モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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「時にッアインズ様!アテナ様!一つご質問宜しいでしょうかッ!」

「うん、いいよ。どうしたの?」
「別に構わんがそのオーバーリアクションをやめい!気が散る!」

「アインズ様とアテナ様はいつ御結婚されるのでしょうかッ!」

「「ぶふっ⁉︎」」

おいパンドラ、お前なんちゅう爆弾を落とすんだよ。気のせいじゃなければ扉がバゴォン!って鳴ったぞ。絶対アルベドかシャルティアが外にいるだろ。

「ナザリックの中では、アテナ様と守護者統括様、シャルティア様のどなたがアインズ様のご寵愛を承るのか、暇さえあればそんな噂を立てております」

「「そうなの⁉︎」」

またバゴォン!って扉の外で鳴ったな。

「そして皆、決まってこう言うのです。『アインズ様とアテナ様のお子様はいつになるのか……全身全霊を以てお仕えしたい』と!無論!私もその1人でございます!」

「え、え、え……」
「一旦止まれお前!俺はともかくアテナさんの前だぞ⁉︎少しはデリカシーを持て!」

もはやアインズの喋り方がかなり砕け……いやもう完全に砕けていたがそれを咎めれる者は残念ながらいない。

「おほん。ですがアインズ様、アテナ様。男性守護者およびその他シモベの間ではアテナ様と守護者統括様によるアインズ様争奪戦は毎日ハラハラするのです」

「どういう…ことだ?」
「アインズさんとの…子供…」

アテナさんいい加減帰ってきてください。

「簡単なことです。アインズ様のことになるとお二人方共に周りが見えなくなっておりますから。特に守護者統括様に至っては他守護者から言動を咎めようと言う動きが出ているほどですよ?」

「まあ確かに……アルベドとアテナさんが一緒にいたらアルベドの態度って結構砕けるからな……」

「そうっ!なればアインズ様が今後迎えるであろう妃をどなたにするのか宣言すれば!解決すると思うのです!なんなら私は全力で花嫁衣装をお創りしますとも!」

「マジで一旦黙れお前ェ!」
「結婚……結婚……アインズさんと……」
「アテナさんはいい加減帰ってきてください!」

本日もナザリックは平和です


3話 墳墓調査へ

「やっ、リーダー」

 

「よう。アルシェの方はどうなった?」

 

「イェイ、ぴーすぴーす」

 

「……上手くいったってことでオーケー?」

 

「イェス」

 

ど深夜もど深夜。

宿屋の近場にある広場にて、ひっそりとフォーサイトのリーダーであるヘッケランと出会う。

 

そこでフルト家での一連の出来事を報告すると、面白い表情を何回かしていたが最終的には安堵していたのがよくわかる。

 

「それで、金持ちユー様はどれだけ消費したんで?」

 

「アルシェ達を雇うのに大体1万5000金貨、それとは別件で金貨7000枚くらい」

 

「ぶっ⁉︎」

 

ひひっ、いい顔するねリーダー。アルシェと同じ顔をしてるよ。

 

「げほっげほっ…な、なんちゅう金額をポンと使ってんだよ」

 

「私が勝手に憐れんで勝手に恵んだだけさ。ま、そういう訳でリーダー。私、手持ちがすっからかんになっちまってね。割りのいい仕事をしたいんだ」

 

「割りのいい仕事?んな報酬が金貨一万以上の仕事なんて……」

 

「例えば、()()()()()()調()()とか、ね?」

 

「…!い、いいのか?」

 

「いいもなにも、リーダーが取ってきた仕事だろ?」

 

「いや、そうだけど……貴族相手に情報収集してもロクな情報が無かったんだぞ?」

 

「そこは準備の質と量でどうにかするさ。他のワーカーがどうなろうが知ったことでは無いけれど、君たちフォーサイトは何があっても生還させてみせる。それが……私と君で交わされた約束だろう?」

 

「……。はぁ……リーダーの面目丸潰れだな」

 

「何を言ってるんだい。君はいついかなる時もフォーサイトのリーダーだろう?」

 

夜風を肴に何かを飲むリーダーに励ましの言葉を贈るも、余計にため息をついていた。

 

なんでよ。

 

「そう…だな。うっし、切り替えてくわ。ひとまず例の墳墓調査は受ける方向で進めていいんだな?」

 

「ああ。嫌な予感は拭えないが、そこはさっきも言った通り、準備の質と量でどうにかする。ま……いざとなれば私を囮に皆を逃がすかねぇ」

 

