アルベド…アテナのことを慕っている反面、恋敵のような存在として見ている面がある。その為ちょいちょいアテナの前でモモンガさんといちゃつこうとしている。
実は「モモンガを愛している」の一文がなくとも元々アルベドはモモンガを愛している設定で「ビッチである」はブラフな為、実はモモンガ達の転移前の行いはそんなに効果がない。
アテナの作ったNPC達の設定。
ギルメンに対しての忠誠心の高さは他と同じだが、アテナと共に過ごす時だけかなりフランクになる。
それこそ友達同士かのようなフランクさで接する為、他の守護者が見ると怒り狂う可能性はある。
エミヤはどちらかと言うとアテナの保護者の側面の方が強い。
「時に……マスター」
「ん?どうしたの?」
「モモンガ様とは……どこまでお進みになられたのですか」
「ぶっ⁉︎ゲホッゲホッ」
ブリュンヒルデからいきなり特大爆弾を落とされて思わず咳き込んでしまう。
「ほう。それは初耳だ。そうか、マスターはギルド長殿が」
「お姉様どういうことか詳しく!」「わ、私にも!」「……!」
「我が愛、それはどういうことだ?」
それに興味を持った4人がブリュンヒルデに詰め寄り始めた。
話を止めようにも既に手遅れなのが直感でわかる。
同時に顔がとんでもなく熱くなってくる。
「アルベドから……聞きました。マスターは……モモンガ様へ、愛の告白をしていた……と。それと第六階層で忠誠の儀が終わった後、アルベドへ言っていたあの言葉……。マスターは、モモンガ様が……」
「ちょ、ちょっとまっ。ぶりゅん、ひるで、まって。それいじょう、いわないで」
「では……モモンガ様とは……」
「わ、わかった、いう、いうからみんなまって」
ブリュンヒルデのなんとも言えない強い圧に思わず負けてしまう。
でも口で説明するのはとんでもなく恥ずかしい。
「え、えみや。ちょっときて」
「む?」
それからエミヤに手話で端的に伝える。というか伝えなきゃ一生詰め寄られる気しかしない。
この子たちこんな強情な性格に設定したっけ?いや確かにワルキューレ三姉妹とブリュンヒルデはその手の話に敏感だ、みたいなのは書いた記憶あるけど。
けど口で説明するのはとんでもなく恥ずかしくて死にそうなのでエミヤに手話で伝え、それをみんなに伝えてもらう方式にさせてもらいました。いやほんとごめんなさい許してください。恥ずか死しそうです。
「ふむふむ……。たしかに告白したけど、その直後に今の異変が起きてみんなそれどころじゃなくなったから、有耶無耶になっている。関係を進展させたいけどアルベドとかもいるし他ナザリックには美人な子がたくさんいるから自分の容姿に自信が持てない、との事だ」
おいチョット待とうかエミヤさん。なに溜息ついてるんですか。
「マスターは美しいですよ!保証します!」
「アルベド様と比べる……のはちょっと私は怖くてできませんけど絶対にこの世界で1.2を争うくらい美しいです!」
「マスターは誰よりもお優しくナザリックの誰よりもモモンガ様の傍へ寄り添われた方ですからきっと大丈夫です!」
「マスターなら……グイグイと行けば、モモンガ様もマスターを女性として意識してくださると……思います」
「我が愛の言う通りです。アテナ様ならばきっと大丈夫です」
「胃袋を掴めば惚れてくれそうなものだがね。それにマスターは十分美しい。だから自信を持つのが大事だぞマスター」
「まってやめてそれいじょう、なぐさめないで、くらさい」
恥ずかしすぎて机に突っ伏してしまう。おいこらエミヤ。笑ってるの聞こえてるからね!
