モモンガさんが大好きな小さな守護神   作:紀野感無

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歌う林檎亭の近くで。
片腕を失った金髪の女性が歩いていた。

それを確認し、近づく者が……

「ワーカーチーム『フォーサイト』の者で間違いないか?」

「……だったら何」

「単刀直入に言おう。ジルクニフ皇帝陛下の命により……」

「パス。悪いけど他を当たってくれ」

「そういうわけにはいかない。来ないならば、君のチームを人質に取るのも視野に入れろと言われている」

「へぇ。たかだか帝国の兵如きが、大きく出るね。フールーダ・パラダインまで出張ってるとは、よほど差し迫っていると見える。不可視化……いや、不可知化か?その程度で私を騙せると思ってたとは……100歳超えてから感覚鈍ってんじゃない?」

金髪の女性の言葉に、兵士たちは動揺を隠せずにいた。
そんな中、一人の兵士が勇気を振り絞り、前へ出る。

「お願い致します。この国が造られて以来の、未曾有の危機なのです。どうか力をお貸しください」

しかしそんなことはどうでもいいとばかりに、女性は背を向ける。

「悪いが、私も今はそれどころじゃないんでね。他を当たってくれ」

そう言い残し、金髪の女は1日以上待たせてしまっている仲間の元へ、内心ビクビクしながら足を運んでいく----


誕生日パーティー

アテナさんに目隠しをして貰い、手を引かれる。

ゲートと唱える声の後にゆっくりと歩く。

 

「ここから、足元違う、です。気をつけて、ください」

「わかりました」

 

サク…サクと草を踏む感覚になり、それからも暫くアテナさんに手を引かれながら歩いていく。

道中他愛無い話をしながら歩く事数十分、ようやく手を引く感覚が止まった。

 

「着きました。目隠し、取るので、しゃがんでください」

「はい。これでどうですか?」

「ありがとう、ございます。あ、でも。まだ目は、瞑っててもらえ、ますか?」

「わかりました」

 

目隠しが取られ、目を瞑ったままにして立ち上がる。

 

「もう少しだけ、歩いてもらって、大丈夫、ですか?」

「勿論です」

 

そこから更に数歩移動し、肩に何かをかけられる。

 

 

 

「それじゃ、あいんずさん。ゆっくり、ゆっくり目を開けてください」

 

 

「……」

 

 

アテナさんの言う通りに、ゆっくりと目を開けていく。

 

 

 

「…………えっ、これは……」

 

「お誕生日、おめでとうございます。アインズさん」

 

『『『『『『『『『おめでとうございます!』』』』』』』』』

 

 

 

 

最初に聞こえてきたのは、最初にアテナさんの言葉。

続けて守護者達シモベのみんなの大きな声(アテナさんは声の大きさに驚き過ぎて耳を塞ぎながら目が白黒していたけど)

 

続けて目に飛び込んできたのは、大きな垂れ幕。

 

そこには大きく『HAPPY BIRTHDAY』と描かれていて、その下にはデフォルメに描かれている俺の姿、左右には更に、ギルドメンバーのみんなが同じくデフォルメに描かれていた。

勿論それだけではなく、守護者をはじめシモベ達の姿まで描かれていた。

 

「アインズ様、こちらはどうぞ」

「うぇっ?あ、ああ……」

 

アルベドに促されるまま、一生懸命作ったことがすごく分かる手作りの椅子に座る。

その間も様々な感情が渦巻いて、何度も何度も精神鎮静化が起き、それでも尚心の底から感情が湧き出てしまう。

 

だけどそれは決して不快とか、そんなんじゃなく……

 

『えー、それでは、本日の主役であるギルド長アインズ様も来られたことだ。早速だが始めさせてもらおうと思う』

 

次に響いてきたのはマイク越しのエミヤの声。

もうここまで来て察するなというのが無理な話だった。

 

『本来ならば俺の立場は守護者の皆様よりも下ではあるが、この場に限り忘れて頂けると非常にありがたい。

それではギルド長殿、座ったばかりで大変申し訳ありませんが此方へお越しください。付き添いは……そうですね、ここで喧嘩になるのも忍びないし、アウラ殿とマーレ殿にお願いしたいのだが、宜しいかな?」

 

「はーいっ!」

「は、はいっ!」

 

正装のアウラとマーレに元気よく手を引かれ、湖畔の近くに建てられた壇上へ行く。

改めて見渡すと、アルベドを始めとした各階層守護者(ヴィクティムとガルガンチュアだけはいなかったが)、ワルキューレ三姉妹、セバス、プレアデス(オーレオールまでいた)、パンドラなどの領域守護者までもがこの場に集まっていた。