「おいおい、それは許容しないぜ?全員揃ってこそのフォーサイトだろ」

 

「ははっ。それは私もフォーサイトの一員だと認めてくれてるってことかい?」

 

「当たり前だろ」

 

「……」

 

 

そう……か。うん、そうか……。

 

 

「ユー?」

 

「……いや、なんでもない。ありがとうリーダー」

 

「え?そんなお礼言われるようなことしたか?」

 

「そこは素直に受け取ってくれよ。ま、今後ともよろしく頼むよリーダー」

 

「おう」

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

俺たちフォーサイトは会議のために『歌う林檎亭』に集まった。

ロバーデイクにイミーナ、アルシェ、そして新人のユー。

 

議題はもちろん例の墳墓調査の依頼について。

 

「私の方では特に不審な内容はありませんでした」

「私も同じ。やけに気前がいいのは誰よりも墳墓調査に乗り出して儲けたいっていう欲からだと思うわ」

「他の貴族からも裏は取れた。どうやら鮮血帝に貴族位を剥奪されそうな貴族らしい。今回の墳墓調査でジルクニフ皇帝に有能さを示したいのと、イミーナの言うようについでに儲けたいんだと思う」

 

「俺も3人と似たようなもんだな。それでだが……俺とユーは墳墓調査に向かうのがいいと結論付けた」

 

「「「え⁉︎」」」

 

案の定3人は俺とユーを交互に見て、特に心変わりしたユーへ質問責めしていた。

 

「おいおい、ちょっとくらい落ち着いてくれよみんな。別にリーダーとはまだ体の関係は持ってないよ?」

 

「まだって何よまだって!」

 

「いやそのままの意味」

 

「一体何がどうなったら意見を真逆にするんですか⁉︎」

 

「いやだから…」

 

「私の家のことはもう解決してしまったから行く必要もないって言ってなかった⁉︎」

 

「よーしオーケー。3人とも、まずは落ち着こう?てか話を聞いて」

 

いやいやユーさんよ。

当たり前だと思うぞ?

 

 

 

「簡単に言えば、私というフォーサイトの新人が全員の意見を潰してまで自分の意見を押し通すのは理に適ってないと思ったんだよね」

 

「ですが、それは私たちのことを心配してのことでしょう?ユーさんのことは全ては分かりませんが、私たちを心配してくださっていたのは理解しています」

 

「ロバーデイクの言うとおりではあるんだけども。リーダーと腹を割って話し合った結果、生存第一優先にして参加しようって形に纏まったんだよ」

 

「……それは、ヘッケランがそう押し通したから?」

 

「違うよイミーナ。単なる利害の一致だと思ってくれていい。リーダーやみんなは未知への好奇心があり、私は割りのいい仕事をしたい。その2つを丁度満たしてくれるのが例の墳墓調査ってだけさ」

 

「でも、ユーさんの見立てだと相当危険なんでしょ?」

 

「そうだねアルシェ。ま、とは言っても冒険に危険はつきものだろう?その為に備えをしておくのさ。だから…今回は私のコレクションであるマジックアイテムを惜しみなく解放しようと思います」

 

「「「っ⁉︎」」」

 

ここまではヘッケランと話し合っていた通りに進んで行った。

 

「だから、使わずに済むならそれでよし。使う羽目になったら遠慮なく使い倒して逃げる。話に聞くと…他のワーカーも行くんでしょ?」

 

「ああ。『ヘビーマッシャー』と『竜狩り』、それに『天武』と他数チームのワーカーが参加するそうだ」

 

「天武?誰それ」

 

「かの王国戦士長と同格の戦士と言われてる奴がリーダーのワーカーチームだよ」

「確か3人の女性を連れて歩いていますね」

「使う獲物は剣一本らしいわ」

「……でも、あまり良い噂を聞かない」

 

「へー。ま、どうでもいいや。んでマジックアイテムなんだけど……ここでは出さない方が良さげだね」

 

マジックアイテムという単語を喋った瞬間、視線が増えたのは感じていた。わざとらしく周りを見ると警戒したのか一気に人がばらけていった。

 

「つかこんなところで会話するのも不味いな」

 

「そりゃそうか。んじゃ後でまた話すとして。それでどうかな?私とヘッケランは墳墓調査に乗り出すつもりだ」

「でも俺たちは多数決制だ。3人も反対だと思ったら遠慮なく言ってくれ」

 

ヘッケランがそう締めくくる。

3人はしばらく考え込み、初めにロバーデイクが賛成の意を示し、アルシェも知的好奇心には勝てなかったのか賛成した。そして最後はイミーナ。

 

「……」

「?」

 

ずっと何かを考え込み、ふと顔を上げたと思うと私の方を見る。

 

…………。ははーん?

