「あー……」
入った瞬間に思ったのは「きったな」だった。
なにしろありとあらゆるアイテムがその辺に放り投げられていたからで、文字通り足の踏み場がない。原因は、まあ、うん。察してください。
「ついで、だし、整理、しよう」
こんな部屋を他の人(特にエミヤとかエミヤとかエミヤとか)に見られたらお説教されそう。
そうだ、いっそのことアイテムボックスの中も全部整理しよう。
仕分け用のボックスをいくつか用意して、いざお片付け。
まずは消耗品やら装備品やらに分けて……あっこれ懐かしい。
こっちも、思い出の装備品だ。
こっちは色んな人にプレゼントされた装備品かな。
「……。…⁉︎」
その中で1つ、異彩を放つ装備品が。
まるで女性用の下着まんまの装備。これで全身装備ってマジ?
えーと名前が……『夏用水着(翡翠):ビキニタイプ』
これ水着なの?ていうかなんでこんなものあるの???
効果は…『種族特性を無視した魅了デバフの付与』?
「……思い出した。るし☆ふぁーさんに、ガチャのあまりだって、貰った、やつだ」
少女の見た目をしたアバターは私しかいないからって、渡されたような。
にしても……下着じゃんこれ。え、なに。富裕層の人とかってこんなの着てプールとか行ってたってこと?
「……(ゴク)」
いや、ほら、ね。翡翠色を基調に金色と黒の刺繍が施されてさ、すごく綺麗というか大人っぽいというか。
ほら、アインズさん達とも海に行くかもしれないし。いざという時に着れないと困るし。
だから、ね?
「付き合わせてすまないなエミヤ」
「問題ありませんとも。ちょうど食堂の仕込みなども終わっているので、後は料理長1人でも回せるでしょう」
とある計画のため、こっそりとエミヤに頼んでおいたものを、使い方などをレクチャーしてもらっていた。にしても……アレがこんなにも大変だったとは。エミヤ曰く『比較的簡単で大雑把にしてもなんとかなるもの』を選別したらしいが、それでもあの大変さだというのだから驚きっぱなしだった。
「ところで、これからはどちらへ?ギルド長さえ宜しいのなら付き合いますが?」
「うむ、アテナさんに呼ばれていてな。なんでも持ってるアイテムについて鑑定して欲しいと」
「なるほど。では整理整頓する者が必要でしょう。マスターはああ見えて乱雑にしがちなところがありますから」
「はは。そうだな。ではもう少しだけ付き合ってもらうと助かるよエミヤ」
「承知した」
エミヤはというと、基本は敬語だがたまーに素の口調っぽいものが出てることもあって、俺が思ってる以上に話しやすかった。
何気ない会話をしながら(時たま謎の視線を感じながら)アテナさんの部屋の前に着き、数回ノックをし扉を開ける。
「アテナさん。来まし……」
「…………」
「た……」
「ギルド長殿?どうされ……ああ」
「「……………」」
時が止まった。
俺も部屋の中にいたアテナさんも。エミヤはため息をつきながら何かを用意していたが、そんな事を気にしていられるほど冷静にはなれなかった。
何故なら、俺をこの部屋に呼んだ張本人は
服を殆ど脱いでいたのだから。
「うわっきゃぁぁぁぁぁぁ!??!?!?」
「すいません!すいません!すいませんすいませんすいません!すぐ出ます!」
アテナさんの悲鳴と俺の叫び声を聞いたであろうメイド達やアルベドなど、多くのシモベが驚きながら集まってきた。
ちなみにだけど、現状を認識した瞬間に反転したので殆ど見ていません本当です。決して綺麗な体だったとかは思っていません。
集まってしまったシモベを部屋の外に押し除けながら、何があったのかと矢継ぎ早に聞かれるが、アテナさんの名誉のため硬く口を閉ざした。
というか、精神抑制が秒間5〜6回は起きてるんじゃないかという俺に場を鎮めることができるはずもなく
「(やってしまったやってしまったやってしまった)」
自己嫌悪と精神抑制のループが10分以上続き、しばらくはアテナさんの顔をまともに見ることができなくなってしまった。
〜ナザリック地下大墳墓 玉座の間〜
「面を上げよ」
玉座に腰掛けるアインズの一言で、集まっている階層守護者、領域守護者、その他、先の作戦に直接関与した多くの者が顔を上げる。
「まずは先日の作戦について。『エイ=ユー・オウ』という、作戦そのものを壊しかねない人物が紛れ込んでいたにも関わらず、よくぞ完遂してくれた。この場を借りて礼を言う」
「勿体なきお言葉です!」
「その通りです!感謝など…」
「これは私やアテナさんが抱いている気持ちのほんの一部だ。少々ずるいかもしれないが、私達の命令だと思って受け取って欲しい」