そしてカーテンで何かを隠すように仕切られていた事に今更ながら気づいた。

 

『さて、本日は大変お忙しい中誠に感謝しますギルド長殿。率直に、今の感想をお聞かせ頂きたい』

 

と、エミヤにマイクを渡されるが、申し訳ないことに全く言葉が出なかった。

そんな俺の様子に不安だったのか皆がオロオロしだしてしまい、収拾がつかなくなってきた。

 

 

いや、これ本当に。どうすればいいんだ。自分の中にどんな感情が湧き出てるのか理解している。

だけど、それを言葉にしようとすると喉でつっかえてしまう。

 

早く、早く言わないと。みんなが心配して----

 

 

「あいんず、さん!だいじょうぶです!ゆっくり、ゆっくりでいいですから!」

 

 

少し遠くの席からアテナさんがそう叫ぶ。大きい声を出すのは苦手なはずなのに、慌てながら俺へ向かって手を振る。

 

それがどうにも可愛らしく、ふふ…と笑いが溢れてしまう。が、そのおかげか一息つくことができた。

 

(確りと、俺の気持ちを伝える……ああ、それだけでいいんだ)

 

マイクを持って、みんなを一度見渡し、意を決して口を開く--

 

 

 

「あー、その、だな。言いたいこと、言わなければならない事が沢山あり過ぎてどこから喋ったらいいのか分からないんだが……。

 

まずは皆に感謝したい。

このような場を設けてくれて、ありがとう。私は本当に、本当に良い仲間に恵まれた。

 

私の言葉が詰まった事で心配したかもしれないが、嬉しさや感動が溢れ過ぎて言葉にならなかったんだ。心配させてすまない。

 

それで、誕生日そのものについても、正直言うと忘れていたんだ。忙しかったというのもあるが、それ以上に……私は私自身の事を大切にできていなかったのかもしれないな。

 

だがそれも、皆のおかげで気づくことができた。改めて感謝したい。

 

これからも私は、皆の為に、皆が幸せになれる為に働く。世界征服はもちろん大事な計画ではあるが、ナザリック内でもっと皆と距離を縮め、本当の家族のように過ごせれば、私も非常に嬉しく思う。

 

これ以上長くなってしまっても申し訳ないので、この辺りでやめておこう。

 

それと最後に改めて、皆、このような場を設けてくれて、本当に、本当にありがとう。

お前たちは、私のかけがえのない宝物だ」

 

 

その瞬間、大地を揺るがすのではと思うほどの大歓声がこの場を包んだ。皆が立ち上がり、中には涙を流しながら拍手をしてくれていた。

(案の定アテナさんは耳を塞ぎながら苦笑いしていたけど)

 

 

『ありがとうございますギルド長殿。それでは……そうだな、コキュートス殿、ギルド長殿を椅子まで案内してもらってもよろしいかな?』

 

「承ッタ。アインズ様、此方へ」

「ありがとうコキュートス」

 

コキュートスの冷たくも心地良い手に引かれ、座っていた椅子に戻る。そのついでに一つの指輪を渡される。

 

『それでは……堅苦しい空気はこの辺りで一度締めとしよう。あー…料理長、それとシグルドにブリュンヒルデ、手筈通りに』

「了解した」

「わかりました…」

 

と、2人は仕切りカーテンを勢いよく取っていく。

 

「おお……!」

 

その向こうには長テーブルがいくつもあり、所狭しと料理が並べられていた。

保存か何かの魔法が使われていたのか湯気も出ており、見た目だけで美味しいのだろうと確信できる。

 

『先ほどコキュートス殿がお渡しした指輪は人化の指輪になります。私と料理長が腕によりをかけて作らせていた料理ですので、思う存分ご賞味ください。付随する効果として満腹度の無効化及び食べれば食べるだけ魔力へ変換されますので、食べきれないかもしれない、という心配もありません。

 

また、ここからはしばらく自由時間とします。料理を楽しむも良し、アインズ様へ個々にお祝いの言葉を伝えるも良し。各人、自由に過ごして欲しい。

まだまだイベントはあるが、その時になったらまた声を掛ける。では、これにて』

 

 

 

 

エミヤの挨拶が終わった瞬間、アインズの元へシモベ達が(極力迷惑のかからないよう間隔を開けて)殺到していく。

 