 

「イミーナイミーナ」

「な、なによ」

「ちょっと耳貸して」

「え、何で…」

「いいから」

 

と、イミーナにだけ聞こえるよう、小さな声であることを伝える。

 

「っ⁉︎……〜〜!」

「いだっ」

 

なんで殴られたの私。やけに顔真っ赤だけど、そんな変なこと言ってないよ?

 

「ひどくない?」

「自分の胸に聞いてみなさいよバカ!」

 

おおう。悲しみの極み。

 

「どうしたんだ?」

「なんでもない!」

「そうそう、聞くのは野暮だぜリーダー」

 

そしてまた私の頭でいい音が鳴る。

だからなんでよ。

 

「あーもう、自分がバカらしくなってきたわ……。ヘッケラン、私も賛成よ。墳墓調査、行きましょう」

 

決心したのか、イミーナも胸を張りながらヘッケランに肯定の意を示す。

だがそこで終わらない。最後の最後まで、念には念を込めるかのようにヘッケランが全員を一瞥する。

 

「じゃあ、改めて聞くぜ?貴族からの依頼である墳墓調査、受けるのに賛成な奴は挙手を」

 

そして5つの手が上がった。

 

 

 

その頃、トブの大森林では……

 

「……」

「アテナさん!ステイっ!ステーーーイッ!」

 

事もあろうかアインズをバカにしてしまった東の巨人ことトロールにブチ切れたアテナが、問答無用でミンチにしては蘇生しミンチにして蘇生というループを繰り返していた。

 

その場にいたアウラと西の魔蛇ことナーガは、心底恐怖していたという。

 

 

今日も今日とてナザリックは通常運転である。

 

 

 

 

「……ごめんなさい」

「アテナさん、謹慎2日」

「はい……」

 

 

 

 


 

〜1週間後〜

 

ナザリックの執務室には俺とアテナさん、アルベド、デミウルゴス、パンドラが集まっていた。

と言うのも、これからナザリックに人間をわざと引き入れる作戦の決行日が目の前に来ていたからだった。

 

「首尾はどうだ?」

 

「問題ございません」

「私も問題ございません」

「此方も、準備は全て済ませております」

 

「アテナさんはどうですか?」

「もんだい、なし。ばっちこい、です」

 

最後に改めて一連の流れを確認していき、それが終わった頃にナーベラルから伝言(メッセージ)が来る。

 

『アインズ様、帝国の使いの人間より時間なので来てくれと』

 

「わかったすぐに行く」

 

アルベド達へ持ち場につくよう命令し、ナーベラルの元へ転移する。

そこはいつものエ・ランテルの宿屋ではなく、バハルス帝国という国にある宿屋。

『冒険者モモン』の姿になり、予定の場所へ向かいながらナーベラルへ話しかける。

 

「ナーベラルよ、作戦の内容についてもう一度確認をする」

 

「ハッ!」

 

「では、お前の任務は何だ?」

 

「醜い蛆虫どもがナザリックの地表へ侵入後、アインズ様と入れ替わったパンドラズ・アクター様と共にキャンプ地にて待機。後に…」

 

「よい。そこまで分かっているなら失態はあり得ないだろう。だが決して油断はするな。万が一の時はパンドラに判断を仰げ」

 

「畏まりました」

 

しばらく歩き続け、ようやく目的の地に着く。

城門近くに馬車が停まっており、一番門に近い人間へ話しかける。

 

「お待たせしました。漆黒のモモンです。本日はよろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくお願いしますねモモンさん」

 

身なりは貴族の使用人と言ったところだろうか。促されるまま先頭の馬車に乗り込む。

 

「それでは、出発致します」

 

 

こうして、俺たちの作戦は始まった。

 

 

 

 

 

 

馬車が走り続け数時間が経った。

騎手から到着したと報告を受け、外に出る。出迎えてきたのは金のプレートを首に掲げている冒険者。俺以外にもバハルス帝国で冒険者を雇ったと言っていたから、きっとこの人間達だろう。

 

「あ、モモン様だ!お会いできて光栄です!本日はよろしくお願いします!」

「こちらこそ、本日はよろしくお願いします。バハルス帝国冒険者の皆さん。今は何をされているのですか?」

「私たち冒険者はキャンプ地の設営をしています。ワーカーの皆さんはあちらで交流を深めています」

 

