベルにしたら30後半くらい…ですよね?私の召喚天使とかデミウルゴスの悪魔って、普通にそれ以上の強さ多いのにそれが手を組んでて、都合よくそれを倒せる私たちが出てくるって、何か疑われない、ですか?」
アインズさんは確かにと口にし、しばらく考えた後にアイテムをいくつか取り出す。
「とすると、この辺りからなんかいい感じに適当なアイテムを作って襲撃させたシモベに持たせておいて、討伐後にそれを見せて『多種多様な異形種を召喚できるアイテムを破壊するために私たちはここに来た』みたいな感じで進めます?」
「なるほど…。それで……。どうやってこれ、みんなに伝えます?」
「さあ…?アテナさんが伝えます?」
「失敗する未来しか見えないです。逆にあいんずさんがいいんじゃ」
「奇遇ですね。俺も失敗する自信しかありません」
つまり、机上の空論にしか過ぎないというわけで……
「とりあえず…ちょっと守護者のみんな、特にデミウルゴスやアルベド、パンドラとじっくり話してみます……。もしかしたら世界征服に乗り気じゃない子もいるかもしれないですし…。私はそんなに頭良くないって公言してるから、色々と教えてくれるかも……」
「ならついでに俺の質問もしてもらっていいですか?あくまでもアテナさんが疑問に思ったから、というテイで」
「わかりました。あいんずさんは、どうします?」
「……エミヤのご飯食べて落ち着いてからまた考えます。本当なら俺も一緒に行きたいんですけど…」
「何故か私達がずっと前から考えてた計画、みたいになってますから、下手なこと聞けませんよね…。わかりました。私1人でなんとかしてみます。質問する内容を先にすり合わせしておきませんか?」
「そうですね。では……」
このあとみんなと1時間くらい時間とって話してみたけど……
うん、あの。無理でした…。
戻れないところまで行っちゃってます。これ、どう足掻いても世界征服をしにいくぽいです。せめて『優しいアインズさんを押して行きたい』って意見はなんとか通ったのが幸いだけど……。
〜数時間後〜
「何度も呼び立ててしまいすまないな三人とも」
執務室にデミウルゴス、アルベド、パンドラを呼んだところわずか2分で全員が集まった。
早いのは素晴らしいことではあるかもしれないが、今だけはもうちょっとゆっくり来て欲しかった。心の準備ができていない。
けどそんなことを言っても仕方ないか…。
「さて、今後の動きについてお前達の考えている計画と私の考えを擦り合わせていきたい。少し前にアテナさんと個別に話したと聞いているから、その内容も踏まえて私たちの認識の齟齬をなくしていこう」
「「「畏まりました」」」
「作戦の立案者デミウルゴスよ。次は何をする予定だ?」
「ハッ。ナザリックに人間を誘き寄せ、それをキッカケにナザリックを表へ出すべきだと考えております」
「ふむ…。なるほど。どのような人間を誘き寄せるつもりだ?」
「バハルス帝国には冒険者崩れのワーカーという存在がおります。奴らは金に卑しく、報酬が良ければ人間達の間では犯罪まがいのこともするそうですので…」
「つまり…金に釣られた人間のせいで私達が目を覚ました、といったシナリオか」
「その通りでございます。そうすれば『突如現れた集団』ではなく『自分たちのせいで目覚めさせた集団』として認知させることができます。更に、非は人間側にありますので、今後の交渉を有利にできる利点もあります。国を立ち上げるためにも、まずは私たちナザリックという存在を認知させ、下等な人間に交渉の場で有利に立たれるリスクをできうる限り減らす必要があると考えました」
つまり、俺たちの思い出の地に薄汚い人間を入れると言うことで……。あまり乗り気になれないが、代替案をすぐに出さない以上、否定するわけにもいかないな……。
「考えは理解した。アルベド達は何か補足等があれば言ってくれ」
「いえ、特にありません」
「アインズ様。私は一つだけ迷っていることがございます」
「ほう?」
そう言ったのはパンドラ。普段のオーバーリアクションは流石に控えていたが、それ以上に神妙な雰囲気を纏っていた。コイツがこんなふうになるのも珍しいと思い、続きを言うように促す。
「まず初めに明言しておきたいのですが、デミウルゴス様の作戦は素晴らしいの一言でございます。流石はナザリック随一の知恵者、と。ですが…口を挟む無礼をお許しください」
「私は構わないが……デミウルゴスはどうだ?」
「問題ございません。パンダラズ・アクター、忌憚無き意見を述べてくださいますか?」
「畏まりました。では……。実のところを言うと、ナザリック地下大墳墓へ侵入者をあえて引き込む、というやり方についてです。無論、それが必要なことである以上、喜んでお手伝いさせていただく所存なのですが…。この栄えあるナザリックへ、アインズ様とアテナ様のお住まいへ、我ら至高の御方々が作り上げられたこの地へ、無礼な者どもを入れることが気持ち的にはよろしくありません」