「アインズ様!おめでとうございます!」

「お、おめでとう…ございます!」

 

「ありがとうアウラ、マーレ。その服、よく似合っているぞ。ぶくぶく茶釜さんにも見せてあげたいな」

 

「アインズ様、オメデトウゴザイマス」

 

「ありがとうコキュートス。お前のエスコート、とても素晴らしかった」

 

アウラ、マーレ、コキュートスから始まり、他のシモベ達もアインズの誕生日を言祝ぎ、並んでいた料理の元へ足を運んでいく。本音を言うならば皆、アインズの元にいたかったはずだが、それは事前にアテナとエミヤにより注意喚起をされていたので大人しく流れることにしていた。

 

尚、アルベドとシャルティアはしばらくアテナと控えていた。理由は言うまでもない。

 

「アインズ様、お誕生日、誠におめでとうございます」

「アインズ様!おめでとうございます!」

 

「ありがとうアルベド、シャルティア。こんなにも皆から慕われて、本当に私は幸せ者だ」

 

「滅相もございません!」

「お祝いすることができて私も嬉しいでありんす!」

 

「しかし……いつから準備をしていたんだ?全く気づかなかったな」

 

「それは…」

「昨日から、です。あいんずさん。誕生日、おめでとう、ございます」

 

「アテナさん、ありがとうございます。本当に、本当に嬉しいです。……ん?昨日?」

 

嬉しい思いとは裏腹に、アテナの言葉に思わずオウム返しをしてしまう。

アテナは苦笑し頬を掻きながら、アインズの手を取る。

 

「おととい、玉座の間でみんなと話しました。それで、エミヤとデミウルゴスが主導で、設営とか考えてくれた、です。あの垂れ幕は、パンドラとアルベド主導で。この椅子はアウラとマーレ、頑張ってくれました」

 

「そうなんですね……。また改めてお礼を言わないといけなくなりましたね」

 

「そうしてあげてください。きっと喜んでくれます。それと、エミヤとシホウツも、食堂経営の合間に、ものすごく料理を頑張ってくれました。アインズさん、一緒に、どうですか?」

 

「勿論です。いきましょう」

 

アテナに指輪を付けてもらい、手を引かれながら料理を取りに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アインズさんの人化、相変わらず、本当に心の底から思います。

 

 

 

ものすっっっっっっっごく、イケメン!

(注 恋フィルター増し増し)

 

 

 

おほん。アインズさんの人化については、一度みんなで食事会したからか、特に驚かれることは無かった。

様々な料理を少しずつ食べていき、途中でアルベドとシャルティアがどっちの料理を渡すか、なんて喧嘩をしかけたけど周りが諌めてくれたりもした。

 

「本当に美味しいですね。これが、ほっぺも落ちるような美味しさ、と言うやつですね」

「特にシホウツはお肉の料理を、エミヤは和食、頑張ったみたいです」

「せっかくですしエミヤにも声を…お、いたいた」

 

少し離れた場所に人だかりがあったので(みんなが避けていくのに申し訳なく思いながら)向かうと、エミヤがそこで料理を作っていた。

なんでもリクエストに応えているとか。

 

「おや、ギルド長殿、マスター。どうですかな料理の出来栄えは」

 

「素晴らしいの一言だ。流石エミヤだな」

「すっごく、すっごく美味しいよ!」

 

「ありがとうございます。料理人冥利に尽きますね。料理長にもお伝えしておきましょう」

 

「アテナさんから聞いたが、彼らの料理は全てシホウツとエミヤが拵えたのか?」

 

「ええ。その通りです。ですが、一部守護者の皆様に手伝ってもらったり、時にはマスターにもお任せしたものもあります」

 

「ほう?興味深いな。それはどこに置いてあるんだ?」

 

「それでしたらあちらのテーブルに。料理の下に誰が作ったかの似顔絵がありますので、ご参考までに」

 

「分かった、ありがとうエミヤ」

「エミヤ、改めて、本当にありがとうね。エミヤのおかげで、大成功になった」

 

「いえいえ」

 

エミヤに教えてもらったテーブルに向かうと、確かに色とりどり(繊細なものから大雑把だけど美味しそうなもの)の料理が並べられていて、下にはかなりデフォルメされたみんなの絵が置かれていた。

 

「ふふ、みんなに感想、言わなきゃですね」

「ですね。アテナさん、お付き合いしてくれますか?」

「もちろんです」

 

 