「わ、わたし、これからようじ、あるからいくね!」
「承知しました。でしたらこちらは当方達で片付けておきます」
「おきをつけて……ください」
「アテナ様!また来てください!」
「いつでもお待ちしております!」
「また撫でてほしいです!」
若干一名ほど欲望ダダ漏れだけど、可愛いからいっか。
「それじゃ、みんな。なざりっくのしゅご、がんばってください」
「「「「「ハッ!」」」」」
みんなの息の揃った返事を聞き私は第九階層に転移した。
「(魔法で作ったアイテムなら装備可能なのも一緒。と言うことは……)」
今は様々な装備品の使用感を確かめている最中。アテナさんが来たらお忍びで外に出てみようと思ってはいるが、果たしてすんなりと出してくれるのだろうか。
「やはり魔法で作った装備品なら近接装備も使用可能か。また実験をしないとな」
レベル100の腕力に任せ無造作に振ってみる。重さは感じないし周りがブワッと衝撃波が出たような気もする。
コンコン
「モモンガ様、アテナ様です」
「わかった。通してくれ」
誰かにドアをノックされ、傍に控えていた戦闘メイド『プレアデス』の1人、ナーベラル・ガンマが応対してくれる。
アテナさんが来てくれたので一旦実験はストップかな。
「もも、がさん。おまたせ、しました」
「いえいえ。来てくれてありがとうございます。それで……装備はどうにかなりそうですか?」
「はい。たぶん、だいじょうぶです」
「わかりました。……これより私とアテナさんで少しばかり外出する。直ぐに戻るので待機しておいてくれ」
「近衛の準備はできております」
アッハイ。俺たちだけでいくな、って言いたいんですね。
慕ってくれる気持ちはすごい嬉しいんだけど少し息抜きしたいんだよなぁ。
「アテナさんと極秘の!相談がある。供は許さん」
「……畏まりました」
ここまで言ってようやく諦めてくれた。
宛名さんと事前に打ち合わせしていた場所へ指輪を使って転移すると地表にちゃんと辿り着く。
横を向くといつもの鎧姿ではなく、巫女のような装備になっているアテナさんがいた。
純白の巫女服を金の装飾がそれとなく散りばめられている。
顔を直に見られたら直ぐにバレそうだけどしかくい四角い真っ白な布で顔を隠していた。
うん、これなら大丈夫だろう。
「それではいきましょうか」
「(コクコク)」
アテナさんが勢いよく頷くのを確認して目の前にある階段を上がる。が、そこに出てきたのは予想外のものだった。
立っていたのは三体の悪魔。
デミウルゴス直属の『嫉妬』『強欲』『憤怒』の三魔将。
正直にいうとビビった。
て言うか誰でもビビると思うぞこんなの。
横にいるアテナさんはと言うと俺の後ろに隠れてしまっている。
そしてさらに奥に見えるのは赤スーツとメガネをかけたNPC。見間違えようもない、デミウルゴスだ。
「ん?これはモモンガ様にアテナ様!近衛をお連れにならずここにいらっしゃるとは。それにそのお召し物は……」
「(なんでバレた⁉︎)」
アテナさんのことを召喚したシモベとか色々と言い訳を考えていたのにそんなのを言う暇もなく見抜かれた。
「(いや、ナザリックで自在に転移できるのはギルドの指輪の持ち主である俺とアテナさんだけ。バレて当然か)」
隠し通すのはもはや無理と悟り改めてデミウルゴスと向き合う。
「ああ、色々と事情があってな」
「……なるほど、そういうことですか」
「え?」
「(え?)」
「まさに支配者にふさわしいご配慮かと考えます」
「(え?いや、息抜きに外出したいだけなんだけど⁉︎)」
「(デミウルゴス一体なに言ってるの……?)」
「ですが、やはり供を連れずにとなりますと、私も見過ごすわけには参りません」
「ふむ。ならば1人だけ供を許そう」
もうどうにもならないと思い、供を許可しデミウルゴスの横を通り抜ける。アテナさんはアワアワしながらもデミウルゴスにお辞儀をして俺の後ろをついてきた。
「私の我儘を受け入れてくださり、感謝致します」
モモンガさんとお忍び(デート)で外に出ようとしてデミウルゴスがいたりついて来ちゃうのは予想外だったけど。というかモモンガさんはデートだと思ってくれていたりしたのだろうか。
私の早とちりじゃないのか感が凄い気がする。
だけどそんな考えは外に出て空を見上げることですぐさまなくなった。
「わぁ……!すごい……!」
「(すごいな!こんな透き通った空は一度も見たことがない!ブループラネットさんの作った第六層の空も凄かったけど、これは……!)アテナさん、空は飛べますか?」
「(コクコク!)」
モモンガさんが何かのネックレスをつけて空へ飛んでいったのを確認して私はスキルで熾天使の翼を顕現させて空に向かう。意外にもゲームの感覚でやれば直ぐに空を飛ぶことができたけどそんなことはどうでもいい。早く、早く上に行きたい。
雲を突き抜けると同時に眼下に広がるはあたり一面の雲海。それを照らす月明かり。
顔を隠していた布が煩わしくなって勢いよく取り去る。
よりもっと自分の目で直に感じたかったから。
「(昔の本で見たモノよりスゴイ……!現実とは思えない……!)」
「キラキラと輝いて、まるで宝石箱みたいだ」
「この世界が美しいのは、モモンガ様とアテナ様の身を飾る為の宝石を宿しているからかと」
「確かにそうかもしれないな」
モモンガさんとデミウルゴスの会話も右から左に流れていく。
それほど私はこの光景に目を奪われていた。
「私が、私達がこの世界に来たのは、まだ誰も手にしたことのない宝石箱を手にするため……いや、私達だけで独占すべきものではないな。この宝石はアテナさん、ナザリックと我が友、アインズ・ウール・ゴウンを飾る為のものかも知れないな」
ようやく落ち着けてモモンガさんとデミウルゴスの会話をよーく聞いてるとなんか宝石箱を手に入れるとかなんとか言ってるような?多分、ちゃんと聞き取れてるかは不安だけど。
「お望みとあらば、ナザリック全軍を以て手に入れて参ります!」
「ふふふ。この世界にどのような存在がいるのかも不明な段階でか?