手で示された方向を見ると、冒険者達とは少し離れた場所で4人の男が話し合っていたのが確認できた。まずは予定通りに行くとしよう。

 

「では、私は彼らと少し話をしてきます。ここはお任せしても?」

「もちろんです!」

 

途中で燕尾服の老人と合流し、ワーカー達の元へ向かう。

話し合いは済んでいたのか、それとも挨拶を交わしていただけなのか各自仲間と合流していた。

 

「皆様、当伯爵家の依頼を受けてくださり誠にありがとうございます。まずは皆さんが不安に思っているであろう、キャンプ地設営に関わっているのが金級冒険者のみで、不安な方も多いでしょう。ですがわたくしどもは問題ないと考えております。此方におりますのはアダマンタイト級冒険者『漆黒』のモモンさん、そしてチームメイトのナーベさんです」

 

紹介され、ナーベと共に全員の前に立つ。

ふむ……装備の質はエ・ランテルの冒険者だとミスリルあたりが妥当か…?

 

「これでご納得いただけたかと思います。それでは…」

「その前に、一ついいだろうか」

「ええ、構いませんよモモンさん」

 

念のため確認をとり、改めてワーカー達に向き直る。

 

「1つ聞きたい。君たちはなぜ墳墓へ向かう?私たち冒険者のように組合との関係に縛られている身と比べ、しがらみのない君たちがこの依頼を受けたのは何のためなんだ?」

 

「そりゃもちろん、金の為ですよ」

 

「ほう?それは君たちの命に釣り合うだけの金額を提示されたということか?」

 

「そうだ。納得のいくだけの額をな」

 

最初に刀を持った男が、次に少し背が低いが全身鎧に身を包んだ男が答える。

 

「なるほど……それがお前達の決断か。よく分かった」

 

「あー……話の腰を折るようで悪いんだけど、俺たちはちょっと違う」

 

と、少しバツが悪そうに双剣を背中に担いでいる男が手を挙げていた。

 

「では、貴方達はどのような理由で?」

 

「そりゃまあぶっちゃけ金は欲しいんですけど、副産物として得られたらそれでいいと思っています。それ以上に、俺たちは今回調査する墳墓とやらがどのような目的で作られたのか、それを作ったのはどんな人物なのか、どんなものがあるのか。それに興味を唆られましてね」

 

「なるほど。知的好奇心、というやつですか」

 

「そうとも言いますね。ですが……俺たちはどんなに神がかった宝や莫大な金よりも仲間の方が大事なんで、場合によっちゃ俺たちは宝の全てを破棄してでも引き返します」

 

男の言葉に、他のワーカーが驚きのあまり目を見開いて見ていた。

かくいう俺も事前に聞いていた話と随分異なっていたことに驚きを隠せなかった。

 

「各人の考えは理解しました。本当に……本当にくだらないことを聞いた。許してくれ」

 

 

 

 

 

「申し訳ありません。少し席を外しても?」

「構いませんよ」

「失礼します。ナーベはここで待機しててくれ」

「畏まりました」

 

ワーカー達が行動を開始するまでもう少し余裕があり、少しだけどうしても話を聞いてみたい人間がおり、その男の元へ向かう。

 

「まだ……ね……どうし……」

「でも連……もうす……」

「準備……ととの……」

「わたした……ます……どうしま……」

 

その男の元にいたのは4人の男女。

中でリーダーであろう双剣の男に話しかける。

 

「すいません、少し宜しいですか?」

「え?なに…をっ⁉︎」

 

よほど熱心に話していたのか、俺にようやく気づいたリーダーの男は俺を見て驚いていた。

 

「あ、えーと…確か『漆黒』のモモンさんでしたっけ?」

 

「ええ。改めて挨拶させていただきます。私はエ・ランテルで冒険者をしているモモンと言います。今回はよろしくお願いします。えー…」

 

「あ、すんません。俺たちはチーム『フォーサイト』。俺はリーダーのヘッケランです。よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

「そのー……俺たちに何か御用で?」

 

「先ほどの話で、貴方達に少し興味が湧きました。出発まで少し話をお伺いしたいのですが、宜しいですか?」

 

「え?ええ、まあ…俺はいいが、お前らは?」

「構いませんよ」

「問題なし」

「私も、問題ない」

「後は…あー、あの人はどうすっのかな」

 

「…?フォーサイトとは貴方達だけではないのですか?」

 

「ああ、ちょいと。1人遅れてるもんで。もうすぐ到着するとは聞いているんですが……。まあ、話すだけならいいか」

 