その言葉に歓喜する者、涙を流す者、底なし且つ天井無しの忠誠心を更に高める者など様々だった。
アインズもそれを感じ取っていたのか、皆が落ち着くまで暫く口を閉ざし、頃合いを見て次の議題へ移る。
「さて、予定通りであれば5日後だが……アウラ、マーレよ、準備は万全か?」
「はい!勿論です!」
「み、みんなもやる気があって、問題ないと思います」
「よろしい。だが油断は禁物だ。もし不安ならばアルベド達へ相談すると良い。もしくは私やアテナさんへ直接相談してくれても構わない」
アインズ達と守護者達との壁は多少崩れていたが、それでも光栄極まる言葉に、ダークエルフの双子は顔をパアッと明るくしていた。
「次に、作戦立案者のデミウルゴス及びアルベド、パンドラズ・アクターよ」
「「「ハッ!」」」
「皆の前で、今回の作戦の概要、及びこれからの事について分かりやすく説明してあげて欲しい。特にあのワーカーチームを敢えて逃した事など、私達の間だけで話した内容も含めてだ」
「畏まりました」
「承知致しました」
「畏まりッ、ました!」
「パンドラ、お前はもう少しテンションを抑えてくれ」
その瞬間アテナがツボってしまい、少しだけ遅延したが割愛します(byアインズ)
「まず今回、アインズ様とアテナ様の神聖なるナザリックへ、敢えて人間達を引き入れた理由から。利点はいくつかありますが…何故このような手段を取ったのか、分かりますか?」
デミウルゴスの問いかけに集まったシモベ(+守護神)は頭を悩ませる。アインズがそこそこ理解しているのは、事前に話し合った成果だろう。
「えーと…帝国の人間の強さを測るため?」
「その側面もありますが、それとは別ですね」
「私達に手を出したらどうなるか、という見せしめでありんすか?」
「半分正解、といったところでしょうか」
アウラとシャルティアの回答に、優しい家庭教師のように接しながら、他にはいないかと見渡す。
続いて口を開いたのはシグルド。
「思うに、第一に我らが表に出るためのキッカケ作りだと考える。たかだかレベル30前後で英雄などと揶揄されるこの世界で、我らの強さは異端も異端。だからこそ敢えて人間達を招き入れた事で、我らから自発的に表へ出たのではなく、人間共の愚行で目覚めたのだと周知させる為……といったところか?」
「ほとんど正解だ。流石はシグルドだね。だが少しだけ足りないな」
「ほう?」
「更に付け加えると、墳墓への侵入はあくまでも人間側が自発的に行なった事と言う事になっている。となると非は人間達ということになり、今後起こるであろう帝国との会議において常に優位を保てるのだよ」
「ムゥ……ダガ、我ラナラバ、ソノヨウニ手ヲ回サズトモ、武力デ優位ニ立テルノデハナイカ?」
「そうだね。世界征服をするとなるとその方が手っ取り早いのは確かだ。それをするだけの戦力もこちらにはあるからね。だが作戦前の玉座の間におけるアインズ様達の発言を思い出して欲しい」
「……あぁ、なるほど。マスターもアインズ様も、『力や恐怖による支配』は好まないと…そう仰っていましたね」
「正解だよブリュンヒルデ。つまりアインズ様とアテナ様の方針は、人間共から私達へ『支配してもらうことが最善』だと考えるように仕向けることだ。今回の作戦はそのキッカケ作りとも言えるね」
それから暫くは守護者達の質問にデミウルゴスが優しく丁寧に返し、時々アルベド達の補足も入りながら滞りなく進んだ。
質問が途切れた頃を見計らい、次の作戦の内容へ進む。
「続けて、これからの予定についてです。まずアウラとマーレには既に帝国へ向かってもらっています。そこで帝国の王に対し先のワーカーの件を伝えてもらいました。また、5日後に謝罪に来るよう伝えてもらいました」
「どうして5日後でありんすか?」
「それは……」
「あ、それ。私がお願いしたの。ちょっとやりたいことがあって……。それでデミウルゴスに無理を言って5日後にしてもらったの。何か作戦、悪いとかじゃなくて。単に私が、ナザリックでやりたいこと、なのでワガママです。ごめんね」
「何か特別なことでもあるんですかマスター?」
そんな時でもザ・マイペースという感じでヒルドが質問し、対してアテナは少し恥ずかしそうに「あはは…ちょっと、ね。まだ、ナイショ」と返していた。
至高の御身がそう言うのだから詮索するのは不敬だと考えたのかそれ以上の追及はなく、改めて作戦について守護者含む多くのNPCがデミウルゴスへ質問をする。それらを一通り聞いた後に改めて説明を始め--
「……作戦前に玉座の間で言っていた事の真意をようやく理解した。つまり、我らが他の国へ出張る大義名分が出来る、ということか」