「……!」
正直言って、意外だった。自分と同じ考えを持つシモベがいたことに。それが俺の作ったパンドラだからなのか、それともアテナさんがみんなとの距離を少しずつ縮めてくれたからかは分からないけど…。
「ですが、それ以上の策を私の頭脳で用意することができないのもまた事実。その為、この意見は限りなく私情に近しいものです。ですが…デミウルゴス様に私の考えを知っておいていただきたかったのです。差し出がましい意見をお許しください」
「構わないよ。パンドラの意見を知れて私も大変有意義だ。だが、何を迷っていたんだい?君の性格ならばもっと愚直に伝えてきただろう?」
「確かにそうだな。パンドラよ、何を迷っていた?」
「……。アインズ様、おそらく少々…いえ、ほぼ十中八九、不敬な答えになってしまうこと、どうかご容赦ください」
90度の深々とした礼をするパンドラを慌てて止める。余程言い難いことなのだろう。
「わかった。私の名の下に約束しよう。パンドラよ、お前に罰は与えない。2人も構わないな?」
「「はい」」
「では…。アテナ様とお話しした際のことです」
「アテナさんと?」
予想外の名前が出てきてしまい、思わず聞き返してしまう。
パンドラは深く頷きながら俺たちを見て、再び口を開く(元から開いているようなもんだけど)
「デミウルゴス様とアルベド様も、こちらへ来る前にアテナ様とお話しをしたと思われます。主に今後の立ち回りについてを聞かれましたが、途中、ふとこう呟かれました。
『みんなが危険な間に合う可能性があるね…』と。
無論、我らに被害が及ばないよう徹底していることは百も承知でございます。アテナ様にもアインズ様、デミウルゴス様、アルベド様がそのような危険性を孕む作戦を立案・承認するわけがないと助言致しました。
ですがアテナ様はそれでも不安が拭えておられませんでした」
「つまり…我らに信用がないと?」
「確かに、シャルティア達の一件からアテナ様は私達の安全により気を配られていたけど…そういうことなの?」
不安な声で尋ねるデミウルゴスとアルベドに、パンドラは首を横に振り否定する。
「アテナ様は我らを信用してくださっています。そこは断言致しましょう。…ですよね、アインズ様」
「うむ。間違いない。アテナさんはみんなを信用している。シャルティアとブリュンヒルデもな。だからこそ皆に危険が及ぶ可能性がごく僅かでもあろうものなら、アテナさん自身が皆の前に立つだろう。だが、この話がどう繋がる?」
アテナさんの気持ちを知ったからこその今の意見なのだとしたら…。
俺の中でほとんど答えは固まっていたが、敢えてパンドラに続きを促す。
「アテナ様とご対談する前…つまりデミウルゴス様、アルベド様と共に行った作戦会議では、私としてもナザリックへ不埒者をわざと招待する作戦に賛成致し、その時には嫌悪感も、先ほどのような考えも持っておりませんでした。ですが…アテナ様の心情を知った時、果たして本当に良いのか、アテナ様を悲しませてしまわないか、と考えてしまったのです」
おそらく、ナザリックへ人間を引き入れることだけじゃなく、その後の作戦全てに対してだろう。
つくづく(あんまり意識したくないけど)俺とパンドラは親子であり、根本的な考え方が似ているのかもしれない。
「パンドラの考えはわかった。すまないな、言いにくかっただろう」
「とんでもございません」
「さて、2人はどうだ?今の考えを聞いてどう思った?」
2人はしばらく考え込み、互いの顔を見て頷き合いこちらを見る。
「アインズ様、現在予定している作戦の修正をすべきだと、そう感じました」
「アルベドと同じです。もし私の作戦のせいでアテナ様にご不快な思いをさせてしまったとなると、この命を以てしても償いきれなくなってしまいます」
「よせ。アテナさんからも言われただろう?命を持って謝罪はすべきではない、と。では、どのように修正をする?」
そうして俺とアルベド、デミウルゴス、パンドラの4人は夜が明けるまで作戦会議を続けたのだった。
後日
「アテナさん。敵対しない場合はできる限り流血沙汰を起こさない、こちらから人間を過度に殺さない方向での作戦に修正できました。ついでにナザリックに人間を引き入れる作戦も、皆殺しはしない方向になりました。
「えっ?どうやったんです?」
「頑張りました」
「えぇ……?」
前日譚 これにて閉幕。
いやぁ、アインズとアテナって人、すごいなぁ(他人事
2期の内容はほぼすっ飛ばして3期の内容に入っていきます。
さぁ……がんばるぞ(なんでかくことになったんだ?おのれプロット制作者、ゆるさないぞ。ただアルシェ当たったら書くって言っただけなのに)
読んでくださりありがとうございました。
感想や評価などしてくださったら嬉しいです
ない人は……そうですね アインズ様を讃えててください(