しばらくは料理を堪能し、守護者のみんなとも話しながら改めて会場をじっくりと見渡していた。

決して豪華とは言えないが、一生懸命作ったのが分かる、とても良い会場だと心の底から断言できる。

 

途中ハムスケも合流し、より一層賑やかになって行く。

 

 

「(ここまで俺のことを慕ってくれてるんだ。俺ももっと頑張らないとな。とりあえず目下の、【アレ】をやる目処を立てないと……)」

 

 

『おほん。そろそろ次のイベントにしようと思う。皆、よろしいかな?』

 

エミヤの声で一斉に静かになり、各自の席に戻って行く。

なお若干名アインズのそばから離れたがらなかったが強制的に引き剥がされていた。

 

『では、次の…というよりは、最後のメインイベントとなる。ギルド長殿、人化を解いて壇上へ来ていただけますか』

「わかった」

『付き添いは…そうだな、パンドラズ・アクター殿、頼んでも?』

「ハァイ!畏まりッ!ましたッ!さあっ!父ッ上ッ!私のお手を!おとりっ!くださいっ!」

「分かったからそのオーバーリアクションやめい!気が散る!」

 

素の口調でツッコミを入れてしまったアインズに、アテナが思わずフフッと笑い、それに釣られてNPCのみんなも笑う。

アインズはここまで計算していたのかと思っていたが、無論そんなことはない。

 

パンドラがパンドラらしく振る舞っているだけである。

 

『ありがとうパンドラズ・アクター殿。それではアインズ様。ほんの少し、2分ほど目を瞑ってもらえますか?』

「わかった」

 

壇上に上がったアインズが目を瞑った(というよりアインズが手でOKと示した)のを確認し、皆が一斉に動き出す。

 

アインズはワクワクしながらもたまにドタバタしたり口喧嘩している様子を不思議に思い、それでいて微笑ましいと感じていた。

 

 

そして喧騒も鎮まった頃合いを見てエミヤが話す。

 

『それでは、目をお開けください』

 

「うむ」

 

アインズが目をゆっくり開くと、目の前にいたのは大小様々なもの--と言っても大きくて両手に収まる程度のもの--を1つずつ持ったシモベ達。

 

流石にアインズといえど、それらが何なのかすぐに理解する。

そしてまた、精神鎮静化が何度も何度も発動する。

 

『これより、皆からプレゼントをお渡しする時間となります。数が多いでしょうが、ご安心を。置き場を用意していますので。それではトップパッターは…』

「もちろん私でございますアインズ様!」

 

と、誰よりも先にアインズの前へ躍り出たのは守護者統括アルベド。

 

「こちら、アインズ様と私の人形です!どうかお受け取りくださいませ!」

「うむ。ありがとうアルベド。大切に飾らせてもらうとしよう。これからもナザリックのことで様々な迷惑をかけると思うが、よろしく頼む。お前をこれからも頼りにしている」

「キャーーーッッッ!」

 

アルベド、ノックアウト。

 

「アインズ様!こちら、私のペットの毛や牙とかを加工して作ったリストバンドです!」

「アウラの使役獣たちの?道理で綺麗なはずだ。これもアウラがしっかりとお世話をしているからだな。ありがとう、大切にさせてもらうよ」

「はいっ!」

 

感極まったのか、アウラも涙を流しながら笑みを浮かべる。

 

「あ、あの、その。アインズ様。これ…本で調べて、観葉植物っていうものがあると知って。アインズ様のお仕事の部屋の香りとか、見た目とか、少しでも…その……」

「大丈夫だマーレ。不敬だなんて思っていないさ。ありがとう、この可愛らしい植物たちは帰ったら早速飾るとしよう」

「〜〜……ッ!ありがとう、ございます!」

 

マーレも以下略

 

「アインズ様、こちらをどうぞ。我が愛と手作りした栞になります。アインズ様は読書がお好きだと聞きまして、使って頂けると幸いです」

「その…シグルドが、押し花というものを、教えてくださりまして……それを、2人で、作ってみました。ルーン魔術を施していますから…破れたり、汚れたりしないかと…」

「押し花?聞いたことはあるがこれがそうなのか。なるほど、質素ながらも綺麗だ。ありがとう、大切に使わせてもらう」

「ありがたき幸せです」

「ありがとう…ございます」

 

シグルドは終始爽やかな笑顔で、ブリュンヒルデは過去の事から少し奥手になっていたが、内心ホッとしながら下がっていく。

なおワルキューレ三姉妹はというと、3人で1つのプレゼントとして羽ペンを一緒に贈っていた。

 