それよりも早くシグルドが答え、デミウルゴスは満足気に頷いた。
「正解だよシグルド。アインズ様は表向きは人間と共存してゆく道を歩むと、そう仰られた。勿論、今回のことで帝国へ何か要求し、拒否した場合滅ぼすことは至極容易だ。しかしそれではアインズ様達の思惑から大きく外れてしまう。故に……」
「あっ!ヤルダバオトで他の国を攻めて、私達に助けを求めるように誘導するって事⁉︎」
「その通りだよアウラ。その為にナザリックとヤルダバオトは対立させる必要があったのです」
答え合わせをする前に辿り着いたアウラへ満足しているデミウルゴス。
一方で……
「(あ、そういう事だったのか)」
「(そういう事だったんだ)」
ようやく今回の作戦にヤルダバオトを投入した理由が分かった至高の御身と呼ばれている2人がいたが、そんな驚きは死んでも表情には出さず、なんとか耐えていた。
「1番近いのは聖王国ね。バハルス帝国、リ・エスティーゼ王国、スレイン法国は別の作戦で利用する予定があるもの」
「また、他のユグドラシル出身の者がいないかを確かめる意味合いもありますね」
「その通りだ」
「あ、もしかして、私に聖王国にって、その作戦?」
「仰るとおりです。ですが未だ不完全な作戦につき、正式な報告はもう暫くお待ちください」
「あれ?でもアインズ様、マスター。一つ質問よろしいでしょうか?」
「構わないとも」
「大丈夫だよ。どうしたのヒルド」
「その…ワーカーは全て殺したとデミウルゴス様が仰っていましたが、5人だけ生きて返していませんでしたか?えーと…たしか、フォーなんとかってチームです」
「「(あー……)」」
「それについてもきちんと説明するとも。だが良い着眼点だよヒルド」
唯一生きて返した人間について疑問を抱くのは当たり前と、またそのような疑問が出てくるのも予想済みだったのか、デミウルゴスは慌てることなく説明に移る。
「まず、唯一逃した『フォーサイト』なるワーカーチームですが、問題はありません。ただし最初にアインズ様が仰った『エイ=ユー・オウ』と呼ばれていた存在については別ですがね」
「うむ、少々ずるいかもしれないがここからは私も説明しよう」
「畏まりました。よろしくお願い致します」
この中で1番詳しく把握していたアインズがデミウルゴスにストップをかけ、補足等があれば適宜発言するように指示を出し、一つずつ思い出し説明する。
『英雄の集い』という存在の脅威を。
「少々話が逸れるが、まずは我々以外にこの世界へ転移しているユグドラシル出身の者が複数いる事、またそれらは『英雄の集い』と呼ばれている集団だという事を確認している。接触できたのは3人。
1人目は『宮本武蔵』。英雄の集いのリーダー且つワールドチャンピオンの称号を持っている。使う武器は2本の刀、他に特徴としては紅い着物を着用している事だな」
あの後、ユーから送られてきた写真を拡大させ、実際に会っていない者にも周知させる。こいつと戦ったら殆どが死ぬだろうし…そんな目にあって欲しく無かった。
「こいつの強さは……そうだな、皆に分かるよう例えるならば、たっち・みーさんと同格だ。…いや、一応たっちさんには負けたんだったか」
その事実を初めて知った殆どのシモベ達が騒然となるが、アルベド達が一喝し鎮めてくれる。相変わらず助かるな…。
「現状、最重要かつ最大限警戒すべき相手はこの宮本武蔵だ。本人はこちらと協力関係を結ぶ気は無いだろうし、有事の際には私達と躊躇いなく事を構えるだろう。
そして本拠地についてだがエ・ランテルで過ごしている。その為、この街の周辺で任務に当たる場合は最大限の警戒を怠らない事、また念には念を入れた撤退策を用意する事を頭に入れておいて欲しい。
次はそんな宮本武蔵に付き従っている『段蔵』という人物だ」
彼女はそれほど強くは無いだろうと思われる事、そこそこ友好的に会話をしてくれる事、だが宮本武蔵の意見に従っていることからナザリックと協力関係になる可能性は低いことなどを告げていく。
「本人達は、無理やり従わせたいのならば力で捩じ伏せてみせろと、そう言っていた。しかし私は皆が傷つくのを見たく無いし、仮に実行するにしても総力戦をせざるを得ないだろう。
つまり、当面の間はこの2人を力で捩じ伏せるのは悪手だと言える。それに彼女らは、シャルティアとブリュンヒルデを洗脳した集団の護衛をしていたらしい。今後はその集団について調べていくのが優先となる」
曲がりなりにも世界級アイテムを所持していた国だ。洗脳に使われたチャイナドレスだけとは限らないし、念には念を、石橋を叩きに叩きすぎるくらいまで調べ尽くす方がいいだろう。