だが……そうだな。
世界征服なんて、面白いかも知れないな」
わかる。これRPしてる。なら私も付き合おう!なんて軽い気持ちで口を開く。
「大丈夫ですよモモンガさん!わたしが!いますから!
モモンガさんと、わたしと、ナザリックの皆がいれば!どんな相手だって、勝てます!
きっと世界征服も!できちゃいます!
それにみんなが危なくなったら、私がまもります!
だって、私はナザリックの守護神、ですから!」
この時は自分でも驚くくらい、スラスラということができた。RPしようとしてる時だけ肩の力が抜けたのだろうか。
「ふふ、ありがとうございますアテナさん。その気持ちだけですごく嬉しいですよ」
私は単なるRPとしてやったが、これがまさか本気に取られているとは誰が思うだろうか。
それを知るのはもう少し後のこと……。
「ん?」
「?」
モモンガさんが何かに気づき下を見ていたのでそれに釣られて見下ろすと外壁の上にマーレがいて土を動かしていた。
ドルイドのスキルや魔法には詳しくないけどそれでも凄いことをしてるってことくらいはわかる。
流石はマーレだなぁ。
「モモンガ様、アテナ様。これからのご予定をお聞きしても?」
「わたしは、ももんがさんについて、いきます」
「私はマーレの陣中見舞いに行こうと思っている。なにが褒美としていいと思う?」
「モモンガ様やアテナ様がお声をかけてくださるだけでも充分すぎるかと」
「ふむ……そうだな」
モモンガさんが何かを決めて下に降りていったのを見て私も下に急降下する。
「あっ!モモンガ様ー!アテナ様ー!」
外壁にモモンガさんとデミウルゴスと共に降り立つとマーレが私たちを見つけて走り出してくる。
まさに女の子のような走り方で。
「(マーレって、男の子だよね?今更だけどなんで女の子の格好をしてるんだろう)」
そんなことをふと思ってモモンガさんに
曰く、私にはまだ早い領域、とのことです。
……どういうことなんだろう?
「どうしてこちらへ?僕、何か失敗でも……」
「違うともマーレ。ナザリックの発見を未然に阻止するお前の仕事は、最も重要なものだ」
「は、はい」
「だからこそ、マーレ。私達がどれだけ満足しているかを知ってほしい」
「はい。モモンガ様」
「よろしい。ではこれを」
そうしてモモンガさんがマーレに一つの指輪を渡す。
見間違えようもない、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。
実際にマーレが受け取れるはずがないと慌てていたけどモモンガさんの言葉によって最終的には受け取っていた。
でも、左手の薬指につける必要はなかったのでは?(私はとあるバードマンに騙されて左手薬指につけました)
「と、ところでモモンガ様、アテナ様、どうしてそのようなお召し物を?」
「それは……」
「簡単よ、マーレ」
また別の声が響いてきたと思ったら現れたのはアルベドだった。
あれ?仕事してたんじゃ……抜け出してきたの?
「モモンガ様とアテナ様は、シモベたちの仕事をお邪魔しないように、というお考えなの。モモンガ様達がお姿を現したら、シモベは全ての作業を止め、敬意を示してしまいますから。ですよね?モモンガ様、アテナ様」
「そ、その通りだアルベド」
ダウトですモモンガさん。
ただの私たちのお忍び(デート)外出だったでしょう。
あとそれと、あの、アルベド、見せつけるようにモモンガさんに密着しないで?あの、うらy…げふん。いえ何でもありません。
それよりも確認したいことがあってデミウルゴスにこっそり話しかける。
「(ね、ね、でみうるごす。あるべど、しごとちゅう、だったよね?)」
「(はい、その通りでございます。つまるところ、モモンガ様が見えたので仕事を投げ出してきたのでしょう。後でキツく言っておきます)」
「(おねがい、します)」
なにやらモモンガさんとアルベドで何かあったようで、そのままアルベドにギルドの指輪を渡していた。
いやあの、だから、え、左手薬指に指輪をつけるのが風習だったならごめんなさいだけど、あの、アルベドさん。後でお話ししようか。なに勝ち誇ったかのような目でこっちを見てるんですか。(言い負かされる気しかしないけど)
「デミウルゴスには後日私から直接、もしくはアテナさん経由で渡すとしよう」
「わかりました。かの偉大な指輪をいただけるよう、努力して参ります」
「ではすべき事も済んだので叱られないうちに戻るとしましょうアテナさん」
「は、い。わかり、ました」
その後モモンガとアテナが転移した直後に凄まじい雄叫びが聞こえたとか
そのうちアルベドvsアテナの正妻戦争でも描きましょうかね(小声
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