「アインズ様、コチラ、不凍ノ氷を削リ造リアゲマシタ。『不凍不屈ノ刀』デゴザイマス」

「不凍の?となるとコキュートスのスキルで生み出したものか。それに名前は…不撓不屈からか」

「ハイ。パンドラ、デミウルゴスニ教ワリナガラ造リマシタ。アテナ様トモ相談サセテ頂イタトコロ、コノヨウナ一品ヲ好マレルトオ聞キシマシタ。アインズ様ノオ眼鏡ニ叶ウトヨイノデスガ……」

「ほう…美しいな……。武人建御雷さんに自慢できないのが残念だ。ありがとうコキュートス。喜んで私のコレクションに加えさせてもらう。こんな素晴らしい宝をありがとう」

 

コキュートスは嬉しさが限界突破したのか冷気を(もちろん周りに被害が出ないように)勢いよく出し、後ろに控えていたデミウルゴスへ交代する。

 

「アインズ様。私めからはこちらを」

 

そう言ってデミウルゴスが持ってきたのは、3つほどの大きな木造の棚。

しかも丁度、これまでにもらったプレゼントが、これからも後ろに控えているシモベ達のものまだ含めてピッタリ入りそうな空間が並んでいた。

 

「おお…素晴らしい。これなら皆のプレゼントを余す事なく並べることができるな」

「お褒めくださりありがとうございます。では、後ろもまだまだ皆が控えていますので、早めに譲るとします」

「はは、そうだな。ありがとうデミウルゴス。これからもナザリック随一の知恵者として、存分に頼らせてもらうとするよ。ウルベルトさんにもこんな素晴らしいお前の姿を見せてあげたかったな」

「なんと……!そのお言葉だけでこのデミウルゴス、感極まります!これからもより一層…」

 

デミウルゴス(以下略)

 

次にプレアデスの面々からは、各人が描いた似顔絵が贈られ(中にはアテナと共に描いているものがあり)、セバスからは絵を飾る為にと手作りの額縁を贈られた。

 

その後も暫くはプレゼント贈呈式が執り行われていく。

 

 

「どうぞアインズ様!」

「ありがとう。大事に使わせてもらうよ。それと、これからもナザリックのことを宜しく頼む」

「〜〜……っ!はいっ!勿論でございます!」

 

メイド達の代表としてシクススから枕を贈られ、それを大事にデミウルゴスお手製の棚に飾る。

 

『ギルド長殿、大変お疲れ様でした。それではこれから……』

 

「うん?あれ、アテナさんとパンドラがまだだが…」

 

2人の性格からきっと用意してくれてるだろうと思っていたアインズは、少し残念そうな声を出しながら壇上から降りようとするが、エミヤがストップをかける。

 

「あいんずさん、わたしとぱんどら、あとでちゃんと渡します。安心してください。それよりも先に…」

『はい。マスターの提案で、先にみんなで集合写真を、と思っていました。心配させてしまい大変申し訳ない』

 

「なるほど。大丈夫ですよアテナさん。心配させてしまってすいません。それで、どの辺で撮影を?」

 

『では、ギルド長殿は壇上の中央に。その横にはマスターが。他の方々はくじ引きで。くじの番号が早い方から立つ場所を決めましょう』

 

そのことを知らされていなかったアテナ以外はピキッと固まり、それをよそ目に(知らん顔ともいう)アテナはアインズの横に立つ。

 

 

もちろん、伝えていなかったのはワザとである。

 

 

『他の方々は座ったままで。こちらのクジ箱を回すので一人一枚ずつとること。なお、イカサマはできない仕様ですのでご安心を。それではこちらから…』

 

 

 

 

 

結果としてはアテナの横はパンドラが、アインズの横はアウラが獲得した。

またアテナに後ろから抱かれる形を希望したワルキューレ三姉妹に、それがアリなら私もとアルベド・シャルティアが行こうとするも却下されたり。

 

メイドも、領域守護者も、階層守護者も、他NPCたちも、この時だけは立場を忘れ、壇上に次々と上がっていく。

 

『準備はよろしいかな?』

「うん、おっけー、だよ」

『では……タイマーセット、よし』

 

エミヤの言葉を皮切りに、ギリギリまでセッティングしていたNPCたちも集まってゆく。

 

「マスター、30秒でセットしてある。あと…20秒ほどかな」

「わかった。それじゃみんなー!とびきりの、笑顔でいこう!