「最後に、コイツが今回の作戦において遭遇した『エイ=ユー・オウ』だ。コイツ自身の強さはそれほどでも無いが、馬鹿げた量の神器級アイテムを持っている事が脅威だ。私の見立てでは神器級とはいえ性能はピンキリだったが…初見ではまず不覚を取るだろう。現に私も取ってしまったからな」
アテナさんがいたら絶対楽に攻略できただろうけど、ま…俺単騎でもどうにかなることがわかったから結果オーライというやつだ。
「加えて、コイツは500年ほど前からこの世界にいる為、我々では知り得ない情報を持っている可能性が非常に高い。よって、危害を加えることは原則禁止とする。私から伝えれることはこれくらいだな。3人も、他に何かあれば補足を頼む」
「ございません」
「私もでございます」
「私もッ!問題ございませんッ!」
「う、うむ」
パンドラにオーバーリアクションをやめろ!と言いたかったが、話が長くなりそうだし一旦無視しよう。
「では本題に戻ろう。フォーサイトを逃した理由だが、彼女との取引で超超レアアイテムである『
本音を言うなら殺してでも手持ちの全てを奪い取ってしまおうとは考えたが、奴がどんな手札を持っているか分からない内は穏便に済ませた方が良いと独断で判断させてもらった。この辺りは皆に無理な作戦変更を強いてしまったことを謝らせてもらいたい」
頭を下げると皆が慌てふためいているのが分かったが、少しでも俺たちとの壁を無くす一環でもある為、ここは我慢をしてもらおう。
「そして、ワーカーチーム『フォーサイト』及び『エイ=ユー・オウ』については、互いの不可侵条約を取り付けた。よって、こちらから危害を及ぼす事は禁止とする。以上で私からの報告は終了だ」
その後も帝国での作戦内容やその他細かな情報の共有は滞りなく進んでいき、報告会は終了となった。
アテナさんと一言二言交わし、先に転移した。
「あ、みんな。もう少し、残ってもらっても、いいかな?」
アインズさんがいなくなった後に流れ解散しようとしてた皆に声をかけて、もう少しだけその場に残ってもらう。
「えーと……作戦開始日を5日後にした理由で、みんなに伝えたいことが、あります」
すると全員が姿勢を正してまっすぐ私を見てくるものだから、思わず緊張してしまう。
本当に、もう少しだけ楽にしてくれていいんだよ?じゃないと私が緊張で倒れちゃう。
「すーはー……。えっとね、みんな。明後日、とっても、とってもとっても大事な日です」
「大事?」
「何かありましたっけ?」
「はっ!マスターもしかしてとうとうアインズ様に告白をするんですか⁉︎」
ワルキューレ三姉妹ことオルトリンデ、スルーズは顔にハテナを浮かべつつ、ヒルドはというと特大爆弾を落としてきた。思わずむせてしまったし、なによりアルベドの顔がすんごいことになってた。こわい。
「えーとちがくて……日にちを数え間違えてなかったら、明後日は、
その瞬間に私の世界から音が消えた。
原因は、私の言葉を聞いた瞬間に玉座の間が大歓声に包まれたから。
要は大きすぎる音を聞いて耳が痛くなっただけです。
「だから、みんな。アインズさんの誕生日会をしたい、だから、明日で準備をしたいの。場所は、トブの大森林の中に、綺麗な湖があるので、その周りを少しだけ開拓、してあるので、そこで考えてます。色々とアインズさんをお祝いするために準備をしたいから、協力おねがいしま、す。みんなで、アインズさんを喜ばせましょう」
その瞬間、最初よりもさらに大歓声が響いたのは言うまでもなく。
無事に私の耳が死にました。
「あ、プレゼントは、豪華すぎるもの、禁止、だよ」
全シモベ「「「「「「「えっ⁉︎」」」」」」」
「プレゼントは私です、っていうのも、だめだよ」
「「そんなぁ⁉︎」」
「あと、骨使ったものとか、生きたものも、ダメだよ」
「どうしてでございますか⁉︎」
「だって、リザードマンのときの椅子。気持ちは嬉しいけど骨オンリーは流石に、って言ってた、よ?」
「デ、デハ、ドノヨウナ物ヲオ贈リスレバ……」
「あいんずさんなら、きっと、普段使いできるようなやつで、みんなの手作りなのがわかる、ものを喜んでくれる、思うよ。それか、何か記念になるようなもの、とか」
散々引っ張ったアンケート内容のほのぼの話
ようやく投稿します(多分
そいや今更だけどオリキャラであるアテナの見た目ってみんななんとなく分かるのかな。引用元掲載した上で画像載せたほうがいいかな……?
(ちょっと規約と睨めっこして良さげだったら載せるかも?)
さて、読んでくださりありがとうございました
感想や評価など書いてもらえると嬉しいです