何かを考えながらヘッケランと名乗る男が改めて俺の方に向き直る。

 

「それで、俺たちに何を聞きたいんですか?答えれる範囲なら出来る限り答えますよ」

 

「そこまで深い話をするわけでも、貴方達の素性を明かそうと言うわけでもありませんので、そこはご安心ください。

まず、私は今回の依頼を受ける際、ワーカーというものは金にがめつい者だと聞いていました。ですが貴方達は依頼を受けた理由は金ではない、知的好奇心だと言いました。それについて少しお話を伺えたらと思ったのです」

 

「とは言いましても…さっき言った通りですよ。確かに金は欲しいですが、それ以上にこの墳墓がどういった物なのか知りたい。何を考え何をするために作った物なのか。もし叶うのなら……あんな遠くからでもわかるほどスンゲェ墳墓を作った人に直接聞いてみたいもんですね」

「それは無理という物ですよヘッケラン」

「そもそも侵入者と話してくれるかしらねぇ」

「……でも、ヘッケランがそう考えるのもわかる。これほどすごい墳墓とは思わなかったから」

 

「ほう。ですがあの墳墓に会話の通じない強大な存在がいるとしたら、どうしますか?」

 

「と、言うと?」

 

「貴方達では手も足も出ない、私ですら足元にひれ伏すしかない、そんな存在がいたら……貴方達は確実に死にますよ?」

 

「あー……なるほど」

 

俺の言いたいことが理解したのか、頭をかきながら真っ直ぐ俺を見てくる。

 

「ま、何とかなると思います」

 

「その根拠は?」

 

「それは…ま、秘密ってことでお願いします。いつかワーカーとして貴方と合間見える可能性が無いとも言い切れませんから」

 

言葉は濁されたが、そこには仲間を信用している確固たる瞳が見てとれた。

 

「何より一番心配なのは……そうっすね」

 

長い間考え込み、それを急かすようなことはせずじっくりと待つ。

 

「----」

 

「……ッ!」

 

 

 

 

 

「みなさん、ありがとうございました。とても有意義なお話でした」

 

「いえこれくらい……」

 

「それでは『フォーサイト』の皆さん、健闘をお祈りしています。生きてまた会えると良いですね」

 

アダマンタイト級冒険者『漆黒』のモモンとの他愛無い会話が終わり、再びワーカーに召集がかけられる。どうやら探索の予定時刻が来たらしい。が…ユーが案の定まだ来ていなかった。

 

「……うん、うん。分かった。リーダー、ユーさんから連絡が来た」

「いつ頃到着するって?」

「もうすぐにでも着くって。やっと私の魔力を…?…………」

「おーい?アルシェーどうしたー?何で急に固まった?」

「私が現れたからじゃないかな」

「うわぉ⁉︎」

 

突然後ろから声が聞こえ、正直めっちゃビビってしまった。

 

「あーなんだユーか。ビビったぁ」

「ひじょーに悪かったと思っているよ」

「ならせめて申し訳なさそうな声を出せ!声を!」

 

後ろを振り返るとユーが、まるでイタズラが成功した子供のような笑みを浮かべて立っていた。

 

「はーまあいい。んで、ユーはなんで遅れたんだ?」

 

「ちと野暮用さ」

 

「と言うと?」

 

「昔の仲間がこの土壇場で情報提供するとか言いやがったもんで。ちょっとばかしエ・ランテルまで赴いたのさ。……あんの酒カス。マジでそろそろ脳天突き刺してやろうかな……」

 

と、珍しくユーが不機嫌になりながら物騒なことを言っていた。それが珍しすぎて、俺もアルシェも思わず笑ってしまう。

 

「ヘッケラン!もう出発するわよ!」

「わぁーってる!んじゃ行くとしましょうか」

「了解した」

「はいよ」

 

イミーナに急かされ、俺たちは墳墓へ向けて足を進めた。




「ところでアテナ様。アインズ様へのアタックはお辞めになったのですか?」

「えっ、あ、あたっく?」

「はい!そうすれば、わたくしはアテナ様を正式に『御義母様』と呼ぶことができます!」

「ぶふっ⁉︎」

「で・す・の・で!アテナ様には是非とも!アインズ様と御結婚していただけたら!」

「すとっぷすとっぷ!お願いだから、落ち着いて!」

なおこの騒動の後、アテナはアインズの顔をまともに見れなかったとか。







次回 ワーカー達、墳墓へ突入。

さあどうなるのか、楽しみですね?


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