 

 

 

じゃあ、はい!せーーーのっ!」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『それでは、これにてギルド長アインズ様の誕生日パーティーはお開きとさせて頂きたい。堅苦しい空気にするのも忍びないため、この後は自由にしてくれ。片付けなどは私主導でやっておくのでお気になさらず。では』

 

エミヤは淡々と司会を終え、片づけの指示出しに回った。

私はアインズさん、パンドラと一緒に一足先にナザリックへ転移する。

 

 

「それじゃ…どう?できてる?」

「バッチリでございます!すぐに取り掛かりますのでお待ちくださいませ!」

 

そう言ってパンドラは一つの箱とカメラを持ってどこかへ颯爽と消えた。

 

「もしかして、まだ完成してなかったんですか?」

「あー……はい。ちょっと……最後の、どうしても、できなくて」

 

どう答えたものかと考えながら、私自身もどうしても気になっていることがあり、アインズさんの方を見る。

 

「どうされました?」

 

これまで見てた感じから、感触はすごく良いのはわかってる。わかってるけど、改めて聞きたかった。

 

「あいんず、さん。サプライズパーティー、初めて計画した、です。どう…でしたか?」

 

するとアインズさんは思い切り私を引き寄せ、その手(の骨)の中に私を包み込んだ。

 

「何度でも言いますよ。ほんっとうに、ほんっとうに嬉しいです。こんなにも俺を慕ってもらえるなんて、本当に。人間種だったら涙の海ができてますよ」

「おおげさ、ですよ。けれど、喜んでもらえて、よかった、です」

 

「お待たせしまし……えーと、時間を改めた方がよろしいでしょうか?」

 

「「ふぐっ⁉︎」」

 

 

やめて。そんな優しい声色しないで。

 

 

「んんっ!大丈夫だ。それで、パンドラは何をしていたんだ?」

 

「おお!そうでした!ンアインズ様!こちらを!お受け取りくださぁいっ!」

 

直角の礼をしながら、一つの小包をアインズさんに手渡す。

開けてもいいのかと尋ね、パンドラは超ハイテンションでOKですと答えていた。

 

「……!これは……」

 

「写真立てでございます!アテナ様の所持品から希少鉱石及び複数の素材を使用した破壊不可属性のついた一品でございますっ!」

 

そう。私たちの誕生日プレゼントが未完成だった理由は、写真立ての中に飾る写真がなかったから。

 

それに気づいたアインズさんは再度私を、そしてパンドラを引き寄せ思い切り抱きしめてくれた。

 

「ほんっとうに、ほんっとうに嬉しいよ。これはナザリックに匹敵するほどの宝だ。ありがとう、二人とも」

 

そのまま暫く、強く抱きしめられて嬉しいやら恥ずかしいやら。パンドラも同じみたいで、珍しく言葉に詰まっていた。

 

 

 

 

 

「っと、すまないな。これは早速飾らせてもらうとしよう」

 

「あ、その写真立て、ちょっとした仕掛け、あるです」

 

「仕掛け?」

 

「はい。どんな仕掛けかは……お楽しみ、です」

 

「なるほど。休みの日にじっくりと堪能させてもらうとしましょう。改めて、本当にありがとうございますアテナさん。誰かに祝って貰えたのなんて、それこそ何年も前ですから。最後に祝って貰えたのは…」

 

「たっちさん主導で、みんなでお祝いしたとき、ですか?」

 

「大正解です。流石アテナさ……

いや、ちょっと待ってください、なんで家族だとか恋人だとは思わなかったんですか?」

 

「え?あいんずさん、お母さんもお父さんもいないって。それと、恋人も、好きな人もいないって。ずっと、独身を貫くて、ききました」

 

「誰からですか?」

 

「ぺろろん、ちーの、さんです」

 

「ペロロンチーノォォォォォ!」

 

 

えーと……なんか……ごめんなさい。

 

 

 

 

こうして第1回アインズさん誕生日パーティは、何とか無事に幕を閉じた。

 

 

 

 




某変態バードマン「だって、モモンガさんがそう言ってたじゃん」
某魔法最強職「だとしても流石にやめてやれ。かわいそうだろ」
某肉塊「大丈夫よモモンガおにぃちゃん!私がいるじゃない!…まってやーちゃん冗談。冗談だって。だからそのガントレット仕舞おう?」






ちょっと長くなっちゃったけど、これにて幕間の物語は終了。次から本格的に物語を進めていきます

それでは、読んでくれてありがとうございました
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